ゲームセンターの対戦格闘ゲーム、及び SNK のゲーム機 NEO GEO が絶頂期だった 1993 年。
「斬り合い」をテーマにした、和風のダークファンタジーな世界観を持つ、異色の対戦格闘ゲームが登場しました。
「サムライスピリッツ」(SAMURAI SPIRITS)です。 通称サムスピ。 海外名は SAMURAI SHODOWN。
そのシリーズ2作目、1994 年に公開された続編が iOS に移植されました。
「真SAMURAI SPIRITS」(SAMURAI SHODOWN II)です。
開発を担当したのはレトロゲームの移植を専門に行い、昨今は METAL SLUG シリーズや雷電シリーズの移植で注目されていたフランスのメーカー DotEmu。
このサムライスピリッツは海外でも人気で、特にフランスでの人気が高かったので、ネオジオからの移植を行っている DotEmu がこのゲームを扱うのは必然だった言えるでしょう。
販売は SNK の知的財産権を引き継いでいる SNK プレイモアです。
ただ先に言っておきますが、タッチパネルでの操作性は最悪とまでは言わないけど、良いとも言えません。
ストIV や KOF クラスの操作性は期待しないで下さい。
レバーと6つのボタンで戦う対戦格闘ゲームですが、ネオジオはボタンが4つしかなかったので、強攻撃はボタン同時押しになっています。
それではやり辛いので、iOS 版は「同時押しボタン」が別に用意されていますが、ゲーム開始時の設定で「ボタン数」を 6 にしないと同時押しボタンが出てこないので注意して下さい。
他に iPhone 用の格闘ゲームでおなじみの、必殺技が簡単に出せる SP ボタンも用意されています。
サムライスピリッツは操作は他の格闘ゲームと似ていますが、プレイスタイルはかなり異なります。
まず、「強斬り」がすごく強いです。
攻撃は弱・中・強の「斬り」と「蹴り」があるのですが、強斬りの破壊力は通常攻撃でありながら、キャラによっては1発で体力を 1/3 近く奪います。
ジャンプ強斬り→立ち強斬りが連続で決まると、それだけで体力が半分以上減ったりします。
一方、「蹴り」はかなり弱く、判定が強い技もありますが、普段はあまり使いません。
キャラによっては無視してもいいぐらいで、よって6ボタンのゲームではありますが、実際に使うボタンは少なめだったりします。
また、必殺技が他のゲームより弱いのも特徴です。
便利な技もありますが、スキの大きな技が多く、大斬り一発でバッサリやられるこのゲームでは、不用意に必殺技を出して空振るのは致命的です。
攻撃力も控えめで、スト2の波動拳のように連発するものではありません。
よって戦い方は、弱や中の攻撃で相手を牽制しつつ、いかに強斬りを入れるかという、一撃勝負な形になります。
このシステムのため逆転が起こることも多く、斬り合いらしい緊張感のある展開が続きますね。
また強斬り重視で連続攻撃はそれほど重要ではないので、難しい連続技を習得しなくても楽しめるのも良い点です。
もう1つの特徴的なシステムは「怒ゲージ」。
攻撃を受けるとこれが蓄積されていき、最大になるとしばらく攻撃力がアップします。
よくマンガとかで怒ゲージの表現が出て来ますが、それはこのゲームが元ネタですね。
※覇王丸の怒りゲージ MAX 大斬りが炸裂! カウンターならこれ一発で半分ぐらい減ります。
このゲームは大斬りが必殺技で、必殺技は特殊技ですね。
怒り MAX 時は超必殺技に相当する「武器破壊技」を出すこともでき、iOS 版は体力ゲージタップで簡単に繰り出すことが出来ます。
ただし出すと怒り MAX はそこで終わります。
※ボタンは「キー設定」で自由に配置することが可能。 大きさも調整できます。
上の画面は斬りと蹴りをスト2風に並べていますが、蹴りはあまり使いません。
ゲーム中はボタンがほとんど見えないぐらい透明になるのですが、これはちょっと解り辛いので、出来ればボタンの透明度は設定させて欲しかったですね・・・
格闘ゲームには珍しく、ストーリーや世界観が重視されていることも、このゲームの特徴でしょう。
オープニングやステージの合間には物語の流れを語るデモが挿入されます。
背景も真っ赤な海に鳥居が並ぶ海岸や、地蔵が立つ荒れ果てた古戦場など、薄暗くて退廃的な和風の景色が多く、戦闘前に眼の赤いカラスが飛び交うなど、凝った演出もあります。
この辺の古い黒澤映画的な雰囲気も、海外でウケた理由のようですね。
※枯れすすきの荒野、血のように赤い空、山の上の満月。
花札の「ぼうず」を模していると同時に、他のゲームではあまり見られない和風ダークな雰囲気が漂います。
さりげなく月に NEO GEO とか書いてるけど。
※ステージクリア後には遺体搬送のシーンが。 明確な死亡表現がある格闘ゲームは珍しいですね。
初代サムスピにあった体が真っ二つになる残虐演出は CPU 戦では起こらず、対戦時のみ発生します。
ただ、暗いシーンばかりじゃなく、コミカルな演出やキャラも多いです。 特に審判役の黒子は色々ユニーク。
後ろを走っている飛脚は体力回復の食べ物や爆弾を落とします。
戦闘中にじっとしていると、待っている側に爆弾が、攻めている側に食べ物が落とされ、「待ち戦法」を防止する役割があります。
ゲーム自体は、オリジナルの真サムスピがほぼそのまま移植されています。
よってオリジナルのファンの方なら十分楽しめる出来栄えです。
って言うかぶっちゃけ、ほぼエミュレーターでしょう。
ただ、問題は操作性。
悪いという程ではありませんが、やはりタッチパネルではやり辛いのは否めず、操作ミスが起こりがちで、反応もどうしても鈍くなります。
カプコンの iOS 版 ストIV Volt はプレイヤーの操作の予測や先読みなども行って調整していたそうですが、さすがにそのレベルに慣れてしまうと、このゲームは操作しにくく感じますね。
元々 DotEmu のゲームは操作に難があるものが多く、メタルスラッグの時は回を重ねるごとに良くなっていったのですが、まだ格ゲーに手を出すレベルではなかったかな、という気もしてしまいます。
後はやっぱり、ストIV Volt や KOF 2012 などに比べると・・・ 古くさいのは否めません。
レトロゲームの移植ですから当たり前の話なのですが、基本的には「経験者向け」のアプリですね。
以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。
価格は 800 円。 iOS アプリとしては高めですが、ファン向けの価格でしょう。
(昨今は 400 円に値下げされているようです)
メタルスラッグが 350 円だった事を考えても高く感じますが、追加課金のない買い切りゲームですし、ファンなら出せない額ではない、といったところでしょうか。
通信対戦は Bluetooth のみで、オンライン対戦はありません。
上記のトレーラーにも出て来ますが、このゲームは Android 版も発売されていて、そちらは物理コントローラーに対応しています。
iPhone も iOS7 で物理コントローラーが登場する予定なので、それが出れば操作性の問題はなくなるはず。
それを見越して買っておくのも良いかもしれません。
真サムスピは、サムライスピリッツが一番サムスピらしかった頃のゲームです。
私的にもゲーセンでかなりやったゲームなので、移植されたことは嬉しいですね。
対戦できなくても、各キャラクターごとに異なるエンディングが用意されており、コンティニューは無限ですが COM 戦の難易度は高いため、全キャラで攻略していく楽しみがあります。
格闘ゲーム好きの方にはお勧めできますが、でもセール待ちしたいところかなぁ・・・
・真SAMURAI SPIRITS (iTunes が起動します)
2013/06
トレーディングカードゲーム(TCG)の大定番にして、今なお世界的人気を維持している「マジック・ザ・ギャザリング」(Magic The Gathering)、通称 MTG 。
昨年、その公式ゲームである「マジック2013」が PC、PS3、XBOX360、そして iPad で同時公開されたのですが、その1年後にあたる先日、今年度バージョンが公開されました。
「マジック2014」です。
今回も iOS 版は iPad 専用となっていて、iPhone / iPod touch ではプレイできません。
最近 iPad 専用や推奨のアプリの紹介が多く、申し訳ないのですが、なにせマジック・ザ・ギャザリングの新作ですから、今回は優先して取り上げておきたいと思います。
なお、今作からは Android 版も公開されています。
基本的な部分は前作「マジック2013」とほとんど変わりません。
インターフェイスも同じで、背景が黒基調から青基調に変わりましたが、変化はそのぐらいです。
MTG のルールは簡単とは言えませんが、今作にもヘルプメッセージや細かい補助解説、チュートリアルなどが用意されています。
今回のチュートリアルは5つのステージに分かれていて、基本解説、呪文(ソーサリー)解説、強化(エンチャント)解説、割り込み呪文(インスタント)解説、起動型能力(アップキープ)解説という形で、かなり丁寧に段階を踏んで教えてくれます。
前作は解りにくかったので、今回は初心者向けの解説に力を入れているのが見て取れますね。
ただ、それでも相変わらず専門用語多発なのに基本用語解説がなく、いきなりチュートリアルで「カードをプレイしましょう」「このカードはパーマネントに使用します」とか表示され、「は? プレイ? パーマネント?」って感じになるのは相変わらずですが。
良くでてくる専門用語は以下の通りなので、プレイされる方は参考にして下さい。
・ドロー : カードを引くこと
・プレイ : カードを使うこと、もしくは場に出すこと
・アンタップ : 場に出している、まだ未行動や未使用のカード。縦向き
・タップ : 行動済み / 使用済みのカードで横向き。 ターン開始時にアンタップに戻る
・クリーチャー : モンスターや兵士などのカード
・トークン : カードの効果により出現するカード。主にクリーチャー
・アーティファクト : マナの色に関わらず出せるカード。 装備などがある
・エンチャント : クリーチャー強化の魔法。 継続して効果がある
・ソーサリー : 使い捨ての魔法カード
・インスタント : 相手の行動に「割り込んで」使える魔法
・パーマネント : 場に出している使い捨てでないカード全部
