ボードゲームの愛好家の投票で決定される「ドイツゲーム賞」で 2009 年の2位になった、港湾都市の開発と運営をテーマにしたドイツゲームの iPhone / iPad 版が昨年発売されていました。
「Le Havre (The Harbor)」です。
The Harbor というサブタイトルが付いていますが、日本では正式名である「ルアーブル」と呼ばれており、フランスの港湾都市の名前にちなんでいます。
獲得した材料で建物を建設し、勝利点を稼いでいく内容で、以前ご紹介した Caylus(ケイラス)や Stone Age(ストーンエイジ)によく似たシステムです。(共にスマホ版は公開終了)
ルアーブルは 2008 年にドイツゲーム賞で1位になった Agricola(アグリコラ) という作品の流れを汲んでおり、そのアグリコラはケイラスを元にしているため、つまり同系統のゲーム。
ちなみにケイラスは「プエルトリコ」というゲームを元にしていて、それを遊びやすくしたものがストーンエイジ、カードゲームにしたものが San Juan(サンファン)になります。
販売は Ra(ラー)や Medich(メディチ)、Tigris & Euphrates(チグリス&ユーフラテス)などを公開している Codito 。
iOS のボードゲームアプリでは定番のメーカーですね。
見ての通り、画面はゴチャゴチャしています。
ゲームに必要な情報を詰め込んだらこうなった、と言う感じで、この辺の煩雑さが難点でしょうか。
ただ、基本のルールはそれほど難しくはありません。
プレイヤーは最大5人で、各プレイヤーが順番に「材料の獲得」か「施設の利用」を行います。
画面の中央には「コイン」「魚」「木材」「粘土」「鉄」「麦」「牛」の7つの材料が置かれていて、各プレイヤーの番になるごとに、その数が補充されていきます。
材料を取る場合は、好きな物を1種類、全部自分のものにすることが出来ます。
例えば魚が5つあって、魚を取る場合は、その5つを全部ゲットできます。
魚を2つ、粘土3つ、みたいな取り方は出来ません。
誰かが魚を取ったら、場にある魚の数は 0 になるので、しばらくは数が少ない状態となります。
つまり早い者勝ちですね。
※材料の上には7つのマスがあり、各ターンで補充される材料が表示されています。
一通りの補充が終わるとそのラウンドは終了となり、また最初のマスに戻ります。
施設を利用する場合は、その施設の上に丸いマーカーを置きます。
マーカーは各プレイヤーが1つずつしか持っていないので、新しい施設を使う度にマーカーの位置は動くことになります。
誰かがマーカーを置いている施設は利用できないので、つまりこちらも早い者勝ちです。
また、同じ施設は連続で使えません。
施設には、建物の建設を行える「工務店」や、材料を獲得できる「商店」、材料の加工を行える「工場」など、様々なものがあります。
施設は建設候補カードと、全員が使える共用カード、誰かの所有カードに分かれています。
建設候補のカードは3列に分かれていて、各列の一番上のカードが建設できるカードになります。
建設するには、まず工務店(Bulding Firm)や建設会社(Construction Firm)といった施設を利用して、さらに必要となる材料を出さなければなりません。
ただ、各カードには価値が書かれていて、この価値の分のコインがあれば「購入」することも出来ます。
購入はそのターンの行動に含まれず、コインさえあれば連続で買うことも可能です。 当然材料も必要ありません。
誰かに建設されたり、購入されたカードは、プレイヤー所有の施設になります。
また、これとは別に共用の施設も場に出されています。
誰の施設でも(空いていれば)利用することが出来ますが、使うには利用料を支払わなければなりません。
利用料は食料かコインで、他のプレイヤーの施設を使う場合は、利用料はその人に渡されます。
共用の施設はコインで購入して自分のものにすることも出来ますが、共用施設を材料で建設することは出来ません。(すでに建設されているため)
施設の中には、材料を加工品にするものもあります。
例えば、魚や麦は加工施設で「魚の燻製」や「パン」にすることができ、食料としての価値を高めることができます。
