欧米を中心に話題になっていた、3D グラフィックシステム「Unreal Engine」(アンリアルエンジン)を使ったオンライン対戦がメインの FPS (3D 視点のガンシューティングゲーム)が、先日遂に公開されました。
Warm Gun」です。

FPS 好きのユーザーの間で話題になっていたアプリで、今年に入ってからのオンライン対戦対応の FPS はイマイチなものが多かったため、「今度こそ」という期待を持たれていたアプリです。
しかしその期待は・・・ まさに木っ端微塵、完膚無きまでに叩き潰されました

結果がこうだったから言う訳ではないですが、私は最初から「どうせイマイチだろコレ」と思っていたので、残念な内容だったことについては特に驚きではなかったのですが・・・
しかしこのアプリ、私の想像のさらに上を行く「ダメっぷり」で、もしモバイルゲームの「クソゲーオブザイヤー」があったら有力候補になるのは間違いないゲームです。

一応内容を簡単に紹介すると、第三次世界大戦と石油の枯渇によって、文明が西部劇のような時代に逆戻りした世界で行われる、アウトロー達の銃撃戦です。
オンライン対戦が基本のゲームであり、1人用はコンピューター相手に戦うのみで、ストーリーモードのようなものはありません。

まず現時点(2011/10/11)で、アプリを起動すると以下の様になります。

Warm Gun

はい、クラッシュ。 Warm Gun、完。

見て解るように Unreal Engine がエラーを出しているので、iPhone を再起動しようが何しようが無駄です。

しかしこのクラッシュは速攻で公開されたアップデートを導入することで回避できます
どうやら開発中のバージョンを誤って公開してしまったようで、そのためアプリが動いても開発用のデータが表示されるなど、正常な状態ではなかったようです。

しかし各所で期待されていたアプリが、その公開日に誤って「開発中のバージョンを公開する」という大チョンボをやらかし、世界中のプレイヤーから非難を浴びる展開は、iPhone アプリ史上の伝説になったと言っても過言ではないでしょう。
もし起動直後に落ちる方は、すぐにアップデートを実行するようにして下さい。

さて、無事に起動してゲームを始めると以下の様になります。

Warm Gun

操作は2本のスティックで行い、左下のスティックで移動、右下のスティックで向きと照準を動かします。
(設定で右下のスティックを「なし」にすることもできます。 この時は画面のドラッグで向きと照準を動かします)
iPhone 本体を動かして行う「ティルト操作」や「ジャイロ操作」はありません

操作タイプとしては Call of Duty: ZombiesSHADOWGUN に似ていますが、照準の反応が鈍く、イマイチ敵を狙いにくいです。
オートエイム(敵に照準が吸い付く機能)もありませんし、敵をターゲットしている時に照準の色が変わると言うような、他の FPS ではあって当たり前の仕様もありません。
ただ、ある程度大雑把に撃っても敵に命中するようになっています。

キャラクターは4種類用意されていて、それぞれ3つの武器を持っています。
武器は画面下の武器アイコンをタップすれば変更する事ができ、手榴弾の代わりになる「火炎瓶」や、近接攻撃を行う「斧」などの、変わった武器を持つキャラクターも

Warm Gun

・・・あれ?

アップデートしなかったっけ? 間違いなくしたよな?
でも何このクラッシュ。 それでも Unreal Engine が不機嫌になるのかコレ・・・?

とりあえず、気を取り直して・・・


さて、気になるオンライン対戦ですが、まず「Game Spy アカウント」というものを登録しなければなりません。

これは右下の「REGISTER」のボタンを押して、ID やパスワードを入力して「GO」のボタンを押すことで、簡単に登録する事が出来ます。

Warm Gun

登録して改めてログインすると、現在行われているゲームのリストが表示されます。
1つのゲームに参加できるのは4人までで、それぞれが戦い合う「バトルロイヤル」形式の個人戦のみです。
まだチーム戦などは導入されていません

