多数の敵をまとめて倒せる「ロックオンレーザー」と、ストーリーを感じられる豊富な演出で人気となった、1990 年代を代表するシューティングゲームの1つが iPhone / iPod touch に移植されました。
RAYFORCE」(レイフォース)です。

開発はタイトーで、後に「レイストーム」「レイクライシス」とシリーズ化されていった作品です。
私も近所のタイトー系のゲームセンターにあった、50 インチぐらいの大画面レイフォースを何度かやっていた記憶があります。
ただ、このゲームは出回りが悪く、皮肉にも同社の「ダライアス外伝」の人気に押され、いつの間にか続編のレイストームに変わってしまった印象があります・・・

巷でレイフォースフィーバーが起きている中、こんな事を言うのは KY かもしれませが、私的にはシューティングゲームとしてはそれほど評価していません。
理由は後述しますが、このシリーズは敵の攻撃が妙に避け辛く、ラクにかわせそうな攻撃でもやたら被弾してしまう「避ける楽しさがないシビアなゲーム」だからです。

オリジナルが発売されたのも 1994 年で、怒首領蜂(1997)によって弾幕シューティングブームが起きる数年前。
よって昔ながらの「パターンで攻略するシューティング」であり、最近の弾幕シューに慣れている人だと違和感を感じるかもしれません。

rayforce

縦スクロールのシューティングゲームで、ショットはオート。(ボタンで ON/OFF 可能)
ゲームモードは「iPhone MODE」と「ARCADE MODE」の2種類がありますが、これは単に自機の移動速度の違いであり、iPhone モードは指の動きと同じ速度で移動するのですが、ARCADE モードは移動速度が固定されていて、速く指を動かしても自機は後から追従してくる形です。

ハッキリ言って、iPhone でプレイする場合は ARCADE モードはやり辛いだけですね。
怒首領蜂エスプガルーダみたいに全く異なるモードが用意されている訳ではありません。念のため)

画面はフルサイズ(ズーム)小サイズ(オリジナル)の2種類。
小サイズにすると画面の周囲に枠が出来るため、ここが指置き場になって操作しやすく、画面も全体を見渡せるのですが、画面はかなり小さくなってしまいます。
でもフルサイズだと指置き場がないし・・・ 「中間はないのか」と言いたくなりますね。

まあ、小サイズはドット・バイ・ドット(本来の1ドットを表示上の1ドットと同じにすること。オリジナルと同じ解像度なのでぼやけない)にするためのもので、指置き場を作るための設定ではないのかもしれませんが・・・

※2017年のアップデートで高画質化され、フルサイズでも画面がぼやけなくなっています。
また、スマホ自体のサイズが大きくなったため、フルサイズでも上下に枠ができ、そこが指置き場になります。
よって現在は解像度と操作性の問題は改善されています。

rayforce4

ゲームの特徴は狙った敵に誘導していく「ロックオンレーザー」があること。
自機の前方には照準があり、これを地上の敵に重ねると「ロックオン」されます。 ロックオンは最大で5~8体まで可能で、まとめてロックオンしてレーザーを発射することで得点倍率がアップしていきます

8体ロックオンしてまとめて倒すと、8体目の敵の得点倍率は 128 倍(2の7乗倍。 7体目は2の6乗、6体目は2の5乗)になるので、これをいかに狙っていくかがゲームのポイントになります。

なお、ボタン操作はゲーム開始時にロックオンレーザーを自動発射させる「オート」と、ボタンで発射する「マニュアル」の2つを選べますが、オートではまとめてロックオンして倒す事が困難なので、基本は自分で発射する「マニュアル」になりますね。

rayforce

ステージをクリアしても場面の切り替わりはなく、そのままスクロールし続けます。
背景では大気圏突入や艦隊戦などが描かれ、ストーリーに沿った演出が展開されます

iPhone 4 だとやや引っかかる場面もありますが、動作は概ね良好で、巷では動作速度についての苦言もあるようですが、私的には全く問題ないレベルだと思います。
ケイブシューと見比べると FPS(1秒あたりコマ数、動作の滑らかさ)が低いのが見て取れますが操作性なども含め、十分に楽しめる完成度ではありますね。

※2017年のアップデートで動作が改善され、滑らかになりました。
また、現在の最新機種なら軽く動きます。


ただ冒頭で述べたように、このゲームは敵の攻撃が避け辛く、妙に被弾してしまうので、どうもプレイし辛い印象があります。

その理由の1つ目は、当たり判定がやや大きいこと。
近年の弾幕シューティングは自機の当たり判定が数ドットという非常に小さなものになっていて、敵弾の当たり判定も見た目より小さめですが、このゲームはそれらと比べると大きめです。
だからケイブの弾幕シューと同じような感覚で避けていると被弾します

