世界的に有名なボードゲーム&カードゲームのデザイナー、Reiner Knizia(ライナー・クニツィア)氏
彼のドイツゲームは iPhone / iPod touch では数多く登場していますが、今回はそんなクニツィア氏のゲームアプリをまとめて3つご紹介しようと思います。

Reiner Knizia's Money」と、
Reiner Knizia's High Society」と、
Reiner Knizia's Kingdoms」です。

なぜ一度に3つまとめて取り上げるかというと・・・ どれも強くオススメ出来ないからです。
その理由は、「音が一切なかった事」。
BGM も効果音もなし。 演出も控えめです。
つまりゲームアプリとしては、あまりにも寂しすぎるのです。

ドイツゲームのアプリは iPhone AC でも積極的に取り上げていますが、ライナークニツィア作とは言え、あまりオススメ出来ない「無音アプリ」を連続で扱うのも気が引けるので、今回はまとめてご紹介しようと思います。

※現在はアップデートにより、各ゲームに効果音が追加されています。

と言う訳で、まずは Money(マネー)から。

Money

ポイント制のカードゲームです。
1999 年に「ドイツ年間ゲーム大賞」のノミネート作となりました。
各プレイヤーにお札や硬貨の書かれたカードが配られ、場にも4枚1セットのカードの束が2つ置かれます。

プレイヤーは手札からカードを数枚選んで出し、一斉にオープンします。
そしてカードの金額の高い人から順番に、場にあるカードか、他のプレイヤーの出したカードと、自分の出したカードを交換していきます
場にあるカードと交換するだけでなく、他プレイヤーの出したカードも交換対象なのがユニークな点です。
交換したいカードがなくなった時は自分の番にカードを手札に戻す事も可能です。

全員が交換し終えたら、場のカードが4枚以下になっている場合は山札から補充され、次のラウンドになります。
そうやってカードを交換し続け、山札がなくなればゲーム終了です。

得点(ポイント)は、同じ種類の札束の合計金額が 200 以上ならそのまま得点に、100~200 点なら金額から 100 を引いた分が得点に(例えば 150 なら 50 点)、同じ種類で同じ金額の札が3枚あれば 100 点になります。
さらに、硬貨はこれらとは別に1枚 10 点になります。

同じ種類のお札が複数あっても合計が 100 以下だと点になりませんので、同じ札を出来るだけ集めつつ、同種類で同額の札が集まりそうならそれも狙う、という形になりますね。

Money のゲームとしての難点は、計算が面倒な事。
同じ札の合計が 200 以上かどうかで点数が変わってきますから、持っている額を計算しなければなりません。
クニツィアのカードゲーム Poison も計算が必要ですが、こちらはカードの種類が少ないし、14 以上かどうかだけを考えれば OK でした。
しかし Money は 200 以上か 100 以上かなどを、それぞれの札で計算しないといけないので、ゲームがやや煩雑です。

アプリとしては操作性が良く画面も見やすく、iPad だとレイアウトも縦画面の見やすい形に変更されます。
効果音されあればなぁ・・・ という感じですね。(現在は効果音があります)
それにカードゲームとしても、やはり Poison の方が気軽にプレイ出来るかな・・・


続いて、High Society です。

High Society

シンプルな「競りゲーム」です。
Ra(ラー)」「Medici(メディチ)」と合わせて、「ライナークニツィアの3大競りゲーム」とも呼ばれる、世界的にメジャーなゲームの1つです。
ただ、有名な割には受賞暦は 1995 年の「ドイツゲーム賞」で 10 位になったのみと奮っていません。
この 1995 年は「Catan(カタン)」が登場して絶賛された年で、他に Medici が登場しており、それらに埋もれてしまったようです。

山札から競りの対象となるカードが1枚場に置かれ、それを各プレイヤーが手持ちの資金カードを順番に出して競り落としていきます
ラーやメディチのように1巡で終わると言うことはなく、一番高い金額が決まるまで何巡でもします。
競り対象のカードには数字が書かれており、それが競り落とした人の得点になります。

マイナスカードや点数2倍カードもあり、マイナスカードの場合は「最初にパスした人が」貰ってしまう事になります。
マイナスカードはスキャンダル(-5点)、盗難(落札したカードが1枚なくなる)、火災(点数が半分になる)の3つがあります。

