サイコロを使う古典的な戦略ボードゲーム「Risk」を元にした、iPhone / iPod touch の大ヒットアプリ「Lux」。
このゲームのヒット以降、Risk タイプのゲームは数多く発売されましたが、また新しい Risk / Lux 型のゲームが登場しました。
Blood & Honor」です。

このタイプのゲームはなかなか Lux を超えるものが現れないのですが、このアプリはかなり完成度が高い方だと言えます。
開発したのはアルゼンチンのメーカーのようですね。

Blood & Honor

ゲームの基本は Risk や Lux とまったく同じです。
兵力をマップ上に配置し、隣の領土に攻め込むと戦闘になります。
攻撃側は最大3つの兵力で攻撃可能で、防御側は最大2の兵力で防戦します。
兵力と同じ数だけサイコロを振り、高い方から1つずつ見比べて、目の低い方は兵力が減少します。
目が同じ場合は防御側の勝ちとなります。

このゲームは戦闘時のサイコロの目が画面に表示されるため、どのような形で戦闘結果が生じているのか見て判断出来るようになっています。
この点は解りやすくて良いですね。

防御側の兵力が0になるとその領地は攻撃側が占領し、攻撃側は占領した土地に兵力を移動させる事が出来ます。
ターン終了を選ぶまで攻撃は続行し続ける事が可能で、そのため兵力さえあればどんどん奥地まで進攻していくことも可能です。

ただしこのゲームは、詳しくは後述しますが、それほど大きな兵力を持つことができません。
よって「大兵力を持っている国が一気に多数の国を占領していく」というハデな展開にはあまりなりません。

攻撃フェイズを終了すると「部隊移動フェイズ」になり、自国の部隊を隣の領地に移動させる事が出来ます。
このフェイズを終えるとターン終了、次の人のターンになります。
なお、領土が多いほど補充される兵力は増えていきます。
この辺りは Lux と同じと言えますね。


このゲームが Risk / Lux と大きく違うのは、次の3点。
まず「カード」。 他国を1つ以上占領していると、次のターンでカードを1枚取得できます。
このカード、Risk や Lux だと「特定の役がそろうと兵力が増える」という効果で、つまり兵力補充のみに使うものだったのですが、このゲームでは固有の効果を持つ様々なカードが存在します。

その中には他国の兵力補充を妨害する「補給線破壊」、特定の領土から進攻できなくさせる「将軍暗殺」、防御時のサイコロが増える「レジスタンス」など変わったものも存在します。

Blood & Honor

2つ目の違いは「コマンドセンター」。 要するに司令部。
ここを占領されて、次の自分のターンで奪還できないと即敗北となります。
Lux と違い領土全滅で負けではないので、突然敵が消滅したりもします。
もちろん自分のコマンドセンターはなんとしても死守しなければなりません。

3つ目の違いは「LIGHTNING」(電撃戦)と、「STRATEGIC」(戦略的)の2つルールがあること。
LIGHTNING は通常の Risk や Lux のルールです。
STRATEGIC は戦力の補充を全員同時に行い(つまり自分の番に補充するのではない)、さらに占領後に移動できる兵力が最大4までに制限されています。
つまり、大兵力でどこまでも占領し続けていくと言う事が出来ません。
派手さはありませんが、より戦略的なゲームになると言えますね。

ただ、これらの「コマンドセンター」と「電撃戦/戦略的」のルールはオプションで変更可能です。
オプションでは防御側が有利な設定にすることも可能で、これらを変更することで Lux に似たルールで遊ぶ事も、全く違うルールにすることも出来ますね。

Blood & Honor

しかしこのゲーム、バランス面で気になる点も見受けられます・・・
先に総括してしまうと、戦略性を強くしているにも関わらず、皮肉にも「運」の要素が強くなってしまっている印象です。

まず、カードが必ず戦力補充できるものではなくなったため、得られる兵力が少なくなっています。
Lux のように「カードで大兵力を補充できる」というような事もなく、戦力補充カードはありますが効果は僅かなものです。

そのためゲーム序盤は少ない兵力をやりくりして戦わなければならないのですが、サイコロの目が悪くてその貴重な兵力が無駄になってしまうと、もう再起不能になってしまうのです。
加えて「領土が多いほど補充兵力も増える」というルールのおかげで、序盤にサイコロの目が悪くて領土を拡張できないと、補充兵力も少ないままになってしまうので事実上「詰み」です。
カードが良ければ復帰できるかもしれませんが、このカードも何が出るか「運次第」ですし、そこまで強力なカードはないので、ますます序盤は運で決まってしまう印象です。


これが Risk / Lux だと、序盤に兵力を失ってもカードさえ貯まれば必ず戦力補充できるので復帰の目がありますし、カードの効果が決まっているのでそこに大きな運が絡むこともありません。
また領土から得られる兵力よりも、カードから得られる兵力の方が比重が大きいため、序盤に苦戦して領土が広げられなくても挽回の余地があります。
相応に兵力が大きいおかげで戦闘回数も多くなり、結果的に賽の目の結果が「平均化」されるため、サイコロ運で結果が左右されることも少なくなっています。

つまりこのゲームをやると、いかにオリジナルの Risk / Lux のゲームバランスやシステムが優れていたかが解るのです。
大雑把なように見えて、実はとても洗練されていた。 それが Risk が名作と言われる所以なのでしょうね。

まあこのゲームも1プレイにかかる時間はそんなに長くなく、テンポ良くプレイ出来るので、多少運が悪くて負けても何度もリプレイしようという気にはさせてくれます。

また、「コマンドセンター」は突然ライバルが消えてしまうので、どうも不自然さがあります。
AI はマップ中央付近に平気でコマンドセンターを置いたりするし、自分もマップ端に置けない場合、非常に不利になってしまいます。
やっぱりここは「全滅で滅亡」の方がしっくりきますね。
まあコマンドセンターに関しては OFF にも出来るので、自分で調整が可能ですが。


と言う訳で Blood & Honor 、Risk 系のゲームの中ではなかなかの秀作と言えます。
Lux に匹敵するかと言われると、ゲームバランスの問題やマップ数が少ないこともあって難しいところですが、でもマップは第二次世界大戦などを模したものが7つ用意されていますし、BGM もあってサウンドや演出も良く、グラフィックなどの面では Lux よりも上です。

以前にも Risk 系のゲームをまとめてご紹介しましたが、それらのゲームよりもオススメ出来ますね。

価格は 230 円で、内容相応と言ったところでしょうか。
iPad にも対応しているユニバーサルアプリで、さらに無料体験版も用意されています。
無料版はマップが2つ、プレイヤーは3人までで、ルール設定は変更できませんが、これでも十分遊べるのでまずこちらで試してみるのが良いでしょう。
Lux を楽しめた方なら、きっとこのゲームも楽しめるはずですよ。

Blood & Honor(iTunes が起動します)
Blood & Honor Lite(無料体験版です)