世界初のトレーディングカードゲーム(TCG)であり、今でも世界的な人気を維持し続けている超有名なカードゲーム「マジック・ザ・ギャザリング」(Magic The Gathering)、通称 MTG
ゲームをやったことがある人なら、1度はその名を耳にしたことがあるでしょう。

そのマジック・ザ・ギャザリングの公式アプリが iPad、PC、PS3、XBOX360 で同時公開されました。
日本でのアプリ名は「マジック2013」です。
正式名は「マジック:ザ・ギャザリング ― デュエルズ・オブ・ザ・プレインズウォーカーズ2013」(Magic: The Gathering Duels of the Planeswalkers 2013)。 うん、長すぎ。

アプリ名のマジック2013(Magic 2013)というのは今年発売される基本セットの愛称で、つまりこのアプリは MTG の最新セットをコンピューターゲームで再現したものになります。
夏発売の最新セットのプロモーションも兼ねているようですね。

なお、このアプリは残念ながら iPad でしか発売されていません
基本的にこのブログは iPad のみのアプリは扱わないのですが、なにせあの MTG の公式ゲームですから・・・ 今回は取り上げておこうと思います。

マジック2013(マジック・ザ・ギャザリング 2013、Magic The Gathering)

MTG はアメリカ発祥のカードゲームですが、このアプリは完全に日本語に対応しています
気合いの感じられるオープニングムービーも日本語でナレーションが聞こえ、もちろんカードの説明も全て日本語です。
MTG はカード1つ1つに固有の役割があり、それを把握することが必要なので、カードの説明が英語のままでは非常にプレイし辛いのですが、その心配はこのアプリにはありません。

MTG は 20 年という長い歴史を持ち、その間にルールがどんどん追加・調整されていったので、かなり複雑になっている部分もあるのですが、丁寧なチュートリアルやゲーム中の細かいヘルプメッセージが用意されています。
ただ、そのヘルプメッセージの内容が解り辛かったりするのですが・・・

ゲームの基本的な流れは、まず自分のデッキ(山札)からカードを7枚引いて手札とします。
そして自分の番に1枚ずつ、手札から「土地カード」と呼ばれるものを出して「マナ」を増やしていきます。
モンスターや魔法、装備などのカードにはそれぞれ使用するための「マナコスト」があり、マナの範囲内、つまり出している土地カードの数に応じたものしか場に出すことが出来ません

例えば、土地カードを5枚出していれば、マナコストが3のモンスター(クリーチャー)と、コストが2の魔法カードを両方出すことができます。
それ以上はマナが尽きてカードを出せませんが、次のターンになれば土地カードの分だけマナは全快します。
また、自分の番になるごとに山札からカードを1枚補充することが出来ます。

場に出したクリーチャー(兵士やモンスター)のカードは、次のターンから敵の攻撃に使う事が出来ます。
クリーチャーには攻撃力と体力があって、攻撃力が3なら敵プレイヤーに3のダメージを与えられます。
ただし敵もクリーチャーを出していて、その敵が「ブロック」してきた場合は敵プレイヤーにダメージは与えられません。
ブロックされた場合、双方が攻撃力の分だけ相手クリーチャーにダメージを与え、体力がなくなった方はカード捨て場(墓地)に移されます。
クリーチャーの受けたダメージはそのターンが終わると全快します。
プレイヤーが受けたダメージは回復せず、先に相手プレイヤーの体力を 0 にした方が勝利ですね。

なお、手札を出せる時をメインフェイズ、攻撃する時を戦闘フェイズと呼び、1ターンは「メインフェイズ→戦闘フェイズ→もう1度メインフェイズ→終了」の順で進行します。

マジック2013(マジック・ザ・ギャザリング 2013、Magic The Gathering)
※相手が3つのカードで攻撃しようとして、そのうち2つをブロックしているシーン。 ブロックされていない攻撃は相手プレイヤーへの攻撃となります。
ブロックされている場合はそのクリーチャー同士で戦闘となり、体力が 0 になった方は撤去されます。
飛行を持つクリーチャーの攻撃は飛行や迎撃を持つ相手以外にはブロックされませんが、自分がブロックした場合は飛行の有無に関わらずダメージを受けます。
攻撃を行うと「行動済み」(タップ)になるので、その後にブロック出来なくなります。 よって相手の攻撃をブロックしないと危険な場合は、ブロック役は攻撃してはいけません。


