一言で言ってしまうと、「ゲームロフトのスタークラフト」。
ある惑星上で、貴重な鉱石を入手しようとする人類、鉱石を守ろうとするエイリアン、意思を持つ謎のロボット軍団が、三つ巴の戦いを繰り広げる RTS (リアルタイム・ストラテジー)。
それが「スペースフロント:Collision」です。
ゲームロフトのゲームの多くは、ゼルダの伝説を模した「セイクリッドオデッセイ」、アンチャーテッドを模した「シャドーガーディアン」、ファイナルファンタジーを模した「インフィニットレガシー」など、他のゲームをスマートフォン向けにアレンジしているものが多いのですが、今回は世界的に大ヒットしている RTS 「スタークラフト」を模しています。
ただ、日本ではスタークラフトの事を知らない方が多いと思います。
このゲームは日本では様々な理由(翻訳や販売方法の不備、アップデートに未対応など)でまったく普及せず、一方で「エイジ・オブ・エンパイア(AOE)」シリーズが RTS としては大成功を収めたため、その影に完全に隠れてしまったからです。
しかし世界的にはスタークラフトは、最も成功した RTS として知られています。
ちなみにこのゲーム、海外名は「Starfront」なのですが・・・ 日本だけスターがスペースになってるのはなぜなんでしょうね。
アプリは無料で提供されていますが、無料のままでは体験版に過ぎず、800 円の追加課金を行わないとフルバージョンで楽しめないのでご注意下さい。
ゲームは RTS (リアルタイム・ストラテジー、リアルタイム・シミュレーション)の一般的なシステムと言えます。
最初に司令部となる拠点があり、そこで作業ユニットを生産し、その作業ユニットで鉱石やエネルギーがある場所に採掘施設を建造します。
採掘施設に作業ユニットを送り込むことで、さらに採掘速度を早めることも可能です。
その後、作業ユニットで兵士を生産する施設を建て、採掘した資源を使って戦闘用ユニットを量産し、部隊を編成します。
司令部や戦闘用ユニットの生産施設では、資源を使って技術の研究を行い、ユニットを強化したり、新ユニットを生産可能にすることも出来ます。
ユニットがある程度そろったら敵地に進攻し、相手を倒し、敵司令部を破壊すれば勝利となります。
もちろん敵も反撃してくるし、相手から攻めてくることもあるので、簡単ではありませんけどね。
この辺りのルールは RTS をやったことがある人なら、すぐに理解できるでしょう。
ただこのゲームは設定が SF のため、建物やユニットが独自の外観とネーミングになっています。
戦車みたいなユニットがいわゆる「農民」だったり、エネルギーを得るための施設が発電所ではなく「トカマク」とか言う独自の名前だったりするので、解りにくいのが難点ですね。
操作性は「タッチパネルでプレイする RTS としては」よく出来ていて、二本指タップで範囲指定が可能、指定したユニットに番号を付けて「グループ化」することもできます。
また、画面下に「画面内の全ユニットを一括選択」するボタンがあって、これが非常に便利です。
最初に述べたように、このゲームには「人間」「エイリアン」「ロボット」の3種族がいて、それぞれが若干異なる特性を持ちます。
ただ対戦も考慮されたゲームですから、大きな有利不利はありません。
ゲームモードは1人用の場合「ストーリーモード」と「フリーモード」の2つが用意されていて、ストーリーモードではそれぞれの種族のストーリーが用意されています。
ただ、人間→エイリアン→ロボットの順でストーリーをクリアして行く必要があり、好きな種族から始められる訳ではありません。
ステージは全 16 ステージで、相応に長く楽しめますね。
オンラインのマルチプレイにも対応しており、1vs1 の戦いの他に、2vs2 のチーム戦、全員が敵のバトルロイヤルなどが可能です。
戦闘結果によるオンラインランキングも用意されており、元のスタークラフトがオンライン対戦メインのゲームであったため、このゲームもマルチプレイに力が入れられているようです。
日本語フォントがガタガタなのは残念ですが、Retina 対応のグラフィックは綺麗ですね。
以下は海外のゲームトレーラーサイト GameTrail により Youtube で公開されているプレイムービーです。
(公式のトレーラーはまだオープニングムービーしかありません)
ただ、RTS として色々と気になる点も見受けられます。
まず、こうしたゲームはストーリーも楽しいのですが、「フリープレイ」で遊ぶのもメインになります。
しかしこのゲームのフリープレイは 1vs1 しかプレイ出来ません。
