今流行りの「3D(立体視)映像」。
3D テレビが各社から次々と発売され、ついにニンテンドー DS まで 3D バージョンが登場するご時世ですが・・・

そんな中、なんと「iPhone / iPad で立体視映像を実現した」というフレコミのアプリが登場しました!
各メディアや情報ブログでこぞって取り上げられ、大きな話題になっている・・・
そんなアプリが今回ご紹介する「HoloToy」です。

holotoy

でもコレ、実際に使ってみると、「アレ? なにか違う・・・」
そう簡単に 3D に見えないのです。

正直言って、このアプリは話題ばかりが先行している印象があります。
しかしこのアプリ、色々な意味で「必見」であり、非常に興味深くもありますね。
まずは説明をする前に、以下の YouTube の映像をご覧下さい。



どうでしょう? 「すごい! 立体的に見えるっ!」 と思った方が多いと思います。
私もこの映像を見たときは「凄い」と思いました。
だからこそ、各サイトやブログでこぞって取り上げられたのでしょう。

ところがこのアプリ、実際に使ってみると・・・
全然立体に見えないのです!!

上記の映像だと確かに 3D (立体)に見えます。
ところが実物を(普通に)見ると、まったく立体じゃありません
単に本体の傾きに応じて画像が動いている・・・ それだけ。
最初に見た時はかなり「ガッカリ」でした。

では一体なぜ、YouTube の映像で立体的に見えるのに、実物が立体的に見えないのか?

原理はよく解らないのですが、YouTube の映像は「平面の中にある疑似立体映像だから、立体的に見える」のです。
二次元の映像による、平面の画面の中の、疑似立体映像。
これだと(難しい理由はともかく)立体に見えます。

ところが実物は、同じ iPhone の画面の中にある疑似立体映像であっても、それを三次元の視点で見ているためか、それは平面にしか見えないのです。

では三次元の世界でも、これを立体的に見る方法はないのでしょうか?
実はあります。 片目をつぶって遠近感をなくせば良いのです
これは私も iTunes のレビューにそう書いてあるのを見るまで気付かなかったのですが、片目をつぶってから見ていると・・・
「立体的に見える!!」

これはなんとも不思議でした。
アプリのヘルプには、「iPhone を腰の高さの、目線から 45 度の位置に持って行って下さい。 そしてより大きな錯覚のため、片目を閉じて下さい。 そして iPhone を中心から傾けるように動かして下さい」と書かれています。

脳内で立体的に見るための暗示をかけないと上手く見えない場合もありますが、確かにうまくやると立体的に見えてきます。
YouTube の映像でそうなっているように、周囲は暗い方が良いようです。
例えば下の画像の数字が書かれた看板は、うまく立体視が出来るようになると手前に飛び出しているように見えます。

holotoy3



実物はYouTube の映像ほど綺麗な立体に見える訳ではありません。
これはきっと、完全な二次元の世界である映像と、片目をつぶっていてもやはり三次元であるこの世界の違いなのでしょうね。
でもなかなか面白い、貴重な体験が出来るアプリです。


ただ、このアプリはあくまで「立体映像の体験が出来る」というものに過ぎません
一応ゲームのようなものはあるのですが、非常に単純で、やってて楽しいと思えるものではないです。

iPhone を傾けて絵が正常になる位置を探すパズル、段差に落ちないようにジャンプしながら進むアクションゲームなどがありますが、あくまでおまけ程度ですね。
ゲームとして楽しむものと言うより、画像を立体的に見るための実験という感じです。
それ以外には、ボールを転がすものや熱帯魚が泳いでいる水槽、動くロボットなどがありますが、そんなに種類が多い訳ではありません

正直、そんなに長く楽しめるものではないので、ゲーム的な楽しさは一切期待しないで下さい。
立体映像の体験をして「うひょー!」って思ったら、それで終わりです。
でも立体的に見えるようになると、眺めているだけでも相応に楽しいですけどね。


オススメかどうかは正直、微妙です。
あくまで「立体画像の体験をする」というだけのアプリだし、上手く立体に見えない人も多いでしょうから、それで有料であることを考えると万人にはお勧めはし辛いです。

ただ、価格は 230 円と安めなので、試してみる価値はあるのではないでしょうか。
あまり過剰な期待を持たずに楽しむ分には悪くないと思います。
YouTube の映像が有名になっただけに、過剰に喧伝されている傾向がありますが、期待を持ちすぎているとガックリ来るかも・・・
なお、iPad の大きな画面にも対応しています。

私的には、たとえ実験的なアプリであったとしても、もうちょっと「使っている人を楽しませる工夫」があっても良かったのではないかと思います。
でも、今後が楽しみな技術である事は確かですね。

HoloToy(iTunes が起動します)