見下ろし型のフィールドで、次々と大量に襲いかかってくる敵をバシバシ倒しまくるアクション RPG 「Dark Quest」(ダーククエスト)シリーズに最新作が登場しました。
「Dark Quest 3」(ダーククエスト3)です。
しかしながら・・・ 従来のダーククエストとは「全く別物」に変化しました。
元のダーククエストは、ハッキリ言ってしまうとゲームロフトの「パクりディアブロ」だった訳ですが、今作はディアブロっぽさがなくなり、オリジナルなゲームになった反面、ディアブロ的な面白さはなくなっています。
ゲームも「本体無料+追加課金」のスタイルに変わり、序盤はタダで遊べますが、長く楽しむには継続的な課金が必要になりました。
そのためゲーム自体は悪くないのですが、レビューは賛否両論、良くも悪くもゲームロフトの現在の方針が感じられる内容となっています。
なお、このシリーズが Dark Quest (ダーククエスト)と呼ばれているのは日本だけです。
これは商標登録の問題のようで、日本以外や iTunes での正式な登録名は Dungeon Hunter 3 ですのでご注意下さい。
(例えば iPhone / iPad の検索機能で Dark や Quest で検索しても出て来ません。 Dungeon や Hunter で検索すると出て来ます)
今回はステージクリア制のゲームに変わりました。
襲いかかってくる敵の一群を倒すと「ラウンド」クリアとなり、数ラウンド終了でステージクリアとなります。
もしくは一定数のターゲットモンスターを倒す事でクリアとなります。
敵の出現数は多く、一度に7~8体ほどのモンスターが一斉に襲ってくることもあり、途中でボスも出現します。
1ステージは3分ほどで、それほど時間はかかりません。
前作のダーククエストは広いフィールドを探索しながらクエストを進行させていくゲームでしたが、今回はステージクリア制になったため、狭いマップ(アリーナ)内での戦闘になっています。
よってアクションゲーム的な要素が強く、ここが「ディアブロ」とかけ離れた点の1つですね。
操作は移動スティックと攻撃ボタンで行う一般的なタイプで、攻撃ボタンは押しっぱなしで連射してくれます。
遠距離武器の場合は攻撃ボタンがスティックに変わり、これで発射方向を指示できます。
操作性は悪くはありませんが、スティックがやや小さいため、遠距離攻撃時の方向指定に少しやり辛さもあります。
ステージクリア、及びゲーム中に出現するコインを集める事で、装備の購入や強化が可能です。
今回は敵が装備を落とす事はないようで、ショップで売られているものをコインで買う形になりました。
もちろん経験値とレベルもあって、これをアップさせる事でキャラは強くなっていきます。
キャラクターは4種類、戦士のウォーロード、魔法使いのメイジ、弓使いのスカウト、精霊使いのシャーマンが用意されています。
ウォーロードとシャーマンは接近戦主体、メイジとスカウトは遠距離戦主体で、どちらかと言うとメイジやスカウトの方がボス戦で戦いやすいので有利ですね。
キャラクターは(無課金では)2人まで作成でき、クリア済みステージや所持金などのステータスは共用されます。
俗に言う「無双系」のゲームで、従来作より一度に出てくる敵の数が増えたので、より爽快感が増しています。
戦闘部分だけを見れば、Dark Quest 2 はディアブロ系としては地味で簡単過ぎる印象が拭えなかったのですが、今回は戦闘の激しさも歯応えがある難易度も良い感じで、ゲームとしては面白くなっていますね。
しかし・・・ 今作にはあまりにも難点があり過ぎます。
しかもその多くが「技術不足」や「調整不足」などに起因するものではなく、「ユーザーに不便を強いるシステムを『故意に』導入しているもの」であるため、ある意味「最悪」と言えます。
まず、ステージクリア後にクリアボーナスとしてお金と経験値が貰える宝箱が出てくるのですが、これを開けるためには「鍵」が必要になります。
しかしこの鍵は20 分で1つ増加、時間で得られる個数は最大4つまで、それ以外で入手するにはほぼ課金が必要というシステムになっていて、つまり無課金ではプレイ時間が強制的に制限されるシステムになっています。
もちろん宝箱を無視して遊ぶ事も出来るのですが、その場合はクリアボーナスなし。 経験値も入手金も大幅に減ってしまいます。
※12月から数ヶ月にわたって発生し続けていた「鍵」が時間経過で手に入らなかったバグは修正されました。
装備の購入や強化も、ゲーム内で入手するコインと、課金で入手する「ジェム」の双方で実行できるのですが、強化時に「30分必要」とか「2時間必要」とか、実時間の経過を要求されます。
上位の装備だと4時間とか8時間とかもあり、ここでもプレイの中断を余儀なくされます。
もちろん課金すれば鍵も入手出来るし強化もすぐ終わるのですが、ソーシャルゲームでもないのに「時間を気にせずやりたかったら金払え」なシステムになっている訳ですね。
上位の装備やスキルは課金しないと購入がかなり辛そうだし、魔法(妖精)の購入は課金が必須だし、「本格的にやろうと思ったら一体いくらかかるんだ?」と思ってしまいます。
ゲームシステムもオリジナル化したのは良いと思うのですが、今作は装備が「ショップで決まった能力値のものを買う」という形式になってしまったので、強力な装備を探す楽しみはなくなりました。
オンラインプレイは前作の時から実現していませんでしたが、一応前作には Wi-Fi や Bluetooth によるマルチプレイはあったので、そこが消えてしまったのは劣化と言えます。
(Gameloft Live! にログインしてもランキングなどの閲覧しか出来ません)
ダーククエストの元であるディアブロはランダム生成による多彩な装備やレアアイテムの発見と、オンラインでのマルチプレイが楽しい部分だったのですが、それらは完全に消えています。
ですからこのゲームにディアブロ的な楽しみを求めていた人は、Dark Quest 2 の方がまだ良いですね。