マルチプレイは最大4人で戦えるし、ストーリーモードにも三つ巴戦があるのに、どうしてフリーで1対1しかないのか疑問が残ります。
また1対1の戦いのため、ある程度必勝パターンが解ってしまうと、難易度が高くてもラクに勝てるようになって来て、やや物足りなくなりますね。
さらに、ユニットの上限数が 40 という点。
40 ユニットで戦えれば相応に多対多戦闘の楽しみは得られます。
しかしこの手の RTS で 40 ユニットが上限というのは、ハードの処理能力の制約があるとしても、ちょっと少なく感じます。
しかも1体で制限数を2以上消費するユニットがあるため、実際のユニット数は 40 をかなり下回ります。
そもそも iPhone には「ザ・セトラーズ」という本格 RTS がすでに存在していて、そちらは 100 ユニットで攻め込む事もできるのですから、それと比較しても後発で 40 というのは少なく思えますね。
また、これは難点と言うか、しょうがない事ではあるのですが・・・
通常の RTS は「左クリックで選択、右クリックで移動」です。
しかしタッチパネルだとタップに左右の区別がないため、移動しようと思って別のユニットを選択してしまうことがかなり多くあります。
操作性は優れているとは思いますが、やや操作しにくいこともありますね。
そして難点ではないけど、一番の問題だと思うのは・・・
こうした「人間・エイリアン・意思を持ったロボット」という、いわゆる「スターウォーズ的 SF 設定」は、あまり日本向けではないと言う事。
特に日本では RTS と言えばリアル路線の AOE / AOK (エイジオブエンパイアシリーズ)だったので、このゲームより「セトラーズ」の雰囲気の方がしっくり来る方が多いのではないでしょうか。
まあ、スタークラフトの模倣なので、これは言ってもしょうがない事ではあるんだけど。
と言う訳で「スペースフロント:Collision」、1人用をやった限りでは、RTS として楽しめるアプリではあるけど、「もう一息」という感じも否めず、オススメかどうかは難しいところです。
ハッキリ言ってしまうと「劣化スタークラフト」ですね。
でも、iPhone / iPod touch でこれだけ再現されていれば十分とも思います。
ストーリーも先が気になる展開で楽しめます。
iPhone の RTS としては、もっと大規模な開発と戦闘が行える「ザ・セトラーズ」の方が良いような気もしますが、セトラーズが「開発型 RTS」なのに対し、スペースフロントは AOE に近い「戦闘型 RTS」です。
ですから性質は結構異なっていて、スペースフロントの方が早い段階から戦いが繰り広げられます。
よって競合するゲームという訳ではないですね。
まあ、スペースフロントの本領は「マルチプレイ」だと思います。
ここはまだ試していないのですが、「オンライン対戦が出来る RTS がやりたい」と思っている人にとっては、唯一無二のゲームだと言えるのではないでしょうか。
いずれにせよ RTS が好きな、ややマニア向けのゲームですね。
・スペースフロント:Collision(iTunes が起動します)
コメント一覧 (3)
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- 2011/02/24 00:13
- あぁ、確かに初期ラッシュが存在しないセトラーズより、iPhone 向きと言えるかもしれませんね。
そう考えるとユニット最大数が40なのも、ユニットの貯め合いではなく消耗戦になるので、その点では携帯向けと言えるのかな。
逆に初期ラッシュが存在しないからこそ、セトラーズは RTS に慣れてない人でもやりやすいと言うのがあったかもしれませんね。
PC 版の RTS はショートカットもフル活用する必要がありますが、それがないのは逆に取っ付きやすいかも?
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- 2011/05/20 12:46
- 購入しましたが、上手くダウンロード出来ませんでした。
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個人的にはAOEで言うところの初期ラッシュのタイミングで意図せずとも戦闘スタートになるなど、結構展開が早いので、ワンプレーが短いと言う意味でiPhone向きなのかという気もします。
ただ、ザ・セトラーズといい、マウス+フルキーボードでも忙しい本格RTSがiPhoneで出来るのかというのが怖くて手を出し辛いですね…。