粘土は「レンガ」に、鉄は「鋼鉄」に加工することができ、加工材料でないと建設できない建物も存在します。
また、特定の加工には「木材」や「石炭」などを「エネルギー」として消費する必要があります。
※左(Hardware Store)は工業品店。 利用すると木材、レンガ、鉄を1つずつ入手できます。
ただしそれが共用施設か人の施設の場合は、利用料を払わないといけません。
このカードの場合は食料を1つ出す必要があります。 食料のマークは鍋です。
建設する場合は左上に書かれた材料が必要で、購入する場合は価値と同じだけのコインが必要です。
ちなみに価値はそのまま勝利点になります。 このカードを自分の施設にすれば8点ですね。
右(Bakehouse)はパン屋さん。 麦をパンとコインに変えますが、エネルギーが必要です。
エネルギーは木材や石炭などで、別に用意しておく必要があります。
プレイヤーが自分のターンで出来る行動は、材料を1種類手に入れるか、施設を1つ利用するかのみ。
ですから施設の効果が多種多様で、細かいルールも多いのですが、ゲーム自体はサクサク進みます。
プレイヤーの行動が合計7回行われると、1ラウンドが終了します。
そしてラウンド終了時、各プレイヤーは画面右の鍋マークに書かれている数字の分だけ、運営費として食料を出さなければなりません。
食料は「魚」か、加工食品である「燻製」「パン」「牛肉」。
燻製は魚から、パンは麦から、牛肉は牛から作るのですが、逆に言うと麦や牛は加工しないと食べられません。
しかし加工食品の方が価値が高く、魚は食料1ですが、燻製とパンは2、牛肉は3になります。
もし足りない場合はコインで支払うことになります。
もしコインもない場合は・・・ 借用書を貰い、コイン4枚を借金して、それで賄うことになります。
借用書は返済にコイン5枚が必要で、さらに借用書を持っている場合は各ラウンドに1回、コイン1枚の利子を払わなければなりません。 とんでもない高利貸し。
ただ、ゲーム終了前に返済してしまえばペナルティーはなく、借金を踏み倒す「裁判所」という施設もあるので、足りなくなった時点で大きなペナルティーを受けたストーンエイジほどシビアではありません。
※ラウンド終了後の食料支払い。 必要な食料は徐々に増えていきます。
魚は取ってすぐ食べられるので便利ですが、ゲーム後半は加工食品を持っていないと厳しくなります。
ただ、建設は早い者勝ちなので、状況によっては借金してでも施設の建設を優先した方が良いこともあります。
借用書のペナルティは7点(コイン7枚分)ですが、それを上回る利益を得られるなら借金まみれでも勝てるので、ご利用は計画的に。
もう1つ、「船の建造」というルールがあります。
船は造船所(Wharf)という施設を利用して、必要な材料とエネルギーを支払うことで建造できます。
船はラウンドごとに必要な食料を軽減する効果があり、木造船なら1、鉄の船なら2の食料をまかないます。
さらに上位の大型船や客船もあるのですが、入手し辛い鋼鉄が必要なので、なかなか作れません。
ただ、上位の船は勝利点が多く、さらに船があると海運会社の施設を使うことで、物資の売却が出来ます。
これはゲームのラストに得点を稼ぐのに有用で、船を利用した逆転を狙うこともできます。
ゲームは 20 ラウンドで終了し、最後に建物の勝利点、船の勝利点、残ったお金が足され、もっとも得点の高かった人が勝者となります。
※船は施設建設に必死になっていると忘れがちですが、ゲーム後半での影響は大きいです。
船や一部の施設は価値(勝利点)と購入費が別になっており、お金で買うと割高になってしまいます。
エネルギーは木材以外、施設から調達しなければなりません。
ゲームの難点は、とにかく細かいルールが多いこと。
施設は単に材料の収穫や加工が出来るだけでなく、使える材料の個数が決められていたり、エネルギーのルールがあったり、特定の施設があると収穫量が増えたりするため、細かい要素が多すぎて複雑な印象があります。
