日本時間 2018年9月13日 の早朝、Apple の社屋「スティーブ・ジョブズ・シアター」でスペシャルイベントが開催され、新型の iPhone と Apple Watch が発表されました。

新しい iPhone は次の3つ。
iPhone Xs」「iPhone Xs Max」「iPhone Xr」です。

2018apple

先に述べておきますと、上位機種の iPhone Xs と iPhone Xs Max の予約開始日は 9月14日
発売日は 9月21日 です。
廉価機種の iPhone Xr の予約開始は 10月19日、販売開始は 10月26日 です。

価格は iPhone Xs が 11万2800円(64GB)、iPhone Xs Max は 12万4800円(64GB)。
iPhone Xr は 8万4800円(64GB)です。
ただし、これは Apple Store で買った場合。
通信会社で買う場合は各社の設定によります。

以下、今回も感想と解説を交えながら、ハードウェアを中心に新型 iPhone の詳細をお伝えしたいと思います。

まず「iPhone Xs」と、その大型版「iPhone Xs Max」について。

画面のサイズは「iPhone Xs」が 5.8 インチ
これは iPhone 8 Plus よりも大きい画面になります。

しかし全画面ディスプレイのおかげで、本体のサイズは iPhone 8 Plus より小さめです。

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具体的には、高さ 143.6mm、幅 70.9mm、厚さ 7.7mm。重量は 177g。
これは iPhone 8 と iPhone 8 Plus の中間です。
(8 は 138.4 x 67.3 x 7.3 の 148g、8 Plus は 158.4 x 78.1 x 7.5 の 202g)

iPhone X と同じく有機 EL ディスプレイ(OLED)で、改良して色の幅(ダイナミックレンジ)を 60 %向上。

HDR の映像規格(4K 相当解像度の HDR10 と、高度な色と輝度を持つドルビービジョン)にも対応しており、HDR の映画が綺麗に見られるとアピールされていました。

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防水性能は IP68 に対応。
これは防塵・防水の最高性能を示すものです。

iPhone は 8 / X(IP67)の時点で、他のスマホの IP68 を超える耐水性能を持っていることが各所の実験で明らかになっていましたが、正式に IP68 に対応したことで、さらに防水性能は高まっていると思われます。

発表では「水深 2m に 30 分間沈めても大丈夫」とコメントされていました。
また、ビールとかジュースとか、色々な液体をかけて実験を行ったそうです。

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「iPhone Xs Max」の画面サイズは 6.5 インチ。
もちろんこちらも有機 EL。

画面は大きいですが、本体サイズは iPhone 8 Plus とほぼ変わりません。
具体的には、高さ 157.5mm、幅 77.4mm、厚さ 7.7mm。重量は 208g。

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スピーカーも改良し、よりワイドなステレオ再生が可能とのこと。
また、ビデオ撮影時のステレオ録音に対応しています。

ホームボタンがなくなったので Touch ID(指紋認証)がなくなっていますが、代わりに Face ID(顔認証)を利用できます。

これに必要な機能は、iPhone X シリーズにある画面の切り欠き部分(ノッチ)にすべて収められています。
3D Touch も搭載されており、その精度も向上しているようです。

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そして注目の CPU ですが、「A12 Bionic」になりました。

コア(計算を行う部分)が6つの 6 Core CPU とのことですが、メインコアが2つ、サブのコアが4つの構成のようで、この点は A11 と変わりません。
しかしメインコアは 15 %速度が向上し、40 %の省電力化。
サブコアもフル稼働時で 50 %の省電力化を行っているとのこと。

消費電力はかなり下がっていそうですが、速度的には… それほど大きな強化ではないかも?
詳しくは有志の検証待ちですね。

グラフィック機能は 4 Core の内蔵 GPU で、50 %の速度向上とのこと。
かなり強化されている模様です。
と言うか、A11 が3コアだったようなので、1つ増えたから約 1.5 倍・・・?
メモリ消費も改善された模様。

それとは別に、8コアのニューラルエンジンというものが内蔵されていて、AI 機能やセンサーの処理などはこちらが行うようです。

A12 は SoC(システム・オン・チップ)と呼ばれるもので、他にも動作に必要な機能が一通り内蔵されています。
また、製造プロセス(内部の細かさ)が 7nm になったようで、ハードウェアに詳しい方でないと解らないと思いますが、これも処理速度と消費電力の改善に繋がっているはずです。

2018apple_cpu

AR 機能なども強化されているようで、発表会ではそれらを活用したゲームやアプリが紹介されていました。

特に注目だったのは Bethesda Game Studios(ベセスダ)が開発している 3D グラフィックの RPG「BLADE」。
非常にハイレベルなグラフィックのゲームで、かなり注目されそうです。

他に AR ギャラガなどが遊ばれていました。

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カメラは 12 メガピクセル。フェイスカメラ(自撮りカメラ)は7メガピクセル。
これらは iPhone 8 / X と同じで、ハード的には大差はないようです。

