※このゲームは 2014年12月 に運営終了しました。

まるで絵巻物の中で戦いが起こっているかのような、古典的な和風の雰囲気を持つタワーディフェンス(防衛型リアルタイムシミュレーション)が登場しました。
源平大戦絵巻 ~白の波濤、紅の雲霞~」です。

販売はセガで、舞台は題名の通り平安時代の「源平合戦」。
タワーディフェンスと言っても Field runnersgeoDefense のような一般的なタイプではなく、敵がこちらのユニットを攻撃しながら直進し続ける Plants vs. Zombies のような「直進型タワーディフェンス」です。

これにカードゲームのような「カード集め」と「デッキ構築」、「手札を引く」と言う要素が組み合わさっています。
ただしカードの部分はあくまで補助的なもので、トレーディングカードゲームと言う訳ではないのでご注意を。

源平大戦絵巻 ~白の波濤、紅の雲霞~

まずなんと言っても目を引くのはそのグラフィック。
Retina ディスプレイ対応の古典的な和風のデザインが独特です
この絵巻物風のキャラクターがとても細かく動き、本当に絵の中で戦闘が行われているかのようです。

さらに BGM がなんと「平家物語」の琵琶による弾き語り(詩吟)! シブい、渋すぎる。
とにかく雰囲気が異質かつ秀逸です。 これだけで一見の価値はありますね。

肝心のゲーム内容ですが、画面右端から敵兵が出て来て直進してきます。
プレイヤーは兵士を配置してそれを迎撃し、敵を全滅させればステージクリア(勝利)。
敵を倒しきれずに画面左端まで到達されてしまうと大将がやられて敗北です。

Plants vs. Zombies と同じシステムですが、異なるのは2点。
1点目は兵士は手持ちのカードを使って配置すると言うこと。
このとき資金は必要ありませんが、手札にない兵士は配置することができません。
手札は5枚まで持つ事ができ、時間と共に増えていく「銭」を使って山札から引くことが出来ます。
つまり、他のタワーディフェンスのように「資金さえあれば好きなユニットを配置出来る」という訳ではないのが大きな違いです。

同じ兵士を重ねると、強化されると同時に体力も回復するので、これを使って強化と回復を行いつつ、前列に射程の短い兵士、後列に射程の長い兵士を置いて陣形を組むのが攻略の基本ですね。
ただし山札がなくなるともうカードの補充は出来ません。 つまりユニットの配置はもちろん、強化や回復も出来なくなります。

2点目は、ユニットが移動可能なこと。
各ユニットにはそれぞれ移動できる方向があり、前後や別のラインに動くことが出来ます。
ただし動くには「銭」が必要になるので、好き勝手に移動出来る訳ではありません。
また移動出来ないユニットや、前方にしか動けないユニットも存在します。

最前列に表示される「進軍開始」のボタンを押すことで、ユニットを前進させ続ける事も出来ます
このゲームは俗に言う「殴り系」のタワーディフェンスで、近接攻撃ユニットが多いのですが、そのため射程の長い敵が出てくると撃たれ放題になることがあります。
こういう時は進軍開始で一気に間を詰めることも必要になります。
「敵が多いけどユニットを配置するスペースが足りない」という時にも、進軍開始を利用することがあります。

勝利することで新しい兵士やアイテムなどを入手する事ができ、兵士の数はなんと合計 64 種類!
もう膨大と言って良い数です。 なにせユニットの多い Plants vs. Zombies でさえ約 50 種類なのですから、64 は間違いなくタワーディフェンス最多ですね。
戦闘後(敗北時も含む)にはカードを1枚引くこともでき、ここでは主に入手済みのカードを補充できます。