特定の日(Interest と書いてある日)に借用書の利子を払うとか、ラウンド終了時に建設可能な施設の1つが共用施設になるとか、造船所はレンガで強化しないと上位の船を造れないとか、船から補充できる食料はプレイヤーの数に応じて変わるとか、施設の購入/売却によってその上に置かれたマーカーが取り除かれるとか、ゲーム進行上の細かいルールもたくさんあります。
オリジナル版はゲーム開始前の準備にも、人数に応じた細かいルールが決められていたようです。
このアプリはそれらを全てコンピューターがやってくれるので、まだ手軽に遊べるのですが、実物のルールは「わざとプレイし辛くしてるのかコレ」と思うぐらいの細かさです。
ケイラスも複雑なゲームだと思いましたが、ルアーブルはその比ではありませんね。
他にも「ショートゲーム」と「通常ゲーム」があって、通常ゲームだと 36 の特別施設が存在し、その中から6つが選ばれてゲームに登場します。
よって毎回、見たことない建物が出てくる事になります。
(ただ、ショートゲームは最初に所持している材料が多く、先に順番が回ってくる人が有利になる難点があるため、お勧めできません。 ここで述べているルールは通常ルールです)
ここまで細かいルールが設定されているのは、ゲームバランスを練り込んだ結果でしょう。
そのためボードゲーム愛好家の支持が高く、その投票で決まる「ドイツゲーム賞」で2位になったのは、確かに頷けます。
ただ、専門家によって選出される「ドイツ年間ゲーム大賞」では、ノミネート作にさえなっていません。
ドイツ年間ゲーム大賞は遊びやすさなども考慮されるため、煩雑すぎるこの作品は評価されなかったのでしょう。
この両極端な評価が、このゲームの内容をそのまま物語っていると言えます。
まさにボードゲームマニアのためのゲームと言った感じですね。
※食料&材料&加工材料の一覧。 上半分が基本材料、下半分は加工材料です。
もちろん全て使う必要はなく、革は売る以外の使い道はほとんどないし、コークスを使うほどの高エネルギーは普通いりません。
ラウンドごとに、麦を持っていると麦が1つ増え、牛が2以上あると牛が1つ増えます。
価格は 450 円。 iPhone / iPod touch と iPad の双方に対応しています。
ドイツゲームのアプリとしては標準的な価格。
慣れてしまえば十分に楽しめるゲームですし、基本部分は「材料を取るか施設を使う」だけなので、細かいルールが多い割にはプレイしやすいゲームです。
ただ、ストーンエイジの解りやすさ、サンファンの遊びやすさ、ケイラスのスマートさに比べると、全体的に1ランク落ちるかなぁという印象もありますね。アプリのクオリティ的にも・・・。
そのぶん奥深いゲーム性はあるようですが・・・
いずれにせよ、ボードゲーム好きなら押さえておくべきアプリだと思います。
・Le Havre (The Harbor) (iTunes が起動します)
【 ちょこっと攻略 】
基本施設の効果一覧を以下に掲載しておくので、プレイされる方は参考にして下さい。
=生産施設=
・Abattoir(食肉処理場):牛を肉と毛皮1/2にする
・Bakehouse(パン屋):麦をパンとコイン1/2にする。材料1あたりエネルギー1/2が必要
・Charcoal kiln(木炭工場):木材を木炭にする。利用料がない
・Fishery(水産会社):魚を3入手+釣り人マーク1あたり魚1入手。利用料がない
・Joinery(木工所):木材1をコイン5か、木材2をコイン6か、木材3をコイン7に変える
・Smokehouse(燻製所):魚を燻製とコイン1/2にする。入手数は6まで
・Tannery(製革工場):革をなめし革とコイン1にする。入手数は4まで。利用料がない
・Bulding Firm 4(工務店):使用したプレイヤーは建物を1つ建てられる。利用料がない
・Bulding Firm 6(工務店):使用したプレイヤーは建物を1つ建てられる
・Construction Firm(建設会社):使用したプレイヤーは建物を2つ建てられる
=公共施設=
・Arts Centre(文化センター):コイン4枚入手
・Church(教会):パン5つと魚2がパン10と魚5になる
・Local Court(裁判所):借用書をタダで返却できる。借用書1枚なら1枚返却、2枚なら1枚返却+コイン2枚、3枚以上なら2枚返却
