プレイヤー数が多く、テレビ CM も行われていたため知名度が非常に高い、韓国の横スクロールオンラインアクション RPG 「メイプルストーリー」が、1人用のゲームになり iPhone / iPod touch のアプリとして公開されています。
メイプルストーリー シグナス騎士団編」と「盗賊編」です。

盗賊編」が発売されたのは 2010年の8月、当初は 600 円でしたが次第に値下がりし、現在は無料で公開されています。
シグナス騎士団編」は 2011年の6月末に登場した新作で、こちらも定価 600 円でしたがセールが頻繁に行われています。

メイプルストーリー」は韓国の老舗オンラインゲームメーカー「ネクソン」(NEXON)が開発したもので、数あるオンラインゲームの中でもっともプレイヤーの年齢層が低いゲームとしても知られています。
ネクソンはこのゲームのような「2D でドットグラフィックの横スクロールアクション RPG のオンラインゲーム」を数多く開発・運営してきたメーカーで、ある意味このタイプの「韓国型 RPG」を作り上げたメーカーとも言えます。
知名度のためか、iTunes のアプリランキングでも上位常連となっていますね。

メイプルストーリー

画面左下の方向スティックでキャラクターを操作し、画面右下のボタンでジャンプと攻撃を行うという、昔ながらの仮想コントローラー操作です。
真横から見た俗に言う「スーパーマリオ視点」のゲームで、その中で敵を倒して経験値を稼ぎ、レベルを上げていくアクション RPG ですね。

ゲームは町の人から「クエスト」を請け負い、それをクリアすることでストーリーが進行していくタイプです。
クエストはほとんど「○○を倒すと得られる○○を○○個集める」という、韓国の RPG によくある「強制経験値稼ぎ」的なお使いクエストばかりで、それをひたすら繰り返す形なので作業感があります
よく日本のゲームは「一本道だ」と言われますが、韓国の RPG はどの敵と戦ってレベルを上げるかまで指示される超マニュアル型なタイプだと言えます。

ただテンポよく遊べるアクションゲームで、クエストをこなすことで無理なくレベルアップしていくことができ、難易度も低めでゲームも解りやすく、誰でも楽しめる内容だと言えますね。

経験値が貯まるとレベルが上がり、ステータスやスキルにポイントを振り分けて強化する事が出来ます。
また敵を倒していると装備や強化アイテムを落とし、それらを集める事でもキャラクターを強くすることが出来ます。
装備はかなり豊富に用意されており、装備することでアバターのように見た目も変化します
ただし多くの装備は一定のレベルに達していないと使用できません。
この辺の基本システムも一般的な韓国 RPG のものを踏襲していると言えます。

メイプルストーリー
※メインクエストもサブクエストも、そのほとんどが「特定の敵が落とすアイテムを集める」クエストばかり。
ただそのおかげで、「戦うべき敵」「無理なく戦える場所」が解りやすいので、非常にプレイしやすい。
さらにクエストをやっていると自然にレベルも上がるため、迷うことがない。
「完全マニュアル型」だけど、「非常に親切設計」のゲームでもあり、今の時代に最適化したゲームと言えるかもしれません。

メイプルストーリー

シグナス騎士団編」には男の子の戦士女の子の魔術師がいて、双方で別のストーリー(1つのストーリーを別の視点から見た内容)が展開されます。
ゲーム中に様々なミニゲームが発生する事もあり、もちろんボス戦もあります。
ボリュームはかなりのもので、普通の市販ゲームソフトぐらいの内容がありますね。
盗賊編」はストーリーは1つだけですが、こちらもボリュームは十分と言えます。


ただ、やっていて難点や気になる点も多いゲームでもあります・・・

まず、操作性が悪い
ナナメがない十字キーで、かつ反応する範囲が狭く、うまく操作できない場合が多いのです。
ちょっとでもボタンから指がズレているとダメなようで、特にツタやハシゴを昇降する時の上下の反応が鈍いです。
同じタイプのゲームに ILLUSIA がありますが、こちらは操作性が悪いとは思いませんでした。
また、同じメイプルストーリーでも「盗賊編」はまだマシなのですが、新作の「シグナス騎士団編」は明らかに操作性が悪化しています

