ゲームロフトが開発・公開している非リアル系のレースゲーム「Asphalt」(アスファルト)シリーズ。
リアル系とは一線を画すハチャメチャな展開遊びやすいシステムが売りの、いかにも「ゲーム的な」レースゲームです。
その(2011/5 時点での)最新作が 2010 年末に発売された「アスファルト6:Adrenaline」です。

かなり評価の高いレースゲームなのですが・・・
昨年末は他にも注目作が多く登場していて、リアル系レースゲームの決定版「Real Racing 2」まで発売されていたため、その影に埋もれてしまった印象があります
しかし内容・グラフィック共に高レベルで、iPhone / iPod touch のレースゲームとしてはトップクラスの完成度と言えますね。

アスファルト6 asphalt6 adrenaline

操作スタイルは複数用意されていますが、初期設定では本体を傾けて左右に曲がり、画面左側をタップするとブレーキ、画面右側をタップすると「ニトロ」を使って一時的に急加速します。 アクセルは自動です。
ただ、初期のままだと車体がフラフラして安定しなかったので、私の場合はオプションで「センサー感度」を少し落としました。
この辺りの細かい調整も可能です。

アスファルトシリーズの特徴はサーキットではなく公道のレースである点と、ほとんどブレーキングしなくても何とかなってしまう遊びやすさにあります。
今回のアスファルト6も全体的に道幅が広く、ブレーキせずにカーブに突っ込んで壁をガリガリこすってもあまり問題ないほどの「アバウトな操作性」になっています。
この点はリアルなレースがしたい人には物足りない部分だと言えますが、初心者でも遊びやすいシステムになっていると言えますね。

ただ、今作は「クラッシュ」がテーマになっていて、壁にまっすぐ突っ込むと事故ってしまいます。
すぐにその場からリスタートできますが、停止状態からの再スタートになるので順位が落ちてしまうのは避けられません。
一方で、ライバルを壁に押しつけたり、他の車と挟んだりしてクラッシュさせる事も可能です
その際にはハデなクラッシュシーンが表示され、ナビゲーターの歓声や笑い声が聞こえたりもします。

ステージによっては「ライバルを一定数クラッシュさせること」が評価やクリア条件になっており、さらに「ニトロ」を最大まで貯めて使用するとサブタイトルにもなっている「アドレナリン」状態になって、他の車にぶつかるだけで吹っ飛ばすことが可能になります。

ステージによっては他の車も積極的にこちらにアタックしてくるので、「ぶつけてぶつけられて」というゲーム展開になります。
レースと言うより「カーチェイスゲーム」と言った方が良いかもしれませんね。
スピード感はかなりあり、この点は他のレースゲームよりも上と言って良いでしょう。

アスファルト6 asphalt6 adrenaline

アスファルトと言えばわき道を通る「ショートカット」も名物で、今作にも常識ハズレな近道が各所に用意されています。
例えば階段を登って路地に入るとか、公園の中を突っ走るとか、列車を避けて線路の上を走るなどのショートカットが存在します。

ただ、前作のアスファルト5は「ジャンプして看板ぶち破ってコースに復帰」とか、「ビルの中に突っ込む」とか、「滝に突っ込んだら裏に洞窟がある」とかのハチャメチャなショートカットがありましたが、それに比べると「おバカっぷり」はやや抑えられた印象もあります。

コースは全12コース、さらにステージごとにクリア条件が異なっており、普通に「3位以内でゴール」というステージもあれば、「ライバルを一定数破壊」「一定時間ごとに最下位が脱落」「出来るだけクラッシュせずにゴールを目指す」などの特殊な条件も存在します

ライバルの挙動も条件によって異なっていて、クラッシュ目的ならガンガンぶつかってきますが、順位が重要な場合は普通に速く走ろうとします。
「1対1でレース」や「タイムアタック」などのステージもあって、この時は普通のレースになるので、常にボコボコぶつかりまくるゲームという訳ではありません。

ステージクリアすると賞金が貰え、それで新しい車を購入したり、既存の車をパワーアップさせたりする事が出来ます。
車は実際のメーカーのものが登場し、その数も 42 車種とかなり豊富です。

ただ、車とパワーアップはステージクリア時の評価の蓄積によって徐々に解禁されていく形なので、お金さえあれば買えるというものではありません。

="アスファルト6

アスファルト6 asphalt6 adrenaline

世界各国の風景をテーマにしたコースのグラフィックは非常に綺麗で、もちろん Retina ディスプレイに対応、さらに車体には周囲の風景が映り込んでいます。
旧機種でプレイした場合はこの映り込みがなくなり、グラフィックの解像度も低めになりますが、こうした調整が自動で行われるため旧機種でもプレイすることは可能です。
(アスファルト6 は Android 版も公開されていますが、このグラフィックの自動調整によって対応しているようです)

また、公道のレースなので対向車が来るのですが、国によって「左側通行」なのか「右側通行」なのかが違います。 ここも公道ならではの面白い点ですね。

ゲームの難点は、まずドリフトの挙動がおかしいこと。
曲がりながらブレーキをするとドリフトが始まりますが、その後に逆にハンドルを切ってもなかなかドリフトが解消されないのです。
状況によって延々と不自然なドリフトが続いたり、逆に勝手に治る場合もあって、どうもよく解らない挙動をする場合が多いです。

※ドリフトはブレーキをすると、車体が自動的に正面を向いて終了します。
ブレーキはブレーキと言うより、ドリフト ON/OFF ボタンであり、このゲームのドリフトはハンドルではなくボタンで行うものだと考えた方が良さそうです。

またブレーキを踏むとすぐに滑り始めるため、カーブで普通に減速すると言う事が(バイク以外は)ほとんど出来ません
減速して曲がりたいなら手前で減速してからカーブに入る「スローイン・ファーストアウト」をするしかありませんが、それをやるなら高速で突っ込んで、フェンスにガリガリぶつかりながら曲がった方がこのゲームだと速いです。

コースマップがなかったのも個人的に大きな欠点だったのですが・・・ これはアップデートで追加されました
コース全体が表示されるマップではなく、周囲しか表示されない狭い範囲のミニマップなのですが、これでもあるとないとでは大違いですね。
次に曲がる方向やショートカットの場所、前後のライバルとの位置関係が非常に解りやすくなっています。
まあ「アスファルト5」にはコース全体のミニマップがあったので、それと比べると簡易的ではありますが。

以下は Youtube で公開されている公式のトレーラー(iPad 2 でのプレイムービー)です。



と言う訳で「アスファルト6 : Adrenaline」、ハデなレースが好きな人にはお勧めです
リアル系の Real Racing 2 と、非リアル系の アスファルト6 、どちらが良いかは好みの問題だと思います。

全体的な完成度はやはり Real Racing 2 に分があると思いますが、リアル系の精密なプレイより、ぶつけてぶつけられてハチャメチャでドガシャーン!なゲームの方が好きなら アスファルト6 でしょう。
ゲームロフトのゲームにはやや「作り込みが甘い部分」が見られる場合も多いですが、このゲームは完成度が高く、そうした作り込みの甘さは感じません

価格は 600 円(iPad 版は 800 円)と高めですが、それだけのクオリティーはありますね。

私も昨年末の話題作ラッシュの中で、購入だけしてそのまま「積みゲー」にしていたのですが、やってみたら十分に面白いゲームでした。
iPhone のレースゲームは、ちゃんと Real Racing 系 と アスファルト系で棲み分けが出来ているのが良いですね。

アスファルト6 : Adrenaline(iTunes が起動します)
アスファルト6 : Adrenaline HD(iTunes が起動します)