テレビ CM を見ても解るように、巷ではガンダムのソーシャルゲームが流行っているようです。
いや、流行らされていると言うべきなのか･･･

そんな中、iPhone でも「スマートフォンレベルのグラフィック」「GPS 機能による位置連動システム」「カメラを利用した AR 表示機能（現実の風景に CG を合成する拡張現実機能）」を持つ、野心的なガンダムのソーシャルゲームが登場しています。
「ガンダムエリアウォーズ」です。

※このゲームはアップデートによって、まったく別のものに変わってしまいました。
ここに書いてある内容は初期バージョンのものですが、もはやその面影はほとんどありません。
ご了承下さい。

実はこのゲーム、当サイト/ブログで扱うつもりはありませんでした。
「落ちる」「重い」「起動しない」の黒い三連星のおかげで公開当初からクソゲーとの評判が高く、ゲームシステムの未熟さも方々で聞いていたからです。
また、そのダメっぷりは こちらのブログ で丁寧に、解りやすく、的確に書かれているので、改めてレビューする必要もないだろうと思っていたからです。
そもそも「iPhone ＋ バンダイナムコ ＋ ガンダム」という時点で見え見えの地雷だし。

しかし先日、ゲームキャスト さんとチャットした時に「今年はクソゲー大賞みたいなのもしたいねー」と言う話になったため、クソゲーも一通り押さえておくべく、先日から試していました。
しかし感想は･･･　「思ったより悪くないじゃん」。
むしろソーシャルゲームとしてはレベルが高い方な気が･･･
少なくともどこぞの「ガンダム○スターズ」やら「ガンダム○ワイヤル」よりは、明らかにゲームとして上。

どうやらアップデートでかなり改善されてしまったようで、クソゲーだと期待していたので逆に消化不良な感じ。
本当は「あえて言おう！ カスであると！」と叫ぶ予定だったのですが、今のバージョンは残念ながら、そこまで劣悪ではなくなっています。

と言う訳で、今回のレビューは不具合が多かった初期版ではなく、11月に入ってからのものなのでその点をご了承下さい。



ゲームの進め方は一般的なソーシャルゲームと同様です。
まずメニュー画面でミッションを選択し、その後に作戦画面に移行。
後はボタンをポチポチ押すごとにモビルスーツが進んで行き、その度にエネルギーが減少していくという「○○ロワイヤル」などでおなじみのシステムです。

ただ見てのようにグラフィックや演出がちゃんとスマートフォンアプリのレベルで、ガラケーの携帯ブラウザをベースにしたショボイものではありません。
ちゃんと BGM やサウンドも用意されており、マジモンや忍者ロワイヤルのような「スマートフォン時代のソーシャルゲーム」になっています。
この時点でグリーやモバゲーのガンダム系ソーシャルゲームよりは、遥かに見栄えがしますね。

実はモビルスーツのグラフィックやゲーム中のサウンドは、すべて PS3 で発売された「機動戦士ガンダム戦記」からの流用なのですが、別に流用だからと言って悪い訳ではないし、そのことで逆にクオリティーの高さが解ると思います。

作戦画面でボタンをポチポチ押して進行していくと、敵と遭遇して戦闘に入ります。
戦闘は自動で、１つのチームはモビルスーツ３体で構成されており、つまり最大 3 vs 3 で戦う事になります。
戦闘画面では 3D グラフィックで描かれたモビルスーツが動いてバトルが行われます。 この点もスマートフォンならではですね。



ただこの 3D 戦闘画面、最初に見た時は「おおっ」と思うのですが、動きのパターンが少ないのが残念です。
最初に双方が射撃をして、その後に互いがダメージを受ける格闘を１回行って終了。
大抵はこれで勝負が付くので、内容も非常にシンプルなものです。
3 vs 3 ではありますが、１対１の戦いを３回行うという感じなので、入り乱れての戦闘は起こりません。

あまりダラダラ戦闘シーンが続くのもよくありませんが、せっかくの多対多戦闘なんだから、マジモンのようにバラエティーに富んだ戦闘が内部で行われているようにして欲しかったのも本音ですね。
なお、戦闘シーンの前に読み込みがありますが、戦闘シーンをカットして結果だけ表示させることも可能です。

ミッションを進行・達成すると「強化パーツ」を入手する事ができ、モビルスーツに装着してパワーアップさせることが出来ます。
ただしモビルスーツごとに装着できるパーツ数には限りがあり、いくらでも強化できる訳ではありません。
主力には出来るだけ強いパーツを付けたいところですが、強力なパーツはある程度ゲームが進まないと手に入りません。

この辺のパワーアップシステムは「普通のゲームらしい」と言えます。
これがモバゲーやGREE（グリー）のソーシャルゲームなら、いくらでもパワーアップが可能で、さらに強力なパーツを課金で購入するシステムになっていそうですが、このゲームは現時点ではそうはなっておらず、良い意味でソーシャルゲームらしくないシステムです。

ソーシャル部分についてですが、「アリーナ」というコマンドで他プレイヤーとの対戦が出来ます。
ただチーム戦ではなく 1 vs 1 の対戦のみ。 単なる性能比較で勝負が付く感じなので面白みがなく、勝てば「バトルポイント」というものが増えますが、負けても特にペナルティーはありません。
勝っても負けてもソーシャル的な優越感や悔しさは乏しいです。
なお、バトルポイントは通常のミッションでも上昇しますが、ミッションだけでは途中（90）で上昇が止まり、それ以上増やすには「アリーナ」での対戦が必須となります。
（対戦して 100 になると MS 獲得ミッションのチケットが貰えて、ポイントは 0 に戻る）