2つ目は全体のキャラクターサイズが大きい。 他のゲームよりズームしている感じで、敵と自機の距離が近めです。
3つ目は弾の緩急が激しい。 通常弾は遅いのに、急に高速弾が飛んで来たりします。 また近距離から速めの弾をいきなり撃たれることも多いです。
これらが相まって、油断するとすぐに被弾します。

4つ目は地上の敵の弾の軌道がヘン。 背景が疑似 3D になっていて、それを表現するためか、地上の敵が撃ってくる弾が少し曲がるうえに、弾速も変化します。

rayforce

実際は上記画像ほど曲がる訳ではありませんが、真っ直ぐ飛んでくる訳ではなく微妙に変化するので、弾が細長いこともあって、ちゃんと見ていても妙に被弾しやすいです。
やや軌道や速度が変わることを知っていると避けやすくなるので覚えておきましょう。
地上の敵以外でも、ナナメに飛ぶミサイルが多いので注意する必要があります。

これらの事があり、「いつもは簡単に避けられるはずの弾」に不意に当たります。
シューティングが得意な人ほど、弾の間を抜けようとして被弾し、あっけなくやられる場合が多いのではないでしょうか。
パターン化が重要なゲームと言え、敵弾をくぐり抜けるタイプではありません

そして5つ目、一番難易度を上げているポイントかもしれない点が、ボムがないこと。
ボム、及びそれに相当するものが一切ないシューティングゲームは珍しく、難しいシーンをそれで何とかする事はできません。

これらは難点という訳ではなく、ゲームの「特徴」と言えるものですが、おかげでかなり難易度は高いですね。

※2012年4月末のアップデートで、ゲームの難易度を8段階に調整できるようになりました。
初期設定は Very Easy になっており、これだと iPhone でもかなりプレイしやすくなっています。

なお、オリジナルのレイフォースやレイストームには「レバーをニュートラルにすると自機が勝手に中央に寄る」という難点もありましたが、iPhone 版は常に指を置きっぱなしにすると思うので、ここは問題にはなりません。
ただし指を画面から離すと少し動くので注意しましょう。

幸いコンティニューは無限に出来るので、誰でもオールクリア出来るようにはなっています。
ただ、慣れないとボコボコ死ぬゲームなので、賛否両論あるでしょうね。
無限コンティニューが逆に災いし、1回クリアしたらやらなくなってしまう人もいるかも・・・

私的にはコンティニュー回数に制限を付けつつ、多少の努力でクリア出来るようになるイージーモードがあった方が、ユーザーうけが良かったのではないかと思います。

あと、現バージョン(2012/1)には Game Center にハイスコアが登録されない問題があるようなので注意して下さい。
(登録される人もいるようですが、私は時間を変えて何度プレイしても、一度もスコアが登録されたことはありません)

※ Game Center にスコアが登録されない件ですが、リーダーボードではショットモードを AUTO にした時のスコアが「SIMPLE」という名前になっていて(海外での呼称?)、この SIMPLE がメインスコアになっているため、レーザーを MANUAL にしているといつまで経っても登録されないという事だったようです。
(MANUAL でのハイスコアはリーダーボードの下部付近に存在し、気付きにくいです・・・)

以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。



価格は 1000 円。 iPhone アプリとしては高額と言えます。
昨今の iTunes 市場を見ると相応の規模のアプリは相応の価格であるべきなのかな、とも思いますが、怒首領蜂エスプガルーダ II が 700 円、さらに虫姫さまが 450 円なのを見ると、割高なのは否めません。
(まあ怒首領蜂やエスプも最初は 1000 円でしたが)

他のシューティングをやり尽くして新しいシューティングを求めている人や、レイフォースの経験者にはオススメできますが、そうでない人にはケイブのシューティングの方が良いですね・・・
ただ、かつての名作が iPhone で楽しめるのは、ゲームファンとしては嬉しい事ではあります。

見た目や演出は結構新しいのですが、前世代的なシューティングで、しかもかなり高難度なので、その点を承知でプレイしましょう。
しかし大手のシューティングが弾幕シューばかりになるのもどうかと思いますし、こういうゲームが遊べるのも良いですね。

RAYFORCE (iTunes が起動します)