美しい 3D グラフィックで表現されたフィールドで、投石機から弾を撃ち出し、襲来してくる敵を倒したり、敵の城砦を破壊したりする砲撃ゲームが登場しています。
「Siegecraft」です。
開発元は 3D で描かれたフィールドを探検するゲーム Aralon や、グラフィックの質が話題になった Gears などを開発した技術力のあるメーカー「Crescent Moon Games」。
さらに 3D ゲームエンジン「Unity」を使ったゲームの表彰「ベストグラフィック賞」で、最終選考に残ったゲームとして、海外では相応に期待されていたアプリです。
ゲームの内容は「自分で弾を撃つタワーディフェンス」という感じでしょうか。
ゲームシステムとしては「3D にした Angry Birds」とも言えますが、Angry Birds のように建物がリアルに壊れていくような表現はありません。
建物を狙うステージもあるのですが、進行してくる敵を撃退するケースの方が多いですね。
投石機をドラッグして後ろに引き、その後に離すと引いた方向と強さに応じて砲弾が飛んでいきます。
ステージ内に設置されている赤い岩を撃つと、広範囲にダメージを与えられる火炎弾も放てるようになります。
また投石機とは別に、真っ直ぐ飛ぶ矢を発射するカタパルトが設置されているステージもあります。
ステージごとに目標が異なり、敵をすべて倒すとクリアになるステージもあれば、敵が進行してくる橋を破壊するステージ、敵の城砦に進攻する味方を援護するステージなど、種類は多彩です。
ステージによって失敗条件も異なり、敵が迫ってくる場合は接近されて投石機が破壊されると敗北。 城を守るステージは城の中にある王冠が持ち去られると敗北です。
3D グラフィックで描かれたフィールドはポーズ中に好きな視点から見回すことが可能で、リアルと言うより「精巧なジオラマを眺めている」と言った感じですね。
ステージをクリアする事でコインを得ることができ、それを使って投石機やカタパルトをパワーアップさせることもできます。
しかしこのゲーム、ぶっちゃけ良いと思える点はグラフィックのみ。
それ以外の点で評価できるところがありません・・・
まず操作性が今ひとつ。
投石機は「後ろに引いてから離す」という操作で弾を撃ち出しますが、投石機が画面の下部にある事が多いので、下にドラッグした時に指が画面の端に達してしまい、それ以上引けなくなるというケースが頻発します。
さらに精密な方向調整が必要なゲームですが、かなり細かい指の動きが要求されるため、狙いを付け辛く感じます。
この2つが相まって、常に操作し辛い印象を受けますね。
コインでパワーアップできる要素も装填時間の短縮と耐久力のアップのみで、あまり目立った変化ではなく、パワーアップの種類も少なく、弾を複数発射できる強化もありますが、追加課金しないと購入できないレベルです。
しかしこれらの難点は些細なものです。
このゲームの致命的で、最大の難点は・・・ 「やってることが面白くない」。
1つか2つの砲台から、単発の弾を1発ずつ撃ち出して、敵を1体1体倒したり、建物の耐久力を少しずつ減らしていく・・・
その地味なゲーム性は、爽快感もなければ破壊の面白さもないのです。
シューティングゲームや投射系ゲーム、タワーディフェンスの面白さとは何でしょうか?
