一言で言ってしまうと、「GREE(グリー)が作ったパクリ KingdomConquest(キングダムコンクエスト)」。
しかしだからこそ、この手の戦略ソーシャルゲームのプレイヤーにとっては非常に気になる存在。
それが「ドラゴンアーク」です。

※このゲームは2013年6月に運営終了しました。

グリーについては色々と思うところもありますが、とりあえずそれは置いといて、ゲームの内容だけを純粋に評価したいと思います。
KingdomConquest(キングダムコンクエスト、通称キンコン)をベースにしたゲームについては、昨日「三国志コンクエスト」をご紹介したばかりですが、それとの比較記事としても見て頂ければと思います。

このゲームはゲームデザイナー「土田俊郎」さんが手がけた事がアピールされていますが、この方は「アーク ザ ラッド」や「フロントミッション」などのプロデューサーをされていた方で、詳しくは ファミ通Appこちらの記事(スマゲ★革命) で詳しく語られています。

内容ついては冒頭で述べたように「グリーのキンコン」な訳ですが、グラフィックは全く異なり、日本風・アジア風と言える親しみやすいグラフィックになっています。
グリーのゲームと言えばガラケーをベースにした、グラフィックもサウンドもショボいものばかりでしたが、今作はちゃんとスマホ用のアプリとして作られていて、これまでのグリーのゲームとは違いますね。
モバゲーやハンゲームに遅れること約1年、ようやくグリーもスマホらしいゲームを作って来たか、という感じです。

ドラゴンアーク

今回のレビューも「三国志コンクエスト」の時と同様、数日プレイしてのものです。
この手のゲームは数週間はプレイしないとゲームバランスの評価は出来ませんが、この記事はあくまで序盤のみでの判断となりますのでご了承下さい。
また、解説の各所にキングダムコンクエストの知識・経験が前提になっている部分があり、未経験の方には解りにくい表現があるかもしれないのでご容赦を。


ゲーム内容は基本的にキングダムコンクエストを踏襲していますが、アクションシーンは全く異なります
また戦略シーンもキンコンの各仕様を盛り込みつつ、細かい追加要素でバランスの調整を行っている印象です。

内政は見た目こそ違いますが、やる事はブラウザ三国志やキンコン、サンコン(三国志コンクエスト)と変わりません。
森の横に木材工房、鉱山の横に製鉄所、湖の横に貯水池などを作って各種の資源を蓄えつつ、兵舎や倉庫、研究所などを建設していきます。 施設の完成には実時間の経過が必要です。

ただキンコンとちょっと違うのは、兵士の維持費を減らす「モンスター厨房」や、装備の合成が出来る「鍛冶屋」といった独自の施設が存在すること。
キンコンをやっていた方なら解ると思いますが、兵士は増やすほどその維持に大量の食料が必要になり、しかし兵士がいないと戦闘には勝てないので、後半は慢性的に兵糧不足に陥ります。
ドラゴンアークはその問題を「モンスター厨房」で軽減でき、バランス改善をしているのが伺えます。


アクションシーンはキンコンともサンコンとも違います。
職業は4種類、大剣を持った男性ファイター、攻撃魔法を使う女の子メイジ、回復と盾を持つイケメンクレリック、遠距離攻撃できる女性アーチャーの4人。
キンコンと違い、挑発&盾と回復を持つのはクレリックで、ファイターとメイジは完全なアタッカーですのでご注意を。
ただアクションの難易度がそれほど高くないため、盾役は無理に必要ない印象もあります。

敵の数は少なく、3体までしか出て来ません。 そのぶん1体あたりの耐久力は高いのですが、やはりザコをザクザク倒す方がゲームとしては楽しいので、面白さはイマイチです。
おまけに敵を殴ったときの「感触」というか、攻撃を当てた時の演出・動き・効果音などが乏しく、戦っている時の手応えのようなものが希薄です。
ボタンを押したらキャラクターが踊って、近くにいる敵の HP が音もなく減っていく感じ。

おかげでアクションシーンはスクリーンショットで見ると綺麗なのですが、実際にやってみるとイマイチで、少し調整すれば良くなるとは思うのですが、今の時点ではサンコンはもちろん、キンコンにも劣りますね
グラフィックは Retina 非対応なので、この点はキンコンと同じではありますが、サンコンに劣ります。

ドラゴンアーク
※ボスは必殺技を持っており、繰り出してくる前にはメッセージが表示されます。
キャラクターの仕草や演出は良く出来ているのですが「ヒット感」「ダメージ感」がなく、アクションゲームらしさがありません・・・
なお、クリアタイムに応じて評価が付けられ、高評価だとカードを引ける回数にボーナスが付きます。
よって多人数で挑戦し、速攻クリアを目指した方が良いですね。


ドラゴンアーク
※キンコンやサンコンと同じように、案内役がクエストを通してゲームの解説をしてくれます。
クエストはかなり豊富で、解説も懇切丁寧、チュートリアルが充実しているのも特徴と言えますね。
クエストにも★1や★2と言った難度があり、★1を一通り終えると次のクエスト一覧が提示されます。
クリア済みのクエストの報酬はすぐに受け取らなくても良いので、状況に合わせて後からもらう事が可能です。


アクションシーンをクリアすると「カードを引ける権利」が得られます。 この点はキンコンと同じなのですが・・・
ちょっと特徴的だと思ったのは、このゲームではカードを引く行為を「アークダス」と呼ぶこと。 「ガチャ」ではありません。
単に名前が違うだけですが、(嫌悪感を感じる人が多い)「ガチャ」という呼称を使っていないところは、ちょっとグリーらしくない特筆すべき点です。

