旧約聖書の創世記に登場する、地上の人々が神に近づこうと建てた天高くそびえる塔「バベルの塔」。
神の怒りによってその建設は妨害される事になりますが、それをゲーム化したアクション・ショートゲームが「BABEL Rising」です。
このゲームは特に海外で評価が高かったのですが、それを先日、大手 PC メーカー「Ubisoft」が 3D グラフィックエンジンを用いてリメイクしました。
Babel Rising 3D」です。

ゲームジャンルとしては、次々やってくる敵を「プレイヤー自身の手で」撃退し続ける、「キャッスルディフェンス」と呼ばれる防衛ゲームになりますが・・・ 最近は目立ったキャッスルディフェンスが全然登場していなかったので、この手のゲームの紹介は久々ですね。
防衛ゲームと言っても、このゲームの場合は「神となって城の建設を妨害する」という内容なので、やってることはキャッスルディフェンスという言葉とは正反対ですが。

3D で表現されたグラフィックは流石に美しく、絵画などでおなじみの「バベルの塔」が徐々に作られていく様子は、最初に見た時は「おおーっ」と思えます。
なお、このゲームは Android 版も公開されています。

Babel Rising 3D

新世界の神になったプレイヤーは様々な「神の奇跡」で、ひっきりなしにやってくる労働者に「神の裁き」を与えていきます。
神の奇跡には火・水・土・風の4つの属性があり、土には「落石」や「地割れ」、風には「雷」や「竜巻」などがありますが、1つのステージで2つの属性しか使用できません。
攻撃を実行すると、その攻撃はゲージが貯まるまで再使用できなくなります。 よってゲーム中は様々な技を素早く切り替えながら使っていくことになります
ゲージは大技ほど貯まるのが遅く、小技だと短時間で回復します。

操作はタップで落石や火球などのシンプルな技を使い、スライドで画面スクロール。
横にスライドすると塔を中心にして、全体が回転するような感じに視点が動きます。
一本の指で画面を押さえ、もう一本の指で画面をスライドさせることで、広範囲に効果がある「地割れ」や「火柱」などの技を使う事が出来ます。

造られていく塔や神殿には労働者の移動ルートがあり、倒しきれなかった労働者がルートの終点まで到達すると、建物の建築が進んでいきます。
塔や神殿が完全に完成してしまうとゲームオーバー。 その前に「労働者を○人倒す」「一定時間防ぎきる」などの勝利条件を満たせばステージクリアとなります。

基本的にはアクションゲームであり、次々やってくる敵をどんどん攻撃していかなければならない、かなり忙しいゲームですね。

Babel Rising 3D
※労働者に混じって、特定の属性の攻撃を防ぐ「神官」も登場します。 赤く光っている神官の場合、その光の範囲には火属性の攻撃が通用しなくなります。
建物は3種類、「ジッグラト」「バベルの塔」「空中庭園」。 どれも既存の絵画や遺跡をモデルとしているようです。


Babel Rising 3D
※画面上部には得点倍率の表示があり、敵を連続で「違う技で」倒すと倍率が上がっていきます。
よって属性を切り替えながら、次々と技を繰り出して敵を倒し続ける事が、攻略であると同時にスコア稼ぎにも重要になります。
なお、最初の建物(ジッグラト)は労働者の移動ルートが一本道なので容易に撃退できるのですが、2つ目のバベルの塔は二重螺旋構造になっていて、敵のルートが2本あるため一気に難易度が上がります。


ステージをクリアすると評価に応じてコインを貰え、それでパワーアップを購入する事ができます
パワーアップには技の強化パッシブスキル(継続効果)、スクロールの3種類があり、技をパワーアップすると威力が増すと同時に、ゲージが最大3本分まで溜まるようになります。
パッシブスキルは「土属性のゲージの回復速度をアップ」などの効果がありますが、どれか1つしか装備できません。
スクロールは使い捨てアイテムで、敵の速度を落としたり、塔を崩壊させたりする強力な効果を持ちます。

