「外国人から見た戦国時代のニッポン」と言った感じの、渋い雰囲気のリアルタイムの戦術シミュレーションゲーム(RTS)が登場しています。
Total War Battles」です。

「Total War」(トータルウォー)はパソコンで人気の RTS シリーズで、2011年に「Total War: Shogun 2」と言うゲームが発売されているのですが、この「Total War Battles: Shogun」はそれとは全く違う、スマートフォン用に作られた別のゲームですのでご注意下さい。
しかし開発元は同じ(イギリスのメーカー)で、渋くて純和風、でもちょっとヘンな戦国の雰囲気はそのままです。
発売元はセガなのですが、セガのアメリカ支社の担当のようで、日本語化されている訳ではありません。

ゲームは RTS の「施設建築」「資源収集」「移動と戦闘」という3つの要素を簡略化したような感じで、戦闘だけを見ると「源平大戦絵巻」や「アレクサンドリア大戦絵巻」にも少し似ていますね。

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画面はヘックス(六角形)のマスで区切られていますが、ターン制のゲームではなく、各ユニットは命令に従って自動で進軍し、敵がいたら勝手に戦います
ユニットの購入は資源を消費して行い、資源は施設を作ることで時間と共に少しずつ増えて行きます。

プレイヤーはまず、自軍側のマスの上に各施設を建設していきます。
施設には「」「市場」「鍛冶屋」「製材所」などがあり、各施設には「」も付属されています。
市場は城と道で繋がっている必要があり、鍛冶屋は市場と、製材所は鍛冶屋と繋がっていなければなりません。
さらに道や建物が重なってしまうと建てられないので、うまく建てるには配置を考える必要があり、ちょっとしたパズルになっていると言えますね。

施設を作ると、市場からはお金が、鍛冶屋からは鉄が、製材所からは木が、少しずつ増えていきます。
ユニットはこれらの資源を使って生産し、浪人や平民は市場で雇用できますが、弓兵や槍兵を作るには製材所で資源を使って「兵舎」(Barrack)を生産し、それを設置しなければ雇用できません。
さらに侍や騎馬は城で寺院を造った後、そこで生産できる「道場」を設置しなければ雇用できません。

もちろん敵が攻めてくると、これらの施設も攻撃されてしまいます。
壊されないように迎撃して守る必要があり、この辺の施設を巡る攻防はパソコンの RTS っぽいと言えますね。

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※「寺院」は製材所に繋がっていて、かつ市場に繋がらないように建てなければならず、ちょっと設置が難しい。
でも寺院からは「大(名声)」を得られ、それはサムライや騎馬を作るのに必要になるので重要。
道の向きはタップする事で回転させられるので、それを使って出来るだけ隙間なく作っていこう。
市場を水辺や港に、鍛冶屋を岩場に、製材所を森に、寺院を桜に接して作ると、そこから一定時間ごとにボーナス資源が生み出され、タップで回収できる。
これは結構バカに出来ないので、施設建設時にはこれらのボーナスも考慮に入れたい。
なお、施設は撤去するとストックに戻ります。


ユニットは生産完了後、画面下にストックされていき、任意のタイミングで自陣側に配置することができます。
自陣の範囲内なら敵の目の前にも出せるので、敵の弓兵の前にいきなり歩兵を配置して迎撃することも可能で、ステージによってはこれが攻略のポイントになる場合もあります。
ただしこれは敵も同様なので注意して下さい。

ユニットには「前進」と「上下のラインに移動」、「停止」の命令を出すことが出来ます
命令を変更しない限り、ユニットはゆっくりと前進を続け、敵が射程内に入ると自動で戦闘を開始します。
1つの部隊は4人で構成されていて、多数の部隊がぶつかると小さなキャラが入り乱れて戦う状態になるので、なかなか合戦ぽい雰囲気がありますね。
ユニットは 3D グラフィックで描かれており、滑らかに動き、殺陣の様子もリアルです。

