タワーディフェンスや一本道 RTS のような簡略化されたスタイルではなく、本来の RTS (リアルタイム・ストラテジー)形式の本格的な城砦防衛ゲームが登場しています。
要塞包囲」(Fortress Under Siege)です。

開発したのは 欧陸戦争 / 世界の覇者1945 を開発した中国のメーカー EASY TECH。
RTS と言ってもこちらから攻める必要はないので、城壁の上に弓兵を並べて対抗すれば良く、ゲーム展開としてはタワーディフェンスに似ています。
しかしその城壁を好きなように作る事ができ、自分の思うがままの城を作って防衛できるのは、他のディフェンス系のゲームとは異なっていますね。
防衛メインの Age of Empire(エイジ・オブ・エンパイア)、と言えば解る人には解るでしょうか。

要塞包囲

ゲームは建設フェイズ戦闘フェイズの繰り返しで進行します。
まずは建設フェイズとなり、手持ちの資金で城壁や兵士、攻撃塔などを並べて城砦を作ります。

どのステージも最初からカッコイイ感じの城砦が作られているのですが、このゲームはそれにこだわる必要はありません。
配置されている城壁や兵士は Sell のコマンドで購入費と同じ価格で売却が可能で、自由に作り替えても構いません
※アップデートで、売却時に得られるお金は設置費用の 80 %になりました。

と言うか、最初の状態のままだと守りきるのは難しいので、手持ちのお金で兵士を増やし、お金が足りなくなったら余分なパーツを売って換金し、必要な設備を作って守りを固めましょう。
主力は城壁の上に配置した「弓兵」です。

城砦の建設と兵士の配置が終わったら、Start のボタンを押して戦闘フェイズに移行します。
戦闘フェイズでは前方から敵部隊が陣形を組んで現れ、城砦へと突撃してきます。
兵士は自動で戦闘を行いますが、移動命令を出すことも可能で、この点はタワーディフェンスや一本道の RTS とは違う点ですね。
ただし城壁の上にいる弓兵は、城壁の範囲しか動けません。
多数の兵士が入り乱れ、弓矢が飛び交う戦闘は RTS らしい派手さがあります

ほとんどの敵を撃退すると勝利となり、倒した敵に応じた資金が貰え、再び建設フェイズに戻ります。
戦闘後の建設フェイズでは Repair でダメージを受けた設備の修理も行えます。
そして再び戦いに移り、この繰り返しを1つのステージで5回行います。
五波目の攻撃で敵の将軍が登場し、これを撃退するとステージクリアとなります。

もし敗れてしまっても、その戦闘で得た資金の大半を入手したまま、戦闘開始直前に戻ります。
つまり負けてもお金が増えるので、それで防衛体制を強化して再戦していれば、いずれは勝つことが出来ますね。
追加課金で資金を増やすことも出来ますが、ムリに課金が必要なゲームバランスではありません

ステージクリアするとまとまった資金が手に入り、これで新ユニットや設備のアンロック、さらに既存の兵士のアップグレードが行えます。
ただし資金はそのまま次のステージの防衛費になるので、使いすぎにはご注意を。

要塞包囲
※敵はちゃんと陣形を組んで進軍してきます。 魚鱗、鋒矢、方円、雁行など既存の陣形も見られる点が、なんとなく中国っぽいです。
1ヶ所でも城壁に穴が空いているとそこを目指して移動してくるので、守りは隙間なく固めるようにしましょう。

要塞包囲
※火計もあり。 事前にアスファルト(と言うかタール)をその場所に設置しておく必要があります。
他に踏んだ敵にダメージを与える使い捨ての罠が存在します。

ゲームとしての難点は特に見当たりません。
iTunes にはバグって進めなくなったという報告がありますが、私はその症状には遭っていません。
「課金しないと楽しめない」と言っている人もいますが、その人は施設の売却や負けてもお金が貰える事を知らない人でしょう。

ただ、これは「難点」という訳ではないのですが、この初期配置の売却が「う~ん」と思ってしまう点でしょうか・・・
せっかく地形に合わせた初期配置の城砦があるのですから、どうせならそれを生かして戦えるようなシステムにした方が面白かった気がします。
初期配置を売却しても設置費と同じ金額が手に入るのでぶっちゃけ全部撤去して、面白みのない勝つことだけを考えた城砦に全部作り替えても全く問題ない訳で、「それはどうだろう」と思ってしまいます。

※現在は売却額が設置費の 80 %になったので、初期配置も活用した方が良くなっており、バランスが調整されています。(ただしその影響で初期バージョンより難易度が上がっています)

しかし、この「思うように城砦を作り替えられる」という自由度こそがこのアプリの良い点でもあるので、そこを難点と言うことは出来ませんから、難しいところですね。

もうちょっと何とかして欲しいと思ったのは接近戦ユニットでしょうか。
単独で使ってもハッキリ言って弱く、集団で使えばそこそこ強いですが、それを集団になるほど配置するのであれば攻撃塔やら弓兵やらを配置した方が有用です。
(さらにユニットをまとめて選択することが出来ないので、集団で進軍するのは難しい)
ゲーム中盤になると遠距離から攻撃してくる投石機などが出てくるので、それに対抗するために騎兵などが必要になるのですが、そのぐらいしか有効な使い道はないですね。
一応、接近戦ユニットを進軍させて敵の旗持ち兵やテントなどを破壊すると資金が貰えるのですが、ムリに狙うほどではありません。

fortressundersiege4
※初期配置のお城はなかなかカッコ良く作られているが・・・ ほとんど作り替えてしまった方が強い。 接近戦ユニットも換金して弓兵にした方が有効。 しかしそれも味気ないのが本音・・・
なお、建設時に右側のユニット/設備一覧が邪魔な時は、矢印で示している三角のボタンを押して下さい。 一覧部分が引っ込みます。

価格は 170 円。 現在(2011/10)は発売セール中で半額ですが、いずれにせよ安いですね。
メッセージも全文日本語化されており、言い回しが妙な部分もありますが、意味が解らない個所はありません。
ボリュームも相応にあり、ちゃんと RTS としてもディフェンスゲームとしても楽しめる内容で、それでいて RTS そのものよりは取っ付きやすいシステムです。

戦略/戦術系のゲームが好きな方には、かなりオススメ出来ますね。

要塞包囲 (iTunes が起動します)
要塞包囲 for iPad (iPad 専用版、価格は同じです)