iPhone や iPad のレースゲームと言えば、リアル系の Real Racing シリーズと、カジュアル系のアスファルトシリーズが二大巨頭と言って良いでしょう。
特に アスファルト6 は Android でも成功し、ゲームロフトの看板タイトルの1つとなっています。
そんなアスファルトの新作が満を持して登場しました。
アスファルト7:Heat」です。

前作の正当進化と言える内容で、目新しいシステムの追加や強化が行われた訳ではないのですが、グラフィックはさらに美しくなり、スピード感も増しています。
バイクはなくなったようですが、コースや登場車種も増加しました。

グラフィックはやはり Real Racing 2 の方が綺麗なのですが、前作以上に遊びやすく操作しやすい内容になっていて、「誰でも楽しめるレーシングゲーム」というコンセプトがより追求されている印象です。

アスファルト7:Heat

操作は複数用意されていますが、デフォルトは本体を左右に傾けてのハンドリングで、アクセルは自動。
画面左側をタップするとブレーキ、右側をタップすると急加速する「ニトロ」の使用になります。
操作性は非常に良好で、実車ではあり得ないほど車をコントロールしやすく、高速のままで大半のカーブを曲がることが可能で、初めてレーシングゲームをやる人でも容易に遊ぶことが出来るでしょう。
このプレイしやすさはアスファルトシリーズの大きな特徴ですね。

前作はブレーキやドリフトにクセがあったのですが、今作はドリフト中のコントロールも、まるでドリフトとは思えないほどやりやすいです
曲がっている最中にブレーキを踏むとドリフトになりますが、そのままスピンしたりコントロールを失ったりすることはなく、ハンドルで向きの微調整が可能で、反対方向にハンドルを切るかブレーキをすることで容易に(しかも安定した状態で)ドリフトからの復帰が可能です。
このおかげで急カーブも更に対処しやすくなりました。

公道のレースなのでコースがやや解りにくい部分もありますが、ミニマップがあるので致命的に解りにくいという事はありませんし、全体的にコースも広めです。
アスファルトシリーズおなじみの「わき道」も豊富に存在しており、線路の上を走るとか、大ジャンプしてコースに戻るとか、良い意味で「おバカ」なショートカットもたくさん用意されています。

アスファルト7:Heat
※東京ステージで列車が走ってる高架線路の上を疾走中。 ここから大ジャンプして高速道路に戻ります。
東京ステージは数あるコースの中でも、一番「おバカ」ですね。
ビルの明かりが車体に映り込んでいる点にも注目。 機種にもよると思いますが、光源処理はかなり綺麗です。


ゲームのメインとなる「キャンペーン」は、複数のレースからなるカップ戦を戦っていきます。
レースには普通のノーマルレースの他に、一定時間ごとに最下位が脱落するもの、タイムトライアル、ドリフトコンテスト、他の車をクラッシュさせるものなど多種多様です。
以前よりもノーマルレースが多めですが、ライバルをクラッシュ(ノックダウン)させるレースがある事からも解るように、カーチェイスの要素があるのもこのシリーズの特徴です。

ライバルはカーブで壁に押しつけたりするとクラッシュさせられますが、ニトロゲージを最大まで貯めると前作同様「アドレナリンモード」になって、ライバルにぶつかるだけで吹っ飛ばす事が可能です。
吹っ飛ばした際に派手なクラッシュシーンが出てくるのも、もはや「お約束」ですね。
もちろん自分がクラッシュすることもありますが、クラッシュしても短時間で、しかも相応にスピードの出ている状態でコースに復帰できるので、それほど大きなタイムロスにはなりません。
この辺りもプレイしやすい点と言えるでしょう。

道の上にはお金やニトロなどのアイテムが置かれていて、これらを回収することでお金はそのまま資金に、ニトロはニトロゲージが回復します。
道の上にアイテムがあるというのが、このゲームがリアル系とは異なる部分と言えます。
ニトロゲージは危険行為(他の車とギリギリですれ違うなど)やドリフトでも上昇していきます。

アスファルト7:Heat
※派手なクラッシュシーンもこのゲームのウリ! ただ、前作ほど破片や火花が飛び散らなくなっているので、演出は前より控えめかも。
また、このクラッシュシーンの最中はスローになっていますが、ゲームは進行しているので要注意。


ステージをクリアすると評価に応じて最大3つの「★」を得られます。
また、経験値を貯めてレベルアップしたり、「ノーミスでクリアしろ」「ニトロを10回使え」などの「ミッション」と呼ばれるものを達成することでも集めていく事が出来ます。
★を集めた数に応じて、新しいカップ戦や、上位の車、さらに車のアップグレードが解禁されていきます
ただし車の購入やアップグレードには、別途資金も必要になります。(★が消費される事はありません)

