2011年度の日本シリーズは福岡ソフトバンクホークスの勝利で決着しました。
今回の日本シリーズはコナミが冠スポンサーとなっていたため、「コナミ日本シリーズ2011」と題されており、iTunes でも「パワフルプロ野球TOUCH 公式ライセンス版2011」がセールになっています。

そんな パワプロTOUCH 2011 には、前回のアップデートで「ネット対戦」というモードが追加されました。
このモードは自分で野球をやるのではなく「ソーシャルゲーム」になっていて、試合に勝つことで得られる資金で「選手カード」を買い、その選手をチームに加え、特殊能力や施設の購入などを行いつつ強いチームを作っていきます。

私は「ネット対戦」と言うから、てっきりオンラインでパワプロの対戦をするものだと思っていたのですが、全然違いました。
iTunes の説明文にも「ソーシャルゲーム」とは一言も書いてないし、それ以外に何かのアナウンスがあった訳でもないし・・・ 気付いてない人が多いのではないでしょうか
もうちょっとまともな告知してくれよコナミ・・・

と言う訳で、今回はこの「パワプロTOUCH 2011」の「ネット対戦モード」についてのレビューを行いたいと思います。
通常の試合やペナントモードについてはすでにレビューしていますので、以下のリンク先をご覧下さい。
・パワフルプロ野球TOUCH 公式ライセンス版2011 (試合レビュー)

なお、ソーシャルゲームではありますが、現時点(2011/11)で課金要素は全くありません
お金がかかるものではないので、その点はご安心を。
ただしプレイするには先に「Konami ID」のアカウント登録を行っておく必要があります。

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スタミナ」を消費して他のチームと試合を行い、勝てば所持金が得られ、それを使ってチームを強化していくという内容です。
スタミナは試合をするごとに 20 減少しますが、実時間 20 分経過で7回復します。 「1時間で1試合」と考えておけば良いでしょう。
また日付が変わるとスタミナは全快します。

所持金はショップの買い物で使用し、「回復アイテム」「特殊能力」「選手カード」、さらにコーチや設備などの購入が行えます。
このうちゲームのポイントになるのが「選手カード」で、カードを入手したプロ野球選手をチームに加えることが出来ます
最初は能力の低い架空選手ばかりなので、選手カードを買ってプロ選手に入れ替えていくのがチームの強化に繋がります。
これを繰り返して独自のドリームチームを作るのが、ゲームの一番の楽しみと言えますね。

ただし選手には能力に応じた「サラリーポイント」が設定されていて、チームのサラリーポイントの合計が上限を超えないようにする必要があります。
サラリーポイントは寮の拡張を購入する事でアップさせられるので、選手カードが増えてきたら設備も買っていかなければなりません。
パワプロおなじみの特殊能力もアイテムになっていて、購入して選手に装備させる事が出来ます。

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※選手ごとに育成方針を設定する事ができ、試合で少しずつ成長していきますが、なかなか能力値はあがりません。 だからイマイチな選手を育てるより、優秀な選手を獲得して入れ替えた方が早いです。
ただしサラリーポイントや守備位置との兼ね合いもあるので注意。
ダルビッシュや城島などの優秀な選手をゲットできると、やはり嬉しいですね。


対戦は他プレイヤーのチームとの試合で、相手は自分で選択することが出来ます。
試合はペナントモードの「高速試合」の形になり、自分でプレイする訳ではありません

試合速度は「2倍速」「4倍速」「高速」を選ぶ事ができ、「高速」だとあっという間に試合が進んで行きます。 時間がないときはこれでサクっと終われます。
4倍速」だと1人ずつ結果が表示されますが、試合は自動で進み、特に指示は出せません。
2倍速」だと1人ずつ作戦指示を出すことが出来ます

2倍速の指示はかなり詳細に出す事ができ、バッターの場合は「代打」「盗塁」「バント」はもちろん、「積極的」「慎重に」「強振」「ミート」などの指示もあります。
ピッチャーの場合は「ボール先行」や「三振狙い」の他に守備シフトの指示まで出せます。

これらの一般の指示とは別に、1試合で3回だけ「勝負だ!」という指示も出せ、これの使い方もポイントになります。(でもこれを使っても打たれる時は打たれる・・・)

プロ野球シミュレーション「ベストプレープロ野球」のような試合を行えるので、なかなか面白いですね。
ただ2倍速だといちいち全員に指示を出さないといけない(指示がなくても「任せる」を選択しないといけない)、4倍速だと一切指示が出せないので随時2倍速に切り替えないといけない、というのがやや面倒です。
「指示したい時だけメニューを出す」と言う操作の方が良かった気がしますが・・・

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※試合のポイントになるのは選手の調子とオーダー。 チーム一覧に「ムード」が表示されるが、それより相手ピッチャーの調子の方が重要な気がする。 こちらのピッチャーが調子悪いときは変更しよう。
試合ではやはり「バント」「盗塁」が重要。 ヒットが出たらバントで送って「勝負だ!」を使うのが基本だろうか。
「高速」にしても設定した「起用法」「チーム方針」に従ってピッチャー交替や采配を行ってくれます。

