特殊部隊の隊長となって世界中で発生する事件やテロと戦う FPS(3D のガンシューティング)、「レインボーシックス(Rainbow Six)」シリーズ。
その iPhone / iPod touch 版がゲームロフトより発売されました。
レインボーシックス:Shadow Vanguard」です。

銃を撃ちまくって敵を倒すことがメインの一般的な FPS とは異なり、隊員に指示を出し、出来るだけ敵に見つからないようにしながら作戦を遂行するのが中心となるゲームで、そのため他の多くの FPS とは違うゲーム展開を持ちます。

原作は軍事・国際政治をテーマにしたシナリオを多く書いているアメリカの小説家「トム・クランシー」の小説で、ネオナチ主義のテロリストに大使館が占領されたとか、過激な環境保護団体が捕鯨船を乗っ取ったとか、SF ながらも現実にありそうなストーリーが展開されます。

Rainbow Six : Shadow Vanguard

左下の仮想スティックで移動、右下の射撃ボタンで銃を撃つという一般的な FPS スタイルのゲームです。
画面右上には武器の切り替えとリロードを行う武器ボタンがあり、右下には狙いを付ける精密射撃ボタン、左下には「立ち」と「しゃがみ」の体勢を変えるボタンがあります。
これらはモダンコンバット2と同じ操作スタイルと言えますね。

iPhone 4 や iPod touch 第4世代以降なら、本体を動かして視点を変えるジャイロ操作にも対応しています。

銃撃戦自体はモダンコンバット2のものを踏襲しているのですが、「物陰に隠れる」ボタンがあり、これを押すと後方からの視点に変わって身を隠しながら射撃を行う事が出来ます。
この戦い方はブラザーインアームズのシステムに近いですね。

ちなみにこのゲームでは、後方視点や壁の向こうを覗き込む視点は「カメラを搭載した小型偵察機が使用されている」という設定になっています。
(ゲーム中のメッセージで「小型偵察機ドローンを使う」と言われて「ナニソレ?」となると思いますが、単に隠れると視点が変化する事の説明です)

他の FPS をやった事があれば、基本操作についてはすぐに理解する事が出来るでしょう。
ただしこのゲームは、他の FPS とは大きく違う点があります。
主人公の耐久力がすごく低いのです。 その辺のザコと耐久力はあまり変わりません。

難易度にもよりますが、モダンコンバット2みたいに敵の正面に出てマシンガンを撃ったりしているとすぐに戦死してしまいます
よって壁や物陰から慎重に前方を確認し、仲間に指示を出し、敵を排除する必要がある時は準備を整えてから奇襲するか、もしくは安全な位置からヘッドショットで片付ける必要があります。

このゲームは物陰や壁際に「仲間をそこに移動させるボタン」が表示されていて、さらにドアの前に立つと中を特殊カメラで確認することができます。
これらを使って敵を安全に処理しながら進む必要がある訳ですね。
具体的には、以下の様な感じです。

レインボーシックス:Shadow Vanguard

もちろん敵が多かったり急に見つかったりして銃撃戦になってしまうこともあるのですが、その時もすぐにどこかに身を隠し、隠れながら戦うことが大切になります。
このゲームは精密射撃にして敵の頭を狙うと、割と簡単にヘッドショットが決まって一撃で倒せるので、常にヘッドショットで「素早く、安全に、騒ぎを起こさずに」倒すことが重要です。

潜入系 FPS」という点では同じトムクランシー監修の「スプリンターセル」にも似ているのですが、スプリンターセルが「見つからないように隠れたり迂回して進む」のがメインだったのに対し、レインボーシックスは「安全に排除していく」と言う点が異なります。
もちろん「常に仲間と戦える」のも他のゲームとは違う点です。

レインボーシックス:Shadow Vanguard

進むべき方向も常に矢印で表示されていて、このゲームは「ステージマップ」も用意されています。
おかげで迷子になる事はなく、モダンコンバット2やブラザーインアームズのように「解りにくいシーンが多い」と言う事もありません

難点(?)は・・・ やはりこのシステムが好みかどうか、人によるところでしょう。

前述したようにこのゲームはバリバリ銃撃戦を行うようなゲームではありません。
ザコを倒しまくって「俺ツエー!」したい方や、マルチプレイの FPS のような銃撃戦が中心となるゲームの方が好きな方、派手な展開が繰り広げられるゲームがしたい方には向きません

逆に、リアルな現代戦 FPS がやってみたい方や、戦略的な戦い方のゲームを好む方、メタルギアのような潜入系ゲームが好きな方にはオススメ出来ます
よってこのゲームはどちらかと言うと、ガンシューティングが好きな人より、シミュレーションゲームが好きな人の方が向いているかもしれません。

また、ゲームシステムを考慮せず純粋に FPS として見た場合・・・
やはり戦闘が中心のモダンコンバット2の方が洗練されています。
グラフィックも非常に高クオリティーではありますが、モダンコンバット2には劣ります。
モダンコンバット2とスプリンターセルブラザーインアームズ2の中間、と言ったレベルですね。
私的には十分綺麗で、酷評されるほどのレベルではないと思いますが。

武器の種類も少なめですが、銃撃戦が主体のゲームではありませんし、そもそもロケットランチャーをぶっ放すようなゲームではないので、こんなものでしょう。

以下は Youtube で公開されている公式トレーラーです。



私的にはモダンコンバット2と肩を並べられる完成度の FPS だと思います。
危険を避けながら仲間と共に慎重に進むゲームシステムについては好みがあると思いますが、私的にはこのリアルなシステムはかなり好きで、1人用の FPS としてはとても優れていると思います
トムクランシー監修のストーリーが語られる、ステージ開始前のブリーフィングも良いですね。

iTunes の評価は妙に低いのですが、これはゲームロフトの話題の FPS であっただけに、モダンコンバット2の進化型や、それを越える高クオリティーの作品を期待していた人が多かったためだと思われます。
この辺は Infinity Blade が「思っていたのと違った」という理由で当初酷評されていたのと同じような感じでしょうか・・・
しかし私としては、十分に評価されるべき作品だと思います。

ただしこれから購入する人は、「モダンコンバットやブラザーインアームズとは別のゲームなんだ」というのを事前に認識しておいた方が良いでしょうね。
無双系の FPS ではない」ので悪しからず。

価格は 800 円ですが、他の FPS と同じぐらいの値段ですし、クオリティーと内容を考えると相応の値段だと思います。
バグがあるという話もあるようですが・・・ 私がやった限りではそう言った症状は起きませんでした。
ただ、インストール後は一度 iPhone を再起動しておいた方が良いと思われます。

レインボーシックスは「リアルタイム・タクティカル・アクション」と呼ばれていますが、「FPS スタイルのリアルタイム・シミュレーション」と表現した方が良いかもしれません。
そういうゲームをやってみたいと思える方にオススメいたします。

レインボーシックス:Shadow Vanguard(iTunes が起動します)