ベスト携帯ゲーム賞を受賞したパズルゲーム「ルミネス」や、昨年絶賛された XBOX のキネクトを使うゲーム「Child of Eden」などを手がけた巨匠 小寺攻 さんが、新会社を設立して最初に開発した iPhone アプリ。
それが「コトモン」です。

有名デザイナーの作品だけあって各ゲーム情報メディアで話題になっており、その内容は「踊るモンスターシューティングアクション」と称されています。
独りぼっちのモンスター「コトモン」が仲間を集めながら、その仲間を「敵にぶん投げて」倒していくという、ちょっと変わったアクションゲームです。

で、個人的な感想を先に言ってしまうと、良くも悪くも「デザイナーの作品」という印象ですね・・・

コトモン

3D 視点のフィールドを走り回りながら、仲間をつかみ、それを敵に投げつけて倒していきます。
画面下部をスライドすることで 360 度にクルクルと旋回する事ができ、好きな方向に走ることが出来ます。
この操作感はなかなか良く、最初は走り回るだけでも楽しめますね。
ただし、「思い通りに操作できるかどうか」は全く別で・・・ この点については後述します。

コトモンは最初は一人ですが、ステージ内で見つかるタマゴのようなものを転がすことで、仲間を得ることができます。
仲間には遠くまで飛んでいく「アオダマ」、射程は短いが威力がある「メタボウ」、持っている間に火を噴く「ドラゴ」など数種類いて、各ステージに最大5人まで連れて行けます。
投げた仲間は敵のいる方に曲がりながら飛んでいき、ザコは貫通することが出来ます。 1回のシュートで多数の敵を倒すとボーナスを得られ、仲間のイラストが表示される演出が入ります。

仲間はプレイヤーのコトモンに自動的に近寄ってきますが、地形の影響などではぐれる場合があり、その時は画面端に HELP のメッセージが表示されます。
また敵の攻撃でダウンする場合もあり、この時はコトモンが一度つかんであげないと復活しません。

各ステージはゴールである「焚き火」に仲間全員で到着すればクリアとなります。
敵を倒すことは必須ではありませんが、ステージによっては敵を全滅させないと焚き火が現れません。
また、ほとんどのステージで敵は全滅させていかないと、かなり危険です。

コトモン
※左の画像はザコ敵を召還するボスキャラ。 ステージによっては耐久力の高いボスがゴールの焚き火を守っています。
右の画像は火炎放射器のような「ドラゴ」の炎で敵をまとめて倒しているシーン。
ドラゴの炎は強力ですが、ガス欠するとすぐに火が消えてしまいます。 エネルギーはマップ内に落ちている粒のような「エサ」を食べることで補充されます。
他の仲間もエサを食べることで巨大化したり、威力が増したりします。


しかしこのゲーム、やっていて不満に思う点も多いです・・・
まずは操作性の問題。 前述したようにこのゲームはスライドすることでプレイヤーのコトモンが 360 度にクルクルと回ります。
これは言い替えると、反転するのに 180 度の回転が必要で、急な反転は出来ない事を意味します。

さらに持っているモンスターを向いている方向に撃ち出すため、微妙な角度の調整が必要になります。
敵が遠ければ誘導してくれるので多少角度がズレても当たるのですが、敵が近いと誘導しきれないので正確に狙わないと当たりません
しかし敵が近いという事はそれだけピンチな訳で、そのピンチな時ほど敵を倒し辛いという厳しい仕様。
さらに仲間を射出するには、その前に「仲間をつかむ」という手順も必要になります。

つまり「機敏に動けない+攻撃し辛い+攻撃を当てにくい」という三重苦で、かなり難易度が高いです。
単純にまっすぐ突っ込んで来る敵でさえ、このゲームでは強敵です。

このゲームは iTunes の解説文に「見た目とはうらはらな本格アクション」と書かれているので、ある程度の高難度は意図して作られているのだと思います。
ただ難易度が高くても、プレイヤーが思い通りに動けて、それで難しいのならやっていて納得できるのですが、このゲームの場合は「操作し辛くて難しい」という内容のため、やっててストレスが溜まります・・・

さらに最悪なのが、落ちるとミスになる「溶岩」があるステージ。
このゲームは「仲間と一緒にゴールする」のがクリア条件なので、自分はもちろん仲間が溶岩に落ちてもミスになります。
しかし仲間は自動で動くので、勝手に敵や他の仲間に押されて溶岩の中に落ちる場合があります。 しかも、「画面外」で!

だからこのゲーム、ただ歩いているだけで、何の前触れもなく(画面外で仲間が溶岩に落ちて)ゲームオーバーになり、最初からやり直しになる事が「頻繁に」起こります。
誤って仲間を溶岩の方に投げてもミスになり、指の置き直しなどで誤タップが発生しやすいため、思わぬシュートで仲間が落ちる場合もあって、ますますストレス溜まりまくりです。

※この仲間が勝手に溶岩にダイブする問題は、アップデートで改善されました。
アップデート時のコメント曰く、「仲間に溶岩は危険だと教えました。 少しだけみんな溶岩のまわりでは慎重になりました」だそうです。

他にも 360 度に動くゲームなのに縦画面なので側面の見える範囲が狭く、そのため急に出て来た敵にぶつかることが多く(だから敵は慎重に全滅させていかないと危険)、「足音でリズムを刻み、敵を倒すとサウンドがノリノリに」というリズムアクション性をウリにしている割には、ぜんぜんリズム感やサウンドの変化を感じられないなど、アイデアが面白さに繋がっていない印象を受けます。

それにぶっちゃけ、やってることが「全く面白くない」とは言わないけど、「面白い」とも言えない。
なんだか微妙なプレイ感が続く感じですね・・・

コトモン
※敵が間近だと攻撃を当て辛い。 仲間が近くにいないと攻撃自体ができないし、急旋回が出来ないから敵の方を向くのも難しい。 で、投げミスるとその仲間は遠くにすっ飛んでいくから、ますます攻撃の機会が無くなる。 近寄られたらザコ1匹でさえヤバい。
右の画像は歩いてたらいきなり(画面外で仲間が転落して)ゲームオーバーになったシーン。 思わず「フザケルナ」と言いたくなりますが、こういう状況はこのゲームでは多発します。
慎重に仲間を引き連れながら移動していても、敵が来たら迎撃しないといけないし、その時に大きく動いて仲間が予想外の動きをして勝手に落ちることもあり、ステージによってはものすごく忍耐が必要。


定価は 350 円。 発売セールでしばらくは 250 円になるようです。
iPhone と iPad の双方に対応したユニバーサルアプリです。

ルミネスや Rez など、センス溢れるゲームに関わってきた方の作品だけあって、独特なアイデアやデザインセンスは感じ取ることが出来ます。
しかしそれとゲームの面白さは、また別の話という感じですね。

あまり批判ばかりすると巨匠の方々が iPhone にそっぽを向きそうで恐いのですが、何だか最近、そんなゲームが多い気がしますね・・・
iPhone 初期のゲームによくあったように、「スマホ」や「携帯」と言うのを意識し過ぎてしまうのでしょうか?
まあ確かに単価が安いので、同じ状況という訳にはいかないのは解りますが・・・

とは言え、まったく楽しめないという訳ではないので、興味のある方は試してみてもいいかも。
最後に余談ですが、もう会社が違うのでこれをここで言うのはお門違いだとは思いますが、iOS 版 ルミネスのスキンの追加、お待ち申しております。

コトモン (iTunes が起動します)