2004 年に登場した、魅力的なキャラクターと独特な世界観、そして高い難易度を持つケイブの縦スクロールシューティングゲームが iPhone / iPod touch に移植されました。
虫姫さま」です。

iPhone ではすでに「虫姫さま BUG PANIC」というオリジナルのアクションシューティングが発売されていますが、それとは違う「ケイブシュー」(ケイブ製シューティング)らしい弾幕シューティングとなっています。
ケイブシューとしては怒首領蜂・大復活エスプガルーダIIデススマイルズに続く4作目ですね。

この「虫姫さま」と言うゲームは、私もゲームセンターでオールクリアするまでプレイしていた思い出のゲームなのですが、正直あまり万人向けとは言えない内容でした。
当時の筐体にゲーセンの店員さんが作ったと思われるポップが貼り付けてあったのですが、そこに「敵の弾がすごく速い! すごく多い! どうしてこんなの入荷しちゃったんだ~!」と書かれていて、それを見ながら「あぁ、もうシューティングゲームはマニアしかプレイ出来ないものになりつつあるんだな・・・」としみじみ思った記憶があります。 (実際、私以外にやってる人をほとんど見なかったです)

点稼ぎに関するシステムが簡略化された反面、敵弾がメチャ速くてメチャ多いその内容は、弾幕シューティングの流行でシューティングの難易度がインフレを起こしていた時代を象徴していたように思います。
ただ、今回発売された iPhone 版は難易度の選択が可能で、基本の難易度は大幅に落とされており、かなり遊びやすくなっているので、その点はご安心下さい。

虫姫さま

ゲームはおなじみの縦スクロールのシューティングゲームです。
操作は指の位置に関わらず、指をスライドさせた方向と速度に合わせて自機が移動する「相対移動」で、ゲーム画面の周囲には外枠があり、それが「指置き場」になるため画面の端にも移動させやすく、操作性は非常に良好です
要するに、今まで通りのケイブシューの操作方法ですね。
(画面や外枠のサイズはオプションで調整可能です)

ボタンは2つ、「ボムボタン」と「(オプションの)フォーメーション変更ボタン」で、ちょっと小さめのボタンですが、押し辛さは特にありません。
オプション(支援機)はフォーメーションボタンで散開させたり集結させたり出来ます。

このゲームにはモードが3つ用意されています
敵弾の数は少ないが弾速が速い「オリジナルモード」、弾速は遅めだが敵弾が非常に多い「マニアックモード」、メチャメチャ難しい上級者用の「ウルトラモード」の3つです。
最初はオリジナルモードしか選択できず、クリアする事で上の他のモードが解禁されていきます。

勘違いしている人も多いようですが、これらのモードは全てアーケード(ゲームセンター)版からあったもので、マニアックが iPhone 用に作られたモードという訳ではありません。(今回 iPhone 特別モードはありません
また、オリジナルよりマニアックの方が難しいとは限らず、実際に私はアーケードではマニアックはクリア出来たけど、オリジナルはクリア出来ませんでした。
オリジナルは「パターン化で対応するモード」、マニアックは「気合い避けで対応するモード」とも言えます。

ただ、iPhone 版はこれとは別に NOVICE・NORMAL・HARD・HELL に分かれた4つの難易度があって、ノーマルだとアーケード(ゲームセンター)版よりかなり簡単になっています。
特に「オリジナルモード」は本来は敵弾が少なめで弾速が速いモードなのですが、ノーマルだと弾速が遅くなるため、単なる「弾が少ないモード」になっています。
これならシューティングが得意でない方でも十分プレイできるでしょう。

その下にさらにノービスも用意されていますから、アーケード版とはうって変わって、かなり控えめな難易度設定だと言えますね。
なお、ゲームセンター版の難易度は iPhone 版では HELL(ヘル)に相当します。

また、iPhone 版には「オートボム」も導入されました
ボムを持っている状態で被弾すると、ボムは全てなくなりますが、自動的にボムが射出されミスを回避してくれます。
このオートボムの実装も iPhone 版のプレイしやすさに繋がっていますね。

虫姫さま
※左はステージ選択画面。 各ステージのスコアを競うモードがあって、Game Center のランキングのトップには、この1つのステージだけをプレイするモードのスコア合計が表示されます。
右は「ウルトラモード」開始時の警告で、アーケード版にもありました。 「絶望に挑戦」したい人のためのモードですが、難易度を「ノービス」にすれば何とかなるかも・・・

ゲーム内容は、「破壊する楽しさ」と「避ける楽しさ」の双方を重視した内容だと言えます。
例えば、ケイブシューは大型の敵を倒すと画面内の敵弾が全て消える「弾消し」が発生する場合が多いのですが、その「弾消し」が起こる敵がちょうど攻撃の激しい場面にうまく配置されていて、「敵の攻撃を弾消しで対処し、大量の得点アイテムに替えて回収できる」ようになっています。
弾消しが発生する敵も多めで、敵弾を回避ではなく破壊で対処する爽快さがあります

また、このゲームの敵の弾は大量にバラまかれながらも、その間にハッキリとした「回避するための道」が用意されている事が多く、見た目よりも回避しやすくなっています。
自機の当たり判定も非常に小さく、かすった程度では被弾しないので、それほど回避が得意でない人でも回避の楽しさを体感できます。

だから見た目よりもプレイしやすいゲームで、敵弾が飛び交う凄い状況になっていても、それを切り抜けられるシステムになっています。
ただ、「見た目は凄い状況になっていても、実は対処しやすい」なんてのはハタから見てる人には解らないので、ギャラリーにとっては単に「バカみたいに難しいゲーム」にしか見えない訳で、それが虫姫さま、及び当時のシューティングが一般ユーザーに避けられてしまった原因の気もしますけどね・・・
(虫姫さまの場合は「敵弾が速すぎる」というのが最大の問題だった気もしますが)

虫姫さま
※大量の弾が飛んで来ても、左画像のように一直線に並んで飛んで来て、その間に隙間がある場合が多いです。
右はステージ3のボス前。 ここで左右の手(?)のパーツを全て破壊し、最後に頭を破壊することで 1UP が出現するので覚えておきましょう。




価格は 450 円。 iPhone / iPod touch と iPad の双方に対応したユニバーサルアプリです。
今までのケイブのゲームより安いのは、iPhone 用のモードがないからでしょうか?

iPhone / iPad 両対応でこの価格はお得と言えますが、iPad だとゲーム画面はやや荒く見えてしまいます
また初代 iPad や iPod touch だと落ちるという報告があり、実際に私も本体を再起動せずにプレイすると iPad で落ちました。(本体再起動をすれば問題なくなります)
メモリが 256MB 以下の機種(iPad 1、iPod touch 全般、iPhone 3GS 以下)でプレイする方はご注意下さい

なお、iPhone でプレイした後、iPad でプレイすると、iPhone のハイスコアが iPad にも反映されました。
実績やゲームモードの解除などは反映されないので、ゲームデータが共用化される訳ではないようですが、ハイスコアは Game Center のデータを元に更新されるようです。
これは他のゲームにも見習って欲しいシステムですね。

遊びやすい難易度が用意されていて、複雑なスコアシステムが存在しないため、アーケード版とは違い、ケイブシューの中ではもっとも万人向けのアプリだと言えます。
シューティングの初心者から上級者まで楽しめるので、ぜひ多くの人に試して欲しいアプリですね。

虫姫さま (iTunes が起動します)