1987 年に NEC が発売し、当時としては破格と言えるグラフィック性能でファミコンやメガドライブとシェア争いを繰り広げた家庭用ゲーム機 「PC Engine (PC エンジン)」。
その PC エンジンの名作ゲームを iPhone / iPod touch で遊べるというアプリが登場しています。
「PC Engine Game Box」です。

ハドソンが 2010 年末に公開したアプリで、当初は 16 タイトルが同梱されていましたが、アップデートにより対応ゲームが増え続けており、先日(2011/5/9)のアップデートでタイトルは 26 になりました。

アプリ自体は無料ですが、ゲームは1つ 350 円のアプリ内課金で購入するシステムです。
ただ、1日どれか1つのゲームを 10 分間試用できる機能が付いています。
(どのゲームを試用できるかは日によって異なります)

pcenginegamebox

現時点(2011/5)でプレイ出来るゲームは以下の通り。

・シューティング
R-TYPE / R-TYPE II 、グラディウス、沙羅曼蛇、出たな!! ツインビー、イメージファイト、ソルジャーブレイド

・アクション
PC原人1・2・3、改造町人シュビビンマン、高橋名人の新冒険島、ビジランテ、最後の忍道、ダンジョンエクスプローラー、ボンバーマン'94、THE 功夫

・RPG
邪聖剣ネクロマンサー、弁慶外伝、ダブルダンジョン

・スポーツ、その他
パワースポーツ、熱血高校ドッジボール部 PC番外編、パワーリーグ
ブレイクイン(ビリヤード)、ビクトリーラン(レース)、ネクタリス(戦術SLG)、デビルクラッシュ(ピンボール)

私的には当初のラインナップにピンボールの「デビルクラッシュ」がない事が疑問だったのですが、先日のアップデートで追加されました。
有名どころは抑えられている感じですが、カプコンはもちろんナムコやセガ、タイトーやファルコムなどの大手メーカーのゲームはありません。
コナミのゲームは含まれていますが・・・ 今のハドソンはコナミの子会社なので、当然と言えば当然です。


さて、内容はハッキリ言ってしまうと「エミュレーター」です。
エミュレーターとは他機種のソフトウェアを動かすシステムのことで、つまりこのアプリは「PCエンジンのゲームを動かすためのソフトウェア(エミュレーター本体)と、各ゲームのプログラム(ROM)がセットになったもの」と言えます。

そしてこのアプリは、「単なるエミュレーター」の域を出ていない印象です・・・
例えば、昔のゲームがセットになっているアプリには、他に「カプコンアーケード」が存在します。
そしてカプコンアーケードはゲームの種類こそ PC Engine Game Box より少ないものの、ゲームごとに異なる操作方法が用意されており、難易度の調整が行われ、有料ですがパワーアップ設定などを行う事も可能です。

しかし PC Engine Game Box は、単に昔のソフトをそのままエミュレートしているだけです。
操作方法も共通のものが用意されているだけで、各ゲームに合わせて調整されている訳ではないため、お世辞にも操作性が良いとは言えません。
アップデートで画面の大きさや複数の操作スタイルを選べるようになりましたが、シューティングゲームなどはかなり厳しいですね。
カプコンアーケードも操作性が良いとは言えないゲームがありましたが、こちらはそれ以前の問題という感じです。

pcenginegamebox2

そして何よりダメだと思ったのが「ボタン」。
2つのボタンを一本の指で同時に押す事ができない(難しい)のです。

これは iPhone のタッチパネルの問題もあるのですが、2つのボタンを同時に押す場合、普通のコントーラーなら親指で2つのボタンの真ん中を辺りを押します。
しかしこれと同じ操作をこのアプリはほとんど受け付けてくれないのです。
タッチパネルの性質上、1つの指で押せるボタンは1つに限られているようです。

だから2つのボタンを同時に押したい時は、2本の指を使って押さなければなりません。
しかし iPhone / iPod touch で右下にある2つのボタンをそれぞれ別の指で押すなんて、普通あり得ない。
こんな状態なら同時押しのボタンを別に用意するべきで、例えばカプコンアーケードなんかはそうなっているのですが、このアプリはそんな配慮一切無し。
「このアプリ、実機(iPhone)でちゃんとテストプレイしているのか?」と疑問に思う操作性です。

この辺りは iTunes レビューでも散々指摘されているのですが、何ヶ月も放置状態で、それでいてゲームだけは増やし続けているという、もうやる気あるのか無いのか意味不明な状態です。


と言う訳で「PC Engine Game Box」、基本的にはオススメ出来ません。
特にシューティング系はまるでダメですね。
アクションゲームも「熱血高校ドッジボール部」のような、ボタン同時押しがあるものはダメです。

RPG や戦術 SLG のネクタリス、ピンボールのデビルクラッシュなら普通に操作できると思いますが、全般的に「今更 PC エンジンのゲームをやっても・・・」というのもあるので、「おもいで補正」がないとかなり辛いです。

また、「試用は1日10 分、どれか1つだけ」ってのがセコい。(しかも当初は5分だった)
これじゃあ「やってみたいゲームを試してみる」「操作性をチェックしてみる」ということさえ出来ない。
何度も引き合いに出すのも何ですが、カプコンアーケードは1日3回任意のゲームをプレイ出来るので、それと比較するとあまりに不親切過ぎる・・・ 「アーケードゲームと家庭用ゲームの違い」があるとしても。
せめて試用出来るゲームは任意に選べるようにすべきだと思います。

(なにかカプコンの回し者みたいな記事になっていますが、カプコンアーケードも手放しで賞賛できるほどのアプリだとは思っていません。 ただ、このアプリと比べるとはるかにマシです・・・)

最初に述べたようにアプリ自体は無料、しかしゲームは1つ 350 円です。
この価格では「よほどやりたくてしょうがないゲームあって、かつそれがシューティングやアクションゲームではない」というものでないと勧められません。

このアプリを使用するユーザーは相応の年齢層のユーザーで、かつゲーム歴も長い人でしょう。
そんな人が納得出来るアプリには、まだほど遠いですね。

・PC Engine Game Box(iTunes が起動します)