モバゲー(mobage)で人気になっていた、女の子をスカウトしてアイドルや女優などにデビューさせるソーシャル風のゲームが iPhone / iPod touch に移植されました。
ドリームプロデューサー」です。

モバゲーはまだ iPhone / iPod touch 用のアプリは公開していません
モバゲーのウェブサイト(モバゲータウン for smartphone)は昨年末から iPhone でも利用できるので、ブラウザ型のソーシャルゲームならプレイ可能なのですが、スマートフォンでガラケー用のブラウザゲームをやっても虚しいものがあり、すでにアプリでの展開を行っている「グリー」(GREE)や「ハンゲーム」に遅れている印象がありました。

しかしモバゲーはこの夏、ついに iPhone でも複数の「アプリ」を公開することを告知しており、本格参入を明確にしています。
今回ご紹介する「ドリームプロデューサー」は「モバゲー」のロゴは付いていませんが、モバゲーのゲームが始めて iPhone / iPod touch にアプリとして移植されたものであり、その点で注目作だと言えますね。

※現在はモバゲーの公式アプリがすでに iPhone / iPod touch にも登場しています。
ただ、この「ドリームプロデューサー」はそれとは別に公開されています。

ドリームプロデューサー

ゲームはまず、町に出て女の子をスカウトするところから始まります。
このスカウトシーンシューティングゲームのようなミニゲームになっていて、スライドバーで自分を左右に動かし、ボタンで「名刺」を発射します。
これを動いている女の子に指定の数だけ当てればよいのですが、一般人に当ててしまうと怒られてしばらく動けなくなってしまいます。

攻撃されたりすることはありませんが、制限時間があり、誰もスカウト出来ない(女の子のライフを削り切れない)まま時間が来ると失敗となります。
ただ女の子のライフは次のプレイ時に減ったままになっているので、1度目で失敗しても次の挑戦では続きから減らして行くことができます。
名刺を 100 枚以上当てないとスカウト出来ないようなレアな子もいるので、基本的には何度も挑戦を繰り返しながらスカウトしていくことになります。

女の子のライフが 0 になったら「ジャンケン」の説得モードになります。
これは女の子の出す表情に勝つカードを出していけばよい「後出しジャンケン」のミニゲームで、連続で勝てば「スライディング土下座」などの必殺技も発動します。

シューティングもジャンケンも非常に単純なミニゲームで、さらにシューティングの操作性はあまり良いとは言えませんが、実はオリジナルのドリームプロデューサーにはこのシューティングシーンはありませんでした。
iPhone への移植に際して、少しでもゲーム性を高めようという考えがあったのでしょうか?

ドリームプロデューサー

dreamproducer3

スカウトが成功すれば育成シーンになります。
ここでは「うた」「演技」「トーク」などのコマンドを実行してステータスを上げていきますが、「うた」が一定数にならないと「演技」を実行できないという感じで、1つずつ順番に上げていく必要があります。
実行すると「体力」が減ってステータスが増加し、体力がなくなったら回復までしばらく待たなければなりません。

つまり育成シーンは、ソーシャルゲームの「クエスト」とほぼ同じです。
ボタンをポチポチ押していれば達成度が上がっていく、非常にシンプルなシステムですね。
一通りのステータスを規定値まで上げれば「最終レッスン」のボタンが出て、それを実行して成功すればデビュー成功、その女の子のエンディングになります。

要するに「ソーシャルゲームからバトルとソーシャル要素を抜いた内容」で、こう言うと「それじゃあ面白いところが残ってないじゃん」「それのどこが楽しいの?」と思うかもしれませが・・・ ぶっちゃけ、面白くはないです

こう言うとモバゲーが好きな人は怒るかもしれませんが・・・ 正直言ってゲームシステムについては「所詮はモバゲーのゲームだな」という感じです。
モバゲー風の、モバゲーやグリーしかやった事がない人のみ楽しめる、モバゲーレベルのゲーム」に過ぎない印象ですね。

