先日アメリカでゲーム開発者や関係者の祭典「Game Developers Conference 2011」(ゲーム デベロッパーズ カンファレンス)が開催されました。 通称「GDC」。
その模様は各ゲーム情報サイトでこぞって紹介されていますね。

ここではゲーム開発者の選出による優秀作品の表彰「GDCA 2011」も行われています。
また、これに合わせて個人や小規模メーカーの優秀作品を対象としたインディーズゲームの表彰「IGF Award 2011」も発表されています。

と言う訳で、今回はその表彰で選ばれた iPhone / iPad の作品の紹介を行いたいと思います。
ただ、今回は iPhone / iPad のゲームはあまり選出されていません
昨年は iPhone / iPod touch のゲームが各賞を席捲したのですが、さすがに前年が特別だったようで、そのフィーバーぶりも今年は落ち着いています。

まず GDC の表彰 GDCA 2011 については、家庭用ゲーム機とパソコンのゲームが大半で、iPhone アプリはほとんど入っていませんでした。
ただ、携帯ゲーム機を対象とした 「Best Handheld Game」 の表彰は以下の様になっています。

受賞:Cut the Rope(iOS)

ノミネート:God of War: Ghost of Sparta(PSP)
ノミネート:メタルギアソリッド ピースウォーカー(PSP)
ノミネート:ゲーム発展国++(Game Dev Story、携帯・iOS)
ノミネート:ドラゴンクエスト IX(DS)

と言う訳で受賞したのは iPhone アプリの Cut the Rope となっています。
またゲーム発展国も原作は一般携帯アプリですが、iPhone アプリからのノミネートですね。

GDCA2011

ドラクエやメタルギアを差し置いて Cut the Rope が受賞ってのも違和感ありますが、「ゲーム開発者の目線」と言う事を考えると、あの奇抜なアイデアやゲーム性が評価されたという事なのでしょうね。
ゲーム発展国がこの中に入っているのも面白い結果です。


続いて IGF Award 2011
こちらもノミネート作はほとんどパソコンゲームになり、iPhone アプリばかりになった前年の反動が来ていた印象です。
ただ、Best Mobile Game 賞は逆に、iPhone アプリだけが並ぶ結果となりました。

受賞:Helsing's Fire

ノミネート:Colorbind
ノミネート:Solipskier
ノミネート:Halcyon (iPad)
ノミネート:Shot Shot Shoot (iPad)

選考作品:Flick kick Football
選考作品:Shibuya
選考作品:Spirits
選考作品:Trainyard

IGFA2011

今年は Android や DS のゲームがなく、インディーズのモバイルゲーム市場が完全に iOS に移行しているのが伺えます。

ノミネート作は渋いクール系のデザインのゲームばかりとなっていますね。
IGF Award はこうしたシンプルでクールなデザインのゲームが選出されやすいのですが、今年は特にその傾向が強く、正直言って偏りすぎです。
Mobile Game 賞も一般的なデザインのゲームと言えるのは Flick kick Football ぐらいしかありません。
あまり「芸術家のためだけの賞」にはなって欲しくないのですけどね・・・

とは言え、巷の人気に左右されない(?)秀作が並んでいる、見所のあるラインナップであることも確かです。
Colorbind が選ばれている所なんか渋いですね。
受賞作の Helsing's Fire やノミネート作の Solipskier なども、選ばれていることに納得です。

ただ、ノミネート作の HalcyonShot Shot ShootiPad 専用のゲームなので、知らない方も多いのではないでしょうか?
どちらもシンプルなゲームですが、今回の IGFA で「いかにも選ばれそうな作品」です。

このブログは iPad 専用のゲームは基本的に扱わないのですが、今回は受賞作と言う事でこの2つを簡単にご紹介したいと思います。
もうすぐ iPad 2 も出ますしね。


と言う訳で、まずは「Halcyon」から。

halcyon



このゲームは簡単に言うと、「あみだくじ」をゲーム化したものです。

数本のラインがあり、三角形のマークがその両側から進んできます。
ラインとラインの間に線をひいて繋ぐと、三角形がそれにそって別のラインに移動します。
同じ色の三角形が同じラインに位置すると双方が合体して消えます。

