1988年に発売され、一部では名作と呼ばれる事もある、第二次世界大戦の戦闘機を主人公にした横スクロールのシブいシューティングゲーム「P-47」
それを iPhone / iPod touch に移植したものが発売されています。
P-47 - The Phantom Fighter」です。

このゲームは今はすっかり縮小してしまった「ジャレコ」というメーカーが開発したものです。
ジャレコは一流のゲームメーカーとは言えませんでしたが、クソゲーを味のあるゲームを数多く発売していたメーカーで、当時のゲームファンなら知らない人はいない有名(だった)メーカーです。

そんなジャレコのゲームを(なぜか) iPhone に次々と移植しているのが、フランスの DotEmu というメーカー。
ここは「過去の名作」を数多くパソコンに移植しているクラシックゲーム好きのメーカーで、iPhone では「ジャレコ アーケードシリーズ」と銘打って、「64番街」や「ファンタズム」、「E.D.F.」などの知る人ぞ知る(大半の人は全く知らない)ゲームを次々と iPhone / iPod touch で発売しています。
今回の「P-47 - The Phantom Fighter」は、そのジャレコアーケードシリーズの4作目となります。

ちなみにこのメーカーは EA から発売された iPhone / iPod touch 版「R-TYPE」の開発元でもあります。

P-47 - The Phantom Fighter

自機の操作は、画面のどこをなぞってもその方向に移動する「相対移動」です。
画面の左側に「指置き場」となるスペースが用意されているため、画面の左端にも位置しやすく、操作性は悪くはありません・・・ が、良いとも言えません。
操作性についての詳細は後述します。

ショットは自動で連射されますが、パワーアップした時の特殊攻撃は画面右下のボタンを連打して行わなければなりません。(押しっぱなしにしても連発してくれません)

特殊攻撃は爆弾や炸裂弾、ナナメに撃つ機銃、複数発射ミサイルの4種類で、アイテムを取ることで変更できます。
またやられずにアイテムを取り続けることで、発射弾数が増えるなどのパワーアップをしていきます。
なお、パワーアップには「スピードアップ」もあるのですが、移動は指の動きに合わせて動くため最初から高速で移動可能で、スピードアップにはほとんど意味がありません。

このゲームの特徴は、ハデさがない、すぐやられる、全体的にシブい、それなのに遊べてしまう不思議な魅力があるところでしょうか。
どう表現して良いのか難しいのですが、自機や敵の攻撃のバランスが適度で、システムも基本に忠実なため、プレイしやすいゲームになっているのです。
残機が多めで、初心者でもそれなりに進めるのも良い点でしょうか。 ただ後半ステージはかなり難しくなりますが。

もう1つの特徴は、あまり戦闘っぽくない BGM でしょう。
特にステージ2のバカンスにでも行っているかのような楽しげな音楽と、夕日をバックにした綺麗な背景は全然シューティングっぽくなく、それが逆にオシャレな雰囲気を醸し出していました

このアプリの BGM は当時の音源をそのまま再現しているため、今聞くと音質が劣りますが、名曲と言われた当時の曲をそのまま聞く事が出来ます。

P-47 - The Phantom Fighter
※敵の「飛行機」を「爆撃する」という、このゲーム特有のゲーム性はそのまま再現されています。

P-47 - The Phantom Fighter
※巨大戦艦も登場する。 当時のゲーマーの1つの壁だった。

ただ、やっていて気になるのが「操作性」の問題
前述したように移動は相対移動で、左側に指置き場があるので、それほど悪い訳ではありません。

ただ、画面右下の爆弾ボタンを押している時、ボタンの位置からちょっと指がずれてしまうと、「画面のどこを触っても自機を操作できる」という特性が逆に災いし、それに自機が反応
これによって一時的に操作できなくなったり(画面上に指が2つ置かれている状態と判断される)、思わぬ方向に自機がズレてしまうことがあるのです。

前述したようにボタン押しっぱなしでは特殊攻撃を連射してくれないため、ボタンは連打することになります。
そのため指がズレてしまい、不意に自機が止まってしまう事故がよく起こるのです。
ボタンはかなり気を付けて連打しなければなりません。

また、横画面のゲームなので親指で操作することになり、どうしても人差し指の操作より操作し辛さがあります。
加えてこのゲームは中盤以降になると後方からも敵が出てくるので、指が邪魔で敵が見辛くなる事も良く起こります。

総合的に見て、操作性は決して良いとは言えず、思い通りにプレイ出来ない事があるのが難点ですね。
ただ、この操作性を加味しているためかオリジナルよりは敵弾が少なめで、ベースの難易度は低めに設定されています

また、このゲームのオリジナルは「方向スティックを入れている方向に合わせて発射位置が変わる」特殊攻撃がありましたが、これが相対移動だと反映されません。
オプションの設定で「フルスクリーン」をオフにするとスティック操作になり、この時はスティックの方向に合わせた攻撃が行えるのですが、操作性が悪くて問題外ですね。

ゲームモードは「Story」と「Survivor」の2つが用意されていて、ストーリーは到達したステージから始める事が可能、残機は4機です。
サバイバーは常にステージ1からのプレイとなり、残機は8機です。
オンラインランキングはサバイバーのスコアのみ送信されるようです。

以下は Youtube で公開されている公式のプレイムービーです。



価格は 170 円で、安めの設定です。
基本的にはオリジナルを知っている人向けの、オールドゲームファン用のアプリだと思います。
原作を知っている人なら、この価格なら悪くなく、懐かしさもあって楽しめるのではないでしょうか
ちなみに私も原作を PC エンジンとかでやっていたので、懐かしかったですね。

もちろんジャレコファンにもオススメです。 今時ジャレコファンがいるのかどうかは別として。
近年は会社が1円で売られた挙げ句、ゲームより社長の発言が最大の名物になっているジャレコですが、ユニークなゲームが多かったメーカーなので再生して欲しいものです。
このアプリに関しては、出来ればアップデートで操作性をもう少し調整して欲しい所ですね・・・

P-47 - The Phantom Fighter (iTunes が起動します)