ソーシャルゲームとしては、一般携帯ブラウザを使ったショボイ見た目のものではなく、グラフィックが綺麗でレスポンスも良く BGM やサウンドもあって、高クオリティーだと言えます。
ガラケーではなく、ちゃんとスマホレベルのソーシャルゲームですね

そのため最初のうちはかなり楽しめていたのですが・・・
しばらくやっていると、「ソーシャルゲームとしての欠点」が色々と見えて来ました・・・

まず、新しい選手を入れてオーダーを変えたり、特殊能力を付けたりしても、ほとんどチームが強くなった実感を得られない。
ちゃんと試合がシミュレートされているため、選手を1人2人変えた程度でいきなり強くなったりはしません。
それは野球としては正しい訳ですが、ゲームの進行に実時間の経過が必要なソーシャルゲームですから、コマンドは限られた回数しか実行出来ない訳です。
それなのにその効果も乏しいのでは、進展が感じられず面白みがありません。

ソーシャルゲームの多くは命令を実行したら実行した分だけミッションが進行します。 もしくは明確に強くなって敵を倒せるようになります。
つまり命令の実行に時間という制限が加わっている代わりに、ゲームは目に見える形で進んで行く訳です。
しかしこのゲームは育成ペースが非常に遅く(数値的に増える部分がなく)、選手を替えても必ず活躍する訳ではなく、しかも負けるとほとんど資金は得られません
やはりソーシャルゲームには確実に数値や見た目で「増加」を感じられる部分か、もしくは成長を認識させるための「やられ役」や「ステージクリア」が必要なんだなぁと感じましたね。

もう1つの欠点は、運営のやる気の無さ
ソーシャルゲームと言うものは単純作業の繰り返しです。 基本部分が丁寧に作られていても、同じ事ばっかりやり続けていたのでは飽きてしまいます。
そこに変化や目標を与えてくれるのが「イベント」です。 この点はソーシャルゲームでも MMORPG でも、オンラインゲームであるならば同じと言えます。

ところがこのゲーム、「ネット対戦」が導入されてからすでに2ヶ月以上が経とうとしているのにイベントらしきものは何も起こっていないようです
それでなくても「ペナント」や「大会モード」のようなものが何もなく、長期的に競える部分が乏しい内容なのに、何のイベントも起きないのでは単調でやる気がなくなってきます。
もちろん何かが追加されるようなアップデートもありません。

そもそも「ネット対戦」が導入されたことの告知がほとんどなかったし、公式ページにもネット対戦モードの記述は何もありません。
作って宣伝もせずにほったらかしな状態で、コナミは一体なにがやりたいんだ? と思ってしまいます。

なお、先日のアップデートでオリジナル選手を作れる「センシュクラッチ」が導入されましたが、これで作った選手は「ネット対戦」では使えません。
スクラッチカードをこすって出たマークに応じて選手が強化されていき、カードがなくなったり「ハズレ」が出ると終了になる運次第のシンプルなもので、課金でカードを購入したりハズレが出ても1回助かる課金を利用しておくことで、強力な選手を作る事が可能です。
要するに運と金次第で優秀な選手を作れるモードですが、これをやった人の10人中12人は「こんなのよりサクセスやらせろ」と言いたくなると思います。

ないよりあった方が良いし、おそらく iPhone 版のサクセスモードを作れるような余裕がなく、そんな中で手軽に選手を作れるシステムを導入しようとした苦肉の策なのだと思いますが・・・
誰もこんなもの望んでない訳で、こんな事を言うのも何ですが、「ユーザーをなめるな」とも言いたくなりますね・・・

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※センシュクラッチで作った選手はネット対戦では使えない。 あくまで通常の試合モードやペナントモード用の選手作成なのでご注意を。
優秀な選手を作るには「ハイパーカード」のセットを買う必要があるが、なんと 450 円。
ペナントモードの試合結果によってもカードは貰えるようですが・・・ だれもこんな形でパワプロの選手を作りたいとは思っていないと思う。


ネット対戦モードには色々と難点もありますが、あくまで「パワプロTOUCH 2011」の追加モードの1つです
パワプロTOUCH は普通に野球ゲームとしても遊べる訳で、「おまけ」として考えると十分なモードではありますね。
一応スマートフォンに合わせたグラフィックとインターフェイスのソーシャルゲームであり、さらに「強さ=お金」の課金ゲーでもない(そもそも課金要素が一切ない)ので、余計な心配なく遊べるゲームでもあります。

ID 登録が必要になりますが、「パワプロTOUCH 2011」を持っていてまだネット対戦を起動したことがない人は、ぜひ一度試してみて下さい。
プロ野球のファンなら、色々な選手を集めてチームを作っていくのは楽しいと思います。

・パワフルプロ野球TOUCH 公式ライセンス版2011 (次年度版公開に伴い公開終了)