日本の一般携帯電話でゲームを公開・運営している二大企業、「GREE」(グリー)と「mobage」(モバゲー)。
数多くの無料ゲームアプリを公開し、テレビCMを始めとする圧倒的な宣伝力で知名度を増やし、ネットワークを利用したソーシャルゲーム(交流型ゲーム)により豊富な資金を得た、もはや知らぬ人はいない企業ですね。
その一方で、パクリ当たり前のゲームを次々と公開し、開発メーカーに他社の開発を請け負わないよう強要し、さらに子供にも多額の課金を促すソーシャルゲームで行政指導を受けるなど、マナーや道徳的に問題がある事件も多く起こしています。
さて、そんな GREE と mobage(モバゲー)は、スマートフォンの分野にも参入しようとしています。
今後数年のうちに携帯電話の主流はスマートフォンに代わっていくと見られていますから、その流れも当然と言えますね。
そして中でも iPhone 市場への参入に積極的なのが GREE(グリー)です。
先日、iPhone アプリでも使用例が多いソーシャルゲームプラットフォーム(ゲームにソーシャル機能を追加するシステム)の OpenFeint を約 85 億円で買収したことは大きな話題になりました。
また、GREE はすでに多くの iPhone アプリを公開しています。
一方 mobage (モバゲーは mobage に改名)を運営する DeNA も、iPhone アプリを開発しソーシャルゲームプラットフォームも持っていた ngmoco を昨年約 300 億円で買収し、世界展開を始めていましたが、「怪盗ロワイヤル」は世界では見事に転け、現在は Docomo との提携を進め、日本国内の iモード と Android をメインにしようとする動きが見られます。
と言う訳で、前置きが長くなってしまいましたが・・・
今回は GREE が現在(2011/5 に)公開している iPhone アプリを、まとめて取り上げたいと思います。
GREE の iPhone アプリは中心となる「GREE(グリー)」というアプリと、それ以外の各ゲームアプリに別れています。
ゲームアプリはすでに 15 種類以上で、今後も増えていく事が予想されます。
ただしソーシャルゲームはブラウザを通してプレイするため、固有のアプリは公開されておらず、GREE のアプリを通して接続します。
しかしこれらをプレイするには、GREE への会員登録を行わなければなりません。
会員登録には氏名や生年月日、メールアドレスや携帯番号の登録が必要で、まずこの時点で敬遠する人が多いと思います・・・
メールアドレスは iPhone の GREE アプリからなら、i.softbank.jp のメルアドが使用可能です。
登録後に受信したメールの URL をタップすると、今度は電話番号の確認が MMS に届き、それもタップする事で登録完了となります。
アプリ起動時には、それがゲームアプリであっても GREE の認証を通さなければなりません。
この認証は GREE アプリが導入されていれば自動的にそれを通して行ってくれるのですが、いちいち認証画面が出るのが面倒で、かつ通信が出来る場所でないとゲームは実行できません。
よって単なるゲームアプリでも機内モードの時や通信が不通な場所だと使えず、iPod touch だと Wi-Fi 通信が可能な場所でないとプレイ出来ません。
この辺りの様々な情報を要求される登録、起動ごとに必要な認証、iPod touch を無視した仕様は、いかにも一般携帯電話アプリの悪い面を引きずっている印象ですね。
※現在は認証がスムーズになっていて、一部のアプリは認証を通さなくてもプレイ出来るようになっています。
ゲームアプリの内容ですが、「無料のアプリとしては」なかなかの完成度です。
一般携帯電話レベルのものではなく、ちゃんとスマートフォン用に開発されている物で、トランプやテーブルゲームなどの簡易的なものがほとんどですが、グラフィックやサウンドは悪くありません。
操作性もなかなか良好で、操作し辛いと思うものはなかったですね。
ただし、どのゲームも「無料アプリとしては」評価できるというレベルに過ぎません・・・
なぜなら iPhone / iPod touch にはすでに優れたカードゲームやテーブルゲームのアプリがたくさんあるからで、比較して「GREE がベスト」と思えるものはないからです。
リバーシ(オセロ)や将棋のアプリは iPhone にも優秀なものがたくさんありますし、麻雀も高クオリティーなものや、オンライン対戦可能なものが存在します。
ナンプレ(数独)は nikoli SUDOKU の方が、スピードは ハインズ・スピード の方が良いし、大富豪は 大富豪しよっ! があります。
複数のゲームがまとまったアプリとしても、すでにポケットベガスが存在します。
他のカードゲームやブロック崩しなども同様ですね。
これらのアプリの多くは有料ですから、それを考えると無料で楽しめるというのが GREE の利点だと言えますが、「定番の iPhone アプリをやったら、もう GREE の無料のものは起動しなくなる」といったレベルだと言えます・・・
GREE のゲームで「これは良い」と思ったのは、「Unlock!」というゲーム。
次々出てくる扉を画面のタップやドラッグで素早く開けていくシンプルなゲームなのですが、スピード感と解りやすい内容、ハデな演出が相まって、なかなか楽しめます。
※正確には、Unlock! は GREE オリジナルのゲームという訳ではありませんでした。
ZOO というメーカーが公開していた GATE というゲームの名前を変えたもののようです。
GREE の麻雀も ZOO が作った「四家麻雀:和」の流用なので、ZOO は GREE と提携があるのだと思われます。
他に「ぷよぷよ」や「上海」、「ボンバーマン道場」などの有名なゲームもあるのですが、これらは拍子抜けでした。 単なる体験版なのです。
ぷよぷよはメインモードはプレイ出来ず、上海は3分で終了。 ボンバーマン道場は5ステージで終わり。