・Town Hall(タウンホール):ゲーム終了時、公共施設1つ4点、生産施設1つ2点入手。所有者のみ
=商業施設=
・Bank(銀行):ゲーム終了時、工業施設1つ3点、商業施設1つ2点入手。所有者のみ
・Business Office(商館):4つの材料を鋼鉄1か、1つの材料を木炭かなめし革かレンガ1にする。入手数は1まで
・Grocery Market(食料品店):牛、魚、麦、肉、燻製、パンの6つを1ずつ入手
・Hardware Store(工業品店):木材、レンガ、鉄の3つを1ずつ入手
・Shipping Line(海運会社):エネルギー3で所有している船を使い、所持している物資を売却する
・Storehouse(倉庫):ゲーム終了時、残った物資1つあたり1/2点入手。所有者のみ
=工業施設=
・Brickworks(レンガ工場):粘土をレンガとコイン1/2にする。材料1あたりエネルギー1/2が必要
・Cokery(コークス工場):石炭をコークスとコイン1にする
・Colliery(炭鉱):石炭を3入手+ハンマーマーク1あたり石炭1入手
・Dock(ドック):ゲーム終了時、船舶1つあたり4点入手。所有者のみ
・Ironworks(鉄工所):鉄を3入手+エネルギー6を鉄1に変換
・Sawmill(製材所):使用したプレイヤーは必要な木材-1で建物を1つ建てられる。利用料がない
・Steel Mill(製鉄所):鉄を鋼鉄にする。材料1あたりエネルギー5が必要
・Wharf(造船所):使用した人は船を1つ建造できる。最初に木造以外の船を造る人はレンガを1つ使って造船所を近代化しなければならない
=その他=
・Black Market(闇市):コイン、魚、木材、粘土、鉄、麦、牛のどれか2つを1ずつ入手
・Bridge over the seine(セーヌの橋):原材料3つをコイン1、加工材料1つをコイン1にする
・Clay Mound(採土場):粘土を3入手+ハンマーマーク1あたり粘土1入手
・Marketplace(市場):原材料(魚、木材、粘土、鉄、麦、牛、革、石炭)のどれか2種類を1つずつ入手。所持している生産施設1あたり入手量+1。 また、次に出現する特別施設を選べる
「Le Havre (The Harbor)」です。
The Harbor というサブタイトルが付いていますが、日本では正式名である「ルアーブル」と呼ばれており、フランスの港湾都市の名前にちなんでいます。
獲得した材料で建物を建設し、勝利点を稼いでいく内容で、以前ご紹介した Caylus(ケイラス)や Stone Age(ストーンエイジ)によく似たシステムです。(共にスマホ版は公開終了)
ルアーブルは 2008 年にドイツゲーム賞で1位になった Agricola(アグリコラ) という作品の流れを汲んでおり、そのアグリコラはケイラスを元にしているため、つまり同系統のゲーム。
ちなみにケイラスは「プエルトリコ」というゲームを元にしていて、それを遊びやすくしたものがストーンエイジ、カードゲームにしたものが San Juan(サンファン)になります。
販売は Ra(ラー)や Medich(メディチ)、Tigris & Euphrates(チグリス&ユーフラテス)などを公開している Codito 。
iOS のボードゲームアプリでは定番のメーカーですね。
見ての通り、画面はゴチャゴチャしています。
ゲームに必要な情報を詰め込んだらこうなった、と言う感じで、この辺の煩雑さが難点でしょうか。
ただ、基本のルールはそれほど難しくはありません。
プレイヤーは最大5人で、各プレイヤーが順番に「材料の獲得」か「施設の利用」を行います。
画面の中央には「コイン」「魚」「木材」「粘土」「鉄」「麦」「牛」の7つの材料が置かれていて、各プレイヤーの番になるごとに、その数が補充されていきます。
材料を取る場合は、好きな物を1種類、全部自分のものにすることが出来ます。
例えば魚が5つあって、魚を取る場合は、その5つを全部ゲットできます。
魚を2つ、粘土3つ、みたいな取り方は出来ません。
誰かが魚を取ったら、場にある魚の数は 0 になるので、しばらくは数が少ない状態となります。
つまり早い者勝ちですね。