・コントロール : 自分が場に出している(操れる)カード
・パワー : クリーチャーの攻撃力
・タフネス : クリーチャーの体力
・ライフ : オーナー(プレイヤー)の体力
・カウンター : カードの上に置くチップ。チップ1つでパワーとタフネス+1
・シンボル : カードに書いてある消費マナを表すマーク
・ライブラリー : 山札。 ゲーム中のデッキの呼び名
・アップキープ : 自分のターン開始時
・墓地 : カード捨て場
・軽減する : 実際には「無効化」する
ゲームの基本は、まず「土地カード」を場に出して、カードの使用に必要な「マナ」を増やしていきます。
最大マナは出している土地カードと同じで、カードを使うにはマナを消費する必要がありますが、土地は通常1ターンに1枚しか出せません。
使ったマナは自分のターンの最初に最大まで回復します。
場に出したクリーチャー(兵士やモンスター)は、次のターンから攻撃を行えます。
攻撃がされた側はその攻撃を「ブロック」するクリーチャーを選び、戦闘になると互いに攻撃力(パワー)の分だけ相手にダメージを与え、体力(タフネス)がなくなったカードは捨てられます。
このゲームでは「先制攻撃」のスキルがない限り、攻撃は双方が同時に行うので、相打ちになるケースもあります。
戦闘で死ななかったクリーチャーの体力はターン終了後に全快します。
ブロックしないか、ブロック出来るクリーチャーがいない場合、その攻撃はプレイヤーが受けます。
プレイヤーのライフが先になくなった方が敗北ですね。
ターンは「アップキープ(ターン開始前の処理) → メインフェイズ → 戦闘フェイズ → もう一度メインフェイズ → 終了」の順番で進行します。
※攻撃は実行可能なカードをタップすることで行えます。 出せるカードや使えるカードはキラキラと輝いており、視認性は良いですね。
ブロック(防御)は1体に対して複数のクリーチャーで実行可能で、どれで誰を迎撃するかはブロック側が選択します。
相変わらず専門用語が多く、初心者の方だと最初は「解説に使われている用語が解らない」ということになるでしょうから、その点は TCG マニアではない私としてはマイナス点です。
ゲームのメインモードは「キャンペーン」で、今回はステージごとにストーリーが存在します。
文字で表示されるだけですが、前作は単に出てくる敵と戦うだけだったので、それに比べると「キャンペーンらしく」なりましたね。
キャンペーンの各ステージは「エンカウンター」と呼ばれるゲームになっていて、敵のデッキ構成とカードを引く順番が固定されています。
ストーリーに合わせ、アンデッドと戦うときはアンデッドのデッキを使ってきて、町で民衆に襲われた時は民衆カードばかりのデッキが使用されます。
かなり特徴的な戦法を使ってくるので、それに対応した戦い方が必要になりますね。
勝利するたびに使用したデッキのカードが1枚手に入り、さらにストーリーが進むと新しいデッキがアンロックされていきます。
課金でカードやデッキをアンロックすることも出来ますが、キャンペーンを進行させれば追加課金しなくても使用できるようになりますし、その方がゲーム的にも面白いでしょう。
他に今作には、その場で引いたカードで即席デッキを作って戦う「シールドデッキ戦」、特定の状況での勝利を目指す「チャレンジ」、最大4人で戦えるカスタムデュエルの「無差別戦」、2 vs 2 のチーム戦となるカスタムデュエルの「双頭巨人戦」があります。
ただ「マジック2013」にあった、場の全体に影響する「次元カード」とサイコロ(次元ダイス)を使う「プレインチェイス戦」はなくなりました。
でもプレインチェイス戦は次元カードの処理と各プレイヤーが何度も振るサイコロのおかげで、それでなくても遅いゲームのテンポがますます悪くなり、おまけに運に左右されやすい内容だったので、無理になくても良いかなという感じです。
やっぱり不評だったんでしょうね。
※キャンペーンのステージ開始時に表示されるストーリー画面。
やっぱりこういうのがあると無いとでは、ゲームの面白さがだいぶ違ってきますね。
※こちらは 2 vs 2 のチーム戦となる「双頭巨人戦」。 ライフはチームで共有します。
攻撃できるのは正面の相手のみですが、呪文でのサポートや相手の攻撃のブロックなどはパートナー側に対しても行えます。
AI の味方が援護してくれることもあって、なかなか楽しめます。
※今回のウリと言える「シールドデッキ」は、開始前に 14 枚のカードが入った6つのカードパックを引いて、その中から 40 枚以上でデッキを組んでゲームスタートします。
土地カードは別に用意されていて、自由に加えることが可能。
その性質上、各カードの内容を熟知しておく必要があるので、上級者向けのモードです。
アプリの難点は、ほぼ前作のインターフェイスを踏襲しているので、前回と共通しています。
全体的に重いことと、ゲームのテンポが悪いこと。
グラフィックは非常に綺麗で、カードの拡大・縮小も滑らか、カード内容も見やすく表示され、演出も綺麗です。
ただ、これだけの演出や表示のためか負荷が高いようで、iPad 3 でも場のカードが増えてくると少し重くなってきます。
iPad 3 以下の機種だとちょっと心配ですね。
そして最大の問題はゲームのテンポが悪いことですが、これはもう MTG のルール上、仕方ないかもしれません。
このゲームには相手の行動に割り込んで使える「インスタント」というカードがあるのですが、そのため行動するたびにインスタントの受付時間が入ります。
カードを出したり、攻撃したり、ブロックしたりする度に、この待ち時間が入るので、さすがに他のカードゲームと比べて進行が遅いのは否めません。
しかし「インスタントがない時は待ち時間カット」にするとインスタントの有無を察知されてしまうし、だからといってこれ以上受付時間を短くしたらインスタント使用時に困るので、どうしようもない感じ。
私的には、AI に待ち時間はいらないのだから、1人プレイ時でプレイヤーにインスタントがない時は、待ち時間を全部カットして、麻雀アプリみたいに「泣きの ON/OFF」みたいなものも付けて欲しいのですが、すごく厳密でルールに細かい MTG の場合、そういうのは許されないんですかね。
一方、オンライン対戦についてですが、こちらはかなり快適にプレイできます。
Game Center を通してのマッチングしか行えませんが、さすがにプレイヤーが多く、マッチングにあまり時間はかかりません。
プレイ中のゲーム速度も、元々のテンポが遅めだから、オンライン対戦でも1人の時とあまり変わらない感じです。
相手が長考している時は「○○は思考中。お待ち下さい・・・」のメッセージも表示されます。
残念なのは「対戦レート」のようなものが何もないこと。
一応「スコア」と「ランキング」はありますが、あまり競ってる感がないし、もうちょっとやる気になるような要素が欲しかったところです。
でもこのぐらいアッサリしてる方が気楽に出来るし、チート(不正行為)も起こりにくいのかもしれませんが。
なお、オンライン対戦中に相手が抜けた場合は AI が代打ちします。
あと、これを難点というのはちょっと違う気もするのですが・・・ あまりにヒドイと思ったのは・・・
オープニングやストーリーのムービーのセリフが、ビックリするぐらい棒読みなこと。
日本語のセリフが入っているのは嬉しいのですが、ダークファンタジーな雰囲気を完膚無きまでにぶち壊す、滑稽さ MAX の棒読みで、最初見た時はもう声出して笑いました。
ムービーは格好いいんですよ、ムービーは。 でもこの声はないわ~。
これだったらもう、セリフがない方がマシというレベルですね。 まあ笑えたからいいけどw
※オープニングムービーのワンシーン。 演出は気合いが入っていて、カードゲームの域ではありません。
が、その綺麗なムービーをぶち壊しにする恐怖の棒読みボイス。
最近 Twitter で声優の演技について議論があったそうですが、演技力がないとこうなるというのを実感しましたね。 まあこれは特別ヒドイ例だろうけど。
※カードはかなり綺麗ですが、縮小拡大などを駆使している(?)ためか、見た目以上に重いです。
ちなみに激しく余談ですが、左の「人間」のカードが品川祐に見えてしょうがない・・・
アプリ本体は無料ですが、無料のままでは体験版に過ぎません。
チュートリアルから先に進むには 850 円の課金が必要です。
iOS アプリとしては相応の価格ですが、高クオリティーの買い切りゲームとして考えれば、決して高くはないと思います。
ちなみに PC 版は 9.99 ドルです。
課金しないと強いカードが出ないみたいな残念仕様はなく、「プレミアムカード」を買う課金はありますが、これは俗に言う「キラカード」であり、必要なものではありません。
相変わらず初心者向けとは言えませんが、キャンペーンが前より良くなっているので、普通に楽しめるカードゲームになっています。
もうちょっとキャンペーンのボリュームが欲しいところですが、トレーディングカードゲームが好きな方で、iPad を持っている方は、必携のアプリでしょうね。
・マジック2014 (iTunes 起動、iPad 専用です)
5月末日、ゲームメーカー「レベルファイブ」は UNIPLAY と呼ばれるスマホゲームブランドの立ち上げを宣言し、同ブランドから計6つのゲームを発売すると発表しました。
そのうちの1つ、スロットとパズドラ型ソーシャルゲームを組み合わせたアプリが、先日早くも公開されています。
「地球壊滅的B級カノジョ」です。
「スロット」+「美女」+「ソーシャルゲーム」と言う、あまりにも狙いが露骨すぎるゲームです。
しかもこのゲームをグリーやモバゲー、及びそれに関連した開発会社が出したのではなく、れっきとしたゲームメーカーで、さらに低年齢向けのコンテンツで定評のあるレベルファイブが出したところに、もう色々とツッコミたくなります。
まあ販売はレベルファイブですが、開発は最近 iOS アプリで目立っている「面白法人カヤック」なので、それを考えると「あぁ、ありそうだなぁ」とも思うのですが・・・
さらにいかにも「B級」的な舞台設定もすごい。
異星人の襲来で地球が3日で壊滅し、「オス」が異形の姿に変貌。
そこで各国の政府は生き残りの美女を集めて「美しき傭兵部隊」を編成、人類の存亡をかけた戦いが始まったという・・・
ここまでぶっ飛んだストーリーは「ハインズ・スピード」以来です。
まあ好きだけど。 こういうぶっ飛んだおバカストーリー。