エリアも 20 用意されており、1つのエリアが5つの難易度に別れているため合計 100 ステージ。
ボリュームは十分と言えますね。

源平大戦絵巻 ~白の波濤、紅の雲霞~

源平大戦絵巻 ~白の波濤、紅の雲霞~

ただしこのゲーム、色々と気になる点も見られます。

まずなんと言っても、ゲームのテンポが悪い。 何もせずにただ待っているだけの時間が多いのです。
タワーディフェンスは基本的に、タワーを配置した後は戦闘を「見守る」ことで進行しますが、それでも激しい戦闘が行われていればそれを見るのは楽しいですし、戦略のヒントにもなります。
しかしこのゲームは敵がこちらに来るまでの間、特に戦闘が行われている訳でもない画面を見ながら、ただボーッと待つだけになります。 この状態が結構長く、しかも多い。

さらに多くのタワーディフェンスはこうした時間を短縮するために、ゲームの速度を倍速にしたり、すぐに次の Wave (敵の出現)に移行したりすることが出来ます。
しかしこのゲームにはそんな最近のタワーディフェンスでは当たり前のシステムがありません
このゲーム、正直言って「他のタワーディフェンスを参考にしなかったのかな?」なんて思ってしまいますね。

※現在は倍速ボタンが追加されているため、ゲームのテンポは以前より良くなっています。

また、最初のうちはユニットの種類が少なく、しかもなかなか増えないので、ゲーム展開がかなり単調です。
1ステージにかかる時間が約 10 分と結構長めで、それでいてユニットが少なく展開も間延びしているので、ハッキリ言って序盤が「退屈」
序盤と言ってもこの状況が1時間ぐらい続くので、これはさすがにどうにかして欲しいですね。

雰囲気が秀逸なので最初は「おぉーっ!」と思うのですが、それに慣れてくるとユニットが増えるまでの間、微妙な時間帯が続きます。
ステージが進むと敵が豊富になり、こちらのユニットも増えてどういうデッキ構成にするか悩むようになり、ゲームの楽しさが解ってくるのですが、そこに行き着くまでが長すぎる印象です。

後は、首が飛んで血が噴き出すような残虐な表現があるのも、万人には勧め辛い点でしょうか。
オプションでオフに出来ますから、これはプレイヤー側で対応出来ますけどね。

なお、このゲームには有料課金による「カードパックの購入」もあります。
カードは5枚で 230 円、12 枚で 350 円などで、特定のレアカードの購入もあります。
とりあえず 12 枚パックを買ってみたところ・・・ 以下の様な感じになりました。

源平大戦絵巻 ~白の波濤、紅の雲霞~

戦闘後に引くカードとは違い、新しいカードも入手できます。
また歩兵や騎馬などの基本的な兵士は課金パックでは出てこないようです。
銀色はアンコモン、金色はレア、七色はレジェンドです。

ただしカードが1枚では強化&回復が出来ないので、思うように使えない事も。
でも戦闘画面は華やかになりますし、前述したようにユニットがそろうまではゲーム展開がやや単調なので、課金に抵抗がなければ1度ぐらいは引いてみても良いかもしれません。

と言う訳で総評としては、各所のブログやサイトで賞賛されていて iTunes のレビューでも好評価が多いのですが、私としては「言われている程ではないかな・・・」と言う印象です
悪くはありません。 雰囲気とサウンドが秀逸で、ボリュームもあります。
しかしゲームとしての完成度はまだ高い訳ではなく、調整が必要な気がします。

そして問題なのが価格。 定価で 1200 円です。
現在は発売セール中で 350 円なのですが、これが 1200 円だったら絶対にオススメしません
私的には今の 350 円ぐらいが妥当な気がしますね。

※発売後のアップデートによる調整はかなり意欲的に行われており、現在は兵士のドロップ率やゲームバランスの調整も行われています。
またセールが頻繁に行われており、安価になっていることが多いです。

無料版の「源平大戦絵巻+」もあり、こちらでも十分に遊ぶ事が可能で(4-5 までの計 20 ステージをプレイ可能)、課金により正式版に移行できるので、まずはこちらで試してみるのがいいでしょう。
雰囲気は一見の価値があるので、無料版を試用してみるのは勧めたいですね

源平大戦絵巻 ~白の波濤、紅の雲霞~ (iTunes が起動します)
源平大戦絵巻+ ~白の波濤、紅の雲霞~ (無料版、課金で正規版に移行可能)