6月30日より公開されている 3D 映画「アメイジング・スパイダーマン」。
その公式ゲームが映画の公開に合わせてゲームロフトより発売されています。
名前はそのまま、「アメイジング・スパイダーマン」です。

先に総評を言ってしまいますが、これは「スパイダーマンになって空中散歩を楽しむゲーム」です。
映画でもおなじみの、スパイダーウェブにぶら下がってビル街の間を縦横無尽に飛び回るシーン、それをなんとゲーム上で体験することが出来ます。
それはハッキリ言って爽快で、「まさか iPhone や iPad でこのシーンを楽しめるとは!」という感じですね。

一方、格闘アクションゲームとして見ると、正直言ってイマイチです。
ゲームロフトのスパイダーマンのゲームと言えば、一昨年に発売されスマッシュヒットした Spider-man : Total Mayhem が知られていますが、 それとは全く違うゲームです。
ですから Total Mayhem の続編かと思ってプレイすると「アレ?」となるのでご注意下さい。

このゲームはギャングスターGrand Theft Auto のような、街の中を自由に歩き回れる「オープンワールド」のゲームであり、ゲームエンジン(ゲームを作るための基本システム)もギャングスターやアーバン・クライムのものを使っているのが見て取れます。
よって戦闘シーンもギャングスターのような簡易的なものであり、格闘アクションを中心に作られていた Spider-man : Total Mayhem とはジャンルからして違うと思った方がいいでしょう。

アメイジング・スパイダーマン

街の中に様々な「ミッション」が現れ、その場所に行くとイベントや戦闘が発生、ミッションを無事に達成すると経験値やお金(スパイダーポイント)が貰えます。
ストーリーはメインミッションをクリアする事で進んで行きます。
ミッションはほとんど戦闘を伴いますが、たまに爆弾を解除するとか、逃走する車を追いかけるなどの特殊なものも出て来ます。
また、イベントシーンでは全て(英語の)ボイスが流れます。
スパイダーマンらしいジョークの効いたセリフのかけ合いもそのままですね。

ただ、広い街の中を自由に動き回れるので、ミッションを無視してテキトーに散策していても構いません
この町はやたら治安が悪いようで、至るところで暴漢と出くわすので、移動しているだけでも散発的に戦闘に突入します。
また、テログループと戦闘になるランダムミッションも各地で発生します。

戦闘に入ると「攻撃ボタン」と「スパイダーウェブボタン」、「ドッジ(回避)ボタン」が現れます。
攻撃ボタンを連打しているだけで近くの敵の方にダッシュし、パンチやキックなどの技で次々と敵を殴り倒してくれるので、非常にお手軽です。
この部分は Spider-man : Total Mayhem のシステムを踏襲していると言えます。

スパイダーウェブボタンは糸で遠距離攻撃をしたり、逆に敵に糸を絡ませて急接近したりするもので、これもスパイダーマンらしい技を自動で繰り出してくれます。
ただ攻撃の種類はそれほど多くなく、Total Mayhem よりもアクションは少なめです。

回避を行う「ドッジボタン」は敵の攻撃に合わせて押すと、自動的に格好いいアクションで相手の攻撃をかわしつつ反撃してくれるもので、Total Mayhem ではこれがアクションのキモになっていました。
しかし今作は回避のタイミングが解り辛く、攻撃しようとする敵の上にマークが表示されるのですが、それがよく見えない事があります。
加えて画面外から銃を撃たれたりするとマーク自体が出て来ません

攻撃を受けそうな時にはドッジボタンが光るので、それが目安になるのですが、控えめな光なのでよーく見ていないと解りません。
これらの理由から、「敵の攻撃を格好いいアクションでかわしながら戦う」というのは難しくなっています。

でも、別に回避が出来なくてもそんなに強い敵は出てこないので、攻撃ボタンを連打してバシバシ殴っていればクリアしていけます。
逆に言うと戦闘は「その程度のもの」ですね。

アメイジング・スパイダーマン
※戦闘は「ギャングスターの格闘にスパイダーマンらしいアクションを付け足したもの」です。 ギャングスターの戦闘が元々簡易的なものでしたから、このゲームも似たようなものです。
ドッジ(回避)をカッコ良く行うには、青い回避ボタンが光るのをよく見ておかないといけません。
よって戦闘中は攻撃ボタンを連打しながら、ずっと青いボタンを凝視し続けることに・・・ それもどうなんだって感じです。
でもスピーディーに敵を殴りまくれるので、それなりには楽しめます。