チーム編成やキャラの育成などは「パズドラ系」と言えるものになっています。
4人の美女+助っ人1人の5人でチームを編成し、クエストに向かい敵と戦います。
戦闘はスロットになっていて、出た絵とキャラの攻撃力に応じたダメージを敵に与えられるのですが・・・
スロットと言っても、ベットのボタンを押したらリールが回って、勝手に止まるだけです。
リールを個別に止めるボタンは存在せず、目押しも不可能で、もちろんリーチ目とかもありません。
つまりスロットと言うよりは、単にスロットっぽい演出があるだけの、単なる「ポチポチゲー」です。
パズドラ系なのに攻撃するターゲットを選ぶことさえ出来ません。
体力はコインの残量になっていて、敵を倒したり絵がそろうとコインが回復し、ダメージを受けるとコインが減るという部分はスロットらしいのですが、肝心のスロットがゲーム性皆無なので、戦闘中にピンチになっても祈る以外に出来ることはありません。
一応、各キャラは戦闘中に発動できるスキルを持っていますが、任意に行えることはそれぐらいですね。
クリアすれば次のクエストに進め、さらにキャラクターを獲得できます。
キャラは「合成」でレベルアップさせることができ、この辺はパズドラなどと変わりません。

※小役がそろうとキャラクターの「回復値」に応じたコインが貰え、777 がそろうチャンスが増えます。
777 がそろうとリールが5つになって大ダメージを与えられるフィーバーモードになりますが、全て運次第。
フィーバーになると美女が変身するシーンが全員分流れますが、このシーンは右下にある「SKIP」のボタンでカット可能です。