車はフェラーリや BMW、日産やアストンマーチンなど、実車がモデルの計 60 車種が登場
それらは7つのグレードに分かれていて、レースごとにグレード制限があり、適合していない車は使用する事が出来ません。
ただ、どのグレードの車も最初から1台ずつ持っているので、(そのレースがアンロックされていれば)「車がないから出場できない」と言うことはありません。
また、基本的に後半のカップ戦ほど上位グレードの車を使う事になりますが、必ずしもそうとは限らず、前半で上位グレードの車のレースが出る事もあります。

プレイしやすいだけあってゲームの難易度はやや低めで、サクサクと進行していくことが出来ます
よって集中してやると早い段階でクリア出来てしまうかもしれませんが・・・ このゲームは遊びやすいのが一番良い点ですから、これはこれで良いと思います。
また、カップ戦は全13、後半は1つのカップ戦の中に多数のレースがあり、ボリュームは少ない訳ではありません。

アスファルト7:Heat
※持ってない車を「レンタカー」として借りることも出来ます。 資金は必要ですが買うより安いので、苦戦している場合は活用してみるのも手。
また、たまに「イベント限定レンタカー」として、特殊な車をタダで借りることも出来ます。
車は全部実車、ミニクーパーからフェラーリまで用意されています。 上位グレードの車のスピード感は相当なもの。


アスファルト7:Heat
※レースごとに「スポンサー」を購入する事も出来ます。 これはスポンサーと言うより「そのレースだけの使い捨てアイテム」で、固有の効果を得ることができます。
価格はそれほど高くないので、EXP が増えるものを買っておくのがオススメ。


流石に完成度の高いゲームで、目立った難点はありませんが、強いて言うと Facebook による「シェア」をステージクリアごとに要求されるのが、やや気になるかも。
ただ Facebook のシェアで得られるのは少量の資金($5000)だけなので、それが出来ないと大きく不利という訳ではありません。

難点というか、やや残念だったのはマルチプレイのオンライン対戦
Gameloft Live! を通したオンライン対戦が行えるのが今作のウリの1つで、対戦自体はレスポンスが良く、独自サーバーを通したロビーも用意されていて悪くはないのですが・・・
このゲームの「操作しやすさ、遊びやすさ」が裏目に出て、レースの盛り上がりに欠けます

大抵のカーブを高速で曲がれ、操作しやすいのでミスが少なく、テクニックによる速度差が出にくい影響で、一度差が付くともうほとんど追いつけない&追いつかれないのです。
俗に言う「デッドヒート」はまず起こらず、最初から最後まで車の性能に応じたスピードでそれぞれが走り続けて、そのままゴールする感じ。
ハチャメチャさがウリの本来のアスファルトとはうって変わって、淡々としたレースにしかなりません
「遊びやすいフレンドリーな設計が、こんな風に影響してしまうとは・・・」という感じですね。
これだったらフェア勝負ではなくなりますが、後ろの車ほどスピードが上がるリッジレーサー方式の方が楽しめたと思います。

なお、最近のゲームロフトのゲームで気になるのが、機種ごとのグラフィックの違い
iPad 3rd と iPhone 4 では以下のような感じになりました。

アスファルト7:Heat

iPhone 4 は車の影がなく、建物のテクスチャやパーツがやや簡略化されています。
ただ、それほど大きく劣ると言う程ではなく、車体への写り込みや夜間のライト表現などもあり、iPhone 4 でも十分に美しいグラフィックと言えます。 もちろん動作も滑らかです。
アスファルト7 は Android でも公開されており、前作同様、機種ごとの性能差が激しい Android にも対応できる設計になっているでしょうから、旧機種や iPod touch でも十分楽しめると思われます。

以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。



価格はなんと、いきなり 85 円。 前作は当初 600 円(iPad 版は 800 円)で、徐々に値下げされていきましたが、今回はのっけから最低価格です。
そのぶん追加課金で利益をあげようという想定なのだと思いますが、難易度はそれほど高くありませんし、追加課金なしでも十分に進行できます。
ともあれ、このクオリティーでこの価格だと間違いなくお買い得です。

レースにリアルさを求めている人には向きませんし、アスファルト6 と比べて大きな違いがある訳でもないのですが、万人向けの遊びやすさを維持しつつ、よりクオリティーやスピード感を高めているのは良いですね。

カジュアル系のレースゲームとしては、間違いなく現時点の最高峰でしょう。
しっかしこれが 85 円で出てしまうと、後続は厳しいだろうな・・・

アスファルト7:Heat (iTunes が起動します)