※材料の上には7つのマスがあり、各ターンで補充される材料が表示されています。
一通りの補充が終わるとそのラウンドは終了となり、また最初のマスに戻ります。
施設を利用する場合は、その施設の上に丸いマーカーを置きます。
マーカーは各プレイヤーが1つずつしか持っていないので、新しい施設を使う度にマーカーの位置は動くことになります。
誰かがマーカーを置いている施設は利用できないので、つまりこちらも早い者勝ちです。
また、同じ施設は連続で使えません。
施設には、建物の建設を行える「工務店」や、材料を獲得できる「商店」、材料の加工を行える「工場」など、様々なものがあります。
施設は建設候補カードと、全員が使える共用カード、誰かの所有カードに分かれています。
建設候補のカードは3列に分かれていて、各列の一番上のカードが建設できるカードになります。
建設するには、まず工務店(Bulding Firm)や建設会社(Construction Firm)といった施設を利用して、さらに必要となる材料を出さなければなりません。
ただ、各カードには価値が書かれていて、この価値の分のコインがあれば「購入」することも出来ます。
購入はそのターンの行動に含まれず、コインさえあれば連続で買うことも可能です。 当然材料も必要ありません。
誰かに建設されたり、購入されたカードは、プレイヤー所有の施設になります。
また、これとは別に共用の施設も場に出されています。
誰の施設でも(空いていれば)利用することが出来ますが、使うには利用料を支払わなければなりません。
利用料は食料かコインで、他のプレイヤーの施設を使う場合は、利用料はその人に渡されます。
共用の施設はコインで購入して自分のものにすることも出来ますが、共用施設を材料で建設することは出来ません。(すでに建設されているため)
施設の中には、材料を加工品にするものもあります。
例えば、魚や麦は加工施設で「魚の燻製」や「パン」にすることができ、食料としての価値を高めることができます。
粘土は「レンガ」に、鉄は「鋼鉄」に加工することができ、加工材料でないと建設できない建物も存在します。
また、特定の加工には「木材」や「石炭」などを「エネルギー」として消費する必要があります。
※左(Hardware Store)は工業品店。 利用すると木材、レンガ、鉄を1つずつ入手できます。
ただしそれが共用施設か人の施設の場合は、利用料を払わないといけません。
このカードの場合は食料を1つ出す必要があります。 食料のマークは鍋です。
建設する場合は左上に書かれた材料が必要で、購入する場合は価値と同じだけのコインが必要です。
ちなみに価値はそのまま勝利点になります。 このカードを自分の施設にすれば8点ですね。
右(Bakehouse)はパン屋さん。 麦をパンとコインに変えますが、エネルギーが必要です。
エネルギーは木材や石炭などで、別に用意しておく必要があります。
プレイヤーが自分のターンで出来る行動は、材料を1種類手に入れるか、施設を1つ利用するかのみ。
ですから施設の効果が多種多様で、細かいルールも多いのですが、ゲーム自体はサクサク進みます。
プレイヤーの行動が合計7回行われると、1ラウンドが終了します。
そしてラウンド終了時、各プレイヤーは画面右の鍋マークに書かれている数字の分だけ、運営費として食料を出さなければなりません。
食料は「魚」か、加工食品である「燻製」「パン」「牛肉」。
燻製は魚から、パンは麦から、牛肉は牛から作るのですが、逆に言うと麦や牛は加工しないと食べられません。
しかし加工食品の方が価値が高く、魚は食料1ですが、燻製とパンは2、牛肉は3になります。
もし足りない場合はコインで支払うことになります。
もしコインもない場合は・・・ 借用書を貰い、コイン4枚を借金して、それで賄うことになります。
借用書は返済にコイン5枚が必要で、さらに借用書を持っている場合は各ラウンドに1回、コイン1枚の利子を払わなければなりません。 とんでもない高利貸し。
ただ、ゲーム終了前に返済してしまえばペナルティーはなく、借金を踏み倒す「裁判所」という施設もあるので、足りなくなった時点で大きなペナルティーを受けたストーンエイジほどシビアではありません。
