モバイルの開発シミュレーションゲームの老舗「カイロソフト」。
発売するアプリのほとんどがヒット作となっている定番のメーカーですが、そのカイロソフトが「RPG 世界の村の開発を行う」というゲームを新たに公開しました。
冒険ダンジョン村」です。

このゲームはガラケーでは昨年(2011年)5月に公開されていて、iPhone に移植されたゲームの中ではもっとも後発になります。
カイロソフトのゲームは 開幕!!パドックGPサッカークラブ物語 のような「コマンド型」と、ゆけむり温泉郷名門ポケット学院2 のような「施設配置型」に大別されますが、このゲームはお店や住居などを配置して町作りを行いつつ、冒険者にモンスター討伐やダンジョン捜索を依頼してその戦いぶりを見るという、コマンド型と配置型の双方を取り入れた形になっています。

こういうと複雑そうに思えますが、決して難しくはなく、かなりシンプルにまとめられています
むしろあまりにもシンプル過ぎて・・・ 私には物足りなさが拭えませんでした。

このゲームは「開発シミュレーションゲーム」とは思わない方が良いかもしれません。
勇者たちの戦いぶりを見る、カイロ風の自動進行型の簡易 RPG と考えた方が良いかもしれません。
RPG の要素が強い点は、「アストロ探検隊」にも似ていますね。

冒険ダンジョン村

フィールドの下半分は村の敷地で、上半分はモンスターなどが出現する荒野となっています。
冒険者は画面下の村の入口からやって来て、宿屋や武器屋などのショップを利用しながら村を抜け、上部の荒野へと向かっていきます。
そして出現するモンスターと戦い、再び村に戻ってきて、宿屋に泊まってまた戦いに向かうか、もしくは村から出て行きます。

プレイヤーは村に様々なお店を設置して、冒険者のサポートを行います
冒険者がお店を利用することで収入が得られ、さらに冒険者が村の外でモンスターを倒すことでも資金は増えていきます。
もちろん冒険者はモンスターを倒す事で経験値を得て、レベルアップし強くなっていきます。
また、お店は冒険者の能力をアップさせる効果があり、例えば飲食店の多くは冒険者の最大 HP を増加させ、道場は力を、花屋や薬屋は器用さをアップさせます。

冒険者が武器屋や防具屋を利用するとそこで装備を購入し、強くなるのですが、なかなか買いに来ない場合もあります。
そういう場合は冒険者に装備を「プレゼント」することも可能で、食べ物などのアイテムをプレゼントし能力をアップさせることも出来ます。

プレゼントされた冒険者は「満足度」と「がんばり」が上がっていき、満足度が一定以上になると村への定住を申し出ます。 家を建てて定住させると、もうその冒険者は村から出て行かなくなります。
また「がんばり」が上がることで、パワーアップ状態になる「オーラ」が発生しやすくなります。

しばらくすると冒険者が洞窟や廃墟などのダンジョンを発見したり、モンスターの集結を連絡してくる場合があり、これにより「クエスト」を実行できるようになります。
クエストで冒険者を募り派遣することで、アイテムや経験値を得られ、「村の人気」も獲得できます。
村の人気はプレゼントや施設の設置でもアップさせる事ができ、これが一定以上になると新しい冒険者が訪れるようになります

村の人気の向上によって転職の条件となる「勲章」を得られたり、冒険者全員のステータスを上げられる「イベント」を実行できるようにもなるので、村の人気を高めるのが基本的なゲーム進行となりますね。

冒険ダンジョン村
※一定期間ごとにボスモンスターである巨大なドラゴンも襲来します!
かなり手強いので討伐メンバーをありったけ追加し、倒れた戦士を復活させる回復薬も用意しておきましょう。
冒険者は倒れても一定時間後に復活するので、全滅しても復帰後に戦闘を続行できそうなら復活を待ちましょう。
なお、「モンスター組合の撃退」などの敵の正体が解らないクエストは、とんでもなく強い相手が出てくる場合があります。 あまりにも勝てそうにないクエストは時間の無駄なので、素直にあきらめた方がいいですね。
事前にセーブしておいた方が無難かも。


冒険ダンジョン村
※ダンジョン探索では色々なお宝が見つかります。 そして装備が見つかった場合、そのままショップの商品に加えられ、購入して冒険者に買い与えることが出来るようになります。
よって良い装備を得たいなら、とにかくダンジョンの探索に向かうのが近道ですね。
なお、ダンジョンの敵は戦闘力が影響しないようで、どんなに強くても何人かのキャラはやられてダンジョンから放り出されます。 多めの人数を派遣しておいた方が探索は早く終わりますね。


