運輸・物流によって都市を運営し発展させるという、一風変わったスタイルの都市開発シミュレーションゲーム「Virtual City」。
オリジナルの Virtual City はステージクリア型のゲームでしたが、それをシムシティのような自由に開発できるスタイルに変え、さらにフリーミアム(本体無料+追加課金型)にしたゲームが公開されました。
Virtual City Playground」です。

開発はモスクワ&ウクライナのロシア系メーカー「G5 Entertainment」。
ちょっと大人向けのお仕事系ゲームやアドベンチャーゲームなどを開発しているところです。
フリーミアムになったところが良し悪しですが、今回は一部翻訳がおかしいものの日本語化されているのが良い点です。

ちなみにオリジナルの Virtual City 、今回の Playground 、共に Android でも公開されています。

Virtual City Playground

森の中に最初にあるのは運輸会社のガレージのみ。
プレイヤーはそこにを作り、穀物農場や酪農場などの生産施設と、製粉所やパン屋などの加工施設を建設し、トラックを購入して物流を整え、町を機能させつつ運送による収入を得ていきます。
ゲームが進めば住宅を建設して住民を増やし、スーパーマーケットを設置して出来た商品を運び、さらにバスを運行して住民をスーパーや映画館に運んで、町の「幸福度」を増やす事も必要になります。
施設や住宅はゴミを出すので、ゴミ収集車によるゴミ回収も行わなければなりません。
もちろんバスの運行やゴミ収集でも収入を増やすことができます。

オリジナルの Virtual City はステージをクリアする事で新しい施設やシステムが登場する形でしたが、今回はステージ制ではなくなったため、ゲーム中に「目標」が提示され、それを達成する事で次の目標に必要な施設が登場するという形になっています。
各施設は課金で購入する「キャッシュ」でアンロックすることも出来るのですが、ゲームに必要な施設は目標を進めていくことで課金しなくても徐々に使えるようになっていきます。

ただフリーミアム化した影響で、それに沿ったシステムが追加されました。
まず施設を建設するには「エネルギー」が必要で、建物はこのエネルギーを投入することで徐々に完成していく形になっています。
これは海外の建設型フリーミアムに良く見られるシステムですが、そのためエネルギーが尽きると資金があっても建物を造ることが出来なくなります
エネルギーは都市のレベルアップや目標の達成、現実時間の経過によって回復していきます。

また、原材料の生産施設には「供給」というパラメーターが追加され、資源を産出するごとに減っていき、無くなるとタップして再稼働させないと資源を生み出さなくなりました
このようなシステムにしないと輸送ルートさえ設定すれば、延々とゴールドを生み出し続けられるからだと思われます。

収入自体もオリジナル版より抑えられているため、資金やエネルギーが尽きたら回復するまでしばらく休止、という形になりますね。
もちろん課金すればお金もエネルギーも任意に回復できるのですが・・・
なお、アプリを落としている間も収入や物資などは(原料の供給が止まらない限り)ちゃんと増加していきます。

Virtual City Playground
※「供給」がある施設は、なくなると資源を生み出さなくなります。 だからたまに起動して、供給を回復させないと収入を維持できません。
手間ですが、こうしないとほったらかしにしておけば莫大な資金を入手出来ますからね。
ただエネルギーと供給が追加されたことでゲームが面倒になったことも否めません。 オリジナルはこれらを気にせずに開発できた訳ですから・・・


Virtual City Playground
※今回の解説文はバッチリ日本語。 説明も丁寧で、一部翻訳がおかしいけど解りやすいです。
が、ゲーム自体が複雑なので、全体を通してシステムを理解しやすいかと言うと、そうでもない・・・


今作は景観施設娯楽施設ランドマーク(目印)が多数追加されており、その中には「自由の女神」や「ピサの斜塔」など、世界各地の名所も含まれています
より町作りが楽しめるようになった・・・ と言いたいところですが、これらはことごとく「キャッシュ」で購入しなければならない課金用施設です。
ゲームの進行に必須なものではないのが幸いですが、無課金での利用は困難です。
施設が増えたことが今作の大きなウリですが、課金しないと恩恵はありませんね・・・