しかしこのゲーム、戦闘はイマイチでも、「移動」は面白いです。
この手のゲームで戦闘より移動する方が面白いって始めてですね

ジャンプボタンを押しっぱなしにすると飛んだ後に糸を出し、そのままターザンジャンプのように糸に掴まって空中に跳び上がります。
タイミングよく連続で跳び上がっていけば遥か上空まで昇っていけますし、高速で移動する事もできます。
それはまさに「映画と同じように、しかも自分の好きな方に飛んでいくことができる」もので、最初に見た時は「おぉー! スゲー!」と思うこと請け合いです。
ホント、戦ってるよりビルの間を飛んでいる方が面白いです。

スパイダーマンはビルの壁も床のように移動することができ、高層ビルの屋上まで壁面を歩くようによじ登ることが出来ます。
高所から落ちても平気なので、高層ビルから飛び降りて落下の恐怖感を味わうことも出来ます。
地面を走り続けると高速で疾走し、その状態で車にぶつかりそうになると自動的にカッコ良くジャンプして回避してくれます。

とにかく様々なアクションが「スパイダーマンらしい」です
その再現こそがこのゲームのコンセプトなのでしょうね。

アメイジング・スパイダーマン
※スパイダーマンにとっては壁もビルも「床」と同じ。 自由に壁面を動き回れます。
高速で移動していると遠景のテクスチャの荒さが目立つこともありますが、そのぶん上空を高速で飛んでいても動きは滑らか。 文字通り「気持ちよく」飛び回れますね。
もちろん、使用機種にもよりますが・・・


アメイジング・スパイダーマン
※高層ビルから地上へダイブ! 傷1つ無いスパイダーマン。
高空から真下に落下するとホントにコワイです! それだけリアルと言うことですね。
でもこのダイブ感は結構病み付きになります。


グラフィックの質はモダンコンバットなどと比べるとかなり劣り、「自由に飛び回っても快適に動かせること」を重視しているグラフィックだと言えます。
ただ、ビルのガラスに街の景色が映っているなど、荒くても綺麗に見せる工夫は凝らされています。

町中をかなり高速で飛び回るゲームですから、相応にハードのパワーも必要になります。
iPhone 3GS や初代 iPad は対象外で、インストールさえ出来ません。 iPod touch は第4世代以降のみ対応です。
また、ここで掲載しているグラフィックは新 iPad (iPad 3rd)のもので、iPhone 4 や iPod touch では画質は落ちてしまいます。

具体的には、以下のような感じです。

アメイジング・スパイダーマン

ゲームの進行の影響で天候が違ってますが・・・
iPhone 4 の方は遠景のテクスチャ(画質)が荒くなっていて、信号機や地上の看板がなくなり、影が簡略化されています。
スパイダーマンの体の質感なども違い、またこの画面では解りにくいのですが、通行人や車の数も少なくなります。
また、iPhone 4 だと一部の演出効果がカットされます。

動きも上空を飛び回ると、iPhone 4 は若干コマ落ちしているのを感じます
ただ致命的という程ではないので、iPhone 4 でも十分遊ぶ事は可能で、独特の浮遊感も楽しむ事ができます。
でもやっぱり iPhone 4S や iPad 2 以上でのプレイをオススメしたいですね。

以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。



定価は 600 円。 クオリティーを考えると相応の値段かなと思います。

冒頭でも述べたように、敵と戦う格闘アクションとしてではなく、オープンワールドの街をスパイダーマンになって飛び回るのを楽しむゲームと言え、自由に散策しながら暴漢をシバいてまわり、気が向いたらストーリーミッションを進行させる、そんなプレイスタイルが向いているゲームですね。
欲を言えば、もっとランダムミッションに種類があればと思いますが、メインミッションは割とバラエティーに富んでいます。

主人公がヒーローで、乗り物がない代わりに飛び回れるギャングスター、という感じでしょうか。
荒削りな部分もありますが、新機種を持っているのなら一見の価値があるゲームですね

アメイジング・スパイダーマン (iTunes が起動します)