グリーのアプリで毎回行う必要があった「グリーへのログイン」も初回のみになっていて、課金もGREEコインではなく、ドラゴンアーク専用の通貨を使います。
良い意味で従来のグリーとはシステムが異なっている印象です。
とは言えグリーへの入会は必要なので、退会が史上最高に難しいと言われるグリー入会を強制されるのは、やはり難点ではありますが・・・
(もし入会する場合は普段あまり使っていないメールアドレスを登録するのがお勧めです)


モンスターカードの特徴や合成は、基本的にはキンコンを踏襲しています。
合成の仕様については「まんまキンコンをパクってる」と言って良いぐらいで、例えば「スキル強化合成は同じカードのみ」「初期スキルのレベルを上げると、そのカードから習得出来るスキルが変わる」みたいな点まで同じです。 合成の成功確率まで一緒。

キンコンと同じく、同じカードを集めにくい R(レア)、SR(スーパーレア)は余程の課金をしないと使い辛いのですが、この点がキンコンですでに解っていたためか、R や SR のスキルと能力はそのぶん強くなっているようです。
スキルの種類もかなり増えていて、「火属性の土地だとパワーアップ」「1ターン目のみ発動判定を行う」と言った、キンコンにはない特殊な発生条件のスキルも多く含まれます

さらにキンコンと大きく違うのが「リーダースキル」の存在。
これはリーダー(後衛)にそのモンスターを配置した時のみ効果を発揮するスキルで、「メンバー全員の能力を強化する」「特定の属性モンスターの防御力を増やす」と言ったものから、「自身の射程を伸ばす」と言ったものまであります。

特に重要なのが射程アップで、キンコンは後衛や中衛は射程がないと攻撃が届かなかったため、後ろに配置できるモンスターが限られていて、それが使えるモンスターを制限していたのですが、ドラゴンアークはリーダーにすると射程が伸びるモンスターが多いので、後衛のバリエーションが増えています
さらにリーダースキルには「所属している都市の生産力をアップ」みたいな内政用のものまで存在するため、都市に駐留させるユニットを何にするかの戦略の幅も広がっています。

戦略マップは、見た目は賑やかで綺麗になっているのですが、内容はキンコンと大差ありません。
マップ上にモンスターの部隊を派遣して勝利すればその土地を占領でき、モンスターの経験値やレベルが上がってステータスをアップさせられます。
古城(キンコンでいうところの塔)もあり、占領すると大きな報酬が得られ、クエストの進行条件にもなるため、同盟の目標になる点も一緒です。

ただ1つ大きく違うのは、テンション(キンコンでいうスタミナ)が十分ある状態で派遣すると、多くの経験値が得られるだけでなく、兵力に被害が出ても 1/3 が回復するという点。
このルールのため、他プレイヤーとの戦争時でも、テンションがある方が反撃されたときのダメージを抑えられます
報酬で支配力が増えるクエストが多いので、序盤の支配力の増加が早く、キンコンより早めに領土の確保と新拠点の作成ができるのも特徴でしょうか。

ドラゴンアーク
スキル強化合成はやはり同じカードじゃないとダメ。 よってオークションで同じカードをかき集める必要がありますが、オークションや合成に使う通貨(TP)はなかなか増えません。
※アップデートにより、スキル強化はどのカードでも出来るようになりました。 ただし合成に多くの TP を使うようになっています。
グリーのゲームだから課金演出がてんこ盛りなのかと思いましたが、今のところ可能な課金要素はキンコンとほぼ同じ。 ただ 600 円する高額カードダスが加わっているのが恐いところ。
なお、この作品では装備もオークションに出す事が出来ます。


ドラゴンアーク
※この作品のキモは、この「リーダースキル」じゃないかと思います。 「リーダーにすれば射程が伸びる」というシステムは「なるほど」と思いましたね。
都市の生産力が上がるリーダースキルってのも、見た時はちょっと衝撃的でした。
なお、モンスターには種族の他に火・水・土・風の属性もあり、さらに土地にもこの4属性があって、土地とモンスターの属性があっているとパワーアップします。
スキルの中には「属性が合っていると威力アップ」というものも。


ドラゴンアーク
※フィールドマップはこんな感じ。 キンコンやサンコンより色鮮やかですね。
城のレベルが7まで上がると「国引き」と呼ばれる場所移動も可能です。


例によってアプリ本体は無料。 もちろん本気でやろうと思ったら課金が必要になって来ますが、基本的には無料のままでも遊び続けられます。
現時点(2012/2)では、やはりグリーの iPhone ゲームであるためか、ユーザー数はキンコンやサンコンほどではないようです。

ゲームとしては、意外と戦略シーンの完成度は高いのではないかと思います。
サンコンと比べると、戦略シーンは明らかにサンコンよりも面白く、そしてこちらの方が「キンコンの後継」である印象です。
でもアクションシーンが今ひとつなので、それを何度もやらないといけないのが面倒になってきます。
キンコン型(あえてこう呼ぶ)は戦略シーンとアクションシーンが両立していないと面白くないと思うので、ここはもっと調整して欲しいところですね。

あと、これはこのゲームが悪い訳ではないのですが、サンコンの Retina 画質を見た後だと、ちょっと戦略シーンが見劣りしますね。 絵のタッチはこれはこれで良いと思いますが。

キンコンサンコンドラゴン、それぞれが今の時点では一長一短と言えるでしょう。
キンコンをやり慣れている人はキンコン続行で、キンコン経験者で新しい舞台に挑戦したかったらサンコン、この手のゲームが未経験で、グリーでも良いならドラゴンでしょうか・・・?

・ドラゴンアーク (運営終了)