ゲームの当面の目的は、「ランクアップ条件」を満たして最高ランクの村を目指すことです。
ランクアップには「村の人気」「月間収入」「定住冒険者数」「(累計)イベント開催数」「特定の施設の建設」などの条件を満たすことが必要で、ランクアップする事で新しい建物を建てられるようになります。

ただ、村のランクは最高で「★5」までで、この最高ランクはそれほど苦労しなくても到達可能です。
しかし村の人気がさらに向上していくことで、ピエロや大魔道士などの特殊な職業の冒険者が登場し、さらに特定の条件を満たさなければ登場しない建物もあるので、最高ランクはあくまでゲームの過程に過ぎません
ゲームは15年経過(16年目3月末)に終了となりスコアが集計されますが、もちろんその後もプレイを続行することが可能です。

また、ゲーム中盤からは「マジックポット」という魔法の大釜が登場し、「開発」のコマンドでここにアイテムを放り込むことでレアアイテムを作り出す事ができます。
回復魔法、氷や雷の魔法などもこのマジックポットで開発するので、余裕がある時はアイテムを放り込んでおきましょう。

冒険ダンジョン村
※12月末に、その年に獲得した「勲章」を冒険者に与えられます。
戦士や魔法使いなどに転職するには勲章を1つ得ている必要があり、さらに騎士になるには勲章が2つ必要で、もっと必要になる職業も存在します。
勲章は貢献度の高い人にあげたいところですが、転職の計画に合わせて与えるようにしましょう。


冒険ダンジョン村
※マジックポットでアイテム開発ができます。 投下したアイテムは当然なくなるので注意。
アイテムを投下すると火・氷・雷・闇の各ポイントが増加し、これを消費して生産を行います。
ポイントが良く増えるのは蜂の巣やコウモリの羽、ナタデココ、ぬいぐるみなど。
一方、アイテムの「レシピ」は知識によって増えていき、この知識はアイテムの種類に関わらず、アイテムを投下した数だけ増えていきます。


施設の設置とアイテムの開発、住民の管理など、カイロソフトのゲームでおなじみのシステムはほぼ一通りそろっています。
ただ冒頭で述べたように、このゲームはシンプルで、それほど考えるべき部分がありません。
やりやすいゲームになっている一方で、戦略性が乏しいとも言えます

例えば、施設の配置に「組み合わせによる効果の強化」とか、「住民の動線の考慮」とか、そう言ったものは必要ありません。
特定の施設を隣合わせると施設の魅力や品質がアップしますが、これらはアイテムでも高められますし、特定の施設を範囲内に集めると「○○横丁」が発生する、みたいなものもありません。
住民の移動範囲もあまり考慮する必要が無く、要するに施設配置についてあれこれ考えることがないのです
そして各施設は1つずつあればよく、そもそも施設を配置できる範囲がそんなに広くありません。

クエストについても、それをメニューから選んで、参加メンバーが足りないと思ったら追加するだけで構いません。 あとは見ているだけで OK です。
チビキャラがちょこまか戦う戦闘の様子は見ていて楽しいのですが、プレイヤーが介入する部分はほとんどありません。 ボス戦などで倒れた冒険者に、たまに薬を使うぐらいですね。
あとはポイントが貯まったら「イベント」を実施するぐらいでしょうか。

よってこのゲームに開発 SLG としてのゲーム性は期待しないで下さい
このゲームは冒険者の成長と、装備やアイテムの獲得を楽しむものであり、つまり RPG です
自動進行型の RPG として考えると・・・ これはこれで面白いと思います。

ただ、私はカイロソフトのゲームには「開発シミュレーションゲーム」としての面白さを期待しているので、物足りない印象は拭えませんね
面白くない訳ではないのですが、「自分が求めていたものじゃないな・・・」という感じが。
無論、こちらの方が好きという方も多く、手軽に楽しめる RPG を求めている方には、このゲームはマッチしているでしょう。

冒険ダンジョン村
※クエストをちゃんと進行させていれば、15 年以内に ★5 になるのは難しくありません。
★5 になると特殊な職業が出現し、転職に勲章が5つも必要になりますが、異様に強くなれます。
でも正直、★5 にはあわててならない方が楽しめる気がします。
あまり攻略とか効率とか考えてプレイするべきゲームではないのでしょうね・・・