さらに、ローカライズがヘン
日本語化されているのは嬉しいのですが、誤字脱字は当たり前、文法もあきらかにおかしく、さらに主人公の男の子が「女言葉」でしゃべります。 おかげで完全に「オカマキャラ」。
キャラクターのセリフの多くは「日本語でおk」な状態で、普通に読んだだけでは話の繋がりが理解できないことも多いです。
ネクソンには日本法人の「ネクソンジャパン」もあるのですが、そちらはノータッチだったのでしょうか?
あきらかに日本人がチェックしていない文章ですね。

そして最大の難点は・・・ このタイプのゲームとしては、戦闘がいまいち面白くない。 というか爽快感がない。
iPhone / iPod touch には、すでにこのタイプの韓国型アクション RPG は ILLUSIA やサムライギャルなど複数のものが存在しています。
横スクロールアクションに範囲を広げると、PrincessFuryThird Blade 這い寄る混沌 なども存在します。
そしてこれらのゲームはすべて攻撃が「連続技」で、ボタン連打で1セットの攻撃がバシバシと気持ちよく決まります。

しかしこのメイプルストーリーだけは攻撃が単発で、攻撃ボタンを連打しても1回1回剣や杖を振るだけなのです。
そのため他のゲームと比較すると爽快感のようなものに乏しく、スピード感もなくて、攻撃も地味
これは元のメイプルストーリーがそう言うゲームだったから仕方がないのですが、他のゲームをやった後だと見劣りするのは否めません。

なお、「盗賊編」だと盗賊だからか、攻撃が「シグナス騎士団編」よりも連打できます。(単発だけど攻撃間隔が短い)
だから戦闘の面白さは盗賊編の方が良く、この点も新バージョンで逆に悪化した点と言えます。
もちろん全体的なシステムやボリュームは「シグナス騎士団編」の方が良いのですが・・・

※さらに現時点(2011/7/31)のこのゲームには、男の子の戦士の主人公が「ソウル」という召還魔法を使うと攻撃ボタンが召還ボタンに変わってしまい解除不可能になり、MP が尽きて召還できなくなるまで通常攻撃が一切行えなくなると言う致命的なバグがあります。 死んでもアプリを落としても、データをロードしても治りません。
戦士でプレイする場合はこのバグに十分注意して下さい。 女の子の主人公だとこの問題は起こりません。

iTunes のレビューでは「落ちる」という報告も多く(私は落ちませんでしたが)、ローカライズの件も含め、どうもテストプレイや最終チェックなどが甘いような気がしますね・・・

以下は海外のゲーム情報サイト GameTrail により Youtube で公開されている公式のトレーラーです。



価格は一応「シグナス騎士団編」も「盗賊編」も定価 600 円なのですが、セールや値下げが多いので実際の販売価格は常に変わっています
とりあえず盗賊編は無料が続いていて、シグナス騎士団編は現時点(2011/7月末)はセール中で 85 円です。

ボリュームや全体のクオリティーとしては 600 円でもおかしくない内容で、これが無料や 85 円だとかなりの安値、コストパフォーマンスは非常に高いですね。
ランキングの上位常連になるのも頷けるアプリだと言えます。

ただ私的には、数百円ぐらい高くても良いなら ILLUSIA の方が良いかなぁ、という気もします・・・
まあ ILLUSIA は日本語化されていないので、そこが大きな欠点ですが・・・
(サムライギャルは現時点(2011/7)では2度目のボスを倒すとフリーズするという致命的な問題があるので勧められません)

しかしメイプルストーリーは、ユーザーがかなり多いゲームです。
メイプルストーリーは 2003 年末にスタートし、その主要ユーザー層は小学生~中学生の低年齢です。
そして初期のユーザーの多くは今では高校生や大学生、さらに 20 代になっていますから、ちょうど iPhone / iPod touch に興味がある人や、持っている人が多い年齢層になります。
それを考えると iPhone / iPod touch でもこのアプリのプレイヤーが多いのは納得出来ますね。

ゲーム自体はちゃんと「めいぽ」なので、経験者の方なら十分楽しめるアプリのはずです
私的には、経験者向け、及びセール狙いのアプリかなぁ、という感じですね。

・メイプルストーリー シグナス騎士団編 (公開終了)
・メイプルストーリー 盗賊編 (公開終了)