マジック2013(マジック・ザ・ギャザリング 2013、Magic The Gathering)
※主人公(オーナー)ごとに登場ムービーが用意されていて、ロード時に表示される画像も非常に豊富、どれも気合いの入ったグラフィックになっています。 もう演出とかはカードゲームのレベルじゃないです。
PS3 や XBOX でも配信されているゲームですが、iPad 版もそれらとまったく同じクオリティーのようで、もちろん新 iPad の Retina 画質にも対応しています。


クリーチャーの多くは特性か特殊効果を持っており、特性には攻撃がブロックされない「飛行」、飛行ユニットを迎撃できる「到達」、先に一方的に攻撃できる「先制」、場に出した直後から攻撃可能な「速攻」など様々なものがあります。
その種類が非常に多いため初めてやる時は困惑しがちですが、カードをダブルタップして拡大し、「詳細」のボタンを押せば詳しい内容を確認できるので覚えておきましょう。

しかしこのゲームの難点の1つが、あまりにも専門用語が多過ぎること。
解説は丁寧で、日本語訳にもおかしい点はないのですが、なにせ独自の解りにくい専門用語が連発されるため、「ちゃんとした日本語の文章なのに、読んでて意味が解らない」という説明が続発します。
しかもそんな状態なのに、用語解説のようなものが存在しない
MTG は雰囲気も重要だと思うので、ヘンにくだいた文章にすることも出来ないのだと思いますが、初心者には解りにくいことは否めませんね。

良くでてくる専門用語は以下の通りなので、プレイされる方は参考にしてみて下さい。

アンタップ : 場に出している、まだ未行動や未使用のカード。縦向き
タップ : 行動済み / 使用済みのカードで横向き。 ターン開始時にアンタップに戻る
クリーチャー : モンスターや兵士などのカード
トークン : カードの効果により出現するカード。主にクリーチャー
アーティファクト : マナの色に関わらず出せるカード。 装備などがある
エンチャント : クリーチャー強化の魔法。 継続して効果がある
ソーサリー : 使い捨ての魔法カード
インスタント : 相手の行動に「割り込んで」使える魔法
パーマネント : 場に出している使い捨てでないカード全部
コントロール : 自分が場に出している(操れる)カード
パワー : クリーチャーの攻撃力
タフネス : クリーチャーの体力
ライフ : オーナー(プレイヤー)の体力
シンボル : カードに書いてある消費マナを表すマーク
ライブラリー : 山札。 ゲーム中のデッキの呼び名
ドロー : カードを引くこと
プレイ : カードを使うこと
墓地 : カード捨て場
アップキープ : 自分のターン開始時
軽減する : 実際には「無効化」する

マジック2013(マジック・ザ・ギャザリング 2013、Magic The Gathering)
※最初のうちは、よく解らないカードがあったり意味不明なマークが付いていたら、ダブルタップで拡大して右の方にある「詳細」のボタンを押し、表示されたウィンドウの▲ボタンで説明を確認しましょう。
とりあえず自分のデッキのカードの詳細ぐらいは把握しておきたいところです。


マジック2013(マジック・ザ・ギャザリング 2013、Magic The Gathering)
※アップキープだかパーマネントだかクリーチャートークンだかライブラリーだかワケ解らない専門用語が多用される説明文。 説明に使っている語句の意味が解りにくいので余計に混乱しやすい。
サイト作成者として、普段から出来るだけ解りにくい用語を使わないよう心がけている自分としては、こういう文章は正直言って好きじゃないです。
しかしこういうので雰囲気を出しているのもあるんだろうし、ゲームのルールが多様化しているため、用語も細かく設定しておく必要があるみたいですね・・・


メインとなるゲームモードは1対1で戦っていく「キャンペーン」で、他に4人同時に対戦する「プレインチェイス戦」、特定の状況を切り抜ける「チャレンジ」が用意されています。
また、キャンペーンを一通り終えると上級モードの「リベンジ」をプレイできるようです。