コインは課金でも購入出来ますが、追加課金が必須なほどではない印象です。
3つ目のワールド(空中庭園)は購入しなければプレイできませんが、その購入はゲーム内のコインで行え、必要な量もあまり多くありません。

ゲームモードには「キャンペーン」と「サバイバル」の2種類があり、勝利条件があるのは「キャンペーン」のみ。
「サバイバル」はステージクリアがないモードで、ひたすら耐えながらハイスコアを目指します。
サバイバルでは一定時間経過するごとに船を撃退するボーナスステージが発生し、またサバイバルでもコインを得る事が出来ます。

Babel Rising 3D
※4つの属性に技は3つずつ。 それぞれの技を3段階目まで強化できます。
それぞれ「タップ」「一本の指で押しっぱなしにしつつ、もう一本の指でスライド」「三本指タップ」の共通の操作で発動します。
でも3つ目の技はいわゆる「必殺技」なので、普段使うのは各属性の1つ目と2つ目のみ。
キャンペーンの場合、ステージによって使える属性が決められている場合もあります。


Babel Rising 3D
※水属性の必殺技「大洪水」。 旧約聖書の創世記と言えばやっぱりコレ。 でも塔の上部までは届かない。
ちなみにバベルの塔は、「大洪水を経験した人々が、そこから逃れるために造った」と記されている書物もあるそうです。


難点は、まず1ステージがちょっと長すぎること。
ショートゲームっぽいシンプルな内容ですが、その割には1ステージのクリアに 5~10 分ぐらいかかります。
もうちょっと短い方がお手軽感があって良かった気がしますね。
また序盤ステージは難易度が低すぎて、ちょっとダラダラ感があるかも。 2つ目のワールドからは相応に手強くなり、良い意味で忙しくなりますが。

そして、見た瞬間に「どうなんだコレ!」と思ったのが・・・ 機種ごとのグラフィックの違い
最近は旧機種でも動かせるように、機種に合わせてグラフィックのクオリティーを変えるアプリが多くなっていますが、このゲームの場合は・・・
とりあえず、画像を見て頂ければと思います。

Babel Rising 3D

信じられないと思いますが、この2つの画像は「まったく同じシーン」のものです
iPhone 4 、モノがなさ過ぎ!! 

いくらなんでもコレだけ違うってのはどうなんでしょうか。
iTunes のスクリーンショットを見て買った iPhone 4 の人は、さすがに詐欺だと思っても仕方がないレベル
先に iPad 3rd でやって、その後に iPhone 4 でプレイしたので、この画面を見たときはのけ反りました。
もはや iPhone 4 も切り捨てられる時代なのでしょうか・・・?

まあ建物が出来てくると iPhone 4 でも見栄えがしますし、ゲームの動作自体は快適です。
しかし iPhone 4 ならもうちょっと背景があっても、普通に動くと思うんですけどね・・・

※iPhone 4S の場合、塔の影がないそうですが、それ以外は iPad 3rd と同じ画質のようです。

Babel Rising 3D
※一応、iPhone 4 でも建物が高くなると、このぐらいの画像にはなります。 影とかないけど。
ゲーム自体には機種ごとの差はありませんが、指の真下が見やすい iPad の方がやりやすいかも。




価格は 250 円。 グラフィックは凄いですが、ショートゲーム的な内容であることを考えると、このぐらいが妥当でしょうか。
ゲーム自体はシンプルなので、その点はお間違えの無いように。

どちらかと言うとライトユーザー向けのゲームだと思います。
iPhone 4S や iPad 3rd などの新機種を持っていて、シンプルなゲームが好きだと言う人には、解りやすい内容でありながら新機種のパワーを実感できるグラフィックを備えているので、うって付けと言えるのではないでしょうか。
旧約聖書の伝承を題材にしている点と、その雰囲気を醸し出している BGM やインターフェイスも良いですね。
逆にゲーマーだと、ちょっと単純すぎる印象を受けるかも。 あと、ある意味「人を虐殺しまくるゲーム」なので、子供にはお勧めできませんね。

ともあれ、一見の価値のあるゲームではあると思います。

Babel Rising 3D (iTunes が起動します)