点数2倍と火災(点数1/2)は赤いカードで、この赤いカードが4枚出た時点でゲーム終了です。(つまり終わるタイミングはランダム)
点数が一番高い人が勝利ですが、もう1つ重要な要素があり、点数に関わらず最後の所持金が一番少なかった人は最下位となります。
このルールがあるため、無駄遣いしまくると「ドボン」ということになりますね。

競りゲームとしてはシンプルなルールで、そのためラーメディチと比較して「初心者向け」とされる事が多いようです。
ただ、勝つためには他の人の所持金を把握する事が重要で、そのため他プレイヤーの所持金が常に開示されているラーやメディチよりも、意外にやりにくさがあります。

ルールが覚えやすく得点計算もラクなので、実際のカードでプレイする場合は良いゲームだと思いますが、コンピューターゲームとしてはラーやメディチの方が、駆け引きや戦略性があると思います。


次いで Kingdoms

Kingdoms

1994 年に公開されたゲームですが、特に受賞暦はありません
プレイヤーは順番に、マスの上に「城」「得点」「減点」のタイルを置いていきます。
手持ちのパネルを置いても良いし、山札から1枚引いてそれを置いても構いません。

「城」は縦横一列のライン上のタイルの得点を得る事ができます
例えが城を置いた横のラインに +2 と +5 と -3 のタイルがあったら、合計は4点ですね。
城には「丸」が書かれていて、これが2つなら点数は2倍、3つなら3倍になりますが、減点もそれだけ倍増します。

特殊タイルとして「山」と「ドラゴン」があり、山はラインの「壁」となります。
城は縦横一列のパネルの得点・減点を得ますが、途中に山があると、その向こうのパネルの点数は対象外になります。
「ドラゴン」は置いた場所の縦横一列の得点タイルを全て無効にしてしまう(しかし減点パネルはそのまま)という強力なお邪魔パネルです。

自分の城の縦横の列にプラスのタイルを置きつつ、他のプレイヤーの城の縦横の列にマイナスのタイルを置いていくのがゲームの基本となります。

マスが全部埋まったら1ラウンド終了。
タイルはすべて戻され2ラウンド目が始まりますが、使用した城タイルは「丸」が1つのものは手持ちに戻ってきて、「丸」が2つ以上のものは破棄されます。
3ラウンド終了時に合計得点が一番多かった人が勝者です。

先に城を置くと他プレイヤーからマイナスタイルを置かれまくりますが、躊躇し続けていると城が置けなくなって点数が入りません。
その辺りの駆け引きがポイントで、iPhone / iPod touch には他に類似のゲームがなく、相応の面白さもあります。
ただ、やはりサウンドも演出も乏しいので地味な印象は拭えません

加えて iPhone / iPod touch 版は操作性がイマイチで、タイルをタップして選んだ後、慎重にボード上に置く必要があります。
単にタイルをドラッグしただけでは誤操作が多発します。
iPad なら画面が大きいのでまだマシなのですが・・・


これらのドイツゲームシリーズを発売したのは、以前から RPG.net というボードゲームのコミュニティーを運営しているアメリカの会社です。
古くからあるボードゲームの販売・ポータルサイトなので、「ボードゲームの再現」に重点が置かれているのかもしれません。
だから、音がないし、余分な演出もないのだと思います。(現在は音があります)

グラフィック自体は綺麗に描かれていて、iPhone / iPod touch と iPad の双方に対応し、ゲームによっては iPhone だと横向き、iPad だと縦向きになるなど、デバイスに応じたレイアウトに修正されます。
それなのに BGM はともかくサウンドもないというのは・・・ これはもう「ポリシー」なのかもしれませんね。

また、ネット対戦はともかく、多人数プレイにも対応していないのはやや疑問が残ります。
手札がバレてはダメなゲームが多いためでしょうか?

しかしマネーやハイソサエティーは相応に有名なカードゲームですし、通勤中に遊ぶなど、元々無音の状態でプレイしている人なら問題はないと思います。
Keltis Oracle も最初は音がありませんでしたが、アップデートでサウンドが追加されたので、今後の拡張に期待したいところでしょうか・・・

※現在はアップデートにより、各ゲームに効果音が追加されています。

Reiner Knizia's Money(iTunes が起動します)
Reiner Knizia's High Society(iTunes が起動します)
Reiner Knizia's Kingdoms(iTunes が起動します)