600 万ダウンロードを突破し、もはや世界的大定番アプリとなった投射型物理シミュレートパズルゲーム「Angry Birds」。
それにハロウィンバージョンが登場しています。
それが「Angry Birds Halloween」です。
そしてもっと注目なのが・・・
この Angry Birds を販売していた iPhone / iPod touch アプリの大手パブリッシャー(公開元) Chillingo が、EA(エレクトロニック・アーツ)に買収されたというニュース。
買収価格は2千万ドル(1ドル100円とすると20億円)と言われています。
しかしこの動きに Angry Birds の開発メーカー Rovio は反発しており・・・ 「もう Chillingo とは契約しない」とコメント。
今回公開されたハロウィンバージョンも販売元が Rovio 自身になっています。
今回はアプリのレビューだけでなく、急に進み始めたその辺りの iPhone アプリ / モバイルゲーム の動きも合わせてご紹介したいと思います。
まずは Angry Birds Halloween の内容ですが・・・
ゲーム自体は、普通の Angry Birds と変わりません。
簡単にゲーム内容を説明すると、投射機で鳥の姿をした「弾」を放り投げ、木や石の板などで構成された建物の中にいる「ブタ」を倒します。
建物は鳥が当たると「物理シミュレート」された動きでリアルに崩れていき、その壊れる様子を見るのも楽しいゲームと言えますね。
ハロウィンバージョンは背景が黒と赤のハロウィン風のグラフィックで、サウンドも不気味なホラー風のものになっています。
カボチャやランタンなども登場し、カボチャは破壊すると笑い声共に破裂してコウモリが飛び出していきます。
ステージも新しいものが収録されていて、合計 75 ステージ。
本編よりは少なめですが、115 円という価格を考えると相応のボリュームがあると言えます。
また、難易度は本編よりかなり高く、10 ステージ目辺りから早くも本編の後半に匹敵するぐらいの難しさになります。
よって基本的には Angry Birds 経験者向け、と言えますね。
※現在、Angry Birds Halloween は Angry Birds Seasons に変わり、季節ネタ全般を扱うものになっています。
そのためハロウィンだけでなく、クリスマスやバレンタインをテーマにしたステージも追加されています。
・Angry Birds Seasons(iTunes が起動します)
さて・・・ この Angry Birds、本家は前述したように 600 万ダウンロードの大ヒットアプリとなりました。
そのためか今回の Chillingo 買収のニュースでも、一般のビジネスニュースでは「Angry Birds の Chillingo が」と言うような表現をされることが多いようです。
私的には、Chillingo は iDracula や Minigore、Defender Chronicles など他にも多くの名作ゲームを販売しており、Angry Birds はむしろ後発のアプリなので、「Angry Birds の」と表現されるのは違和感があるのですが・・・
その Angry Birds の開発元が今回の買収で真っ先に「異を唱えた」と言うのは皮肉なものです。
Chillingo と言う会社はパブリッシュ(出版・公開)とプロモーション(販促・広報)を行う「パブリッシャー」と呼ばれる会社で、Chillingo 自身がゲームを開発している訳ではありません。
パブリッシャーという言葉は元々は書籍の「出版社」という意味なのですが、つまり「作家は別にいる」訳ですね。
こうしたゲームのパブリッシュ専門会社というのは日本ではあまり馴染みがありませんが、実際には日本でもスクウェアやバンダイナムコ、カプコンなどの大手会社は、外注で制作されたゲームを販売・監修しているので、日本でも大手メーカーは同時にパブリッシャーでもあります。
(まあ世界的にも Chillingo は特殊な会社だったとは思います)
今回の EA の Chillingo 買収劇でどうして Angry Birds の開発元 Rovio が反発しているのかは解りませんが、提携メーカーとしては自分の会社の版権が意図せず EA に流れていくような事に反発する動きもあるのでしょう。
EA は Chillingo を吸収する訳ではなく、Chillingo は今後も独自に活動していくようですが、子会社になる以上はその権利は親会社のものにもなるでしょうから、中小メーカーとしては Chillingo を利用し辛くなるかもしれません・・・
ユーザーにとっては、EA は開発力や資金力のある会社なので更なる拡張が期待できるし、日本語版を開発してくれるメーカーなので、日本人にとっても期待できる話と言えます。
まあパソコンのゲームソフトについては、EA に吸収されたためにその後に整理縮小され、消えていったタイトルが少なからずありますが・・・
