1991年、まだ「ポリゴン」(3D グラフィック)というものが一般的でなかった時代に、そのポリゴンでグラフィックを描画した、死にまくり古典的アクションアドベンチャーゲーム
それが「Another World」です。
日本ではスーパーファミコンで「アウターワールド」という名前で発売されていました。

ゲーム内容を一言で言うと「死にゲー」。 とにかく死ぬ。ひたすら死ぬ。たっぷり死ぬ。
死にゲーの代表格「プリンス・オブ・ペルシャ」も真っ青と言うぐらい死にまくるゲームで、ひたすらリトライを繰り返しながら謎を解いていくタイプのアクションアドベンチャーです。

その一方で演出に優れており、ミスした時も場面ごとに違う「死に様」が流れます。
画面の隅にチラッと仲間や敵が移動しているシーンが流れ、後の場面に関係しているなど、その演出や物語の流れは多くのゲームクリエイターに影響を与えたと言われています

ただ、私はこのゲームのことを全く知らなかったので、俗に言う「思い出補正」はありません。
そんな私がこのゲームをやって思った感想は・・・ 「洋ゲー版 たけしの挑戦状」。
こう言うと怒る人もいると思いますが、「極めて名作かつクソゲーである」という印象ですね。

なお、原作はフランスの方で、iPhone への移植を担当したのもフランスのレトロゲーム専門(?)のメーカー「DotEmu」です。

anotherworld

画面の左右をタップして移動、横フリックでダッシュ、上フリックでジャンプ、下フリックでしゃがみます。
右下と左下をタップすると攻撃を行います。
操作にはややクセがあり、ダッシュしはじめるとタップするか、逆に移動するまで止まりません。

方向キーとボタンによる操作に変更する事も可能ですが、方向キーがあるとキャラクターが右端や左端にいる時にやや見辛くなります。
全体的に、操作性は悪いという程ではないけど、良いとも言えません。
ただこの独特の操作感も、この作品ではゲーム性の1つでしょう。

内容は前述したようにひたすら死ぬゲームで、例えばオープニングデモの後に主人公は水中に飛ばされるのですが、そのままデモかと思って見ていると死にます
ボタンで泳いで浮上しても、そのままいると水中からツタが出て来て引き込まれて死にます
移動するとヒルのような生き物がいますが、踏んだら死にます
その先には猛獣がいますが、近づいたら襲いかかってきて死にます
反転して離れても追いかけてきて死にます

そしてプレイヤーは死にながら、「ああ、浮上したらとりあえず離れるんだな」「ヒルは踏まないようにボタンで蹴るんだな」「猛獣はすぐダッシュで逃げるんだな」というのを学んでいく訳です。
死んでもすぐ近くの場面から再開出来るので、リトライは何度でも行えます。
こうやって死にながら少しずつ解法を探していくゲームですね。

ただ、最初のうちはまだ良いのですが、中盤からは非常に難解な謎がほぼノーヒントで出て来ます
何度もやり直しながら色々と試行錯誤していくしかありませんが、「他の場面で何かをしておかないと進めない」という謎もあり、自力でクリアするのは無理とは言わないけど、相当大変です
ストーリーをストレートに進めて行くとそんなに長くないのですが、悩み始めるといくらでも時間が経ってしまうゲームですね。

anotherworld2
※銃はタメる事が出来る。 普通に撃つと射撃し、1段階タメるとバリアを張る。
そして2段階タメると強力なビームを発射し、バリアも破壊する。
重要なのは、この強力ビームは薄い壁も破壊出来ることで、これに気付かないと序盤で詰む。

anotherworld3
※水が流れてくる場面はスピード勝負! 結構難しいが、せっかく突破しても水を流す前に戻されてしまう事がある・・・
しかしそれは水を流す前にやるべき事をやっていない場合なので、ある意味「救済措置」と言える。

anotherworld4
※ここは難関! と言うか、普通気付かない。 この3つ重なった壁は自動ドアで・・・

謎解きがメインなので、銃撃戦もありますが、基本的には「アドベンチャーゲーム」です。
それほど不条理と思える謎はなく、何かがヒントになっている事が多いのですが、それでも「こんなの気付かねーよ」と思ってしまう時も多く、難解な解法を連続で要求されるうえ「死にまくらないと解らない」ところは、やはり今見ると異質です。

ただ、セリフが一切ないにも関わらず、キャラクターのアクションと演出で独特の世界観とストーリーを作り出している点は、確かに「名作」と言われる所を感じる事が出来ます。
当時としては全編ポリゴンで表現されていることも、驚きの一つだったことでしょう。

グラフィックは当時のままではなく、キャラクターのモデルは滑らかに表示され、背景は今風の細かい絵に変更されています。
あくまで当時のテイストは残されているのですが、空には綺麗な雲が浮かび、岩肌はリアルになり、光源はグラデーションしています。
ただ、画面を下に二本指フリックすることで、いつでも当時のレトログラフィックに切り替えることが可能です。

良くも悪くも「当時の」傑作ゲームという感じでしょうか。
当時はこういう「すぐ死ぬゲーム」は結構ありました。
今の視点で見ると、異様な難易度に思えるのですが・・・ これが普通だった時代のゲームということですね。

anotherworld5
※こんなもん解るか! と思った場所その1。 緑色の球体がヒントなのだが・・・
この球体があった別の場所でしばらく待ってみると・・・

anotherworld6
※こんなもん解るか! と思った場所その2。 この敵をすぐ倒したら詰む。
離れてバリアを張ると爆弾を転がすのだが、階段があるので・・・

定価は 450 円。 価格を考えても内容を考えても、「当時プレイしていた人向け」です。
iTunes のレビューは非常に高評価なのですが、これは購入している人が当時のプレイヤーだからであって、決して万人受けする内容ではありませんね。
少なくとも最近のゲームしか知らない方は、手を出さない方が無難です。

ただ当時のプレイヤーなら、ブラッシュアップされたグラフィックと当時のままのゲーム性で、懐かしみながら楽しむ事が出来るでしょう。
私はオリジナルを知りませんが、それでも移植度が高いことはやっていて解ります。

こうした過去の名作ゲームが次々と蘇るのも iPhone / iPod touch の良い点ですね。
オリジナルを知らない人には勧め辛いですが、当時の名作に興味があるなら試してみても良いかも。

Another World - 20th Anniversary (iTunes が起動します)

最後になりましたが、以下は海外の情報サイト GameTrail により公開されているゲームトレーラーです。