3人以下ですでに行われているゲームがあれば、それを選んで「JOIN」を押す事で途中参加することも

Warm Gun

・・・・・・・・・。

ポチポチ・・・(アプリ起動し直し中・・・)


オンライン対戦のゲーム内容は、1人プレイの時と変わりません。
と言うか1人プレイの内容は、オンライン対戦をコンピューター相手にやるものですからね。
やられても数秒後にマップ内の別の場所ですぐ復活できます。

ゲームとしては単に撃ち合うだけのシンプルなものです。
成績によって階級や経験値のようなものが増えるとか、武器などをカスタマイズできるとか、そんなものは一切ありません

グラフィックも決して悪い訳ではないのですが、昨今の FPS/TPS と比べると特別良い訳でもありません。
遠景もノッペリした一枚絵で、書き込みが荒い部分も目立ちます
しかも動作が全体的に重めで、iPhone 4 ならプレイ出来ないレベルではないのですが、ややカク付きを感じる動きです。 快適とは言い辛く、iPhone 3GS や iPod touch だとさらに厳しいでしょうね。
照準が合わせにくいのも、この動作の重さとカク付きのある動きが原因の1つです。

操作について言うと、画面下に武器選択のアイコンがあるのも邪魔です。
なにせ左下と右下には移動と照準のスティックがあるのですから、スティックから指がはみ出てしまうとすぐにアイコンに触れてしまい、思わぬ武器変更が行われてしまいます。

1人プレイ時の AI の動きもイマイチで、斧を振り回しながら銃を持った相手に正面から突っ込んで行くなど、自殺行為のような行動を取ります。
しかも同じ場所で復活して何度も同じ場所に突っ込んで行くので、待ち伏せしていればいくらでも倒せます。
前述したようにストーリーモードがある訳でもなく、1人でやって楽しいゲームではありません

またダメージを受けた時の演出が乏しいので、やられた時の感触も、敵を倒した感触も希薄で、臨場感がありません
他の FPS は撃たれたら周囲が赤くなり、さらに画面が揺れて衝撃音や悲鳴が聞こえたりしますが、そんなものは一切無く、音もなくパタっと倒れます。
これではやってて楽しくないです。

つまりこのゲーム、重いしクラッシュするしで色々と問題が多いのですが、それ以前に「FPS として面白くないです」。
ここが完全に致命的

なお、今回は Youtube で公開されているトレーラーはあえて紹介しません。
だってそのムービーみたいに快適に動いていないのだから。 演出もムービーみたいに良くないし。
ある意味あの映像はサギです。 それでも見たいという方は こちら を。

Warm Gun

価格は 450 円。 もちろん全くオススメしません
ハッキリ言って、オンライン対戦の FPS としてはモダンコンバット2の足下にも及びません。

今年に入ってから「今期のゲームロフトの FPS はイチマチ」と言ってきましたが、このゲームをやると「ああ、でもやっぱりゲームロフトって凄いんだな」と思わずにはいられませんね。
先日ご紹介した SHADOWGUN がオンライン対戦に対応する予定なので、今後オンライン対応の FPS に期待するならこちらでしょうか。
もしくは、この秋に登場すると言われている「モダンコンバット3」ですね。
Warm Gun はあまりにも出来がアレ過ぎて、ちょっとやそっとのアップデートではどうしようもない印象です。

でも、個人的にはスッキリしています。
だってクソゲーだと言う話を聞いていて、噂通りにクソゲーだったから。
落ちるわ重いわ面白くないわ期待を裏切るわで、クソゲー的要素がすべて整っており、こういうアプリはそうそうありません。
これはある意味、ブログを書く側としては最高のネタです

もし購入するのなら「ネタアプリを見るつもりで」購入して下さい
正面から突っ込んで来る AI を見て笑い、本当に対戦のみしかないゲーム内容に和み、アプリがクラッシュするのを見て微笑む、そんな楽しみ方をするアプリです。

まあ一応、アップデートでどれだけ改善されるかは見物ではあります。

Warm Gun (iTunes が起動します)