ただ、モバゲーやグリーのソーシャルゲームはこうしたシンプルなシステムがウケたというのがあり、ライトユーザーの多くは難しいシステムや、色々と考えなければならない難解な戦略性を嫌う人が多いです。
ボタンを押して即座に結果だけが表示され、思い通りに成功し続けられるのが楽しい訳で、さらにこのゲームは「ギャルゲー」ですからかわいい女の子が成功していくのを見るのがメインであり、そもそもゲーム性を云々言うのはナンセンスなのかもしれません

ドリームプロデューサー

もう1つのモバゲーらしい点は、あらゆるものに課金が必要なこと
体力を即座に回復させる薬が有料なのはもちろん、レッスンの効果を上げるコーチも有料+回数制限付き、シューティングシーンの特殊名刺も有料+消耗品、説得の効果を上げるスーツも回数制限のある有料アイテムです。
つまりこのゲームは装備や設備に類する全てのものが、課金しなければ利用できません
おまけに体力は 0 からフルまで回復するのに3時間以上必要で、フル状態でもコマンドは10回しか実行できないため数十秒で使い切り、課金しないと遊べる時間は少ないです。

ただ、モバゲーやグリーのゲームと言えば、例えば「釣りゲーム」で釣り竿が有料・エサも有料・ルアーも有料、しかも全部消耗品など「課金するのが当たり前」なものが多かったので、このシステムもモバゲーらしいと言えばモバゲーらしいですね。
iPhone のユーザーはそこまで甘くないとは思いますが。

なお、このゲームのオリジナルはゲーム内で稼いだポイントでもコーチやスーツを入手出来たので、それが出来なくなっている分、iPhone 版の方がゲーム性は下がっていると言えそうです。


ただ、このゲームの良い点というか、最大の注目点は・・・ グラフィックや演出がガラケーレベルではなく、ちゃんとスマートフォンレベルに作ってあることでしょう。

ブラウザゲームではなくアプリとして開発されている事もあり、グラフィックが綺麗で場面の切り替わりなどの演出も良く、iPhone で見ても見劣りしない出来栄えです
モバゲーの今後に期待が持てるグラフィックやサウンドで、確かにこのクオリティーでモバゲーが攻勢をかけてきたら、iPhone でもシェアを拡大していくかもしれないと感じさせてくれます。
その意味では、このアプリはやはり注目作と言って良いでしょうね。

ゲームシステムについては、「このままでも iPhone で通用する」と思っているのなら、やはりコケるとは思いますが・・・
しかしこれでもガラケーではヒットしていたようなので、今後ライトユーザーが増えてきたら、こうしたゲームの需要も増していくのでしょうか・・・?

ドリームプロデューサー

価格は 85 円と安めですが、フリーミアムと言える内容なので、「課金要素てんこもりなのに無料じゃないのかよ!」という意見もあります。
これは私もそう感じますが、ゲーム自体は無課金でも進めないことはありません。

オススメかどうかで言うと、少なくとも私のような普段からゲームをやっている人にはオススメできません
そう言う人が満足できるような内容ではないです。 ギャルゲーが好きな人なら別かもしれませんが。

また、現時点(2011/8)では2つ目の街「秋葉原」以降にゲームが落ちる症状が続発するため、デバッグも不完全な印象です。
街も4つありますが、3つ目以降はまだ導入されていません。
私的には、モバゲーが夏に公開するアプリのための先行テストを兼ねてるのかなぁ、とも思います。
※と思ったら、この数日後に「忍者ロワイヤル」が公開されました。

この夏、モバゲーはテレビ CM で盛んに宣伝されている「忍者ロワイヤル」を始めとする、複数のアプリを公開する予定です。
今までスマートフォンへの積極展開が見えなかったモバゲーですが、iPhone のアプリメーカーだった ngmoco を買収後、「水面下では着々と準備を進めている」というのはゲーム関係者の方からも聞いていました。
もしかすると先日のハンゲームのアプリ公開ラッシュは、それに対する先手を打ったものなのかも・・・ と言うのは考えすぎかな?

ともあれ、iPhone で今後モバゲーがどう展開していくのか、色々な意味で楽しみですね。

・ドリームプロデューサー (公開終了)