今日は「無料体験版」の公開が裏目に出ているとしか思えない、そんなパズルゲームを取り上げたいと思います。

タップで木のブロックなどを破壊し、指定された目標を達成する物理シミュレート形のパズル。
Smashed」です。

smashed

画面に木のブロックが組まれているので、それをタップでどんどん壊していきます。
破壊するとブロックは破片となって派手に飛び散り、さらに上に乗っているものが落ちてきて、それらが重力・物理シミュレートによって崩れていきます。
ステージによっては回転ノコギリや爆弾があって、それを使ってブロックを破壊することも出ます。

一定個数のブロックを破壊する、破片を一定数壊す、目標物をゴールに転がしていく、などの目標を達成すればクリア。
ブロックや目標物が画面下の水中に落ちたりして目標を達成できなくなるとゲームオーバーです。


この Smashed、ステージが進むと様々な仕掛けが登場し、ブロックの崩れ方を計算しないとクリアできなくなってきて、面白くなっていきます

しかしこのゲームは最初に述べたように・・・ 「無料体験版」が裏目に出ています。

このゲームの FREE 版は、一連のトレーニングステージと回転ノコギリを使う1ステージがプレイ出来ます。
しかしトレーニングステージは「単にブロックをタップで壊すだけ」で、やってて楽しくありません。
ゲームオーバーや失敗になる要素がないのです。

最後に回転ノコギリを使うステージが出てきますが、これもタップで適当にやればクリアできてしまいます。
つまり、本当にタップするだけのアプリで終わっている。
本当はもっと壊れ方・崩れ方を計算しなければならないステージがあるのですが、そう言った要素が FREE 版には全くない。

こんな「ゲームの面白さを体験できない、理解できない」無料体験版なら、むしろなかった方がいいんじゃないか、とさえ思います。
これじゃあ製品版の評価がないのも頷けますね。

しかも日本人だと英文が読めませんから、ゲーム内のメッセージも解らないので、ゲームを意味を理解できないまま終わっている人が多く、他のレビューなどを見ても内容を間違って伝えているものが多いです。


無料体験版を公開してアプリの知名度を上げ、その面白さが広まって一気にアプリが売れまくり、数週間のうちに巨額の富を得た伝説のアプリ「iShoot」の話が広まって以降、iPhone / iPod touch で無料体験版を公開することはプロモーションの定番となっています。

でも私は無料体験版というものは「諸刃の剣」であり、それでユーザーに面白さが伝わればいいものの、逆に面白くなかった場合やゲームの良さを伝えられないものであった場合、それはアプリの売上げに貢献するどころか、阻害にしかならないと考えています。
そしてユーザーにとっても、「本当は面白いアプリなのに、体験版がつまらないおかげで内容を誤解してしまう」というものだと、マイナスでしかありません。

無料体験版は、それが十分に面白く、かつユーザーに「もっとやりたい」と思わせるものでないといけないので、そのバランスはかなり難しいものじゃないかと思っています。
そこのところを解らずに、テキトーな無料体験版を公開しているアプリはかなり目に付くので、「体験版を甘く見るべきでない」というのを知っておいて欲しいところですね。

私的には、体験版にも相応のボリュームがあった方が、結果的に製品版の売上げも伸びるのではないかと思います。


と言う訳で Smashed、体験版はホントにつまらないけど、製品版はけっこう楽しめますよ。
製品版も最初はトレーニングステージからですが、2章に入ると「壊し方」を考えないとブロックがムダに水の中に落ちてしまうステージが多くなり、「物理パズル」らしい内容になっていきます。
章が進むごとに新しい「しかけ」も増えていきます。

ステージの数が多くてボリュームもあり、価格(350円)分の価値は十分にあるのではないかと思います。
物理シミュレート系のパズルが好きな人は、体験版に惑わされず、製品版を試してみて欲しいアプリですね。

Smashed(iTunes が起動します)
Smashed Free(ダメな方です)