XBOX で発売された、宇宙を舞台にした SF ストーリーのガンシューティングの新作「Mass Effect」(マスエフェクト)。
スターウォーズ的な世界観の FPS/TPS (3D ガンシューティング)で、その点では良くある欧米スタイルのゲームと言えるのですが、それをスマートフォンに合わせた独特な戦闘スタイルに変えた、ちょっと変わったシステムのゲームが登場しています。
MASS EFFECT™ INFILTRATOR」(マスエフェクト インフィルトレーター)です。

iPhone 版を開発したのは EA の元で、SF サバイバルシューティングの名作 Dead Space や Retina グラフィックにいち早く対応した Mirror's Edge 、さらに Need for Speed シリーズやシムズシリーズなどを作成しているオーストラリアのメーカー IronMonkey Studios 。
あの iOS 版 Dead Space を作ったスタッフの新作と来れば、FPS/TPS ファンなら見逃せないでしょう。

ただ、今作は前述したようにタッチパネルに合わせた独特なゲームスタイルが導入されており、それが旧来の FPS ファンから賛否両論を受けていたようです。
そのため先日のアップデートで一般的な FPS/TPS スタイルでもプレイ出来るようになったのですが、とりあえずここでは本来のシステム(タップによる照準)をベースに解説を行います。

MASS EFFECT INFILTRATOR

画面左側をスライドして移動、右型をスライドして視点を動かします。
普段の移動に関しては、一般的な FPS/TPS と変わりません。 操作性は良好ですね。

そして敵に遭遇すると、主人公は近くに壁や遮蔽物がある場合、それに身を隠します
つまり既存の FPS/TPS で言うと、ブラザーインアームズSHADOWGUN のような「隠れながら戦うタイプ」のゲームで、モダンコンバットDead Space のようなずっと立っているタイプとは異なります。

さらにこのゲームは隠れている時、横や前方にある他の遮蔽物に転がって移動することができます。
立って走らずに遮蔽物から遮蔽物へとスムーズに飛び移ることができます。

そして、もっとも特徴的なのは・・・ このゲームには「射撃ボタン」がありません
敵が攻撃可能な位置にいる場合、その敵に枠が表示されます。 この時にその敵を「タップ」すると、主人公は自動的にその敵への攻撃を開始し、画面が少しアップになって照準が現れます。
撃ち始めた時は、この照準はターゲットから少しズレています。 よって画面をスライドさせ、照準を調整して敵に弾を当てます。
敵がいなくなるか、画面をダブルタップすると射撃は終わりますが、敵を倒しても別の敵がまだいる場合、他の敵をタップすることでそちらに素早くターゲットを移すことが出来ます
また、敵を倒した後はスローがかかるので、スロー状態のままで次々と複数の敵を狙っていけます。
ただし銃はしばらく撃つとリロードが必要になるので、そうなると射撃は中断されます。

飛び移るような移動と、敵をタップすることで射撃が半自動で行われるシステムのため、戦闘スタイルはスマホに特化したガンシューティング EPOCH. に少し似ています。
EPOCH. と Dead Space を足して2で割ったような感じと言えるでしょうか。

ただし一般的な FPS/TPS と比べると、敵が真正面にいても撃つのに「敵をタップ」→「照準合わせ」という2テンポが必要なため素早い対応が難しく、しかも撃ちながら動くという事ができないため、この辺りが旧来の FPS/TPS ファンの批判を買った模様です。
普段このタイプのゲームをしない人には、とてもやりやすいシステムではあるのですが・・・ 

MASS EFFECT INFILTRATOR
※青い枠が付いている敵が2人いる。 ここで敵をタップすると主人公が壁から飛び出して攻撃を開始する。
もちろん撃っている最中はこちらも撃たれる。 ダメージを食らうと画面が白黒になっていき、周囲に血のようなものが付いていくが、ダメージを受けないようにしていれば自然と回復していく。
画像の主人公の横に矢印が付いているが、これは右に飛び移れる遮蔽物があることを表している。
その方向に画面をフリックすると、右(および右前方)の遮蔽物に転がって移り、すぐにまた隠れる。