同じ RPG 系のカイロソフトのゲームには「アストロ探検隊」がありますが、アストロ探検隊が開発 SLG に RPG が加わっている感じであったのに対し、こちらは自動 RPG にちょっとした開発が加わっている、といった感じです。
カイロソフトらしい楽しさは相変わらずですが、今回は「開発 SLG 部分はあまり深くない」と言うのを承知しておいた方が良いでしょう。

このゲーム(のガラケー版)は、開発 SLG として作り込まれていた(そしてやや複雑で、ライトユーザーにはプレイし辛かった)「財閥タウンズV」の後のアプリなので、それぞれ「開発マニア向け」「ライトな RPG 風」という形で差別化をしていたのかもしれません。

定価は 450 円。 いつものカイロソフトの価格です。
とりあえずカイロのファンなら、押さえておくべきアプリでしょう。

冒険ダンジョン村 (iTunes が起動します)

※一部のイベントでゲームが進行しない不具合、2週目に村が壁で囲われていて冒険者が外に出れない問題は、アップデートで解消されました。


【 ちょこっと攻略 】

今回もちょこっと攻略を掲載したいと思ったのですが・・・ 前述したようにこのゲームはそんなに深い戦略性がある訳ではないので、解説すべき部分もあまりありません・・・
それでも一応、いくつかポイントを記載しておきたいと思います。

・お店や施設は、周囲にあるお店や施設の魅力を底上げします。 よって店舗は固めて置いた方が良いのですが、魅力はアイテムでも十分高められるので必須と言う程ではありません。 ただ、サーカスやお菓子の家、博物館などは相応に高い魅力底上げ効果を持ちます。
・お店の魅力が高いと客が訪れやすくなります。 価格と能力アップが高い施設の魅力を集中して上げれば、利益も能力も上がりやすくなります。 品質は高いと利用者の満足が上がりやすくなります。
なお、お店のステータス上限はレベルアップすることで高まります。

・後半の住民以外は満足度 40 で村に定住してくれるので、それを目安に上げましょう。
・敵の正体がわからない討伐クエストは、やたら強い敵が出てくる場合があるので事前にセーブしておきましょう。
・満足度はプレゼントで十分上がるし、村の人気も自然と高まっていくので、「イベント開催」は勇者の能力アップのイベントを実施しましょう
・弱い人はクエストに参加させて経験値を稼ぎましょう。

・勲章は転職に必要になります。 1つ持っていないと戦士や魔法使いになれないので、貢献度に関わらず、とりあえず1つずつ配っておきましょう
・戦士が利用できるようになったら、とりあえず全員戦士でも構いません。 そして HP や丈夫さを上げるイベントを開催して耐久力を増やしましょう。 弓使いは器用さが高いので攻撃回数を増やしやすいです。 弓使いでも剣や槍を持って戦って構いません。
・魔法使いや僧侶は脆すぎて弱いです。 回復魔法があれば倒れた仲間を復活させられるので、役立つこともありますが・・・ あと、攻撃魔法は雷の魔法以外、ヒットしにくいです。
・クエストで得られるアイテムには冒険者の「運」も関係します。 運は弓使いが高いので、ダンジョンのメンバーに含めておきましょう。
・騎士や傭兵に転職するには勲章を2つ持っている必要があります。 また傭兵は男性のみ、カンフーは女性のみで、性別限定の職業もあります。

・クエストで何が出るかにもよりますが、マジックポットでアイテムを作ってもクエストで得たアイテムより弱い事が多いので、それほど重要ではありません。
それでも活用するなら安いアイテムをどんどん放り込んで「知識」を高めてレシピを増やし、上位のアイテムを早期に作れるようにしておく必要があります。
・ランクアップ条件の「月間収入」は達成し辛いです。 事前にセーブして、出来るだけ冒険者が村の中にいる時に野外への出入口を木などで塞いでしまうと、冒険者は村での買い物のみを行うようになるので収入が増えて条件を達成しやすくなります。 それでもダメなときはお店の価格をアイテムで増やしましょう。

冒険ダンジョン村
※出入口を塞いで冒険者を村に閉じ込めると、買い物を多く行ってくれて一時的に収入が増える。
でも ★5 にしても施設は1つしか増えないし、★5 のアレはちょっとゲームバランス的に問題あるし、無理にそこまで急ぐ必要はないかも。