殺人・強盗・窃盗あたり前の犯罪ゲーム「クライムアクションゲーム」。
広い街の中で好きな事ができる自由度の高さがウリの、特に欧米で人気のゲームジャンルですが、iPhone / iPod touch で公開されているクライムゲームの代表格「ギャングスター」シリーズに最新作が登場しました。
ギャングスターRIO:City of Saints」 です。
こう言っちゃなんですが「Grand Theft Auto」(GTA、グランド・セフト・オート)のパクリシリーズですね。

開発/販売元はゲームロフト。 メッセージはすべて日本語化されています。
約1年ごとに新作が発売されていて今回で3作目。 1作目はアメリカ西海岸、2作目はマイアミでしたが、今回は南米のリオデジャネイロが舞台です。
ギャング同士の抗争が描かれるバックストーリーがありますが、今回はこれまでのシリーズにも増してミッションが凶悪で、組織の殺し屋となってギャング・民間人を問わず殺人を繰り返します

卑猥な表現のセリフも多く、これまで以上に子供にはやらせられないゲームですね・・・

ギャングスターRIO:City of Saints

3D グラフィックで表現された街の中を自由に移動する事ができる「オープンワールド型」(オープンフィールド型)と呼ばれるタイプのゲームで、ストーリーは特定の場所で貰える「ミッション」を、特定の場所に行き遂行することで進行します。
俗に言う「お使い型」のゲームですね。
ただ、ミッションを無視して好きなだけ寄り道できるのが特徴です。

ほとんどのミッションは銃撃戦を伴います。 これはその方がゲームとして面白いからだと思われ、単純な移動だけのミッションは今回はほとんどありません。
しかしそのぶん過激なミッションが多く、FPS/TPS(ガンシューティング)的な展開が多くなっています。

町中にいる人を無差別に殺す大量殺人的な事も可能で、そうしていると警察に追われるのですが、警察もあまり強くないので殺しまくることが出来ます。
おまけに逃げれば簡単にまくことができ、犯罪に対するペナルティーは非常に低くなっています。
まさに「クライムゲーム」(犯罪ゲーム)と言えますね。

もう1つの特徴は「豊富な乗り物がある」点で、基本的に車両は駐車されているものを勝手に盗ったり、道行く車を止めて無理やり奪うことで入手します。
(ギャングスターの元である Grand Theft Auto が、そもそも「車泥棒」という意味です)
車には普通のセダン車の他に、小型三輪車やトラック、バイクや水上スキー、さらにヘリコプターやセスナ機まで登場します。
好きな車で自由に街を移動できるのも、このゲームのウリと言えます。

今回は「アジト」があり、そこで銃や服装の変更も可能です。
ミッションで得た資金で銃や上着やズボンを購入し、アジトに常備する乗り物の購入も可能です。
しかし装備の購入には主人公のレベルアップが必要で、かなりレベルが高くならないと「好きなものを選ぶ」と言うことは出来ません。
服には性能値があるため、どうしても性能の高いものを選択する必要がありますし、あまり自由にカスタマイズ出来る訳ではありません。

ギャングスターRIO:City of Saints

ギャングスターRIO:City of Saints

ギャングスターRIO:City of Saints

グラフィックは以前のギャングスターシリーズと比べると大幅に良くなっていて、かなり綺麗でリアルな町並みが表現されています。
ただ、遠くの景色は簡略化したテクスチャ(画質)で表示され、細かいオブジェクトも省略されます。 そのため見晴らしの良い場所に立つと遠くと近くの画質の違いが明確になり、違和感も感じます
しかしこの辺りの負荷軽減の工夫は、むしろ賞賛されるべき点でしょう。
今回は iPhone 4 でプレイしたため、やや距離による画質の変化が気になりましたが、iPhone 4S や iPad 2 だと綺麗に見える範囲は広がるものと思われます。

キャラクターの動きも以前より良くなっていて、まだゲームロフト特有の「質感の無さ」を感じる場面はありますが、かなり自然なモーションになっています
iTunes のレビューには動きがカクカクするという意見が多いようですが、私は(iPhone 4 でのプレイで)特にプレイし辛いという印象は受けませんでした。
(ただサイズの大きなゲームなので、インストール後に一度本体を再起動しておいた方が良いと思います)

しかしオープンワールドで、どこにでも行けて、色々なことが出来るゲームであるだけに、グラフィックの質はモダンコンバット3はもちろん、モダンコンバット2などにも劣りますし、銃撃戦のゲーム性も専門の FPS/TPS には劣ります

また好き放題やれると言っても出来ることは限られていて、私は町中の一般人を襲ったり、無差別虐殺したいとは思わないので、そこが楽しいとは感じられませんでした。
まじめにミッションだけをやった場合、移動の手間が加わっている「やや劣化的な FPS」と言った感じのため、それなら 9mm の方がまだ良いです。
追跡やレースなどのイベントもありますが、コースが解りにくいのでイマイチだし・・・

この辺りは前作「ギャングスター : Miami Vindication」の時にも感じたのですが、良くも悪くも「前作の正当進化形」なので、前作がイマイチだった私にとっては今作もイマイチに思えました。
しかしこうした「オープンワールド型」や「クライムゲーム」を好む人も多く、実際に iTunes にはそうした方々の高評価な意見が集まっているので、好きな人にはたまらないゲームなのだと思います。
この点はもう、好みの問題でしょうね。

ギャングスターRIO:City of Saints

ギャングスターRIO:City of Saints

価格は 600 円。 クオリティーとしては価格分のものは備わっています。
ボリュームもかなりあり、これだけ広い街がオープンワールドになっていて、高クオリティーなグラフィックで楽しめるというのは「さすがゲームロフト」と思える事も確かですね。
車やバイクの疾走感もなかなかのもので、今年前半の「ガッカリだったゲームロフト」ではありません。

ただかなり人を選ぶゲームである事も確かでしょう。
強盗や無差別殺人が出来る自由度、フィールドの移動を繰り返すゲーム内容、ギャングの殺し屋として殺人を繰り返すストーリーは、好きな人とそうでもない人に分かれると思います
総合的に見て優れたゲームではあるのですが、万人にはお勧めできないゲームですね。

前作・前々作のギャングスターが好きだった人には文句なくオススメです。
GTA が好きな人にもオススメ・・・ と言いたいけど、ぶっちゃけ「劣化 GTA」であり、出来る事はかなり減っているので、本家の GTA が好きな人だと逆に「まあまあ」ぐらいの評価になるかも。

私個人としては、もっと利用できるお店やシステム、散りばめられたサブクエストがないとオープンワールドの良さは感じないかなぁ、という印象です。
まあそこまで携帯機器のアプリに要求するのは酷ですが・・・

ギャングスターRIO:City of Saints (iTunes が起動します)