実は Angry Birds シリーズ以外には目立った作品がないのですが、先日 Angry Birds の敵役だったブタが主人公の新しいパズルゲームが公開されました。
「Bad Piggies」です。
ブロックや車輪などのパーツを組み合わせて「マシン」を作り、ブタをゴールまで運ぶという内容で、Angry Birds が「破壊」のゲームだったのに対し、こちらは「創作」系のゲームです。
いわゆるピタゴラスイッチ系の物理シミュレートパズルなのですが、このゲームが他のピタゴラ系のゲームと違うのは手前でマシンがぶっ壊れてもブタがゴールできれば OK という良い意味での曖昧さと、そしてこの手のゲームには珍しい「おバカ」っぽさがあること。
一方、適当にトリを放り投げてもクリア出来ることが多かった Angry Birds とは違い、こちらはトライ&エラーを繰り返しながら考えるタイプのゲームなので、ちょっと人を選ぶ内容です。
Angry Birds が好きだった人が、こちらも楽しめるとは限らない感じですね。
ステージが始まったら、与えられたパーツをマスの上に配置して、移動する「マシン」を作っていきます。
最初はブロックに車輪を付けた台車のようなものしか作れないのですが、ステージが進むと噴射によって推力を得られるペットボトルや、風で前に進める扇風機、さらにエンジンやプロペラ、落下速度を下げる傘や風船など、様々なパーツが登場します。
また、作成が終わってマシンを走らせた後もしかけの操作が可能で、例えばペットボトルは噴射するタイミングをボタンで指示し、扇風機やプロペラなどは ON/OFF が可能、傘は閉じることができ、風船は割って浮力を落とす事が出来ます。
最初のうちはマシンを作って坂の上から走らせるだけの積み木ゲームに近いのですが、だんだんしかけを組み合わせて地形を乗り越えていくピタゴラスイッチ的な性質が強くなりますね。
車体はモロく、勢いよく落下したり、ぶつかったりするとすぐに壊れてしまうのですが、その「壊れっぷり」も見るのも楽しいゲームで、さらにマシンが壊れてもブタがゴールできればクリアになるので、「壊れて吹っ飛んだおかげでクリア出来た」というケースもあります。
Angry Birds らしい「物理シミュレートの意外性の面白さ」はちゃんと残されています。
※車輪は下向きに付けりゃいいってものじゃない。 こんな風に前向きと下向きに付けると車体がナナメになり、後ろに推力を付ければ前傾型の安定したマシンになります。
これで前側にブタを乗せておけば、その重みで前に進みやすくなります。
こんな風に重心を考えて配置するのがコツですね。 でも1発で正解が解るステージは少ないので、何度もテストしながら調整することが必要でしょう。
※Angry Birds では敵だった憎っくきブタたちですが、プレイヤー側になると急にかわいく見える不思議。
しかしプレイヤー側になっても事故るわ爆発するわ落下するわでヒドイ扱いなのは相変わらず。
そしてこのゲームの良いところが、他のピタゴラスイッチ型のゲームにはない「おバカ」っぷりです。
風船で目的地の上空まで移動し、風船を割ってマシンを投下、マシンは地面に激突してバラバラになりますがゴールしてるからオッケーとか、爆薬を積んだマシンでゴール近くまで走って行き、そこで自爆スイッチオン! 爆発でブタがゴールに吹っ飛んでいき、それが「正解」とか、そんなギャグ漫画みたいな手順が当たり前のように展開されます。
綺麗にゴールできる手順があっても、それを無視してゴール方向に突っ込み、バラバラになりながら破片に押されてブタがゴールするみたいな感じでも OK で、このピタゴラらしくないテキトーさが良いです。
次々と新しいパーツが出てくるのも良いところで、現在は全 36 ステージのセットが2つ用意されているのですが、2つ目のセットは「飛行」がテーマであり、翼やプロペラが登場。
飛行機やヘリコプターのような乗り物を造ることも出来ます。
さらに Sand Box(サンドボックス)という特殊ステージがあり、通常ステージをクリアしていくと使えるパーツが増え、それで好きなマシンを作り上げ、大きなステージに挑戦することが出来ます。
このサンドボックスモードは自由にマシンを作れる反面、配置されているアイテムを全て回収するのはかなり大変で工夫が必要なので、ここが本番と言っても良いかもしれません。
