カードを使ったランダム性と、高い思考性を併せ持つ、1つのコマを2人で互いに動かし合うちょっと変わった陣取りボードゲーム。
それが「Wars of the Roses」です。

このゲームの正式名は「ローゼンケーニッヒ」(Rosenkönig)と言い、原作は 1997 年に発表されました。
ボードゲームの表彰である「ドイツゲーム賞」や「ドイツ年間ゲーム大賞」などの受賞歴はありませんが、「アブストラクトゲーム」(将棋やチェスのような運の関わらない戦略ゲーム)としては、相応に知られている作品です。

山札からカードを引く要素があるため、正確な意味でアブストラクトゲームになるのかは疑問ですが、引いた手札が常に公開されているため、相手と自分の手持ちのカードを見ながら戦略を練ることが可能で、この点がアブストラクトゲームに含まれている理由だと思われます。

派手さはありませんがシックで大人な雰囲気のある、遊びやすいテーブルゲームです。

Wars of the Roses

9x9 のマスに区切られたボードの中央に「」のコマが置かれ、2人のプレイヤーにカードが5枚ずつ配られます。
カードにはローマ数字と方向が書かれていて、自分の番にそのカードを出すことで、王のコマを動かすことができます
例えば「Ⅱの右方向」のカードを出せば、王のコマは右に2マス動きます。

そして動かした先のマスに、自分の色のチップを置く事ができます。
チップは1つ1点ですが、2つ繋げると 2x2 で4点、3つ繋げると 3x3 で9点、4つ繋げると 4x4 で16点というように、多く繋げるほどスコアが増えていきます

プレイヤーは交互にカードを出し、王のコマを動かして、ボード上のチップを増やしていきます。
コマを動かさずに山札からカードを取ることも出来ますが、カードを取ると自分の番はそれで終了になります。
また、カードは5枚以上貯めることはできません。
手札は常にオープンにされ、相手も自由に見ることができます

自分のチップの上に王のコマを動かす事はできませんが、相手のチップの上には「騎士カード」があれば動かす事が可能です。
騎士カードを使って相手のチップの上にコマを動かすと、そこにあるチップは自分の色のチップに変わり、騎士カードが1枚消費されます。
騎士カードがなくなった場合は、相手のチップの上にコマを動かす事はできません。

もしコマを動かせず、手札も一杯の場合はパスになります。
しかし手札が一杯で、コマを動かせるカードを持っている場合は、それを使いたくなくても、動かせるなら絶対に使ってコマを動かさなくてはなりません。
これは「騎士カード」を使うことで動かせる場合も含みます。 よってこれを利用して、相手の騎士カードを無駄使いさせる事もできます。

チップの残りがなくなるか、どちらもコマを動かせなくなったらゲームは終了
その時点で点数が多い方が勝利となります。

ゲームのルールはシンプルで、少しやればすぐ理解することができるでしょう。
基本となる攻略は、自分の手札だけでなく相手の手札もよく見ること。
相手が手札を出せない時で、自分の手札が一杯でない時は、カードを補充するのを優先すること。
点数が有利な時で、残りのチップが少ない時は、こちらの点数を削られないようにしつつ、残りチップの数を減らして逃げ切りを狙いましょう。

Wars of the Roses
※自分のチップを長く繋げて、相手のチップを繋げないようにするのが基本になります。
騎士カードを使って相手のチップを分断してしまうのも有効ですが、こちらが分断されないようにコマを動かすことも大切で、そのためには相手の手札もよく確認しなければなりません。
かなり頭を使うゲームですが、カード運も影響し、運と戦略のバランスの良いゲームです。


1人用のメインのゲームモードは「Campaign」(キャンペーン)になります。
キャンペーンにはイギリス各地を転戦するストーリーがあり、ステージごとに初期設定が異なります

例えば、ボード上に最初から数個のチップが置かれていたり、騎士カードの所持数が変わっていたり、カードの所持上限が5枚ではなく4枚になっていたりします。
明らかに一方が有利な設定のステージもあります。

他に「クイックマッチ」や「マルチプレイ」があり、クイックマッチは1台の iPhone / iPad で人と対戦する事も可能です。
マルチプレイは Bluetooth 対戦やオンライン対戦に対応していますが、オンライン対戦は Game Center を通してのものであるため、マッチングされる確率は低いですね。

Wars of the Roses
※キャンペーンモードではイギリスの地図が表示され、そこでステージを選択します。
初期のチップの配置はステージごとに異なりますが、それよりも影響が大きいのが騎士カードの所持数。
その枚数によって戦略は大きく変わってきます。
ちなみに「バラ戦争」とは 1400 年代にイギリスで起こった内乱です。 一方が赤、一方が白のバラを紋章にしていて、このゲームのチップはその紋章にちなんでいます。


サクサクとテンポ良くプレイできるゲームで、特に目立った欠点はありません。
見た目は地味ですが、コマがひっくり返るアニメーションや重厚な雰囲気の BGM など、演出は悪くないですね。
ドイツゲーム / ボードゲームのアプリとしては、良く出来ていると言えます。

ただ強いて難点を言うと、キャンペーンモードで明らかにプレイヤーに不利な設定のステージがあることが気になります。
ボードゲームの難易度というものは、対戦相手の AI の強弱や参加者数によって調整され、ゲーム自体はイーブンの状態で行うのが普通です。 これなら負けても納得ができます。

しかしこのゲームのキャンペーンモードは相手に大きなハンデが付いていて、それで「難しいステージです」みたいな形になっているので、「それはボードゲームの難易度調整としてはどうよ?」という気はしますね。
まあ1対1でプレイするゲームなので、人数による難易度調整は無理な訳ですが・・・

あと、ややネタバレになりますが、キャンペーンモードを一通りクリアしてもエンディングも何もないのは、ちょっと寂しいところです。

Wars of the Roses
※キャンペーンモードの終盤ステージ。 初期チップが少ない、騎士カードが少ない、所持できる手札も相手は5枚なのにこっちは4枚。 まさに「飛車角落ち」状態。
明らかな超ハンデ戦で、ドイツゲームとしては、それってどうなのかな・・・
まあほとんどのステージは、ここまで大きなハンデが付いている訳ではありませんが。


価格は 350 円。 iPhone と iPad の双方に対応したユニバーサルアプリです。
価格としては妥当な所ではないでしょうか。 ドイツゲーム(近年のボードゲーム)のアプリとしては安めの方ですね。

シックな大人向けの雰囲気のおかげで、「子供と遊ぶ」と言った感じのボードゲームではないのですが、大人がじっくり楽しむには向いていると思います。
思考性の高いゲームで、忙しい操作も必要ないので、移動中や外出時にヒマ潰しをするゲームとしても良いと思います。

Wars of the Roses (iTunes が起動します)