昨年(2010年)末、「今頃になってネオジオのゲームが新発売された」とマニアの間でちょっと話題になったゲームがありました。
さらにそのゲームはセガ最後のゲーム機「ドリームキャスト」でも発売されます。

ネオジオは 1990 年代、ドリームキャストも 1999 年頃に全盛期を迎え、その数年後には市場から姿を消したゲーム機ですから、「どうして今頃」という感じな訳ですが・・・
そんなニッチな市場を狙ったマニア向け(?)のシューティングゲーム
それが「Fast Striker」です。 日本名は「高速ストライカー」。

開発したのはドイツのメーカーで、実際のところは SNK(ネオジオ)やセガの公認を受けている訳ではないので「同人ソフト」に近い訳ですが、それが iPhone / iPod touch 用のアプリとして公開されました。

Fast Striker

ゲームは画面を見て解るように、横画面なのに縦スクロール
こんな画面構成のシューティングゲームはあまりウケないのですが、ネオジオは横画面のゲーム機だったため、似たような画面構成の縦シューがネオジオには他にも存在します。
ある意味、「ネオジオらしいシューティング」とは言えるでしょうか・・・

画面を指でなぞって自機を操作し、ショットは自動で連射されます。 ボタンはありません。
自機の操作は俗に言う「相対移動」で、指の位置に関わらず、指の動きに合わせて自機が移動します。

画面の外周には枠があって、ここが「指置き場」になるため画面の端にも自機を移動させやすい・・・ と言いたいところなのですが、そもそも「横画面の縦シュー」なので縦幅が狭い訳で、そのため画面下部の外枠のスペースは十分とは言えません。
よって、自機の下に指を置く一般的な操作はこのゲームではやり辛いです。
自機の横に指を置いて操作する、ちょっと変則的な操作方法が必要ですね。
とは言え慣れれば、操作性はそんなに悪くありません。
この状態なので良いとも言えないけど。

自機はシールドを持っていて、ダブルタップで発動します。
これは一定時間無敵になる効果がありますが、使用回数には制限があります。
また、被弾した時にシールドを持っていると「オートシールド」が発動してミスにならないのですが、この時は持っているシールドが全てなくなってしまいます。

ゲーム開始時にゲームモードを3つ+1から選択しますが、これは難易度の設定ではありません。
NOVICE(ノービス)」だと敵を倒すと★マークが出て、取ると得点+得点倍率がアップ。
ORIGINAL(オリジナル)」はアイテムを取ると得点倍率がより多くアップします。
MANIAC(マニアック)」は敵を倒すとコンボゲージが表示され、連続で敵を倒し続ける事で倍率がアップ。(アイテムは貯まるとシールド回復)

さらにモードによって機体も違い、オリジナルはミサイル付き、マニアックは耐久力のある敵が出るとレーザーに切り替わります。

どのモードでも敵の攻撃は同じレベルのようで、つまり「ノービスだから簡単」とは言えません。
と言うか、ノービスは攻撃力が低いのでオリジナルより難しいです。
(OMAKE というモードがあって、これは明確な「ハードモード」です)

また、敵の攻撃はミスせずに進むことで RANK が上がり、それによって強化されます。
(RANK 1~3 と HELL があります。やられると下がります)

他に特徴的なのは「壊せない壁や障害物が出てくるが、当たっても弾かれるだけでミスにならない」という点でしょうか。
障害物が出てくる縦シューは割とありますが、「邪魔になるけどミスにはならない」というのは珍しいですね。

Fast Striker

Fast Striker

シューティングとしては、良い意味で「日本風」ですね。
欧米のシューティングゲームと言えば、当たり判定がデカくて弾避けが困難で、耐久力が高くて回復アイテムも多くゴリ押しで進む内容で、敵弾の多くは単純な自機狙い弾で弾幕の種類も少なめと言った、言わば「大雑把なシューティング」が多いです。

しかしこのゲームはドイツのゲームでありながら、自機の当たり判定や敵弾の当たり判定は見た目よりかなり小さめ
自機の耐久力はなく被弾すれば(シールドがなければ)即アウト。
ボスの弾幕はいわゆる「ケイブ風・東方風」で、操作スタイルも iPhone のケイブシューに合わせている感じです。
ですからこのゲームなら、日本のシューティングファンも納得できるでしょう。

ただ、やはり「横画面の縦シュー」で、しかもこれが iPhone / iPod touch ですから、操作のやり辛さ、画面の視認性の悪さは否めません
指を自機の横に置いて操作するのに慣れれば操作性はマシになりますが、それでは自機の横が見にくくなります。
また後ろから敵が出てくる場面や、ボスが後方に回り込んでくる場面もあり、これは iPhone では非常にやりにくいです。

私的には、このゲームは iPhone / iPod touch より iPad に向いている気がします
iPad で2倍表示にすると画面が大きくなるので指の置き場所にあまり困らず、自機の下に指を置いても不自由なく操作可能で、指で見えなくなる範囲も最小限になります。
スティックやボタンがあるゲームだと2倍表示にすると操作し辛くなったりするのですが、このゲームにはスティックもボタンもありません。
iPad 専用じゃないけど、iPad 推奨と言えるかもしれませんね。

なお、スコアを競うのがメインのシューティングなのに、オンラインランキングや GAME CENTER に対応していないのが残念な点です。
ここは今後のアップデートでぜひ対応して欲しいところです。

以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。




価格は 600 円で、ネオジオやドリームキャストのソフトであったことを考えると割安と言えますが・・・
ゲーム内容を考えると 600 円はちょっと高く感じますね。
350 円か、高めで 400 円台か、そのぐらいが相場の気がします。

※わずか数日でいきなり 115 円まで値下げされました・・・
さすがに高いという批判があったのでしょうか?

やや難易度が高めなこともあり、あまり一般の人には勧められないゲームかもしれません。
しかしシューティングゲームが好きな人なら、十分に楽しめる作品であることも確かです。
ちなみに私はシューティング好きなので、結構楽しめてます。

元々「今になってネオジオとドリームキャストで発売された」というマニア向けのゲーム。
シューターのみをターゲットにした作品だと言えるでしょう。

・Fast Striker(公開終了)