武器を使う 3D グラフィックの対戦格闘ゲームとして登場した「ソウルエッジ」の続編で、今でもそのシリーズが続いている定番の格闘ゲームの1つ「ソウルキャリバー」シリーズ。
そのソウルキャリバーの1作目(ソウルシリーズとしては2作目)が iPhone / iPod touch に移植されました。
名前はそのまま「ソウルキャリバー」です。

この初代ソウルキャリバーが登場したのは 1998 年。
しかしこのゲームはアーケード(ゲームセンター)以外ではセガのゲーム機「ドリームキャスト」にしか移植されていないので、プレイしたことがある人はあまりいないでしょう。
多くの方は一作目のソウルエッジか、ソウルキャリバー II 以降しか知らないのではないでしょうか。
最近になって XBOX360 のダウンロード用ソフトも登場しましたが、XBOX も日本でのシェアはサッパリですからね。

しかしソウルキャリバーシリーズは欧米ではかなり人気で、世界的に見ればナムコの定番格闘シリーズ「鉄拳」に並ぶほどのタイトルのようです。
今回の iOS 版の発売は、2月に PS3 や XBOX360 で発売される「ソウルキャリバーV」のプロモーションも兼ねているのかもしれません。

ソウルキャリバー

対戦格闘ゲームとしては、「バーチャファイター」に似たタイプです。
技が通常技と必殺技に分かれているのではなく、全ての技が特定のレバー入力やボタン入力を必要とする「固有技」になっている感じですね。
と言ってもボタン連打で出る技もありますし、基本の難易度が抑えられているため、格闘ゲームが苦手な方でも大丈夫でしょう。
複雑な技もありますが、どちらかと言うと初心者向けの格闘ゲームと言えるかもしれません。

全てのキャラが武器を持っているのが特徴で、そのためキャラによってリーチが大きく違います。
トリッキーな動きをするキャラもいるため、キャラごとに戦い方はかなり変わります。
バーチャ系(3D 格闘系)の例に漏れず、全体の動きはスピーディーで、闘技場から落下すると負けになる「リングアウト」が存在します。
ガードはボタンで行い、遠距離時(及びレバーを同方向に2回押した時)には8方向に自由に移動することが可能です。

特筆すべきはそのグラフィックでしょう。
iPhone 4 でプレイしましたが、Retina ディスプレイにも対応したグラフィックは非常に美しく、おまけにとても滑らかに動作します。
ほとんど処理落ちは見られず、水面などの表現も綺麗で、このクオリティーはちょっと驚きですね
こんな事を言うのもアレですが、「いつものナムコ」ではありません。

背景はよく見ると 3D っぽく描かれた一枚絵を多重スクロールさせて作っているようで、10 年以上前のゲームですから、その当時の「見栄えのするゲームを軽く作るための技術」が生かされている感じです。
フル 3D グラフィックでも重いんじゃ意味がないですから、この頃のゲームの方がスマートフォンには合っているのかもしれません。

操作はタッチパネルのため、どうしても物理的なレバーとボタンには劣りますが、レバー入力や反応は決して悪い訳ではなく、ボタンの配置も自由にレイアウトできます
操作性はアクションゲームとしては、かなり良い方だと言っていいでしょうね。

ソウルキャリバー
※アーケードモード、及びプラクティスモードではゲーム中にコマンドのリストの確認が可能。
ちょっと気付きにくいのですが、上部にある「A B K 走 投 特」の表示はボタンになっていて、ここをタップする事で「A ボタンから始まる技」や「K ボタンから始まる技」などを切り替える事が出来ます。
また、プラクティスモードの場合は技をタップする事で、その技がどんなものかを確認することができます。
同方向にレバーを2回倒す場合は、レバーを2回スライドするのではなく、レバーをボタンのように「ポンポン」とタップして、二度目のタップ時にそのまま押しっぱなしにするのがコツです。


ソウルキャリバー
※オプションのコントローラーセッティングでボタンのレイアウトが可能です。
さらに「A+B ボタン」や「A+G ボタン」などの同時押しボタンを1つだけ配置することができます。
また、レイアウト変更でボタンを重ね合わせることで、その重なった部分をタップする事で同時押しが出来るようになります。
同時押しボタンは1つしか配置出来ないので、この重ね合わせをうまく使いましょう。
セッティング画面の右上のスライダーでボタンの半透明度も変更できます。


ゲームモードは今後のアップデートで追加される予定があるようですが、現時点(2012/1)では普通の1人プレイである「アーケード」、クリアタイムを競う「タイムアタック」、勝ち抜き数を競う「サバイバル」「エクストラサバイバル」が用意されています。

対戦格闘ゲームなのに対戦モードがないのが残念ですが、最初に用意されているキャラクターは 10 名、それぞれをクリアするごとに新しいキャラクターが追加されていき、最終的には総勢 19 名となり、さらに各キャラクターに固有のエンディングが用意されています
最初から 19 人というのは iPhone の格闘ゲームでは最多です。

他機種版にあったストーリーモードのような、継続的に楽しめる要素がないのが欠点ですが、全キャラクターのエンディングを見ようとすると相応のボリュームになりますね。
またタイムアタックやサバイバルは Game Center のランキングに対応しています。
なお、タイムアタックやサバイバルモードは中断やポーズがないので注意して下さい。

(あと、ボタンを押したままでスクリーンショットを撮ったりすると、ボタンが解除されなくなり操作不能になる問題が発生するのでご注意を)

以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。



非常に高クオリティーなゲームですが、難点は価格でしょう。
定価 1500 円と高額です。 現在(2012/1)は発売セールで 1200 円になっていますが、やはり高めです。
大作 RPG とかではなく、オンライン対戦が出来る訳でもないので、プレイ時間を考えるとちょっと厳しいのは否めません。

しかしこれだけのクオリティーなら、私的にはこの値段でも十分納得ができますね。
確かに高めではありますが、正直これでまだ文句を言うんだったら、「一体どれだけのものを出せば納得するんだ」と思ってしまいます。
ともかく対戦格闘ゲームとしては、完成度は間違いなくトップクラスです。
ゲームモードが少ないことについては、今後のアップデートに期待でしょうか。

ナムコの大作ゲームと言えば初期バージョンはボロボロで、アップデートでようやくマシになるというパターンが繰り返されていて、たまに最初からマシなゲームが出たかと思えば「まともにプレイするには課金しまくってね!」というものが多かったのですが・・・
このゲームは珍しく、最初からバッチリです。(それが当たり前ではあるんだけど・・・)

なお、このゲームは iPhone 4 と 4S、iPod touch 第4世代、iPad 2 が対象です。
iPhone 3GS や iPod touch 第3世代以前、初代 iPad は対象外なのでご注意下さい。

格闘ゲームが好きな方には、かなりオススメできますね。
これで iPhone にはストリートファイターKOF とソウルキャリバーが、(ちゃんと相応しい完成度で)登場した事になりました。
2年前には考えられなかった状況です。 技術の進歩は速いものですね・・・

ソウルキャリバー (iTunes が起動します)