それはシューティングゲームなら、連射や強力な攻撃で敵と戦う爽快感やスピード感、スリルでしょう。
Angry Birds のような投射系ゲームなら、物理シミュレートによって崩れていく「崩壊」の面白さでしょう。
タワーディフェンスや RTS(リアルタイム戦術シミュレーション)なら、多くの敵と味方が同時に戦う多対多戦闘や、適材適所でユニットを使用する戦略性でしょう。
しかし Siegecraft には、これらのものが何一つありません。 グラフィックが綺麗と言うだけです。
しかもそのグラフィックもあくまで「フィールドの美しさ」であり、多数の弾が飛び交ったり、爆発や崩壊が起こるなどの演出的なグラフィックの凄さはほとんどありません。
だからスクリーンショットやムービーでは見栄えがするけど、やってみたら地味。
それがこのゲームの印象ですね。
以下は海外のサイト GameTrail により Youtube で公開されている公式ゲームトレーラーです。
定価は 250 円ですが、現在(2011/10)は公開セールで 85 円で公開されています。
セール中なら・・・ まあ、悪くはないと思います。
ただ、iTunes のスクリーンショットを見るとすごく面白そうに見えますが、ゲーム性にはそれほど期待しない方が良いですね。
グラフィックとサウンドは良いし、クソゲーと言うほどのゲームではないですが、佳作と言った印象は拭えません。
少なくとも見た目や前評判ほどのゲームではなかったなというのが本音です。
「どうすればプレイヤーは面白いと感じるのか」という基本的な部分が、コンセプトに入っていなかった、という感じでしょうか・・・
やっぱグラフィックだけじゃダメだよなぁ・・・ 当たり前だけど。
・Siegecraft (iTunes が起動します)
コメント一覧 (5)
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- 2011/10/17 09:27
- 見た目面白そうな上に、Crescent Moon Gamesという事で買う気でいましたが、各所から不評が聞こえてきて…。
トレーラー見ながら想像を膨らましてニヤニヤしてるのが良いのでしょうか(笑)
レビュアーの独断で良いのですが、アップデート等で化ける可能性はありますか?
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- 2011/10/17 18:04
- 「ここをこうすれば良いのに」的なものが思い付かないので、アップデートでも化けそうにないです。
例えば連射可能にしたらゲームシステムが崩壊する、建物が派手に壊れるようには今さら出来ない、砲台を増やせるようにするにはシステムを作り替えないとムリ、って感じです。
これをベースに良くするとしたら新作を作るしかなさそう・・・
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- 2011/10/17 23:08
- 投射系ゲームというよりは狙撃ゲーム(ハンティング、スナイパー、大砲ゲーム)のカテゴリに入るような気がします
前者は撃ってからが楽しい、後者は撃つまでが楽しい、のような
カムライターオさんのように
前者の投射系に分類されるゲームと考えると見栄えやエンタメ性(崩壊の面白さ)が見劣りしますが
後者の狙撃系に分類されるモノだとしたらストイックな面白さを持ち合わせたシリアスゲームなのではないかと思います(ジリジリと狙いを定める緊張感など)
Cannon Challenge(App)のように元来地味な大砲ゲームを取っつきやすく昇華させたゲームなのではないでしょうか
対象を崩壊させる楽しみよりも、狙う楽しみを・・・なのでフィジックス系の要素が無いと
勿論ジャンルの垣根を越えたものこそ名作だと思いますが、挙がっていなかったのでもう一つの比較対象として書いてみました
あと、酷評で少し悲しかったので・・・w たしかに地味ですけど
駄文本当に失礼しました
これからもレビューに期待しています
かしこ
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- 2011/10/20 01:06
- こういう別視点の意見もありがたいです。
確かに「狙撃系」のゲームとして考えるとまた違ってくるかも・・・
でも私的には、狙って撃つならもっと操作性を良くして欲しかったというのが本音でしょうか。
あと、1発1発狙って撃つゲームとしても、敵の耐久力を高くして、そのぶん連射できるようにして欲しかったかなぁ・・・
すっかり忘れてましたが、こうした狙って撃つ狙撃系のゲームで、破壊がメインではなく、攻城戦が舞台のゲームとしては、iPhone 初期の名作「Medieval」がありますね。
http://iphoneac-blog.com/archives/2421158.html
でもこのゲームを見ても解るけど、やっぱりもっとピシュピシュ撃てて、パワーアップも豊富な方が面白いゲームになる気がします。
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勉強になります。