※ラウンド終了後の食料支払い。 必要な食料は徐々に増えていきます。
魚は取ってすぐ食べられるので便利ですが、ゲーム後半は加工食品を持っていないと厳しくなります。
ただ、建設は早い者勝ちなので、状況によっては借金してでも施設の建設を優先した方が良いこともあります。
借用書のペナルティは7点(コイン7枚分)ですが、それを上回る利益を得られるなら借金まみれでも勝てるので、ご利用は計画的に。
もう1つ、「船の建造」というルールがあります。
船は造船所(Wharf)という施設を利用して、必要な材料とエネルギーを支払うことで建造できます。
船はラウンドごとに必要な食料を軽減する効果があり、木造船なら1、鉄の船なら2の食料をまかないます。
さらに上位の大型船や客船もあるのですが、入手し辛い鋼鉄が必要なので、なかなか作れません。
ただ、上位の船は勝利点が多く、さらに船があると海運会社の施設を使うことで、物資の売却が出来ます。
これはゲームのラストに得点を稼ぐのに有用で、船を利用した逆転を狙うこともできます。
ゲームは 20 ラウンドで終了し、最後に建物の勝利点、船の勝利点、残ったお金が足され、もっとも得点の高かった人が勝者となります。
※船は施設建設に必死になっていると忘れがちですが、ゲーム後半での影響は大きいです。
船や一部の施設は価値(勝利点)と購入費が別になっており、お金で買うと割高になってしまいます。
エネルギーは木材以外、施設から調達しなければなりません。
ゲームの難点は、とにかく細かいルールが多いこと。
施設は単に材料の収穫や加工が出来るだけでなく、使える材料の個数が決められていたり、エネルギーのルールがあったり、特定の施設があると収穫量が増えたりするため、細かい要素が多すぎて複雑な印象があります。
特定の日(Interest と書いてある日)に借用書の利子を払うとか、ラウンド終了時に建設可能な施設の1つが共用施設になるとか、造船所はレンガで強化しないと上位の船を造れないとか、船から補充できる食料はプレイヤーの数に応じて変わるとか、施設の購入/売却によってその上に置かれたマーカーが取り除かれるとか、ゲーム進行上の細かいルールもたくさんあります。
オリジナル版はゲーム開始前の準備にも、人数に応じた細かいルールが決められていたようです。
このアプリはそれらを全てコンピューターがやってくれるので、まだ手軽に遊べるのですが、実物のルールは「わざとプレイし辛くしてるのかコレ」と思うぐらいの細かさです。
ケイラスも複雑なゲームだと思いましたが、ルアーブルはその比ではありませんね。
他にも「ショートゲーム」と「通常ゲーム」があって、通常ゲームだと 36 の特別施設が存在し、その中から6つが選ばれてゲームに登場します。
よって毎回、見たことない建物が出てくる事になります。
(ただ、ショートゲームは最初に所持している材料が多く、先に順番が回ってくる人が有利になる難点があるため、お勧めできません。 ここで述べているルールは通常ルールです)
ここまで細かいルールが設定されているのは、ゲームバランスを練り込んだ結果でしょう。
そのためボードゲーム愛好家の支持が高く、その投票で決まる「ドイツゲーム賞」で2位になったのは、確かに頷けます。
ただ、専門家によって選出される「ドイツ年間ゲーム大賞」では、ノミネート作にさえなっていません。
ドイツ年間ゲーム大賞は遊びやすさなども考慮されるため、煩雑すぎるこの作品は評価されなかったのでしょう。
この両極端な評価が、このゲームの内容をそのまま物語っていると言えます。
まさにボードゲームマニアのためのゲームと言った感じですね。
※食料&材料&加工材料の一覧。 上半分が基本材料、下半分は加工材料です。
もちろん全て使う必要はなく、革は売る以外の使い道はほとんどないし、コークスを使うほどの高エネルギーは普通いりません。
ラウンドごとに、麦を持っていると麦が1つ増え、牛が2以上あると牛が1つ増えます。
価格は 450 円。 iPhone / iPod touch と iPad の双方に対応しています。
ドイツゲームのアプリとしては標準的な価格。
慣れてしまえば十分に楽しめるゲームですし、基本部分は「材料を取るか施設を使う」だけなので、細かいルールが多い割にはプレイしやすいゲームです。