さて、今回の買収の理由についてですが、これはどうやら「ソーシャルゲーム・プラットフォームの取得」というのが大きいようです。
「ソーシャルゲーム・プラットフォーム」は先日もご紹介したばかりですが、Apple の Game Center や、OpenFeint、AGON などのゲームアプリを通じた「ソーシャル・ネットワーク・システム(SNS)」ですね。
海外では FaceBook や MySpace などのコミュニティツール「SNS」が大きく発展しています。
これらは「実名による現実世界のコミュニティの補助」と言えるシステムなので、日本の環境にはまったく合っておらず、日本では鳴かず飛ばずの状態なのですが、海外では高い利益を上げています。
日本でも招待型の SNS である Mixi は大きな収益を上げていますね。
そして現在、SNS と同じぐらい成長を期待されているのが、OpenFeint などの「ソーシャルゲーム・プラットフォーム」です。
今回買収された Chillingo は Crystal というソーシャルゲームプラットフォームを持っています。
また、Chillingo に先だって EA に買収されたイギリスの Playfish という会社も FaceBook や MySpace でソーシャルゲームを作っていた会社です。
日本でも最近「モバゲー」を運営する DeNA が、Plus+ というソーシャルゲーム・プラットフォームを持っていた ngmoco というメーカーを4億ドルと言う超高額で買収しました。
ここは「Rolando」という大ヒットアプリを開発していたメーカーですが、本当の狙いは Plus+ を発展させた海外でのソーシャルゲーム展開であったようで、「今後はこれを収益の柱としたい」という意向のようです。
今年はディズニーも Tap Tap Revenge シリーズ を展開している Tapulous という会社を買収したのですが、Tap Tap Revenge 3 はそれ自体がすでに SNS となっています。
要するに、「ソーシャルゲームプラットフォームの取り合い」「ソーシャルゲームへの進出合戦」が行われているみたいですね。
日本でソーシャルゲームというと「Mixi のおまけゲーム」と「携帯電話のプチオンラインゲーム」みたいなものですが、世界的にはもっと大規模に考えられているようです。
ソーシャルゲーム・プラットフォームは普通のゲームにソーシャルネットワークのシステムを加えるものなので、FaceBook や MySpace などのオープンな SNS が盛んな海外では、日本以上の効果が期待されているのかもしれません。
あと数年経つとソーシャルゲームの世界でも、作り込まれた海外製の作品がどんどん日本に流入してくることになるかもしれませんね。
FaceBook や OpenFeint を見ていると、海外製のソーシャルシステムは日本じゃダメな気もするけど、EA や DeNA が絡んでくると、また違ったものになって行くかもしれません。
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PS ・ 先日の記事「Game Center 対応ゲーム情報」にも、対応アプリを追加しました。
コメント一覧 (4)
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- 2010/10/23 22:13
- そう言えば ZenBound の Secret Exit も Chillingo と提携しなくなりましたね。なにか契約で厳しかったりするのかな・・・
でも Chillingo の実績を考えると、そのプロデュース力は確かだと思うのですが・・・
ngmoco はたぶん、DeNA の指示で Plus+ の拡張に専念している気がします。
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- 2010/10/26 09:54
- ngmocoはフリーミアムモデルのゲームに注力するためにRolandoなどの売り切りゲームは縮小・撤退したそうです。
(そちらは利益に結びつかなかったらしい…)
なので、Rolandなど
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- 2010/10/27 21:59
- Rolando 程のヒット作で利益に繋がっていないとは。
しかし基本料金無料のアイテム課金もヒットすれば良いけど、そうでないと大コケするだろうしなぁ・・・
でも長期的な収益を考えると、無料配布でユーザーを増やして課金で稼ぐ方法の方が良いんでしょうね・・・
モバゲーとかはその手だし。
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Rolandoシリーズもngmocoから発表されてたロードマップが無かったことにされてるくさいし(3作目は打ち切り)、
2作目リリース前の1作目ストア撤収&復帰とか…HandCircusも音沙汰無いし…
デベロッパとパブリッシャのゴタゴタはイヤですねぇ~