他プレイヤーと「フレンド」になる事も出来ますが、定型文を１日１回だけ送れるのみ。
パーツをプレゼントすることも出来ますが、１日１回の定型文では交換交渉なんて出来ないし、ショップやオークションのようなシステムがある訳でもなく、フレンドと協力してのバトルというものもありません。
ソーシャル要素については現時点では乏しいですね。


※イベント開催中は他プレイヤーとチームを組むことになりますが、チームメイトはランダムに選ばれ、自分が他のプレイヤーに協力したかどうかも解らない。 もっとテコ入れがないとソーシャル部分は盛り上がらなさそう。
パーツによる性能強化や、改造パーツを集めての改良などは、実は「機動戦士ガンダム戦記」からの流用。（パーツの種類まで一緒）
元々の構想が「ガンダム戦記のオンラインプレイをソーシャルゲーム化する」というものだったのかも。

そして問題の「クソゲー」と呼ばれていた部分、「安定性の低さ」「起動の遅さ」「レスポンスの悪さ」「GPS 連動機能のダメさ加減」などについてですが･･･

まず、落ちまくっていた安定性の低さについては、かなり改善されています。
普段のプレイで落ちたことは一度もなく、イベントのミッションで落ちたことはありますが、イベントに関する不具合はすでに開発側が修正を告知しています。
アップデート情報を見ても、かなり意欲的な不具合修正が行われているのが見て取れます。
ただ最初はホントに酷かったようで、この辺はこう言っちゃなんだけど「ナムコらしい」と言えますが。

起動の遅さについても、起動スピード自体については私はそれほど酷いという印象は受けていません。
むしろスマーフビレッジや原人ビレッジなどのソーシャルゲームと比べると早い方です。
ただ問題なのは「Game Center との接続が確立するまで止まったままになる」という点と、「動くようになった段階で画面をタップしないと先に進まない」という２点。
通信環境が良くない場所だと Game Center に繋がらないのでいつまで経っても起動しない事になり、加えて起動できるようになっても画面をタップしないと進まないから余計に時間がかかっているように見える。
ここは設計の不備と言えるので何とかして欲しいですね。

レスポンスの悪さについては･･･　確かに良くないのですが、そこまで悪くはないかなぁ、という印象。
「サクサク」にはほど遠いのですが、ソーシャルゲームだと「こんなもんかな」と思えるレベルです。
コマンドを実行するごとに通信を行うため、通信環境が悪いとレスポンスが劣悪になりますが、これは他のソーシャルゲームでも一緒ですからね。
ただ「ボタンを押す」→「通信を行う」→「通信が出来てから演出が入る」→「実行終了」となる部分が多いので、出来れば「演出を行いながら通信する」に変えて欲しい所ですが。

そして「東京で実行したら千葉まで行けと言われた」「移動先が山奥の秘境だった」「敵のいる位置が東京湾の真ん中だった」などの数々の伝説を持つ、GPS 連動による悪名高き「位置ゲーム機能」ですが･･･
あまりに酷評されたからか、現在は「おまけゲーム」的な感じになっています。
通常ミッションに GPS ミッションが出る事は少なくなり、実行しなくてもゲームを進められる「特別ミッション」という扱いになっていて、さらに「無理にやらなくてもいいよ」「退却ボタンでキャンセルできるよ」という説明文も付いています。
移動先も以前より近くなったようで、直線距離で 1～2 Km ほどの場所になりました。
自転車で行ける距離であり、海岸で使用しない限り「移動先が海の上」ということもなくなっています。
それでもこれだけのためにわざわざ自転車や自動車で移動する気にはならないので、やっぱり「企画倒れ」としか言いようがないのですが、今はあくまで「おまけ」になっています。

AR 機能（カメラ映像に CG を入れる機能）も、ウリの１つではあるようですが、ぶっちゃけムダ機能。
ただメインのゲーム進行を邪魔するものではなく、あくまで「そう言うことも出来るよ」というオマケ的なものになっているので、あっても良いかなと言う感じです。（なくても良いけど）


※「エリアウォーズ」という名前からして、本来はメイン機能だったであろう GPS 連動ゲームと AR 表示機能。
新しいアイデアを追求し過ぎて、誰も付いて来なかった好例でしょうか。
現実の時間や気象を反映したミッションも存在しますが、これも無理にやらなくてもゲームを進行できる「特別ミッション」という形になっています。

フリーミアム（本体無料＋追加課金型）なので本体はタダ。　また課金しなくても十分に遊べるレベルです。
無理にガンダムやゲルググが必要なゲームではなく、陸戦型ジムとかでも普通に戦っていけるので、無理して課金する必要性は感じません。
課金したからと言ってすぐ強くなれるようなゲームでもないし、この辺はグリーやモバゲーのゲームよりは良心的に思えます。

iTunes の説明文でこのゲームのウリとされている部分、「GPS 連動」「AR 機能」「フレンド機能」「ユーザー間バトル」は、そのどれもがイマイチと言うのがアレですが、普通のソーシャルゲームとして遊べるものになったので、皮肉にもそれが良い結果になっている気がします。
拡張要素は基本がしっかり出来てから考えるべきものでしょうしね。

とりあえず私的な評価としては、旧世代のブラウザ型ソーシャルゲームに過ぎないグリーやモバゲーのガンダムゲームよりは良いと思います。
あくまで「ソーシャルゲームとしては」の話であり、やはりコアゲーマーが楽しめるようなものではないのですが、それでもソーシャルゲームの中ではゲーマー寄りかな。

連邦側とジオン側で争うイベントも実施中で、イベント中は戦況やランキングなども表示されるため、ソーシャル的な部分も楽しめます。
無課金でも遊べるので、ガンダム好きの方は試してみても良いのではないでしょうか。

・ガンダムエリアウォーズ （iTunes が起動します）