カプコンのストリートファイターシリーズと並ぶ 2D 格闘ゲームの大定番「THE KING OF FIGHTERS」(キングオブファイターズ)シリーズ。 通称「KOF」。
昨年の夏にその iPhone 版「THE KING OF FIGHTERS-i」が突然登場し、「iPhone に KOF が!」という衝撃と、その高い完成度でユーザーを驚かせたのですが、その KOF-i の新バージョンが先日登場しました。
THE KING OF FIGHTERS-i 2012」です。

基本部分は前作と同様なのですが、登場キャラクターはなんと 10 チーム+α、総勢 30 名以上!
前作にはいなかった龍虎チームやアテナチーム、キムや怒のチームもいて、KOF の主要メンバーはほぼ勢揃いしています。
そして待望の「オンライン対戦」も完備。 Wi-Fi 通信が必要ですが、家にいながらにして iPhone で KOF の対戦が出来ます。

前回もその完成度に驚きましたが、今作はそれ以上のクオリティーで、またもや驚きですね。

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1人のキャラクターで戦うシングルモードもあるのですが、基本的には3人でチームを組んで戦う「3 vs 3」の対戦格闘ゲームです。
スピーディーな展開とハデな超必殺技がこのゲームの特徴で、攻撃ボタンはパンチとキックしかありませんが、レバーとの組み合わせで色々な技が出せるようになっています。
また、必殺技を簡単に出せる「S」ボタンと、回避を行う「E」ボタンがあり、飛び道具を E ボタンの回避で避けることも可能です。

基本的には ストリートファイターIV Volt と同じ操作スタイルであり、ボタンの数が少ないため、あまり迷うことはありません。
必殺技もスティック+S ボタンで、コマンドを入力しなくても簡単に出せます
スティックの操作性も良好で、やっていて操作しにくさや、反応の悪さなど感じることはありません。
前作同様、タッチパネルでも快適にプレイできる操作性ですね。
ただゲーム展開が非常に素早いので、プレイヤーの方がそれに追い付くのが大変かも。

戦っていると黄色の「パワーゲージ」と水色の「ドライブゲージ」が貯まっていき、パワーゲージは最大まで貯まるごとに「ストック」が増えていきます。
ゲーム中、このストックを消費して「超必殺技」や「EX必殺技」を出す事ができ、超必殺技は画面上部のゲージをタップするだけで出せるので、ハデな技も簡単に繰り出すことが出来ます
EX 必殺技は「コマンド入力+必殺技ボタン」で出すので、コマンドを覚える必要があり、やや出し辛さがあります。

ドライブゲージは必殺技から必殺技に繋げる「ドライブキャンセル」を出したり、必殺技をヒットさせた瞬間に超必殺技を出す「スーパーキャンセル」を出すのに使います。
また、ゲージ最大時に HD ボタンを押すことで「ハイパードライブモード」になり、しばらくの間、前述のキャンセル技をゲージ消費なしで連発することが出来ます。

この辺りのシステムは解り辛く、マニア向け過ぎる印象があるのですが・・・
パワーゲージは超必殺技のみに使えばシンプルですし、ドライブゲージは気にしなくても十分に戦っていけます。
基本的には簡略化された操作のおかげで、遊びやすい格闘ゲームになっていると言って良いでしょう。

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※トレーニングモードがあり、そこで「コンボトレーニング」を選ぶと様々なコンボの表示と、その練習を行う事が出来ます。 お手本を見ることも可能。
コンボ表記の「D」はドライブキャンセルで、必殺技を当てた瞬間に次の必殺技を発動させないと成立しません。 繋がる技は決められていて、飛び道具→打撃技のようなコンボは出来ないケースが多いです。
ドライブキャンセルはドライブゲージを半分消費するので、ゲージがない時は不発になります。


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※ドライブゲージが半分以上あれば、必殺技をヒットさせた瞬間に超必殺技に繋げる「スーパーキャンセル」が可能です。 超必殺技はゲージをタップするだけで出せるので、操作も簡単。
ただし複数の超必殺技を持っているキャラの場合、「コマンド+ゲージタップ」でないと出せない技もあります。
HD ボタンを使った「ハイパードライブモード」は、それを利用した大コンボを出せる上級者のためのものと言って良いので、初心者の方は無理に使わなくて良いでしょう。
なお「ゲージや顔をタップ」は相手側のものでも OK です。 つまり 1P 側でも、左上ではなく右上のゲージや顔をタップすることで超必殺技を発動できます。


