大金と人生をかけたギャンブルの模様を描く人気漫画シリーズ「カイジ」。
アニメや映画にもなった有名な作品ですが、この作品に登場した二人打ちの変則麻雀「地雷ゲーム『17歩』」が iPhone / iPod touch のアプリになっています。
二人麻雀17打」です。

公式なものではないためカイジのキャラクターなどは登場しませんが、ルールはマンガの「17歩」そのままです。
このアプリは8月に公開されたものですが、その時点では音が一切なかったため臨場感がなくて楽しめず、当ブログで扱うことはしませんでした。
しかし先日のアップデートで BGM と効果音が付いたため、今回ご紹介しようと思います。
(初期設定ではサウンドは OFF になっています。「設定」の画面で ON に出来ます)

なお、麻雀を知っている事が前提の解説なので・・・ 麻雀を知らない方、ごめんなさい。<(_ _)>

17da

ルールは普通の麻雀とはまったく違います
ただし役は麻雀のものをそのまま使うので、役を覚えていることが必要です。

ゲームが始まると、2人の対戦者にそれぞれ34個の牌が配られます。
そしてこの中から13個を自由に選んで組み合わせ、テンパイの形の「手配」を作ります
2人共が手配を作り終えたら対局開始、先手から交互に「手配に使わなかった牌」の中から1つを選んで捨てていきます。
捨て牌が当たり牌ならもちろん「ロン」、あがられた人は役に応じた「所持金」を支払わなくてはなりません。
どちらもロンしないまま 17 牌を打ち終えた場合は流局となります。

つまりこのゲームに「ツモ」は存在しません。 相手の捨て牌のみであがります
最初からテンパイなので「ポン」や「チー」もありません。「カン」もなしです。

34個の中から13個を選んで手牌を作り、残ったうちの17個を切る訳ですから、最終的に4つ残ります。
ですから相手の当たり牌を持っていても、出さずに済む可能性はありますね。

そしてもう1つ、ゲーム性を決定付けている重要な「満貫縛り」というルールがあります。
対局者は満貫(4翻)以上でなければ、あがれないルールとなっています。(符の計算はしません)
開始と同時にリーチをするので、これが1翻分となり、実際には3翻以上が必要です。(ドラは含んでOK、裏ドラはダメ)

このため34個の中から自由に手配が組めると言っても、思い通りに出来るとは限りません。
「ツモ」がなく「ロン」しかないので、二人打ちですがツモの分は計算に含むことが出来ず、タンヤオピンフではドラがないと満貫に届きません。 もちろん七対子だけでもダメです。
鳴きがないのでトイトイもなく、風牌や三元牌は意外と使い辛いです。
一気通貫や一盃口、三色同順やチャンタは作りやすいですが、これらだけではやはり満貫に届きません。

満貫になる組み合わせにして、当たり牌が多くて、かつ安全な牌を残しておくのが理想ですが、そんな都合のいい状況には 34 牌あってもなかなかならないので、その中でどういう風に組み立てるかがゲームのポイントになります。
普通の麻雀より選択肢が多いため、意外と役の組み合わせを読む力が必要で、パズル的な要素が強いゲームになっていますね。

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※あがり牌によって何翻かが変わる時があるので、当然「特定の牌であがらないと満貫にならない」という「条件付満貫」のケースが出てきます。
この場合、満貫を越えない牌が出て来てもあがれない上に、「あがり牌をスルーするとフリテンになる」というルールはそのままなので、流局を待つしかなくなります。 「条件付」のケースは出来るだけ避けましょう。
34牌から手配を組めるので、当然「役満」を狙えるケースも増えます。 通常の麻雀よりデカい手が連発されますが、それは相手も同様なので注意。


ゲーム中の展開は、「アンパイ」の出し合いになります。
1手目はとりあえず勘で無難そうな牌を出すしかないのですが、それ以後は出来るだけアンパイを出すのが攻めでも守りでも重要です。

アンパイが攻めにもなるというのは、「相手の捨て牌の選択肢を減らして行くゲーム」なので、こちらが「一か八か」で色々な牌を捨てていると、相手のアンパイがどんどん増えてしまい、こちらがあがれなくなるためです。
逆に、例えば同じ牌を3つ持っていて、その1つが通ると、後の2巡はその牌を出し続ければ良いので、その間に相手が危険牌を出してくれる可能性があり、それによってこちらのアンパイも増えていきます。
だから最初の組み合わせの時に「たくさんある牌は取っておく」というのも1つの戦略になります。

アンパイがなくなった時は258などの「スジ」の牌を切っていくのが基本でしょう。
コンピューターが「スジ待ち」や「引っかけ」をしているかどうかはよく解らないのですが、難易度が「普通」のコンピューターはアンパイがなくなるとスジ牌を切るケースが多い気がします。
なおゲームの性質上、裏スジはないです。

コンピューターの強さは3段階用意されていて、初期設定は「弱い」になっています。
弱いはホントに弱いので、ある程度ゲームに慣れたら普通以上でプレイするのがお勧めです。

あがった時の所持金のやり取りは、満貫だと「レート」のまま、跳満なら 1.5 倍、倍満なら2倍といったシンプルな形になっています。(通常の麻雀のような点数計算はありません)
対局前に「レートアップ」を選ぶか、流局するごとにレートは上がっていくため、流局が続くと負けたら1発で破産するレートになる場合もあります。
この辺は原作を踏襲していると言えますね。


難点は牌が小さく、タップでしか選択出来ない(スライドしての選択はない)ので、やや操作し辛いこと。
対局開始後は牌を選択して「打牌」のボタンで捨てる形式なのでミスをすることはないのですが、対局前の手牌組み立て時は iPhone だと画面が小さくてやや選び辛いのは否めません

また「通算成績」が難易度別ではないこと、ランキングが存在していないことも残念な点でしょうか。
iTunes のレビューには「相手の手牌が最後に晒されないのが不満」という意見がありますが、これもその通りですね。
実際の麻雀は流局時に手牌を公開する必要はありませんが、このゲームの内容を考えるとやはり公開して「答え合わせ」をさせて欲しいところです。

※現在はアップデートにより、流局時と自アガリ時に相手の手配を見られるようになりました。

なお、iTunes レビューには「落ちる」という意見も多いのですが、私が(iPhone 4 や iPad で)試した限りでは、落ちたことは一度もありません。

価格は 85 円個人アプリのレベルであり、クオリティーは決して高い訳ではありません。
iPhone の麻雀アプリは優秀なものが多く、麻雀・雷神天極牌 など無料で高クオリティーなものもあります。
それらと比べると操作性もグラフィックも演出も、すべてが大きく見劣りします。

しかし「17歩」(17打)が楽しめるのはこのアプリだけなので、この点で貴重なのではないでしょうか。
麻雀が好きな人なら、これはこれで「変わり種」として楽しめるはずです。
価格は安いので、カイジが好きな方や、ちょっと違う麻雀を楽しみたい人にはオススメですね。

二人麻雀17打 (iTunes が起動します)