※2つ目のステージセットは飛行マシンがテーマ。 下に並んでいるのは発進後に操作を行うボタンで、風船は押すごとに1つずつ割れ、重りは押すと投下、プロペラは回転のオン/オフになります。
このステージの場合、まずプロペラで前進、少し進んで重りを落として浮上、ある程度まで上がったら風船を割って高度をコントロールします。
※飛べないブタはただのブタ。 翼と尾翼があれば飛行機のように飛ぶことが出来ます。 もちろん浮上する方法が必要ですが。
この航空機の場合、下向きのペットボトルを噴射させて、それで浮き上がって飛んでいます。
え? 車輪がないのにどうやって着陸するのかって? ゴールに激突するに決まってるじゃないですか(笑
※サンドボックスモードで大型マシンを作成中。 しかし大きくなるほど重量があるため、それを動かせる推力が必要になるし、強度も問題になります。
小さい方がコントロールはしやすいのですが、それだと坂でパワーが足りなかったりして、色々難しい。
デカいほどパーツがどこかにぶつかりやすく、ボロボロ取れていったりするのですが、それはそれで見てて笑えます。
どうしようもなくなった時、最後に自爆して終わるため、爆薬を搭載しておくのが漢のロマン。
ただこのゲーム、慣れてくると面白いのですが、慣れるまでちょっと時間がかかります。
序盤ステージはルールが解っていれば簡単なのですが、理解が不十分な段階では難しいステージも多い。
Angry Birds の序盤ステージは「何も考えずにやってても遊べるゲーム」でしたが、こちらは早いうちから相応に考えながらリトライを繰り返さなければなりません。
さらにこのゲーム、パズル的な考え方だけでなく、どちらかと言うとヒラメキや工夫と言った類の考え方が必要になるので、それはそれで素晴らしい特徴ではありますが、この点でも人を選びます。
得手不得手が分かれそうで、苦手な人はトコトン解らないかも。
「ゲームとして」優れているとは思いますが、もうちょっと最初は「誰でもラクにクリアしていけるもの」にすべきだった気がしますね。
あと注意として、今回は★の意味が Angry Birds とは異なっています。
Angry Birds は「クリア評価」を意味していましたが、今作は「条件を達成した数」になっていて、しかも1回のプレイでは絶対に★3を達成できないステージが多くあります。
例えば★3の条件が「クリアする」「箱を取る」「一定時間でクリア」であった場合、箱を取りに行くと絶対に時間に間に合わないステージがあって、そういう場合は箱を取ってクリアした後、改めてリプレイし、短時間でのクリアを行わなければ★3になりません。
場合によってはマシンの設計も変える必要もあります。
これはこれで1つのステージで2度おいしいとも言えますが、Angry Birds と同じ表現なのにシステムが違うのはちょっと紛らわしいですね。
以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。
価格は 85 円。 相変わらずこのメーカーのアプリは格安です。
今後もアップデートが続くようなので、それで 85 円で遊び続けられるのであれば、相変わらずコストパフォーマンスは最高です。
追加課金もありますが、クリアできる設計例を表示する、言わば「回答を見るもの」であり、ゲーム的に必要なものではありません。(ちなみに 170 円で 10 回分)
なお、iPad 版は別アプリになっていて、そちらは 250 円です。
※現在はアプリが無料になった代わりに、強制動画広告が表示されるようになってしまいました。
課金要素や広告要素も増えていて、「無料アプリの作り」になっています。
私的には(もう Angry Birds に飽きていると言うのもありますが)Angry Birds よりこちらの方が好きですね。
「相応に試行錯誤が必要で、それでいてアバウトでおバカ」ってのが好み。
全ステージで★3クリアを目指すとかなり難しいですが、単にクリアして行くだけなら、慣れてしまえばそんなに難しすぎる程ではありません。
人を選ぶため Angry Birds ほどのヒットにはならないんじゃないかなと思いますが、大人でも楽しめ、子供の知育にも良さそうなゲームです。
今の Rovio らしい、模範となるべき(Angry Birds の Rovio なのにみたいなことを言われないような)ゲーム作りをしている印象ですね。
・Bad Piggies (iTunes が起動します)
・Bad Piggies HD (iPad 専用版)