※パズドラ的な属性の関係があり、緑(インテリ)は赤(ガッツ)に強く、赤(ガッツ)は青(アート)に強く、青(アート)は緑(インテリ)に強い。 黄色(キュート)と紫(セクシー)は互いに強い関係です。
強い属性にはダメージが4倍になりますが、苦手属性にはダメージが 1/4 になります。
4倍ってのが大きいため、そのステージに合った属性にすることが他のパズドラ系よりも重要ですが、ゲーム性と言えるのはそのぐらいですね。
グラフィックは萌えキャラではなく、「お姉さん」といった感じの絵柄。
敵キャラはダサイというか何というか、タイトル通り「B級感」が漂うデザインです。
他のパズドラ系よりもやや高めの年齢層を意識している感じですね。
演出やサウンドはスマホレベルのもので、この点は相応のクオリティーと言えます。
フィーバー時にはキャラクターボイスも聞こえます。
ただ、この間違いなくパズドラ系最低のゲーム性の無さは、やはりゲーマーとしては頂けません。
私はソーシャルゲーム、特にボタンをポチポチ押すだけの「ポチポチ型ソーシャル」は、それを「ゲーム」とは考えていませんが、その手軽さを好むユーザーも相応に多いことから、昨今は単純なクソゲー扱いはしないようにしています。
しかしこのゲームについてはもう、ハッキリ言ってしまいたいと思います。
ゲーマー視点では、明らかに「クソゲー」です。
そうなりそうな気は事前発表の段階でしてましたが、改めてやってクソゲーっぷりを思い知りました。
無論、これはあくまでゲーマーとしての意見であって、ソーシャルゲームを好む人やパチスロ好きにとっては別かもしれません。
ただボタンを押すだけでパズドラ系のゲームを、難しいパズルとかをせずに、スマホらしい演出付きで進められるのですから、そこは人によっては利点だと思います。
でも「ゲームを楽しみたい人」にとっては、これでは物足りないでしょうね。
でもまあ、ここまで狙いが露骨だと、むしろ清々しいです。
実際に「その手の人」がこのゲームをどう評価するか解りませんが、狙いを絞ってアプリを作るのはマーケティング的には正解でしょう。
私的には、せめてスロットを盛り込むなら、リールを止めるボタンがあって、目押しはもちろん、リーチ目や逆押し、リプレイ外しのようなものはあっても良かったんじゃないかと思うのですが、スロッターな人はどう思うんでしょうかね。
「ポチポチゲー」を好む人だと、これで良いのかもしれませんが。

※左は初期キャラクターの選択画面。 選べるのは「女王様」「若奥様」「巫女」。 どこの AV だよそれって。
右は霞ヶ関エリアのボス「炎上国会 ギジドーン」。 誰だこのデザイン考えた奴は。 バカだろ絶対、良い意味で。
ちなみに2つ目のエリア鎌倉のボスはもっとキテます。 絶対大仏だろうと思ってたら・・・
ソーシャルゲームですから本体は無料ですが、もちろん課金制です。
昨年、ソーシャルゲームとパチンコ店がユーザーを取り合っていることが各メディアで話題になっていましたが、このゲームはまさにパチンコ・パチスロ好きのユーザーを対象にしているソーシャルゲームで、ある意味パチンコ店に宣戦布告なアプリですね。
「単車の虎」や「不良道」など、ニッチ市場を狙って成功しているアプリは多いし、あまりに単純なゲーム性も、ターゲットを考えてワザとそうしているのでしょうから、私みたいな人間が批評すべきではないのかもしれません。
ただ、このブログを見ている人には、たぶん合わないでしょうね。
レベルファイブだからもしかして・・・ という淡い期待もありましたが、レベルファイブのブランドイメージが壊滅的になったB級のソーシャルでした。
でもタダなので、レベルファイブやカヤックがどっちの方向に走ったのか、話のタネに見てみる分には良いかもしれません。
それにもしかするとこれは、「B級」と自分で名乗っていることからも解るように、あえてクソゲー的に作っているのではないか、みたいな気もします・・・
登場キャラのデザインもネタ全開だし、「愛すべきクソゲー」狙いなのかも・・・?
※このゲームは 2014年2月 に運営終了しました。
・地球壊滅的B級カノジョ (公開終了)
「Battle Academy」です。
元は 2010 年に発売されたパソコン用のゲームで、海外での評価は非常に高いのですが・・・
戦闘がリアルな反面、ゲームとしてはかなりとっつき辛く、とても一般にお勧めできるゲームではありません。
前述の高評価も、こういうゲームをやる人は軍事マニア・歴史マニアなので、それを差し引いて考えた方が良いでしょう。
価格も 1700 円とかなり高額で、そのため 2012 年の2月に発売されていたのですが、さすがに私も手が出ませんでした。 おまけに iPad 専用です。
ただ、個人的に好きなジャンルではあるし、ストラテジーゲームとしての完成度は確かに高いので、今回ご紹介しておきたいと思います。

フィールドは四角のマスで区切られていて、敵と味方が交互にユニットを動かす、ターン制のシミュレーションゲームです。
ただ、銃撃戦や砲撃戦がメインで、ほぼ全てのユニットが遠距離攻撃可能です。
物陰に身を隠したり、地形を利用して戦うことが重要で、戦闘システムは先日ご紹介した XCOM : Enemy Unknown に似ていますね。
ただ、当時の戦闘を再現した特徴的なルールが多く、それが難易度を上げています。
ルールが日本の大戦略型の戦術シミュレーションゲームとは大きく異なっているので、大戦略やファミコンウォーズなどに慣れていると、かえって戸惑うかもしれません。
まず、移動には高速移動(Move Fast)と警戒移動(Hunt)があり、高速移動の方が大きく動けますが、この状態で敵に攻撃されると大ダメージを受け、さらにこの状態からの攻撃は命中が半減します。
敵がいそうな場所で行動する時は、少ししか動けなくても、常に Hunt で警戒しながら進まなければなりません。
また射程内に敵が入ってくると、防御側は自動で射撃を行います。
この自動射撃は弾数が残っていれば、敵が射程内で1マス動くたびに発生します。
このルールのため「待ち伏せ」が有効で、逆に敵がいそうな場所に不用意に踏み込んだらバンバン撃たれます。
なお、弾数(攻撃回数)は毎ターン自動で回復します。
歩兵の場合、地形に隠れる事が可能で、建物や森の中に入ると敵に見つかりません。
攻撃したり、敵歩兵が索敵を行うと見つかる場合がありますが、次のターンになればまた隠れられます。
もちろん建物や森の中にいれば回避率も上がります。
ただし攻撃には地形攻撃(Suppress Area)があり、隠れていても戦車とかに居場所をドカドカ撃たれていると、いずれやられてしまいます。
歩兵は2人~5人で編成されていて、ダメージを受けると人数が減り、これがそのまま HP と言えます。
一方、車両には HP がありません。
このゲームの車両は装甲を貫通されると一撃で破壊されますが、被弾しても貫通されなければ無傷です。
実際の戦車戦を模したシステムになっている訳ですが、日本では困惑する人が多いでしょうね。
このシステムのため、歩兵がいくら機銃を撃とうと戦車は痛くもかゆくもなく、装甲のある重戦車は貫通力のない軽戦車に撃たれまくっても、ほとんどの砲弾を跳ね返せます。
ただ、歩兵も近くのマスには手榴弾を投げられるので、戦い方によっては戦車を倒せることもあります。
強力な重戦車も側面や背後は弱いので、その方向から近距離射撃を行えば撃破は可能です。
イギリス BBC のゲームであるため、プレイヤーは連合軍(アメリカ、イギリス等)しか担当できないのですが、基本的に戦車はドイツの方が強いです。
正面から撃ち合って勝てるゲームではないので、待ち伏せや回り込みを駆使しながら戦うのが基本ですね。
他にも遠距離砲撃ユニットや、火炎放射歩兵、ロケット弾など、当時実在した様々な兵器が史実通りの設定で登場します。
航空ユニットはありませんが、ステージによっては数ターンごとに爆撃支援を受けられます。

※味方のアメリカ戦車 M4 シャーマンが、ドイツの V号戦車パンターに出くわしたシーン。
攻撃命中率は 29 %ですが、貫通率は 0 %。 よって撃破率は 0 %。
うん、勝てない。 アヒルとヒョウが戦うぐらい勝てない。
ティーガーやパンターに出くわしたアメリカ兵の絶望感を体験できるゲームです。

