リアルな街のグラフィックと、ビルの上をアクロバチックに疾走するゲーム内容で注目された EA (エレクトロニック・アーツ)のオリジナルゲーム。
それが「Mirror's Edge(ミラーズエッジ)」です。

元は Windows、さらに XBOX360 と PS3 で発売されたゲームですが、それが iPhone / iPod touch でも登場しました。
と言ってもオリジナルとはゲーム性が大きく変わっており、元のゲームは主人公の視点から見た 3D 視点のゲームだったのですが、こちらは横から見たいわゆる「スーパーマリオ」風の視点のゲームに変わっています。

最初に iPad で公開されたものですが、それを iPhone / iPod touch にも移植した形です。

mirrorsedge

画面を横にフリックすると主人公が走り出し、上にフリックでジャンプ、下にフリックでスライディング。
主にこの2つで障害物を乗り越えながら、ビルの上や建物内をゴールに向けて疾走します。

壁走りや三角跳び、ローリング着地など様々なアクションがあるのですが、どれも上フリックや下フリックなどの簡略化された操作で行う事が出来るため、操作は非常に快適ですね。
うまく走れれば本当に気持ちよく疾走できます。

敵が出るステージも多いのですが、スライディングで足払い、ジャンプ+横フリックで跳び蹴りなどのアクションで、すれ違いざまに倒していくことが出来ます。
アクションシーンもスピーディーなのが良いですね。

mirrorsedge3

街のグラフィックは本当に綺麗で、iPhone 4 でプレイすれば高解像度の Retina ディスプレイに対応した画像になります。
「Retina Display専用」とか書かれていますが、iPhone 3GS などでも十分プレイ可能なようです。


ただ、ゲーム基本部分は本当に面白いのですが・・・
それ以外の「味付け」の部分があっさりし過ぎているというか・・・ 変化や長く遊ぶための要素に乏しい印象です。

例えばこのゲームはその内容から、ステージごとのクリアタイムを競うのが面白いと思うのですが、通常のモードにはそう言ったタイムの要素はありませんし、タイムトライアルモードもありますが表示はあっさり。
もっとタイムやランキングを意識できるシステムや演出にするべきではなかったかと思います。
ある意味「レースゲーム」なのに、競争心を煽られません

グラフィックも非常に綺麗ですが、舞台が「街」と「屋内」の2種類しかなく、後は昼夜の違いや壁の色の違いのみ。
ひたすらその2種類を使い回している形なので変化に乏しく、いくら綺麗でもだんだん単調に思えてきます。

またこのゲームシステムだと「疾走するのが楽しい」と思うのですが、中途半端にスーパーマリオ的な「立体迷路」のような構造になっているため、これがスピード感を殺しています
どこに行けばいいのか解らない事も多々あります。
このゲームのシステムなら、むしろ Canabalt のように横に走り続けるだけの方が楽しめたのではないかと思います。

やや余談ですが、セガの「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」も当初はハイスピードがウリだったのに、マップが複雑すぎて疾走できるステージがほとんどなく、そのため2作目以降はマップが大幅に改められた、という過去がありましたが・・・ そのことを思い出すようなステージ構成です。

また思ったよりボリュームがなく、始めてから2時間経たないうちにラストまで終わってしまいました
1ステージが3分~5分ほどでクリアでき、全14ステージなので、集中してやれば1日で終わる内容ですね。
多少ボリュームがなくても繰り返し遊べれば良いのですが、前述したように繰り返し遊びたくなる要素に乏しいです

またストーリーもあるのですが、各ステージの開始前に表示される文書を読んでも物語がサッパリ解らない
XBOX や PS3 版にはストーリーが語られるムービーシーンがありましたが、そう言うのがないからか全ステージの文章を一通り読んでも、最終的にどうなったのかワケが解らないまま終了した感じです。
物語性がもうちょっとあれば・・・ と思いますね。


ただ、私的に「これは良い」と思ったのは・・・ これはオリジナルの「ミラーズエッジ」のコンセプトを完全否定するような意見ですが・・・
主人公目線の 3D 視点ではなく、横から見たタイプのゲームになったこと。

私は PS3 版の「ミラーズエッジ」もプレイしているのですが、オリジナルのミラーズエッジは周囲を把握しにくい主人公視点でアクロバチックなアクションを再現しようとしたゲームであったため、ジャンプ場所や着地のタイミング、アクションを起こすべき場所などが非常に解り辛く、とにかくやりにくいゲームでした。

リアルな 3D の町並みが表現されていたとは言え、所詮それは 2D の画面の中ですから、空間把握や物質の認知は現実のようには行えない訳で、しかしそれを現実さながらに要求されるその内容は、ゲームとしては非常に難解なものだったのです。
私的なオリジナルのミラーズエッジの感想は、解りにくいタイミングをひたすらリトライして覚える、忍耐とストレスのゲームという感じでした。

だからゲームとしては iPhone 版や iPad 版の方が楽しめる訳で、ネット上で「ミラーズエッジなのに 3D 視点じゃねーの? 最悪じゃん」みたいな意見が出ているのを見ると、「お前はオリジナルのミラーズエッジをやった事あるのかよ!」と言いたくなります。


と言う訳で iPhone / iPod touch 版の Mirror's Edge、オススメかとどうかというと・・・ ちょっと微妙ですね。
私的には 600 円は高いと思います。 iPad 版の 1200 円は高すぎると思います。
ゲームの基本部分は面白いだけに、もっとプレイヤーを楽しませるための「外側の作り」を作り込めば、かなり良くなる素材だとは思うのですが、今の内容だと価格を考えると「うーん」という感じですね。

とは言え初めて見たときは「おぉーっ」と思うし、最初のうちは間違いなく面白いし、決して「つまらないゲーム」ではありません。
私的に価格を付けるなら、350 円ぐらいかなぁ。

Mirror's Edge™ (iTunes が起動します)
Mirror's Edge™ for iPad (iTunes 起動、iPad 用)