飛行場の航空管制官となり、次々とやって来る旅客機に着陸や離陸の指示を与え、事故や遅延がないように空港の運営を行う、パソコン(Windows)を中心にシリーズ化されている時間管理型のパズルゲーム。
それが「ぼくは航空管制官」シリーズです。 通称「ぼく管」。

このシリーズはプレステや各携帯ゲーム機に移植されていますが、先日ついに iPhone / iPod touch 版も登場しました。
ぼくは航空管制官 RUNWAY STORY 大阪」です。

「ぼく管」は 2D グラフィックの初代シリーズと、3D グラフィックになった2以降のシリーズに分かれますが、iPhone / iPod touch 版で発売されたのは初代シリーズをベースにした 2D グラフィックの方です。
個人的にも中途半端な 3D グラフィックでゲームが複雑化した2以降より、解りやすくてプレイしやすかった初代シリーズの方が好きだったので、初代がベースになっているのは嬉しいですね。

このシリーズの開発元はテクノブレインというメーカーですが、iPhone 版は Sonic Powered という携帯ソフトメーカーが開発しているようです。
そのためかグラフィックの雰囲気や演出がオリジナルとは少し異なっていて、より洗練されたモバイル向けのインターフェイスになっています。
ちなみに空港は関西国際空港ではなく、大阪国際空港、俗に言う「伊丹空港」です。

ぼくは航空管制官 RUNWAY STORY 大阪

ゲームが始まると画面上空から航空機が飛来してきます。
プレイヤーがこれをタップして着陸する滑走路とその方向を選択すると、パイロットとの通信が行われ、通信後に航空機は進入ルートに沿って滑走路へと向かいます。
着陸前に「着陸許可」の通信を行うことで航空機は滑走路に降り、その後は到着するターミナルを指示して、さらに「滑走路横断許可」などを与えながら誘導していきます。

出発便はまず交信でフライトプランを確認、その後に航空機の向きを変える「プッシュバック」を指示して誘導路を進行させ、滑走路に到着後したら離陸許可を与えることで飛び立っていきます。

パイロットとの通信時には実際の航空管制と同じような、音声によるリアルな通信が行われます
機内アナウンスや空港の案内放送なども聞こえ、これらがゲームにリアルさや臨場感を与えていて、実際の航空管制を見ているような気分になれますね。

ただしこの通信がゲームの難しい点でもあり、管制官は同時に複数のパイロットと話をすることは出来ません
よってどれかの航空機のパイロットと通信している間は、他の航空機には指示が出せず、そのため航空機の数が多くなるとどうしても「順番待ち」が発生します。
あまり待たせていると航空機に表示されているマークが青から赤に変わっていき、その後に「ストレス」が増加します。
ストレスが最大になってしまうとゲームオーバーなので、出来るだけ待たせないように対応していく必要がありますね。
もちろん指示をミスって航空機がぶつかったり、立ち往生してもゲームオーバーです。

通信には結構時間がかかるので、「着陸態勢に入った航空機に着陸許可を出したかったけど、他の航空機と通信していて許可が出せず、航空機が着陸を回避して上空に戻ってしまった」なんて事もあり得ます。
また航空機は通信を終えてから行動を開始するので、どうしても実行までにはタイムラグが生じます。
プレイ中はこれらを加味して管制をする必要があり、ここがこのゲームのポイントとなっています。

ぼくは航空管制官 RUNWAY STORY 大阪

ゲームモードは2つ、通常の「オペレーションモード」と、街を開発する要素がある「ストラテジーモード」が用意されています。

オペレーションモードは本来の「ぼく管」のモードで、制限時間内に一定のスコアを稼ぐとクリアになります。
ただしスコアは結構ギリギリで、効率の良い管制を行わないとクリアポイントに届きません
スコアは航空機のターミナル到着時と離陸時にしか入らないので、時間が足りなくなってきたらそれも加味する必要があります。

もう1つのストラテジーモードはクリアポイントがなく、代わりに航空機に「乗客数」と「資材数」が設定されていて、ターミナルに到着させると入手する事が出来ます。
一定時間が経過してステージが終了すると、そのポイントを家やビルの建設に振り分ける事ができ、それに応じて街が徐々に発展していきます
人口が増えることで公園や学校など、特殊な建物が建つこともあります。

ぼくは航空管制官 RUNWAY STORY 大阪
ぼくは航空管制官 RUNWAY STORY 大阪

ただこのストラテジーモード、長期的に楽しめる要素が加わったのは良いのですが、あまり「開発している」という感じではありません。
どこに何を建てるか、どんな建物を建てるかなどの設定はなく、単にポイントを振り分けたらランダムで建物が増えていくという感じ
しかも開発されるのは背景だけで、その開発によってターミナルが増えるとか、滑走路が拡張されるとか、そんな要素は一切ありません
ゲームはずっと同じレイアウトの飛行場で同じゲームを繰り返すだけなので、かなり単調ですね。
特殊なイベントが起こったりすることもありません。

オペレーションモードも空港は1つだけ、ステージもたった3つと、ボリュームが少ないのは否めません。
オリジナルの「ぼくは航空管制官」はレイアウトや規模の異なる様々な空港で、各空港ごとの特殊なイベント(軍用機が離着陸するとか、民間機が飛んでくるなど)を交えたステージをクリアして行くゲームだったので、空港が1つだけじゃその面白さも半減です

オリジナル版は航空会社や空港との提携により、実際の旅客機がモデルになった機体や、会社ごとに異なる通信などもあったのですが、今作にはそう言った部分がないのも残念ですね。

ぼくは航空管制官 RUNWAY STORY 大阪

正直、ボリュームという点ではイマイチです。
でも 350 円のアプリだと、この程度なのも仕方がないのかなぁ、とも思います・・・
とは言え iPhone / iPod touch のアプリで 350 円だと、決して安い方ではありませんが。

アプリのクオリティー自体は悪くなく、リアルな通信と解りやすい画面構成、BGM もあり空港の案内板を模した離着陸表示も雰囲気があって、全体的に良く出来ています。

「ぼく管」(初代)は個人的に好きなゲームなので、やや贔屓目かもしれませが、臨場感のある通信と解りやすくデフォルメされたゲーム性がマッチした、ユニークでお勧めできるゲームです。
ボリュームの無さについては、今後のアップデートに期待でしょうか。
私的には、このゲームが iPhone / iPod touch で登場したのは嬉しいですね。

ぼくは航空管制官 RUNWAY STORY 大阪(iTunes が起動します)
ぼくは航空管制官 RUNWAY STORY 大阪 Lite (無料体験版です)