MASS EFFECT INFILTRATOR
※射撃中の画面。 射撃中は画面の外周にぼやけるエフェクトがかかる。
射撃開始時は照準が必ずズレているので、すぐに修正しなければならない。
敵の頭など弱点部分には丸印が付き、そこを狙うのが一番ダメージが高い。
武器の射程は銃とは思えないほど短いので、敵を攻撃する(タップする)にはある程度近づかないといけない。


武器は最初はマシンガン(アサルト)ショットガンの2種類ですが、クレジットを集める事でスナイパーライフルビームを購入可能です。
武器のチェンジは画面右上の武器ボタンを押しっぱなしにし、その後に武器アイコンの方に指をスライドさせることで行います。
武器チェンジをするとリロードを待つことなく攻撃を続行できる利点もあります。

また、画面左上には「バイオテックス」という特殊兵器のボタンがあり、隠れている敵をおびき出したり、広範囲攻撃を行ったりすることが出来ます。
これは一般的な FPS/TPS の手榴弾のようなものですね。 ただし一度使うと、しばらく使用できなくなります。

また、画面右下には「クローク」のボタンがあり、これを押すと少しの間だけ姿が透明になって、敵にターゲットされなくなります。 俗に言う「ステルス」や「光学迷彩」というやつですね。
これも一度使うとしばらく使用できなくなります。

一度の攻撃で複数の敵を連続で倒したり、うまく武器チェンジしてリロードを短縮したり、バイオテックスを活用して敵を倒すと「スタイル」という評価が上昇します。
そしてこのスタイルと時間・ダメージによって、戦闘が一度終わる度に戦闘評価が付けられ、それに応じてストアのクレジットが貰えます。
クレジットは武器、アビリティ(特技)、バイオテックス(特殊攻撃)、近接攻撃(パンチなど)、防具(ヘルメットとアーマー)の購入やアップグレードに使用でき、これによって主人公を徐々にパワーアップさせていくことが出来ます。

MASS EFFECT INFILTRATOR
※一回の戦闘が終わる度に、その回の評価が付けられる。
ちょっと解りにくいが、この画面で「ストア」の部分(画像の矢印の部分)をタップすると、ストア画面に移動して武器やパワーアップの購入を行うことが出来る。
つまり、ショップはいつでも利用できる形式。
「情報」と言うのは Xbox360 や PS3 で発売されている Mass Effect 3 との連動機能で、このアプリで入手した情報を送信することで Mass Effect 3 の戦いが有利になるらしい。 送信せずに換金することも可能です。


MASS EFFECT INFILTRATOR
※「クローク」を使って透明化しているシーン。 これを使っている間は安心だが、効果時間が短すぎる・・・
少しでも長くしたいならクレジットを使ってアップグレードしよう。
隠れている敵を浮上させるバイオテックスや、近接攻撃のパンチは敵の体勢を崩すことが出来るのだが、あくまで体勢を崩すだけでダメージは低いので、使ったらすかさずタップして銃で追い打ちをかけよう。


見てのようにグラフィックはかなり綺麗で、iPhone の FPS/TPS 系の中ではトップクラスと言って良いでしょう
モダンコンバット3 ほどではありませんが、かなり細かいグラフィックと言えますね。
iPhone 4 でプレイした限りでは、若干カク付く場面も見られましたが、動作はスムーズです。
もちろん iPhone 4S や iPad 2 / 3 ならかなり快適にプレイできるはずです。

難点は、やはりその特殊なゲームシステムの部分ですね。
タップして照準を合わせて攻撃するのは良いとして、敵1体倒した後、さらに連続で敵を狙わないと「スタイル」の評価が減少し、さらに武器の持ち替えやらバイオテックスやらクロークやらもあるので、一見シンプルに見えて、実は結構忙しいシステムです。
遊びやすいんだかそうじゃないんだか判断し辛いシステムで、とにかく「慣れ」が必要になりますね。