ただ、ストーンエイジの解りやすさ、サンファンの遊びやすさ、ケイラスのスマートさに比べると、全体的に1ランク落ちるかなぁという印象もありますね。アプリのクオリティ的にも・・・。
そのぶん奥深いゲーム性はあるようですが・・・
いずれにせよ、ボードゲーム好きなら押さえておくべきアプリだと思います。
・Le Havre (The Harbor) (iTunes が起動します)
【 ちょこっと攻略 】
基本施設の効果一覧を以下に掲載しておくので、プレイされる方は参考にして下さい。
=生産施設=
・Abattoir(食肉処理場):牛を肉と毛皮1/2にする
・Bakehouse(パン屋):麦をパンとコイン1/2にする。材料1あたりエネルギー1/2が必要
・Charcoal kiln(木炭工場):木材を木炭にする。利用料がない
・Fishery(水産会社):魚を3入手+釣り人マーク1あたり魚1入手。利用料がない
・Joinery(木工所):木材1をコイン5か、木材2をコイン6か、木材3をコイン7に変える
・Smokehouse(燻製所):魚を燻製とコイン1/2にする。入手数は6まで
・Tannery(製革工場):革をなめし革とコイン1にする。入手数は4まで。利用料がない
・Bulding Firm 4(工務店):使用したプレイヤーは建物を1つ建てられる。利用料がない
・Bulding Firm 6(工務店):使用したプレイヤーは建物を1つ建てられる
・Construction Firm(建設会社):使用したプレイヤーは建物を2つ建てられる
=公共施設=
・Arts Centre(文化センター):コイン4枚入手
・Church(教会):パン5つと魚2がパン10と魚5になる
・Local Court(裁判所):借用書をタダで返却できる。借用書1枚なら1枚返却、2枚なら1枚返却+コイン2枚、3枚以上なら2枚返却
・Town Hall(タウンホール):ゲーム終了時、公共施設1つ4点、生産施設1つ2点入手。所有者のみ
=商業施設=
・Bank(銀行):ゲーム終了時、工業施設1つ3点、商業施設1つ2点入手。所有者のみ
・Business Office(商館):4つの材料を鋼鉄1か、1つの材料を木炭かなめし革かレンガ1にする。入手数は1まで
・Grocery Market(食料品店):牛、魚、麦、肉、燻製、パンの6つを1ずつ入手
・Hardware Store(工業品店):木材、レンガ、鉄の3つを1ずつ入手
・Shipping Line(海運会社):エネルギー3で所有している船を使い、所持している物資を売却する
・Storehouse(倉庫):ゲーム終了時、残った物資1つあたり1/2点入手。所有者のみ
=工業施設=
・Brickworks(レンガ工場):粘土をレンガとコイン1/2にする。材料1あたりエネルギー1/2が必要
・Cokery(コークス工場):石炭をコークスとコイン1にする
・Colliery(炭鉱):石炭を3入手+ハンマーマーク1あたり石炭1入手
・Dock(ドック):ゲーム終了時、船舶1つあたり4点入手。所有者のみ
・Ironworks(鉄工所):鉄を3入手+エネルギー6を鉄1に変換
・Sawmill(製材所):使用したプレイヤーは必要な木材-1で建物を1つ建てられる。利用料がない
・Steel Mill(製鉄所):鉄を鋼鉄にする。材料1あたりエネルギー5が必要
・Wharf(造船所):使用した人は船を1つ建造できる。最初に木造以外の船を造る人はレンガを1つ使って造船所を近代化しなければならない
=その他=
・Black Market(闇市):コイン、魚、木材、粘土、鉄、麦、牛のどれか2つを1ずつ入手
・Bridge over the seine(セーヌの橋):原材料3つをコイン1、加工材料1つをコイン1にする
・Clay Mound(採土場):粘土を3入手+ハンマーマーク1あたり粘土1入手
・Marketplace(市場):原材料(魚、木材、粘土、鉄、麦、牛、革、石炭)のどれか2種類を1つずつ入手。所持している生産施設1あたり入手量+1。 また、次に出現する特別施設を選べる