ただ、A12 の機能を活かしてソフト的に改良しているようで、「スマート HDR」と「ボケ(Bokeh)効果」が大きくアピールされていました。

HDR は写真の撮影時に明るさなどが異なる複数の写真を撮って、良いところを合成し、より人間の目で見たような自然な色と光を再現する技術ですが、その処理を強化。
A12 を活用して瞬間的に複数の写真を撮って合成し、より綺麗にすると同時に、HDR の弱点である「動くものに弱い」という点を克服したと述べられています。

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ボケ効果はすでに導入されていた「背景をぼかして人物などを際立たせる」撮影モードですが、これも強化され、「撮影後に」背景のボケ具合を調整できるようになります。
具体的には、被写界深度を後で変えられるようになっています。

他にも各センサーが2倍の速さで動作するようになったとのこと。
これらはビデオ撮影時にも、もちろん恩恵があります。

発表会では「写真を1枚撮るごとに1兆回の演算をしている」とコメントされていました。

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バッテリー性能も向上したようで、iPhone Xs は iPhone X より持続時間が 30 分長く、iPhone Xs Max は1時間半長いとのこと。

また、Dual SIM に対応していて、nano-SIM と eSIM の2枚差しが可能なのですが、これは日本では利用できないかもしれません。。
少なくとも対応の通信業者に日本の会社はありません。

もちろん Suica 対応など、以前の iPhone にあった機能は一通り盛り込まれています。
色は ゴールド、シルバー、スペースグレイ(黒)の3色

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そして少し安い「iPhone Xr」ですが…

これは iPhone Xs の画面が液晶になったバージョンです。
(有機 EL ディスプレイではない)
しかし新しい高品質な液晶を開発したとのことで、Apple はこれを「Liquid Retina」(リキッドレティナ)と呼んでいます。

サイズは高さ 150.9mm、幅 75.7mm、厚さ 8.3mm。重量は 194g。
iPhone 8 Plus より若干小さいぐらいの大きさです。
また、色は 白・黒・赤・青・黄 の5色が用意されています。

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性能面ですが、3D Touch がなく、カメラが1つ(Xs と Xs Max は2つ)であること意外は、Xs と大差ありません。

全画面スクリーンで、防水は Xs と同じ IP68 対応、顔認証の Face ID 搭載、12 メガピクセルのカメラで、単眼ですがスマート HDR やボケ効果なども同様に使えます。
(ただしデジタルズームは Xs が 10 倍、Xr は5倍)

CPU も A12 Bionic で Xs と同じものが搭載されており、よって処理速度やグラフィック性能にも違いはありません。
バッテリー持続時間は Xs Max と同じく、X より1時間半長くなっています。

液晶と有機 EL にどれだけの差があるのか・・・ これは実物を見てみないと解りませんが、そこに大きな差を感じないのであれば、iPhone Xr でも良い気はします。
少なくとも iPhone 5c のような、「安いけど性能は下位」といったものではありません。

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改めてになりますが、予約開始は iPhone Xs と iPhone Xs Max は 9月14日、販売開始は 9月21日
iPhone Xr は予約開始が 10月19日、販売開始は 10月26日

価格と容量は以下のようになっています。

iPhone Xs:64GB 112,800円、256GB 129,800円、512GB 152,800円
iPhone Xs Max:64GB 124,800円、256GB 141,800円、512GB 164,800円
iPhone Xr:64GB 84,800円、128GB 90,800円、256GB 101,800円

なお、新型の登場に伴い、iPhone 7 と 8 が値下げされています。

iPhone 8:64GB 67,800円、256GB 84,800円
iPhone 8 Plus:64GB 78,800円、256GB 95,800円
iPhone 7:32GB 50,800円、128GB 61,800円
iPhone 7 Plus:32GB 64,800円、128GB 75,800円

ただし、これらは Apple Store で買った場合の値段。
携帯電話会社の販売価格と販売形態は、各社ごとの設定によります。
なお、Apple Store での初代 iPhone X の販売は終了しています。

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発表会では、Apple Watch の新型「シリーズ4」も公開されていました。
サイズは変わりませんが、外枠を狭くしてスクリーンを少し大きくしており、インターフェイスが再構築されています。

CPU(SoC)はデュアルコアの Apple S4 となり、速度が2倍向上。
スピーカーの音量も 50 %アップし、電波受信も良くなった模様。

センサーも向上し、落下に反応するようになって、倒れたときに動きがないと判断した場合、緊急連絡を自動で行ってくれるようです。
また、心拍と心電図を記録できるようになり、こちらも異常があったら警告してくれる模様。

ヘルスケア機能を強くアピールしていて、正直「お年寄り向け」に思えてきました…
でもそれだったら、血圧測定が欲しかったところでしょうか。
技術的に難しいのだろうけど。

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以上、2018年9月の、Apple イベントの模様でした。

私的には、売れ筋は「iPhone Xr」の気がします。
CPU が同じってのが大きい。
10 万円超えていると「たかー」と思ってしまいますしね。

ただ前述したように、液晶と有機 EL の見た目の違いが知りたいところ。
こればかりは実際に見てみないと解らないので、一度 Apple Store や携帯ショップに行って比べてみたいですね。
その上で判断したいところです。

噂(というか願望)にあった新型 iPad や Mac の発表はありませんでした。
メモリ搭載量や CPU の計測結果などは、各所の検証を待ちましょう。