また、姿を隠す「クローク」があるためか、敵が四方八方から出て来て、普通に戦ったのでは切り抜けられないような場面が多いです。
例えば部屋の四方に扉があって、前の扉から出て来た敵を相手にしていると横や後ろから出て来た敵に撃たれた、みたいなことが多く起こります。
クロークの使用が前提の、妙に難しい場面が多い気がします。

あと、メッセージは全て日本語化されていて、以前の EA のゲームに良くあったおかしな翻訳もないのですが・・・
それでも「ストーリー」が解りやすいとは言えません。 というか、このゲームだけではぜんぜん解らない。
このゲームは3部作であるマスエフェクトシリーズの、3作目の外伝にあたるようです。
よって基本的にマスエフェクトの一連の流れを知っている事が前提で作られているようで、だからこのゲームだけやっても主人公がなぜ戦っていて、どういう状況で、敵が何者なのか、その辺さっぱり解らない。
ストーリーシーンは結構多いのですが、おかげで余計に流れがよく解らないのが気になります。 まあ、要は敵を倒しながら進んで行けば良いのですが・・・

MASS EFFECT INFILTRATOR
※倒した敵の隊長に銃を突き付ける主人公。 ここで2つの選択を迫られる。
「パラゴン」なら逃がしてやるのだが、「レネゲイド」だと撃ち殺す。 どちらにするかでストーリーが変化するようで、こうしたストーリー分岐がマスエフェクトの特徴のようですが・・・
しかし背景やストーリーを知っていればそれに合わせた判断も出来ますが、ストーリーがさっぱり解らないので判断のしようがなく、好みで(?)選ぶしかない。
もうちょっと導入が解りやすければ良いのですが・・・


MASS EFFECT INFILTRATOR
※ちょっと気付きにくいのですが・・・ この端末は宝箱のようなもので、近づいてタップするとクレジットを得られます。
画面をタップすると矢印が表示され、目的地の方向を教えてくれるのですが、わざと寄り道することでクレジットが見つかったりするので、分かれ道があったら目的地でない方を先にチェックしてみましょう。


MASS EFFECT INFILTRATOR
※ボスも登場! このロボットは第一の難関! ハッキリ言って手強い。 周囲から出てくるザコも鬱陶しい。
画像はボスの間近で戦っていますが、二階のベランダ部分に身を隠しながら、離れて戦った方が無難。
ただし画像の極太レーザーは爆発を発生させるので動いて避けないと危険。
離れてスキを見ながらマシンガンでチクチク攻撃し、ザコが来たらクローク併用でショットガンで処理しよう。
このロボットにはターゲットが3ヶ所あり、中央のメインカメラを先に壊すと周囲を認識できなくなって、武器をデタラメな方向に乱射し始めるのがユニーク。


価格は 450 円。 ちょっとシステムが特殊ですが、クオリティーは非常に高く、内容を考えるとこの価格は安いぐらいです。
さすが「あの Dead Space のスタッフが作った作品だけある」と思えるアプリですね。
なお、iPhone / iPod touch と iPad 共用のアプリ(ユニバーサルアプリ)です。

賛否ありそうな戦闘スタイルも私は好みで、これはこれで慣れればなかなか面白いです。
アップデートで従来型の FPS/TPS スタイルの操作(自動照準、オプションの「タップで照準」をオフにする)も導入されたので、新しい戦闘スタイルが気に入らない方でも、おなじみの戦い方で楽しむ事が出来ます。

先日ご紹介した「マックス・ペイン」といいこれといい、ここに来て急に優れたガンシューティングが出て来ている印象ですね。

MASS EFFECT™ INFILTRATOR (iTunes が起動します)