「三国志」をテーマにした秀作タワーディフェンスとして人気の「三国TD - 蜀伝」に、新バージョンが登場しました。
三国TD - 魏伝」です。
蜀があるんなら、やっぱり魏もないといけませんよね。

魏伝ですから主人公は当然「曹操」。
夏侯淵や夏侯惇などの武将と共に、三国志の物語に沿ったステージをクリアして行きます。
前作の主人公である蜀の面々は敵として登場します。

ただ、今回は「フリーミアム」(本体無料+追加課金方式)のアプリになりました
詳しくは後述しますが、この変化により課金しないと武将やアイテムを満足に入手出来ない形になっており、この点がやや微妙なゲームになっています。

三国TD - 魏伝

タワーディフェンスのタイプとしては、敵の通り道が決まっている「ルート固定型」です。
ただ、このゲームは敵の出現地点や移動ルート、さらに最終地点まで複数存在することがあり、戦力を分散して配置しなければ守れないステージも存在します。
この部分はちょっと特殊ですね。

タワー(兵士)には曹操や許楮などの「将軍」と、弓兵や槍兵などの「一般兵」がいます。
将軍は1ステージに1人しか配置出来ませんが、レベルアップやアイテム装備で強くなり、さらに様々な「特技」を使う事が出来ます
一般兵はいくらでも配置出来ますが武将よりは弱め。 しかし資金を使ってアップグレードすることが可能です。

兵士には単体に強い「歩兵」、貫通攻撃の「槍兵」、範囲攻撃の「鐘兵」、飛んでいる敵を倒せる「弓兵」といった種類があり、武将の攻撃もこれらの中に含まれています
妖術師」というユニットもいて、これは近くで倒された敵から武将が技を使う際に必要になるポイントを吸収することが出来ます。 また、姿を消している敵を見破れます。

敵が最終地点に到達してしまうと一般兵なら1、武将なら2のライフ(このゲームでは「バイタル値」)が減少し、0になるとゲームオーバー。 その前に敵を全滅できればステージクリアです。
特定の武将同士が会うとジャンケン形式の「一騎打ち」が発生するなど、ゲームの基本システムは前作とほぼ同様です。

唯一違うのは「策略」が存在することで、これはマップ上に設置する罠のようなものです。
設置地点を通った敵の防御力や移動速度を下げたり出来ますが、使用回数が限られており、一定時間で消滅します。 味方を強化する策略も存在します。

また前作から強化されている点として、フィールドのグラフィックの書き込みがかなり細かくなっています
前作は地形の書き込みがやや簡素で、草原などがのっぺりしていたのですが、今作は草原にも明確な濃淡があり、長い草が生えていて石も転がっているなど、綺麗なものになりました。
キャラクターは前作の時から非常に細密に書き込まれていたので、かなり見栄えがしますね。
ズームイン/ズームアウトも可能ですが、最大ズームにしても粗が目立たないほどのグラフィックです

三国TD - 魏伝

三国TD - 魏伝

中国のゲームですがメッセージは全て日本語化されており、翻訳がおかしい部分もほとんど見られません
キャラクターのセリフなども直訳ではなく、ちゃんと自然な言い回しになっています。

ステージは全部で 21 、前作よりやや少なめですが相応のボリュームがあり、各ステージの難易度も4つ用意されています。
iPhone / iPod touch と iPad の双方に対応したユニバーサルアプリにもなっており、全体的なクオリティーは間違いなくアップしていますね。


ただ問題なのは、冒頭で述べたように「フリーミアム」(本体無料+追加課金方式)になったことでしょう。
本体無料だから基本的な部分はタダで遊べるので、それは良い点なのですが、武将の雇用とアイテムが「コイン」を使って購入する形式に変わっています
つまり前作のようにゲームを進めていれば自然と武将が増えていき、アイテムも集まるというゲームではなくなりました。

コインはステージをクリアすることでも増えるのですが、その量は僅かなもの
例えば初期からいる武将の「夏侯惇」は 3000 コイン必要なのですが、序盤ステージをクリアして入手出来るコインは 20 ~ 40。
平均 30 として、なんと 100 回クリアしなければ雇用できない事になります。 さすがに非現実的
後半ステージになると収入は 50 ぐらいになり、パーフェクトクリア出来ればボーナスも得られますが、それでも何十回もクリアしないと雇用できません。
アイテムも値段は様々ですが、やはりコインを消費して買わないと使えません。

「夏侯淵」は安く雇用でき、初期資金でも雇えるのですが、無課金で序盤に雇えるのはそこまで。
それ以外の武将は課金しないとまともに雇えません。 アイテムを買うのさえ辛いです。
ハッキリ言って「三国志」は武将が活躍してナンボですから、無課金では楽しめる範囲に限界があると言えますね。

そして気になる課金の価格ですが、1000 コインで 85 円、2000 コインで 170 円、6000 コインで 450 円などです。
前述したように夏侯惇で 3000 コイン、安めの徐晃や張遼でも 1200 コインや 1800 コイン必要なので、6000 コインの課金をしないと武将はまともにそろいません。
と言うことは安くても 450 円が必要な訳で・・・ しかもアイテムが欲しい場合はもっと必要になります。
(さらに司馬懿とかだと1人で 6000 コイン・・・)

フリーミアムだから課金があるのは当たり前ではありますが、正直「タダより高いものはない」系のアプリだなぁ、という印象です。

三国TD - 魏伝

三国TD - 魏伝

ゲーム自体は相変わらず面白く、既存のタワーディフェンスの中でも間違いなく上位の完成度と言えるでしょう。

しかし前作(蜀伝)は当初は 350 円でしたが、その後に 115 円になったり無料になったりしたので(現在は 170 円)、それと比較すると明らかに高い印象を受けてしまいます。
ただ 450 円のゲームなんだと考えて、このゲームにその価値があるかどうかを考えると・・・ 私は三国志やタワーディフェンスが好きなら、その価値は十分にあると思います
一応無料のままでも遊べますから、TD が好きな人はとりあえず試してみるのが良いですね。

しかし iPhone のゲームもどんどんフリーミアム化が進んでいますから、こういう課金の量が利用できるゲームの要素の量に比例するアプリが増えていくんでしょうかね・・・
それを考えるとなんだか複雑な気もします。

・三国TD - 魏伝 (公開終了)