汝は人狼なりや?」というゲームをご存じでしょうか?
カードやボードを使わないテーブルトーク型(パーティーゲーム)と呼ばれるタイプのゲームです。

プレイヤーには「村人」「人狼」「狂人」などの役割が与えられますが、誰がどの役割かは解りません。
人狼は村人に紛れて村人を全て殺す事が、村人は相談して1人ずつ処刑し人狼を殺せば勝利となります。
狂人は村人ですが人狼の勝ちで勝利となります。
プレイヤーは他の人と会話をしながら相手の役割を推測し、自分の勝利条件の達成を目指すという「推理ゲーム」です。

このゲームの原型は古くからありましたが、カードやボードを使わないためチャット上やオンラインゲーム上でもプレイ可能で、インターネットの普及と共に大きく広まりました。
UO(ウルティマオンライン)というゲームでは、そのゲーム内で「人狼」をプレイするためのギルドなども運営されています。

前置きが長くなりましたが・・・
そんな「汝は人狼なりや?」はカードゲームやボードゲームにもアレンジされており、その一部は高い評価を受けています。
そんな「人狼」タイプのカードゲームが iPhone / iPod touch にも登場しました。
それが今回ご紹介する「BANG!」です。

舞台は西部劇。 プレイヤーには保安官、副保安官、無法者、裏切者などの役割が与えられ、カードで他のプレイヤーにダメージを与えながら、自分の役割の勝利条件を目指します
オリジナルのゲームは 2003 年に発売されており、アメリカのカードゲームの表彰での受賞暦もあります。

BANG! the Official Video Game

各プレイヤーに5枚ずつカードが配られてゲームスタート。
プレイヤーは自分の番が来たら2枚のカードを引き、そして任意の数だけカードを使う事が出来ます。

他のプレイヤーを攻撃する「BANG! カード」を使うと、相手にダメージを与える事が出来ます。
ただし使われた人が「×カード(Missed!)」を出すと、攻撃は回避されます。
BANG! カードは最初は隣の人にしか使えませんが、「銃のカード」があってこれを装備すると射程が伸び、遠くの人も狙えるようになります。

他にも体力を回復するビール(BEER)、撃たれてもガードできることがある「タル」、相手のカードを盗むもの、装備を解除出来るものなど、様々なカードがあります。

カードを使い終わったら画面右のツマミを下にスライドしてパスします。
この時、カードを持ちすぎている時は捨てなければなりません。
カードを保持出来る量は自分の HP と同じで、つまりダメージを受けるほどカードが持てなくなり、「手負い」の状態になる事になります。

ゲームの目的は自分の役割で異なります。
保安官(Sheriff、シェリフ)副保安官(Deputie、デプティ)は無法者と裏切者を全員倒す事が目標、無法者(Outlaw、アウトロー)は保安官を倒す事が目標です。
裏切者(Renegade)は難しく、最後の1人になる事が目標ですが、順番としては裏切者→副保安官→保安官の順で倒していかなければなりません。
(保安官を先に倒すとその時点で無法者の勝利になり、副保安官より先に保安官を狙うと保安官に怪しまれるので)

このゲームは「保安官」だけは最初から告知されています
よって、「保安官を撃っている奴は無法者」 「保安官の隣にいるのに別の人を撃ってる奴は副保安官か裏切者」 と言うように、ある程度プレイヤーの役割が予測しやすくなっています。
ただ、「フェイク」を入れても良いし、ハッキリしてないのに適当に撃つ人もいるので、その辺りの推測や駆け引きが面白い点ですね

なお、無法者が倒されると「賞金」として、倒したプレイヤーにはカードが3枚与えられます。
保安官が誤って副保安官を倒すとペナルティーとして手持ちのカードを全て失います。

BANG! the Official Video Game

ゲームとしては、かなり面白いと思います。
他者の役割を予測する面白さと、カードゲームとしての駆け引きがうまく融合しています

また、グラフィックや演出が素晴らしく、楽しげで雰囲気のある西部劇風の BGM と、ゲームを盛り上げる各種のサウンドが用意されています。
カードもビールを使うと横に傾いてゴクゴクという音がしたり、タルで銃撃を防ぐとタルカードがクルクル回るなど、見ていて楽しい演出が盛り込まれています。
やはりこうした演出があると無いとでは、ゲームの面白さは全然違ってきますね。