※と言う訳で、勝つ方法は待ち伏せとか奇襲とかの卑怯な戦法になります。
これは脇道に隠れていた M10 対戦車自走砲が背後からパンターに近づいて、一撃加えようとしているシーン。
これなら命中率 67 %、貫通率 100 %。 よって撃破率 67 %。 2回砲撃出来るので、ほぼ撃破可能。
こういう市街地戦だと、もうゲームは「かくれんぼ」になりますね。
さらにこのゲームの特徴は、攻撃を受けると制圧(Suppressed)や撤退(Retreating)などの状態異常が発生する場合があること。
制圧(Suppressed)は攻撃やダメージを受け続けてモラル(Morale)が低下すると発生するもので、部隊の統制が取れていない状態であり、しばらく攻撃不可能になって、移動力も大幅に低下します。
前述したように待ち伏せている敵には不用意に近づけないのですが、例えば建物にいる歩兵に戦車砲を撃ち込みまくり、相手を制圧している状態にすれば、反撃を受けずに歩兵を接近させられ、さらにそのまま突撃(Assault)で高確率で撃破することが可能です。
撤退(Retreating)は部隊が勝手に後退してしまうもので、これも攻撃されまくっているとよく発生します。
これらの状態異常によって、恐怖に駆られた混乱や逃走が起こるリアルな戦闘が再現されています。

※砂漠の防衛陣地で突っ込んで来るドイツ軍を撃退するシナリオ。
制圧(Suppressed)を敵の各部隊に発生させ、こちらに接近されないようにすることが重要。
隠れている部隊は攻撃すると見つかってしまうので(Spotted)、不用意に撃たない方が良いことも。
こちらも撃たれまくっていると壊乱する場合があるので、トーチカで守るステージは、そういう時に入れ替えるための兵士を控えさせておく方が無難です。

※ステージ開始前には、こんなコミック風のシナリオ説明があります。
文章は英語ですが、第二次世界大戦に相応に詳しい人なら、どの場面かだいたい解るはず・・・?
シナリオは最初から全て自由に選ぶことができます。

※ステージ開始時には追加ユニットの選択画面が表示されます。
一定のポイントが与えられ、そのポイント内で部隊に加えるユニットを選ぶことができます。
ステージによっては、部隊の初期配置を自由に変更できる場合もあります。
難易度は3段階用意されていて、いつでも変更可能。
一番上が本来の難易度で、真ん中はショットの命中と貫通がアップ。 一番下は移動による命中低下のペナルティを受けないハンデが付きます。
グラフィックのクオリティーは相応に高く、効果音もリアル。
ルールは取っ付き辛いですが、理解できれば戦闘シーンは十分に楽しめます。
ただ、ゲームとして残念なのは・・・ 長期的にユニットを育てるとか、戦闘の結果によって戦局が左右されるシナリオがあるとか、様々なユニットで部隊を編成する楽しさとか、そう言ったものが何もないこと。
「アドバンスド大戦略」や「スーパーロボット大戦」のような、シミュレーション RPG 的な収集や育成は一切ありません。
XCOM : EU のような開発要素やストーリー性もありません。
各シナリオは複数のステージで構成されていますが、最初から全ステージを好きなように選べるし、複数の勝利条件を満たすことでクリア評価の「★」を多く獲得できますが、それが貯まったからといって部隊や将軍が強化されるような要素もありません。
また、難易度を変えても得られる★は変わりません。
「エンディング目指して戦っていく」みたいな形ではなく、ボードゲームのように1戦1戦を楽しむゲームですが、これでは物足りないのが本音ですね。
ゲームシステム的に気になるのは、運の要素がやや強めなこと。
前述したように戦車は装甲が貫通されると1発で撃破なので、同クラスの戦車の撃ち合いだと「先に当たったもの勝ち」「貫通したもの勝ち」になります。
味方戦車が少数しかいないステージで、相手の命中率 20 %の戦車砲が運悪く先に当たったりしたら、それで戦車は1発でやられるので、もうほとんどアウトです。
リアルと言えばリアルで、私的にはこの装甲貫通のシステムは戦車戦らしくて好きなのですが、HP 制よりも確率に左右されやすいのは否めません。
まあ XCOM と同じく、ゲーム中に自由にセーブ/ロードが可能なので、小まめなセーブで対応することはできますが・・・
操作性については、ユニットを選択する時に「ダブルタップ」が必要なので、これが慣れないと煩わしいです。
しかしシングルタップでの選択だと画面をスクロールさせる時にユニットに指が触れて、そのユニットが選ばれてしまう誤操作が相次ぐので、それを考えると(誤操作が起こりやすい)XCOM : EU よりは操作しやすいです。
画面のズームや回転なども自由に行えます。
ただ、画面右下にミニマップがあり、これに触れてしまうと全然関係ないところに画面が飛んでしまう問題があり、触れてしまいやすい場所なのでちょっと難点ですね。
なお、この手のゲームに必須の「未行動部隊を選択する」ボタンは、画面右上の歯車ボタンを押すと表示されます。
以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。
価格は 1700 円。 正直、iPad のアプリとしては高いですね・・・
パソコン版は 25 ポンド、日本円で 3700 円ぐらいだったので、それを考えると安いのですが、ゲームの評価としては、この価格ではお勧めし辛いのが本音。
さらにシナリオのいくつかは1つ 850 円で販売されていて、全部導入すると 5000 円ぐらいになるという・・・
まあ本体だけでもチュートリアル+3つのシナリオ+おまけステージ3つがあり、合計 28 ステージで、1ステージが結構長いので、ボリュームは十分にあります。
このゲームに「アドバンスド大戦略」のような、ユニット編成と強化・育成の要素があり、第二次大戦の戦史をなぞっていく本格的なキャンペーンモードがあれば、私はかなりハマっていたと思います。
しかし残念ながら、そういうゲームではありません。
でも戦術シミュレーションゲームが好きで、第二次世界大戦に詳しい方には、セールの時なら悪くないかな、と思います。
第二次世界大戦に詳しくない方だと、どの兵器がどんな性能なのか解らないと思うので、ゲーム内のメッセージも英語ですし、かなり辛いでしょう。
相当に人を選ぶゲームですね・・・ だからこそミリタリーマニアから絶賛されているのだと思いますが・・・
・Battle Academy (iTunes が起動、iPad 専用)
・Battle Academy LITE (デモ用ステージしかプレイできません)
XCOM: Enemy Within のレビューは こちら をご覧下さい。
突然侵略を開始したエイリアンに対抗するため、国家評議会によって設立された対エイリアン軍事科学機関「XCOM」の司令官となって、世界各地で部隊を指揮する、ハードコアで映画的なターン制シミュレーションゲームが iOS に登場しました。
「XCOM : Enemy Unknown」です。
海外で大絶賛されていたゲームで、数々の表彰を受けています。
iOS 版も発売と同時に各所で賞賛されており、実際にそれが頷ける程の内容で、思わずそのストーリーとゲーム性に引き込まれてしまいます。
元々は PC、PS3、XBOX 360 で 2012年10月 に発売されたソフトで、つまり最新のゲームです。
それが約半年で iOS に移植されたことは、ハードの進歩を感じずにはいられません。
また、このゲームは日本では PC 版しか発売されていなかったので、日本ではある意味、唯一のゲーム機版 XCOM:EU です。
メッセージは全て日本語化されており、翻訳の精度も高いのでご安心下さい。
スマホ向けに作られた簡易的なゲームではなく、ヘビーユーザー向けに作られた完成度の高い「ゲームソフト」です。
ただ、難易度はかなり高いため、普段あまりゲームをやらない人だと手に追えないかもしれません。
開発は Civilization(シヴィライゼーション)でおなじみのメーカー Firaxis Games です。