全ての三角形を消すとステージクリアとなり、違う色の三角形がぶつかってしまうとミスとなります。
ステージが進むと大量の三角形がまとめて出てくるので、結構スピードが必要になりますね。

このゲームの特徴はサウンドが優れていることで、三角形がライン上を移動するとハープの弦を弾いたような効果音が鳴ります。
これとアンビエントの BGM がマッチしていて、効果音がそのまま曲になっているかのように聞こえます。
ステージごとに Wind や Sea などのテーマがあって、効果音もそれに合わせたものが鳴ります。
ピアノの音が鳴るエンドレスモードも用意されています。
iPad のスピーカーで聴いてもイマイチなので、プレイ時にはイヤホンを付けるのをオススメします。

なかなか楽しめるゲームですが、シンプルなデザインに徹しているためか、サウンド以外の演出や内容には物足りなさを感じます
また、ステージテーマももっと欲しいのが本音ですね。
まあデザイン優先の印象なので、ゲーム性はあえてこの程度に抑えているのでしょう。
この方がゲームをあまりやらない方には良いかもしれません。

とびきり面白いという程ではありませんが、サウンドが心地よく、暇つぶしにやるのにはちょうど良いゲームです。
価格も 230 円と購入しやすい値段です。


続いて、「Shot Shot Shoot」。
これは2人対戦の射撃ゲームで、iPad の画面サイズとタッチパネルをうまく使ったゲームだと言えます。
1人でコンピューターと対戦する事も可能です。

shotshotshoot



自軍近くの画面をタップするとその位置にミサイルが発射され、相手側に飛んでいきます。
双方共に5つのブロックが置かれていて、相手のミサイルが当たると破壊されます。
先に相手のブロックをすべて破壊した方が勝利ですね。
ミサイル同士がぶつかった時は相殺されますので、ミサイルは防御も兼ねています

ミサイルはいくらでも撃てる訳ではなく、一定時間が経つか、中央に出てくるドットをミサイルで取ることで補充されます。
時間で補充されるペースは遅いので、無駄使いを控え、ドットが出たらうまく回収していくことが必要になります。

また、ミサイルを撃つ時にそのまま画面を押しっぱなしにすると、ミサイルを左右に動かすことが出来ます
これを使ってフェイントをかけたり、横から相手のブロックを狙う事も出来るのですが、ミサイルを操作していると次のミサイルが撃てず、さらに操作に夢中になって防御がおろそかになりがちです。

なかなか難しいゲームで一筋縄ではいきませんが、1ゲームは非常に短時間で終わるため、何度も繰り返しプレイする事が出来ます。
確かに2人で対戦すると、かなり楽しめそうですね。

1人用のコンピューター戦も EASY と HARD の2つが用意されていて、HARD はかなり手強いです。
その分、何度もチャレンジする気にさせてくれます。

ただ、やはりゲームデザインが非常にシンプルなため、物足りなさも受けるのが本音です
やり込み要素のようなものや、1人でも長期的に楽しめる工夫は皆無です。
あくまで2人で遊ぶのが前提のゲームですね。
やはりこれもデザイン優先のアプリと言えるでしょうか。

ただ、このアプリも 230 円と割安なので、ちょっと試してみるのには良いでしょう。


Halcyon と Shot Shot Shoot 、どちらも iPad にマッチした受賞に相応しいゲームであることは確かなのですが、やはりゲーマーとしては、もっとゲームとして長く楽しめるものにして欲しい、色々な要素を追加して欲しい、とも思ってしまいます。

とは言え、色々と詰め込んだら「デザイン的に」(グラフィックだけではなく、ゲームデザインという意味で)スタイリッシュではなくなるのだろうし、ライトユーザーにはシンプルで解りやすい方が良いというのもあります。
この辺は二律背反で、両立は難しいのかも知れませんね・・・

Halcyon(iTunes が起動します)
Shot Shot Shoot(iTunes が起動します)

※どちらも iPad 専用です。