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※ドライブゲージが最大で、パワーゲージのストックが3つ以上あれば、画面上部の「顔」をタップする事で「NEOMAX超必殺技」が炸裂します。 この時にはちょっとした演出も入ります。
HD(ハイパードライブモード)の発動中は NEOMAX 超必殺技をゲージ2本で出す事ができ、超必殺→NEOMAX の連続技も可能です。
慣れないうちは HD は「NEOMAXを使うための準備」と思った方が良いかも。
パワーゲージはガードキャンセル技(ガードからの必殺技/ふっとばし/回避)に使う事も出来るのですが、この辺まで来るとさすがに解り辛い・・・
EX 必殺技はうまく使えば強いのですが、タッチパネルでは出し辛いのがネック。


ゲームとしては、前作「THE KING OF FIGHTERS-i」とほぼ同じです。
よって今作は「前作のキャラクターが増えて、オンライン対戦が追加されたもの」と言っても良いでしょう。

しかし単なる焼き直しではなく、キャラクターは倍増、オープニングムービーやチームごとのエンディングムービーも加えられ、ボリュームは大幅にアップしています。
前作からあった「カードコレクション」の要素もあり、ストーリー解説のノベルや各種ギャラリーモードなども用意されています。

そして注目のオンライン対戦ですが、ストIV Volt と同じようにゲームをプレイしながらマッチングを待つことが可能です
オプション設定(及びプレイ中のポーズメニュー)の「乱入待ち受け」を OFF 以外にしておけば、1人用のゲームをプレイ中にマッチング処理が行われ、対戦者が見つかるとおなじみの「Here come a new Challenger!」のメッセージと共に対戦に移行します。
対戦設定には「近い階級」「全階級」の2つがあり、自分の階級にあった相手のみを対象にする事も出来ます
なお、この階級は対戦結果に応じて増加します。

対戦中のレスポンスも良く、たまに少し止まる場合がありますが、概ね快適です
普段はラグの影響を感じる事はなく、ストIV Volt と同じような感じで対戦する事ができますね。

また対戦後には定型文による「チャット画面」になり、ここで簡単な挨拶や再戦の申し込みなどを行えます
一度対戦すると相手の「プレイヤーカード」も登録され、対戦の「リプレイの保存」も行う事ができ、それらはメニューの「RECORD」から閲覧できます。
もちろん Game Center のランキングなどにも対応していて、とにかく機能が豊富です。

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※試合後の簡易チャット。 チャットのセリフはゲームで得られる「ローズコイン」で増やす事が出来ます。
対戦した人の「プレイヤーカード」はレコードのプレイヤーリストに蓄積されていき、戦績やアイコン、各種スコア、設定されたキャッチコピーや試合完遂率(途中で切断しない率)などを閲覧することが出来ます。
簡易的なソーシャル要素と言えるでしょうか。


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※各チームごとのエンディングムービーも存在。 やっぱりこういうのは大切だと思います。
チームモードをクリアする事でイラストやムービーなどを獲得することができ、メニューの「ギャラリー」でいつでも閲覧できるようになります。


価格は 800 円。 ハッキリ言って、これだけの完成度とボリュームだと安いと言って良いと思います
なによりオンライン対戦を導入してくれたのは大きいですね。

こう言うのは何ですが、先日発売された同じチーム戦形式の「マーブル VS. カプコン2」が完全に霞んでしまう出来栄えです。
昨年末に PS3 / XBOX360 で発売された KOF XIII(13)の iOS 移植版と言えますが、それを iPhone で早くも楽しめるというのは、格ゲーファンにとっては本当に嬉しく、かつ驚きですね。

対戦格闘ゲームですからライトユーザー向けとは言えませんが、今年度を代表するゲームアプリの1つと言って良いでしょう。

THE KING OF FIGHTERS-i 2012 (iTunes が起動します)