4~6人で構成された部隊をエイリアンが発見された地域に派遣し、事件を解決しながら、エイリアンの研究と兵士の強化、そして XCOM の規模拡大を進めていきます。
フィールドは四角のマスで区切られていて、敵と味方を交互に動かす「ターン制シミュレーションゲーム」なのですが、攻撃は互いに銃の撃ち合いで、障害物に身を隠しながら戦うため、「FPS をシミュレーションゲームにしたもの」と言った方が解りやすいでしょう。
兵士の動きはかなりリアルで、壁から身を乗り出して敵を撃ったり、高所から飛び降りてダッシュしたりなど、FPS さながらのアクションを見せます。
このゲームの特徴は、銃撃戦であるためか、撃たれたら即死することも珍しくないこと。
HP が最大だろうが、昇進した歴戦の勇士だろうが、やられる時はあっさり死にます。
加えてエイリアンは暗所から突然出てくることが多いため、戦闘には常に緊張感があります。
さらに、もし味方が死ぬと兵士がパニックを起こし、叫びながら銃を乱射したり、悲鳴をあげながら勝手に後退して隠れたりします。
エイリアンもののパニック映画らしさが再現されていて、この辺もまたゲームの臨場感に繋がっていますね。
ミッションの合間にはフルボイスの美しいストーリーシーンが流れ、これがまたハリウッド映画のようで非常に良いです。
単に「エイリアンから地球を救おう」みたいな感じではなく、エイリアンの生態研究や技術調査が並行して進み、「なぜ彼らが地球に来たのか」「そもそも彼らは何者なのか」の謎を追う展開が続きます。

※射撃時のシーン。 画面右下のエイリアンマークに注目。
これは射程内にエイリアンがいることを示すマークで、赤より黄色の方が命中率が高いです。
そして iOS 版はこのエイリアンマークをタップすることで、その敵にターゲットを合わせることが出来ます。
マップ上の敵を直接タップし辛い場合もあるので覚えておきましょう。

※突然出て来たエイリアンに1人殺されてしまい、パニックに陥った近くの隊員が逃げ出し、さらに別の隊員が叫びながら銃を撃ち始めたところ。
兵士には「意志力」という数値があって、何かショックなことが起きてこれが尽きるとパニクります。
「あぁあぁぁ~」とかいう叫び声がリアルで良いですが、部隊の人数は少ないので、上記のような状態になるとすぐに壊滅の危機。
いきなり敵が出て来てこうなったら為す術ないので、小まめなセーブをお勧めします。

※研究画面。 敵の死体を解剖して生態や弱点を探ります。
接近してスタンガンで生け捕りにすることも可能で、そうするとより研究が進み、敵の装備もそのまま手に入ります。
逆にグレネードやロケットランチャーで吹っ飛ばすと死体も装備もこっぱみじんで何も手に入りません。
危険なほど見返りは大きい訳ですが・・・
戦闘を終えて帰還すると、XCOM の本部画面になります。
本部には司令室や兵士の詰め所があり、各国から提供される資金で研究所や兵器工場などを増設することが可能で、エイリアンの死体や UFO の残骸を調査することでストーリーが進行し、新たな装備も作られます。
こうした基地の増築や研究の要素があるのは、シヴィライゼーションで知られる Firaxis Games らしいと言えますね。
設備や研究を進めるには時間の経過が必要ですが、時間を進めていると各国から救援要請が届きます。
これはいわゆるサブミッションで、クリアするとその国から報酬を得られるのですが、要請は必ず複数の国から届き、救援に行かなかった国は「パニック度」が上がってしまいます。
パニック度が5になるとその国からの支援は打ち切られるので、救援要請は偏りなくこなしていく必要があるのですが、どうしても時間の経過と共に全体のパニック度は増えていきます。
パニック度を大きく下げるにはメインミッションを進め、エイリアンの基地を破壊するなどの大きな成果を上げる必要があるのですが、メインミッションは手強いため、出来るだけ研究や開発、サブミッションでの兵士育成をしてから挑みたいところ。
しかしノンビリし過ぎると大変なことになるので・・・ この辺がゲームの面白さであり、攻略のポイントです。

※基地は地下に穴を掘って部屋を作り、そこに設備を増設していく形。 ただし維持費が必要。
維持費が収入を圧迫してお金が貯まらなくなるとヤバイ事になるので、ある程度は収支も考慮しましょう。
単に戦闘を繰り返すだけでなく、こうした開発要素がしっかり用意されていることも、このゲームの面白さです。

※これが問題の各国の「パニック度」。 5になると支援打ち切り。 8ヶ国打ち切ったら XCOM 閉鎖。
救援した国はパニック度が下がりますが、救援しなかった国はパニック +2 で、さらに同地域の他の国もパニック +1。
「衛星を発射」することでその国から支援金を得られますが、衛星を増やすには施設の「衛星アップリンク」が必要で、それを増やすには「研究員」も要ります。