戦闘では長射程ユニットの活用が重要です。
長射程ユニットには「弓兵」「鉄砲」「大砲」の3種類があり、弓兵は威力は弱めですが間に障害物があっても攻撃が可能で、使いやすいです。
鉄砲は非常に強力ですが、間に森や岩などの障害物があると撃てません。 間にいるのが味方1部隊だけなら、その向こうの敵を撃つ事が出来ます。
大砲はかなり長射程のユニットですが、発射間隔が非常に長く、命中率も低めで、あくまで支援ユニットに過ぎない印象です。 しかしマップによっては有用です。
長射程ユニットは近接されると長距離攻撃が出来なくなるので、敵にいる時はいかに間合い詰めるかが重要ですね。

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※乱戦状態の様子。 兵士が大勢いるので賑やかですね。
1つの部隊が複数の方向から攻撃されると、当然双方からダメージを受けるので不利になります。
相手を包囲するように戦うのも戦略の1つです。
弓隊や鉄砲隊は必須と言えるユニットですが、コストが高いのでなかなか作れません。
場所に余裕があるなら、市場は2つあった方が収入は安定します。


以上の解説は、基本的なステージの説明です。
実際にはステージによって勝利条件が違い、中には「特定の施設を指定の数だけ建てる」「特定の資源を制限時間内に一定量貯める」と言った、生産メインのステージもあります。
また、ユニットの生産が出来ないステージもあり、この場合は決められたユニットをうまく活用して敵大将を狙うといった、パズル的な攻略が必要になります。

ステージには本編と派生ステージが存在し、派生ステージはクリアする事で経験値が得られます。
この経験値を使って建物のアップグレードが行え、ユニットを強化したり、資源が貯まる速度を高める事などが出来ます。
ユニットや施設は本編の進行によって徐々に新しいものが登場する形で、ある程度進むとユニットの回復や強化などの特殊戦術、味方の攻撃力を上げる陣太鼓といった施設も登場します。

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※雨の中、敵総大将を狙うのが勝利条件のステージ。
これは割と一般的なもので、中には生産がなく、敵ユニットの間を抜けながら大将を狙わなければならないステージも存在します。


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※ステージマップ。 家紋が書かれているのは本編ステージで、EXP というのが派生ステージ。
基本的に、本編ステージは合戦を行うのがメインで、派生ステージは特殊条件のパズル的なものが多いです。
本編をクリアしても経験値は一切入らないので、アップグレードを行うには派生ステージのクリアが必須となります。
なお、パソコン版のトータルウォーのような内政シーンは一切ありませんので悪しからず。

なかなか楽しめる RTS で、歌舞伎音楽のようなサウンドや、兵士の細かい動き、渋い和風の雰囲気も良いですね。
日本人が作る和風とは違い、「和風であること」を過剰に押し出したような感じで、その一方で「洋ゲー」的なテイストも残っているので、それがまた独特で良いです。
iPad でないと辛いと思いますが、1台で対戦できるマルチプレイも用意されています。

難点は、舞台は日本ですがあくまで海外のゲームなので、全文英語で日本語の解説がないこと。
英語が解らなくてもプレイにはそれほど支障はありませんが、アップグレードの効果などは解り辛いです。
ただ、このゲームは「和風なのに全文英語」というのが1つの雰囲気を作り上げているので、これはこれで翻訳されていない方が良いのかも?

もう1つは「倍速モード」がないことでしょうか。
ユニットの進行が遅く、生産がないステージで敵や味方が少ない時は、戦闘が始まるまでやや間が開いてしまいます。
出来れば2倍速が欲しかった所ですね。

以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。



価格は 600 円とやや高め。
しかし RTS やシミュレーション系のゲームが好きな人であれば、十分に遊べる内容で、クオリティーも値段分のものはありますね。
なお、iPhone / iPod touch と iPad の双方に対応しているユニバーサルアプリです。

建物の建築条件や生産関連のシステムが解りにくいのですが、それほど複雑な訳ではないので、理解できてしまえばサクサク遊べるゲームです。
雰囲気や内容は決してライトユーザー向けではなく、万人にお勧めできる訳ではありませんが、ボリュームは相応にあり、この手のジャンルが好きな人にはオススメできます

iPhone の RTS としては、レベルの高い方ではないでしょうか。
やや敷居の高いゲームですが、個人的にはかなり好みのゲームですね。

Total War Battles (iTunes が起動します)