そして「ぷよぷよ」や「ボンバーマン道場」は有料版を購入するボタンを押すと、普通の(GREEとは関係ない)ぷよぷよやボンバーマンのアプリのリンクに繋がります。
つまり GREE に頼まれて、体験版だけ置いといた、みたいな感じ。
いわゆるアプリ数の「水増し」ですね。
ただ、GREE やモバゲーと言えばこれらのゲームアプリよりも、ソーシャルゲームの方がメインです。
ブラウザを通してプレイするソーシャルゲームは GREE もモバゲーもすでにスマートフォンに対応させています。
つまり iPhone でも、GREE の「100万人の三国志」や「さかつくG」、モバゲーの「怪盗ロワイヤル」や「海賊トレジャー」などをプレイ可能な訳です。
これらをすでに一般携帯電話でプレイしていた方は、そのまま iPhone でもプレイ出来るというのは見逃せない点でしょう。
ただ、これら一般携帯電話用のブラウザ型ソーシャルゲームを iPhone でプレイしても、正直ショボく感じてしまいます。
これらは普段ゲームをやらない人でも楽しめる解りやすいシステムと豊富なソーシャル要素を持っていまが、スマートフォンだとグラフィック・演出・サウンドなど、あらゆる点で物足りないのが本音です。
言うなれば、プレステ3や Wii のゲームをやった後だと、どんなに優れたゲームでもファミコンやメガドライブのゲームを新たにやる気にはならない・・・ そんな感じですね。
今は iPhone にも Kingdom Conquest などのブラウザゲーム/ソーシャルゲームがありますから、それらと比べると明らかに旧式、かつ悪く言えば「単純な」ソーシャルゲームでは、物足りないのが本音です。
まあ普段ゲームをしないユーザーに対しては、シンプルであることも重要な要素ではあるのですが。
と言う訳で GREE (グリー)の iPhone のゲーム、私的な意見を総括すると、以下の様な感じです。
・GREE は結構、iPhone に本気ぽい
・しかしまだ iPhone への対応や知識は不十分
・まだ一般携帯(ガラケー)の悪い点やスマートフォンにマッチしない点を引きずっている
・アプリは一般携帯レベルより上だけど、iPhone では無料レベルに過ぎない
・ソーシャルゲームは iPhone でもプレイ出来るが、ガラケーと変わらない
GREE が iPhone で成功するにはまだまだハードルが高い印象ですね。
iPhone / iPod touch はすでに「ゲーム機としても」成熟されていますから。
mobage が iPhone アプリを出さず、iモードと Android に焦点を合わせているのは、その辺りも理由にあるのかもしれません。
とは言え GREE のアプリの発表ペースはかなり早いですし、今はまだ研究過程にある気もします。
GREE は「2015 年には一般携帯電話はなくなる」と考えているようで、スマートフォンへの移行を急いでいます。
今後の展開を、出来れば「マナーの良い形で」進めて欲しいものですね。
・GREE (グリー)(iTunes が起動します)
※各ゲームはたくさんあり過ぎるので iTunes で gree で検索してみて下さい。
※すべて無料ですが利用登録が必要です。
コメント一覧 (5)
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- 2011/05/12 12:45
- 見てきました。 まんま同じっぽいですねぇ。
さっそく記事の方にも記述を追加しておきました。
ご報告感謝です! <(_ _)>
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- 2011/05/12 17:51
- パクリはGREEに限った話ではないのですが、
ゲームの質という面について全く斟酌していなさそうなパブリッシャーが横行するのはあまり嬉しくない傾向ですね…。
ゲームとは縁もゆかりも無い業界の大手企業がパブリッシャーとなり、
ディベロッパーに「今流行ってる○○に似たゲーム作って」とライト向けゲームを作らせ、
パクリ元より安価で出し、広告宣伝代わりにappストアのランキング上位に居座るなんて事も起こる(起こっている?)ワケで、
1から流行るゲームを作ったディベロッパーはどんどん日の目を浴びずに潰され、このアプリ市場自体が魅力の無いモノにならないか心配です。
徐々に勢いを増してきたAndroidに対し、iPhoneはアプリの質で勝負するしかないハズなので、
こうした動きが残念でなりません。
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- 2011/05/12 19:22
- このアプリけっこうランキング上位にいますよねぇ
GREEのような色んな意味で問題のある上に、質も低いものに飛び付く情弱の皆さんが、スマートフォン市場にも流れてきているというのが複雑な心境です
大衆化は素直に喜べない自分がいます
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- 2011/05/13 13:06
- ベンチャー企業だからかマナーの面で色々とアレですよねぇ・・・
「これが新しい商法だ。別に悪い訳じゃない」とか思ってそうです。
GREE はライトユーザーにしか支持されてなくて、GREE もそれが解っている。
だからライトユーザー向けのゲームを作り、内容よりも広告にお金をかける。
話題性や流行を重視し、質より量で勝負する。
それはマーケティングとしては間違っていないので儲かっているが、ライトユーザー以外の評判は悪くなる一方で、後々続くものではないですよね。
ただ、GREE もそれは解ってるだろうから、そろそろ良い方向に転換したいと考えているとは思うんですが・・・
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あれ、これやったことあるような?と思ったのですが、
iPhoneアプリの「GATE」とまんま同じものっぽいですね