※たまに UFO が見つかって、配備中の迎撃機を発進させ、撃墜するシーンがあります。
なにかもう、サンダーバードというか、地球防衛軍というか、そんな感じ。
迎撃機は「ハンガー」で自分で配備する必要があるので忘れずに。 ただし維持費は必要・・・
衛星を飛ばした国には必ず迎撃機を配備しておきましょう。
非常に作り込まれた高クオリティーなゲームですが、やはり難点はあります。
その1つは操作性。
元が PC や XBOX のゲームだったので、タッチパネルに最適化されているとは言えず、画面をスクロールさせようとしてキャラクターに指が触れてしまったり、段差のある場所で移動先を指定し辛かったりします。
高低差がある場合、タップした場所とカーソル位置がズレてしまうことも多いです。
移動後のキャンセルが出来ないので操作ミスのリカバーができず、これも困る点ですね。
また、XBOX から移植したゲームに多く見られる問題として、iPhone では文字が小さいというのがあります。
読めないほどではないし、ボタンは大きめなのですが、読めるギリギリと言える文字もあります。
iPad だと問題ないので、操作の点から考えても iPad を持っている方はそちらでのプレイをお勧めします。
そして、やはり問題になるのは・・・ 難易度でしょうか。
HP が満タンでも一発でやられる場合があり、やられると即死するか致命傷で、即死した場合は治療キットも効かないというのは、さすがに厳しい。
まあこの厳しさがあるからこそ、エイリアンに襲われる恐怖感がある訳で、つまりこの高難度がゲームの面白さと表裏一体になっている訳ですが、どう考えても万人向けではないよなぁ、というのも確かです。
個人的に気に入らないのは、ゲームが進むと突然目の前に敵が現れることが多い点で、急に襲われる恐怖を表現するためなのかもしれませんが、一撃で相手を即死させるような強敵が何の前触れもなく目の前に出てくるのはさすがにどうなのかと。
まあこのゲームは(アイアンマンという上級設定でない限り)戦闘中にいつでもセーブ可能なので、小まめにセーブしていけば困難な状況でも何とかなります。
「タクティクスオウガ」や、昔の「ファイアーエムブレム」よりは(ノーマル難度なら)攻略しやすい気もするし、Firaxis Games のシド・メイヤーが言っていた「AI はプレイヤーにとって十分手強く、しかし最終的には負けなければならない」というぐらいの難易度にはなっていると思います。
もう1つの難点は、これだけの大容量のゲームであるためか、たまに落ちること。
iPad 3rd だとそんなに落ちることはなく、オートセーブがあるので落ちても少し前から復帰できるのですが、念のためプレイ前には本体再起動するのを推奨します。
以下は Youtube で公開されている公式の iOS 版解説ムービーです。
価格は 2000 円と iOS アプリとしてはかなり高価。
しかし意外にも「たけーよバカ!」という意見は少なく、むしろ買い切りゲームであることを喜ぶ意見が多いです。
昨年末に発売されたばかりの、今でも 5000 円ぐらいで売られているゲームであり、PC 用のダウンロード版でも約 2900 円なので、むしろ安いというのは確かですね。
また海外でも昨年から今年にかけて、アイテム課金で本来面白いはずのゲームが残念なことになっている状況が批判されているので、その影響もあると思われます。
もう1つの問題はインストール後のデータ量が 3.2 GB あるという、特大サイズなこと。
しかしこれは「普通のゲームソフト」であることの裏返しであり、このぐらいのボリュームのゲームが iOS で登場し始めたことは、むしろ喜ばしい気がします。
本格的なゲームソフトであり、いかにも「素晴らしい洋ゲー」といった感じのゲーム。
これ1本で当分遊べると思うので、ゲーマーであれば見逃せないアプリでしょう。
・XCOM®: Enemy Unknown (現在非公開。新バージョンの XCOM: Enemy Within はこちら)
ゲームのレビューではないのですが・・・
本家の iPhone AC の「iPhone / iPod / iPad 電子書籍 案内」のページを更新しました。
このページは約半年ごとに情報を最新のものに更新しており、今回は 2013 年に入って急速に伸びている凸版印刷グループの BookLive! と、大日本印刷グループの honto を追加しています。
既存の電子書籍店の解説も、2013 年6月現在の状況を反映したものに修正しています。
現在の電子書籍の状況は、有力店が覇を競っている「群雄割拠」の状態になっています。
・・・というか、ようやくこの状況になりました。
3年ほど前に「電子書籍元年」などとメディアが喧伝していた割に、全然進歩していなかった電子書籍業界ですが、ようやくユーザーが色々な書店を選べるレベルまで進んでいます。
どんな書店があるのかを知る参考にして頂ければと思います。
・iPhone / iPod / iPad 電子書籍 案内
あと、数日前に iPhone の機種変更を行った知人から「パズドラとかのデータ消したくないから、それを残したまま新機種に移行させてくれ! でもパソコン持ってねぇ!」というヘルプを受けて、その時の経験を元に、「古い本体からデータを移行する方法」のページに iCloud を通したデータ移行の方法を追記しました。
この iCloud を使った方法なら、パソコンがなくてもゲームのデータをそのまま新機種に移せます。
でも iCloud での移行だと音楽とか動画はなくなるので、パソコンがあるならやっぱり iTunes を使い、パソコンにバックアップをしてから移行した方が良いですけどね。
(あとパズドラだけなら、ゲーム内に「ゲームデータ引き継ぎ」機能があります)
今後必要になりそうな方は、参考にして頂ければと思います。
・iPhone / iPod touch / iPad で古い本体からデータを移行する方法
ファン投票によって決まるドイツゲーム(近年のボードゲーム)の表彰「ドイツゲーム賞」において、2008 年度の1位に選ばれた作品、それが「Agricola」(アグリコラ)です。
畑や牧場を作って農園を築いていく、素朴な雰囲気の建設型ボードゲームです。
その iPhone / iPad アプリ版が先日ようやく公開されました。
名前はそのまま「Agricola」です。
このゲームは「街の施設に労働者を派遣して、材料の調達や建物の建設を行う」という「ワーカープレイスメント」と呼ばれるシステムで、その元祖と言えるのは「プエルトリコ」というゲームです。
そのプエルトリコを元にして作られたゲームが Caylus(ケイラス)で、そのケイラスを元にしたのがこのアグリコラで、そのアグリコラの次に作られたのが Le Havre(ルアーブル)になります。
アグリコラとルアーブルは同じ人の作品。
ちなみにプエルトリコをカードゲーム化して遊びやすくしたものが San Juan(サンファン)になります。
ただこのアグリコラ、ファン投票で1位になったことからも解るようにマニアの支持は厚いのですが、ルールが複雑で遊びやすいとは言えないため、専門家による表彰「ドイツ年間ゲーム大賞」ではノミネート作品にさえなっていません。
「特別賞」として表彰されていますが、むしろドイツ年間ゲーム大賞ではルールが簡略化されている Stone Age(ストーンエイジ)の方が評価されています。
アグリコラはルアーブルと同様にかなり複雑なゲームで、そのぶん練り込まれたゲーム性を持つのですが、ドイツゲームとしては「ヘビー級」であるのは否めませんね。
なお、iOS 版のアプリの開発は Playdek というメーカーが行っていて、ここは Nightfall など他にも多くのカードゲーム / ボードゲームのアプリを作っているところです。
複雑なゲームなので、ルール説明を中心に解説していきたいと思います。
ゲームは「町の画面」と、各プレイヤーの「農場の画面」に分かれています。
町の施設に家族を派遣して材料を調達し、それを使って自分の農場に畑や牧場などを建設。
冬を乗り切る食料を蓄えていきます。
自分の番になったら家族を一人、町の空いている施設に置くことができます。
材木屋に置けば木材を、レンガ屋ならレンガを、ワラ屋ならワラを得ることができ、それらを必要な分だけ貯めてから大工を利用すれば、家の設備を増やすことができます。
ただし、他の人がすでに利用している施設は使えません。 早い者勝ちです。
必要な材料の取り合いになり、欲しいものが手に入らない場合もよくあるので、何を優先するかの判断が重要になります。
町の中央の噴水に家族を派遣すると次の順番が一番早くなるので、これを活用するのも大切です。
町の施設は以下の様になっています。
※5人プレイヤーのファミリーゲームの町の様子。
大工での厩舎建設は木材が2必要、教会での厩舎建設は木材1つで良いが建てられるのは1つのみ。
行商で家族を増やせるのは5ラウンド目以降から。
ただし、上記の町は5人プレイヤーの場合です。
4人だと家畜売りがいなくなり、行商で家族を増やしたり、芸人で建設を行ったりできなくなります。
3人だと芸人が消え、2人だと道具屋と行商も消えます。
材料の入手量も人数によって変わります。