※現在は「オンライン・マルチプレイ」が導入され、協力プレイと対戦プレイの双方が可能になっています。
これは Gameloft Live! にログインして行います。
全体的に、ゲームシステムを「フリーミアム化」のために再構築した、という形です。
決してゲームは面白くない訳ではありませんが、ユーザーが期待していた部分をことごとく裏切っている印象で、それは iTunes のレビューでも見て取れます。
ゲームロフトは レッツ!ゴルフ3 の時、「これはフリーミアムではない。フリー+(フリープラス)だ」という事を言っていたようですが、「フリー+と言うのは日本では『グリー/モバゲー商法』と言うのだ。そしてそれはフリーミアムより遥かにタチが悪いのだ」と言い返してやりたくなります。
それでも レッツ!ゴルフ3 はオンライン対戦で勝つと報酬としてエネルギーが回復したのでまだマシだったのですが、今作にはそんな仕様もありませんからね。
フリーミアム(フリープラス?)なので本体は無料。 しかしタダより高いものはない系のアプリです。
ゲーム自体は相応に面白いし、無課金のままでも割と遊べるのですが、課金なしでは早いうちに頭打ちが来ると思った方が良いですね。
ストーリー性も乏しく、ステージクリア型であるため、探索や物語の楽しみもありません。
ただ毎日少しずつ、ちょっとした時間のあるときに気軽にプレイして、時には多少課金する、という遊び方なら悪くはないので、そうしたソーシャルゲーム的なプレイスタイルで楽しむなら良いと思います。
ガッツリ遊ぶゲームではなくなったので、ゲーマーにとっては「ガッカリゲー」になった事は否めませんが。
正直、ゲーム内容はゲーマー向けなので、システムがライトユーザー向けになった事で、全体としてどこをターゲットにしたいのかよく解らないゲームになったことは確かです。
(それは Dark Quest 2 にも言えたことなのですが・・・)
2011 年のゲーム業界は、グリーやモバゲーの台頭ばかりが話題になった年でした。 海外でも Zynga などのモバイルゲームメーカーが話題の中心です。
日本のメーカーはこぞってソーシャルゲームに傾き、海外の EA もそちらに舵を切っています。
そして今、フランスのゲームロフトもその方向に追従し始めた・・・ そんな事を感じるアプリですね。
別にソーシャルゲームやフリーミアム化が悪いという訳ではないのですが、ユーザー軽視とゲーム性軽視、売上重視と利益率重視に極度に傾いた年だったなぁ、と思います。
・Dark Quest 3 (iTunes が起動、iPhone / iPad 共用)
コメント一覧 (7)
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- 2011/12/26 11:19
- 昨年にipodタッチでやったダーククエストに感動して、2は楽しみ、この3の配信をものすごく
楽しみにしていたのに・・(モンハン3より)
レッツゴルフ3からの嫌な流れが、最悪の形でダーククエストに結実してしまったかんじですね・・
ロフトは昨年がピークだった気がしてなりません・・・
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- 2011/12/26 12:38
- ゲームロフトは映画のタイアップでゲームが作れるから、まだ買い切りのアクションゲームを作れるだろうけど、残りのIPHONEメインでやってるメーカーは、まともなゲームは作れなくなるでしょうね。IPHONE・IPODでまともなゲームがしたいんであって、別に無料でクソゲーがしたいんじゃないんだけどなあ、、。 大半の人はそうじゃないってことなんでしょうか。
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- 2011/12/26 15:32
- こんにちわ。
前にも書きましたが、確かにロフトやEAなど課金制に走って、肝心なゲームの内容が疎かになり易いですよね・・・
しかし、デッドスペースやモダンコンバット3は、各社の看板ゲームなのか、課金はさりげなく置いてある位にまとめていますよね。
しかもグラフィックや操作性や難易度などよく考えて作られていて関心しました。
ごく一部のゲームですが、ロフトやEAのゲーマーに対する良心なのかもしれませんね。
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- 2011/12/26 22:57
- (完成品としての)ゲーム(アプリ)あっての課金なのか、課金あってのゲームなのか。
最近どうもその辺勘違いした作者、メーカーが多い。
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- 2012/10/19 10:49
- その地域を救うために頑張ってるのに、何かにつけて高い金を要求する住民にちょっと笑ってしまった。
誰のために戦ってると思ってんだよ。
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- 2016/11/20 17:33
- このゲームは地道にお金を集めるのも手ですがサブミッションによる報酬があるのでサブミッションを攻略するのも一つですよ。今は鍵は5つまで貯められますしロトでは少しジェムを貰えるのでコツコツと遊ぶのが好きな人や作業ゲーが好きな人には大変おすすめです(私も作業ゲー大好きです笑)
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確かにそうですが、現状はほぼ↓のような状態なので、
>ユーザー軽視とゲーム性軽視、売上重視と利益率重視に極度に傾いた年だったなぁ
悪としか言いようがないですね。
理想はPCのフリーソフトみたいに「気に入った人は寄付してね」だと思うのですが、
今は本体の有料無料かかわらず露骨に「遊びたかったらもっと金払え」ですから。
嫌気がさします。