最初に使える基本デッキは限られていますが、キャンペーンで他のオーナーを撃破すると、そのオーナーのデッキを使用できるようになります
また勝利するごとに、使っていたデッキの新カードが1枚ずつ加えられていきます
課金によってデッキやカードをアンロックする事も出来るのですが、基本的にはキャンペーンを進めていけば、追加課金なしでも各デッキを使えるようになりますね。
課金用の「プレミアムデッキ」というものもありますが、これは俗に言う「キラカード」で、見た目が違うだけでカードの内容は変わりません。

4人対戦の「プレインチェイス戦」はちょっと変わった戦いで、真ん中に大きな「次元カード」と呼ばれるものがあり、さらに「次元ダイス」と呼ばれるサイコロがあります。
次元カードには全員に影響を及ぼす様々な効果が書いてあり、さらにダイスで「カオス」の目を出した時に、そのプレイヤーに与えられる効果も併記されています。

次元ダイスは各ターンに1回、メインフェイズに無条件で転がせますが、マナを使う事でさらに転がすことが可能です。 ただし転がす回数が多くなるほど、消費するマナが増えていきます。
次元ダイスは4つの面は何もなしですが、1つの面は前述の「カオス」になっていて、もう1つの面は次元カードが新しいものに変わります。
なお、次元カードが変わる事を「プレインズウォーク」と呼びます。

プレインチェイス戦は4人いるうえに、サイコロの出目と次元カードの内容によって状況がめまぐるしく変わるため、面白みはあるのですが・・・ ランダム要素が強いことも否めません。

また、このゲームは各プレイヤーの手順ごとに少し「待ち時間」のようなものが入ります。
これはその時間に「割り込んで」使用できるインスタントという種類の魔法があるからですが、毎回この待ち時間があるためゲームのテンポが良くありません
それは1対1の対戦ではそれほど気にならないのですが、4人になるとさすがに待ち時間が長くなり、「もっとサクサク進まないのかこのゲーム」と思ってしまいます。
おまけに「プレインチェイス戦」では各プレイヤーが次元ダイスを振る手順もあるため、ますます時間がかかります。
カードゲーム / ボードゲームの類としては、このテンポの悪さはちょっと辛いものがありますね。

マジック2013(マジック・ザ・ギャザリング 2013、Magic The Gathering)
※4人対戦のプレインチェイス戦。 真ん中に出ているのが次元カード。 様々なものがあり、中には「場のクリーチャーを全て消し去る」という凶悪なものも・・・ 正直、運の要素が強めです。
また、このモードに関してはゲームのテンポが悪すぎで、なかなか進行しません。
ただゲームのテンポを上げてしまうとインスタントの魔法の割り込みが困難になるし、「インスタントが無関係な時のみゲームを早くする」という方法にしてしまうと他プレイヤーのインスタントの有無が解ってしまうので、それもダメなようです・・・
なお、インスタントの魔法を割り込ませる場合は、ゲームを砂時計のボタンで止めなければなりません。 素早く反応しないと間に合わず、戦闘が始まってしまうともう遅いです。


アプリの本体は無料。 ただし無料のままでは体験版に過ぎず、製品版にするには 850 円の課金が必要になります。
やや高めの価格かもしれませんが、カードゲームとしてはそのクオリティーは圧倒的なので、iPad を持っている人にはオススメできますね。

前述したようにルールが解りにくいのが難点ですが、とりあえず本体は無料ですし、無料のままでも序盤のキャンペーンは遊べるので、自分に合うかどうか試してから購入を考える事もできます。
オンライン対戦は Game Center を通してのものですが、さすがに MTG だけあって世界中にプレイヤーがいるため、マッチングは早いです。 また、対戦中のレスポンスも悪くありません。

カードゲームアプリと言うよりは、もう「ゲームソフト」と言える完成度です。
ただ、絵の書き込みが相当に細かく、カードの文字も iPad だから読めるといった感じなので、iPhone / iPod touch 版の登場は残念ながら望み薄です。
これで iPhone 版を出そうと思ったら、もうレイアウトを一新するしかないでしょうね・・・
iPad 3rd を持っている方には、是非とも試して欲しいアプリです。

マジック2013 (iTunes が起動します)


最後になりましたが、以下は Youtube で公開されているチュートリアルのプレイ動画です。