ただ、残念のは・・・ 現時点(2011/1)では、まだこのアプリは「完成品」とは言えないこと。
難易度が EASY しか選べず、キャラクターごとに用意されている特徴も EASY では活用出来ず、未実装の状態です。
キャラクターも使用出来ないものが多く、追加ルールやランキングの選択もあるのですが、選んでも「アップデートを待ってね♪」の表示が出るだけ。
アップデートは頻繁に行われていますが、まだバグ修正やマイナーな調整の段階です。
難易度が EASY しかないのも、開発者が納得出来る強さの AI が作れていないからではないでしょうか。
さらにゲーム開始時に画面が真っ黒になる症状が多発しており、こうなるとマルチタスクからゲームを削除して、立ち上げ直さないと治りません。

まだまだ未完成といった印象で、本家の iPhone AC でも取り上げたいと思っていますが、アップデートされてからかな、と言ったところですね。
以下は Youtube で公開されているオフィシャルのトレーラーです。




まだ「先行公開」と言った段階ですが、現時点でも十分遊べるゲームだし、慣れてないうちは EASY の方が遊びやすいと思います。
価格も 230 円と安く、それ以上のクオリティーを持つアプリです。
問題もありますが、今の時点でもオススメ出来るカードゲームですね。

完成度さえ高まれば、今後の定番アプリの1つになっても良いゲームだと思います。

BANG! the Official Video Game(iTunes が起動します)


【 ちょこっと攻略 】

Bang のカードリストを一覧表記しておきます。
プレイ時の参考にして頂ければと思います。

=消費カード= (黄色)
BANGカード:他プレイヤーを撃つカード。 通常1ターンに1度しか使えない。 銃がない場合、隣の人(距離1)しか撃てない。
×カード:回避のカード。 銃撃を受けた時に使うとダメージを受けない。
黒と白の銃マークのカード:決闘カード。 指定した相手と BANG カードを出し合う(先に相手から出す)。 先に出せなくなった方は1ダメージ。
爆発マークと、その下に複数プレイヤーのマーク:マシンガンのカード。 全員を銃撃する。
インディアンカード:出した人以外が全員襲撃を受ける。 BANG カードがある場合はそれを使いダメージを受けない。 ない場合はダメージ1。
x2、x3カード:x2 はカードを2枚引く。 x3 はカードを3枚引く。
ビールカード:体力を1回復。 撃たれて死にそうな時に持っている場合、使ってダメージを相殺出来る。 残り2人になると使用出来ない。
扉(サロン)カード:全員の体力を1回復。
$カード:ショップのカード。 カードが人数分提示され、そこから全員が順番にカードを1枚ずつ取得していく。
女性のカード:他プレイヤーのカード破棄。 装備か手札を1つ破棄させる。
1と書かれた男:盗みのカード。 他プレイヤーのカードを1つ奪う。 装備も奪える。 距離1の相手にしか使えない。

=装備カード= (青色)
銃カード:使うと装備する。 数字の分だけ射程が増える。 !マークの銃は射程はないが、1ターンに複数の BANG カードを使える。 新しい銃を装備すると前の銃は破棄される。
スコープ:装備すると自分から見て他のプレイヤーの距離が1になる。(よって全員を撃つ事ができ、距離1の盗みカードも全員に使える)
タルカード:装備しておくと、銃撃を受けた時にカードを1枚引く。 そして右下に蹄鉄マークがあればダメージを受けずに済む。
馬カード:装備していると、他プレイヤーから見た装備者との距離が1増える。
ダイナマイト:装備したプレイヤーは次の自分の番にカードを引く。 そのカードの右下にダイナマイトのマークが書かれていると爆発して3ダメージを受ける。 それ以外なら次の人にダイナマイトを渡す。
JAIL(牢屋):他のプレイヤーに使用する。 使われた人は自分のターンにカードを引く。 カードの右下に蹄鉄の付いたマークがあれば解放され影響なし。 それ以外のカードだとそのターンはパスとなる。