一応キャッシュは都市のレベルアップやフェイスブックとの連携でも多少得られるのですが、建設できる地域を拡大するのにもいくらかのキャッシュが必要で、レベルアップによる入手分はその土地拡張で消えてしまいます。
無課金でも拡張していけるのは良い点ではありますが。

またもう1つの難点は、そもそも Virtual City というゲームは結構複雑で、例えば「化粧品」を作ろうと思ったら油田のオイルとゴミ収集場のリサイクル資源をプラスチック工場に運んでプラスチックを作り、さらに酪農場のミルクと穀物農場のを抽出工場に運んで抽出液を作って、この2つを化粧品工場に運んで化粧品にして、それをスーパーマーケットに出荷する必要があります。
ゲーム中はこの手順を「目標」で1つ1つ順番に教えてくれるのですが、その過程でトラックの追加購入なども必要になるし、十分な収入も確保しておかなければなりません。
自動車の故障を防ぐためのサービスセンターも配置しておく必要があります。

オリジナルの Virtual City はステージごとに、ゆっくりとこの手順を1つ1つ学んでいく事ができました。
ですから複雑でも理解して行けたのですが、今回は良くも悪くも展開が早いので出来る事がどんどん増えて、未経験者の方だと十分理解できないまま進行してしまい「トラック壊れた!」「収入たりねぇ!」「物流停滞してる!」みたいな事になりやすい気がします。
で、それを解決する手段として課金があったりする訳で・・・ ユーザーとしては微妙なところですね。

Virtual City Playground
※画像は「プラスチック工場」。 オイルとリサイクル施設からプラスチックを生み出す。 ゴミも出す。
搬入、及び搬出がちゃんと出来ている物資にはチェックマークが付くので、これで運輸体勢が整っているか確認しよう。
アップグレードすると産出や加工の速度が上がるが、それに合わせてトラックの搬出量もアップデートさせないと物資が溜まるだけになる。 生産と搬出の速度を両方上げれば効率がアップして収入も増加。


Virtual City Playground
※ゲーム内ではあまり説明されないが、バスの運行はバーチャルシティの重要な収入源となる。
バス亭の乗客数は範囲内の住居の人口と同じで、人口を増やしてバスをアップグレードし、ドル箱路線を作っておけば資金にはあまり困らなくなる。
ただし住宅の人口は環境評価がマイナスだと最低値になってしまうため、環境の維持も合わせて必要になる。


フリーミアムなので本体は無料。 ゲームもうまく進めば無課金のままで拡張して行くことが出来ます。
※ただし「目標」をずっと進めていくと、最終的には課金必須の目標しか残らなくなるようです。

ただ、私は Virtual City を十分やり込んでいたからうまく進められた訳で、未経験者の方が1からスタートすると途中で行き詰まるかもしれません・・・
まあそれはそれで、プレイを最適化していく楽しみがあるかな?
どうしてもうまく行かない人はオリジナルの Virtual City の攻略ページを読んでみて下さい。

なおオリジナルの Virtual City にもアップデートで Sandbox モード(砂場モード。 砂場の砂遊びのように自由に開発できるという意味)が追加されており、こちらは新施設はありませんが、Playground と違ってエネルギーや供給の枯渇を気にせずに都市開発を行えます。

もしお金を払うとしても、オリジナルの Virtual City を 450 円で買ってステージモードを遊びつつ制限のないサンドボックスモードをプレイするか、それとも Virtual City Playground に課金して新名所を建てたりしつつエネルギーや供給の制限のある状態でプレイするか・・・
Virtual City 未プレイの人にとって、どっちが良いのかは微妙ですね。

とりあえず Virtual City Playground は「日本語化された Virtual City の体験版」としても活用できるので、どんなゲームか興味のある方や、開発シミュレーションゲームが好きな方にはオススメです。

Virtual City Playground (iTunes が起動します)
Virtual City Playground HD (iPad 専用版です)


最後になりましたが、以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。