この細かい調整により、どの人数でもゲームバランスを崩さずに遊ぶことができます。
展開も結構変わるので、大人数なら大人数なりの、少人数なら少人数なりの面白さがありますね。
最初にいる家族は各プレイヤーとも2人ずつ。
全員が手持ちの家族を全員派遣したら、そのラウンドは終了。
家族は手元に戻り、次のラウンドになります。
ラウンドには「春」「夏」「秋」があって、秋が終わると厳しい「冬」が訪れます。
冬はラウンドではなく家族に食料を与える特殊フェイズになっていて、家族1人あたり1~3の食料が必要です。
必要量は画面右下に書かれていて、もし足りない場合は・・・ 「物乞い」カードを貰ってしまいます。
これは勝利点がマイナスされてしまうペナルティーで、これを貰ってしまうと勝つのは困難です。
食料は町の施設で直接手に入れる他に、畑を作って麦を植えたり、牧場で家畜を飼ったりして、それを食料に変換することで賄えます。
最初の1年(ステージ1)は「春・春・夏・秋」の4ラウンドですが、ステージ2は「春・夏・秋」、ステージ3から5は「夏・秋」となり、ステージ6は「秋」だけやって、合計 14 ラウンドでゲームは終了します。
最後に建物や家畜などを元に勝利点が計算され、それが一番多い人が勝者となります。
※冬の食糧配給の様子。 備蓄が足りない時は、家畜を潰して調達するしかありません。
麦は「パン焼き」により多くの食料になりますが、事前に実行しておく必要があります。
配給の段階では、麦は食料1にしかなりません。
町には中心地の他に、郊外の施設もあります。
最初は郊外には空き地しかないのですが、ラウンドが進むごとに新しい施設が1つずつ追加されていきます。
その中には「種まき」「家畜の調達」「牧場の建設」「家の改築」、そして「家族を増やす」といった重要なものが含まれています。
郊外の施設は以下の通りで、これはプレイヤーの人数によって変わる事はありません。
※各施設は出現するステージ(年度)が決められていて、ほぼ同じ順番で出現します。
上位の施設が登場するのはラウンド11以降で、改築店+ が最後の施設になります。
家族を増やせば派遣できる人の数が増えますが、先に家の部屋を増築しておく必要があります。
増築には木材5つとワラ2つが必要で、その後にコウノトリの看板に人を派遣すれば家族が増えます。
ただし家族が増えると配給しなければならない食糧も増えるので注意して下さい。
家は部屋と同じ数のレンガとワラを集めれば、レンガの家に改築することができます。
これにより部屋の数に応じた勝利点を得られるようになり、さらに上位の石の家もあります。
畑は作っただけでは意味がなく、麦やカボチャを手に入れて、それを植えることで冬の前に収穫することができます。
ただし麦をパンにするには「囲炉裏」や「かまど」、「オーブン」が必要で、これらは材料を集め、さらに工務店に家族を派遣し、建設しておかなければなりません。
ただ、これらの設備は数が限られていて、早い者勝ちです。
例えば「かまど」は2つしか用意されていないため、他のプレイヤーが2つとも手に入れてしまうと、残りの人は建設できなくなります。
柵で草原を囲うとそこは牧場扱いとなり、家畜を手に入れて飼うことができます。
家畜は同じものを2頭持っていると、冬の後に子供が産まれて1頭増えます。
牧場1マスあたり2頭の家畜を飼うことができ、厩舎があれば飼える数がさらに増えます。
自宅にも家畜を1頭入れておくことが出来ます。
※左下の井戸のボタンを押すと、家の備品(Major Improvement、大きな進歩)の一覧を確認できます。
誰かがすでに取っているものにはマーカーが置かれていて、この画像だと左の2つの囲炉裏、左から3番目と4番目のかまどはすでに埋まっている状態です。
囲炉裏やかまどがないと、家畜を食料にすることが出来ません。
ゲームの進め方は、何を狙うかで変わってきます。
まず真っ先に家族を増やし、実行できるコマンドの数を増やすのが有利なので、部屋を増やすための木材とワラを取りに行くのが定石ですが、これは他のプレイヤーも狙うため、どうしても競合します。
先に取れない場合はレンガを確保し、早い者勝ちの「かまど」を狙うのも良いでしょう。
囲炉裏(Fireplace)よりかまど(Cooking Hearth)の方が食料の変換率が高く、後々有利です。
また、囲炉裏とかまどは合計4つしかないので、5人プレイだと1つも取れなくて後でピンチになることがあります。
食料は畑を作って麦を手に入れ、それを植えて麦の安定供給を整えつつ、かまどやオーブンでパンを焼く「農業重視型」か、木材を確保して厩舎や柵を建設し、同じ家畜を2頭手に入れて数を増やしつつ、それを囲炉裏やかまどで調理する「畜産重視型」になります。
持っていない作物や家畜があると、そのぶん勝利点が -1 にされるので、できれば両方を平行して確保したいところですが、この辺は状況次第ですね。
空いた土地があっても減点なので、最後の方は出来るだけスペースを埋めていきましょう。
※最後の得点計算の画面。 畑や牧場や厩舎、作物や家畜は持っている数に応じてボーナスが付き、1つもないと -1 になります。空きスペースも1マスあたり -1。
家は部屋が多くてレンガや石の家なら得点が高く、家族の数や備品も得点になります。
また、備品の中には残っている木材やレンガなどの数に応じて勝利点ボーナスを得られるものもあります。
ここまでに説明したのは、基本となる初心者用ルール「Family Game」のものです。
さらに「Basic Game」という本来のルールがあるのですが、この Basic Game には「小さな進歩」(Minor Improvement)と呼ばれるカードと、「職業」(Occupation)と呼ばれるカードがあり、小さな進歩はなんと約 60 種類、職業は約 70 種類もあります!
それぞれに固有の効果があるのですが、あまりに膨大すぎていちいち説明してられません。
しばらくファミリーゲームをやっていると解りますが、このゲームはランダム性が少ないので、ファミリーゲームだと毎回似たような展開になり、ある程度ゲームに慣れると同じパターンで勝ててしまいます。
Basic Game の「小さな進歩」と「職業」は、そうしたマンネリ化を防ぐために加えられているようで、実際これがあると毎回展開が変わります。
この辺りがアグリコラがファンから支持され、長く楽しまれている理由だと思われますが・・・
しかしカードの効果には複雑なものもあり、その説明が英文で、それがこれだけ大量にあるのですから、日本人にとってはある意味最悪です。
それでなくても細かいルールが多いこのゲームが、ますます複雑化する要因となっています・・・
ルアーブルもそうでしたが、この作者のボードゲームはどうも煩雑な印象がありますね。
まあ iOS 版は細々した下準備やルールの処理をアプリがやってくれるし、ファミリーゲームだけでも十分に楽しめるので、それだけやっていれば問題はないのですが・・・
アプリ自体の難点は、AI 関連でしょう。
コンピューターの難易度は Apprentice(見習い)、Journeyman(職人)、Master(マスター)の3つがあるのですが、マスター以外はあまり強くありません。
しかしマスターは思考時間が長く、マスターを4人入れて5人プレイとかしているとゲームのテンポが悪化、かなり時間がかかります。
本体が妙に熱くなったりするので、CPU をぶん回して計算しているのだと思いますが、それでなくてもヘビー級なボードゲームがますます重くなってますね。
マスターの強さに関しては、ファミリーゲームはともかく、ベーシックゲームなら豊富な「職業」と「小さな進歩」を駆使してくるため、相応の手強さです。
※農園の左半分は職業や進歩を置くスペース。 だからファミリーゲームだとほとんど使用しません。
職業は2人目以降を配置するには食料が必要で、小さな進歩も配置するのに材料や条件が必要になります。
Basic Game の Random は職業と小さな進歩のカードがランダムに配られ、10-3 は双方が 10 枚ずつ配られて、いらない3枚を捨ててスタートする形式。 Draft はリストの中から欲しいカードを1枚ずつ取得していく形式です。
価格は 600 円。 ドイツゲームとしてはやや高めですが、相場と言ったところでしょう。
iPhone / iPad の双方に対応しており、この値段でアグリコラが楽しめるのなら、ドイツゲームのファンにとってはお得だと思います。
ゲームのグラフィックは素朴な感じで、ちょっとダサイ感じもする見た目ですが、ワザとそうしているのだと思います。
味のあるイラストと、アコースティックギターの落ち着いた BGM があり、雰囲気は良いですね。
人によって好みが違うと思いますが、私的にはルアーブルと同じような評価です。
サンファンの遊びやすさ、ケイラスのスマートさに比べると、ちょっとランクが落ちるかな、といったところ。
ただアプリの完成度はルアーブルより良いし、農園作りの要素があるので、何度も遊びたくなるゲームです。
連戦でスコアを競うソロプレイモードもあって、ドイツゲームのアプリとしては長く楽しめると思います。
出来れば日本語化してくれると嬉しいのですが、さすがに無理かな・・・
・Agricola (iTunes が起動します)