昨年世界中で大ヒットした、ビル建設の放置型開発ゲーム「Tiny Tower」。
この Tiny Tower のヒット後、当然のように似たタイプのゲームが登場し始め、その一部は Tiny Tower の開発元に「マネし過ぎ!」と文句を言われたりしていた訳ですが・・・

そんな Tiny Tower 系の開発ゲームの中で、特に完成度が高く、日本でも iPhone / Android の双方でヒットしているゲーム。
それが「りとるキングダム」(Lil' Kingdom)です。

基本的には Tiny Tower と同じシンプルな内容なのですが、細かく作り込まれた部屋のグラフィックと非常に立体感のあるフロア表現が素晴らしく、こうした開発ゲームは「見た目」が重要ですから、これはポイント高いですね。

販売しているのは ZUMA(世界的に有名なパズループ系のゲーム)を開発したメーカーとして知られている Glu 。
ここはモバイルゲームの老舗であり、iPhone でも Super KO Boxingロード・オブ・ザ・リングのTD など多くのアプリを公開しています。

りとるキングダム(Lil' Kingdom)

ゲームの基本的な流れは Tiny Tower と変わりません
まず最初に「住居」を造り、1階のドアからやって来る訪問者をエレベーターで住居に運ぶと、そこの住人になってくれます。
住人は「食品」「サービス」「エンターテイメント」「工房」「王国」の5つに分かれた様々な施設で働くことができ、住人を働かせた施設をタップする事で商品を生産することが出来ます。

商品の完成には実時間の経過が必要で、所定の時間が経った後にその施設をタップすると、商品の販売が開始され徐々にお金が入ってきます。
各施設は3人まで住人を働かせることができ、働いている人数が多いほど単価や在庫が多い商品を生産することが出来ます。

時間の経過を待つ間はアプリを落としていても構いません。 再度起動したときに(必要な時間が経っていれば)商品は完成していて、販売中の商品は時間ぶん売れています。
そして稼いだお金でまた新しい住居や施設を造り、地下王国を拡大していきます。

1階のドアからは次々と訪問者が現れ、エレベーターで所定の階に運ぶことで収入を得ることができます。
また、たまに施設の在庫を一気に満たす魔法使いや、施設建設を短縮するドワーフ、住人を補充出来るチャンピオンなどの特殊な訪問者もやって来ます。

ここまでの仕様はビルが地下王国になっている事以外、Tiny Tower と同じですね。

りとるキングダム(Lil' Kingdom)
※ Tiny Tower と同じく、住人には能力値があり、能力に合った施設で働くことで生産時の費用が割引されます。
また「天職」の施設に就職させることでボーナスの「クリスタル」が貰え、さらに生産量にボーナスが付きます。
右の画像は住民を1人拉致してくる「チャンピオン」。 金のない人間を無理やり地下王国の住人にして、深い地の底で働かせるという・・・ それなんて帝愛?


このゲームオリジナルの仕様は、まず地上のお城にお姫様がいて、たまに特定の商品を探してくるように言われること。
Tiny Tower にも特定の住人を捜すミッションがありましたが、こちらは発見に成功すると「コレクション」と呼ばれるアイテムが貰え、それをコンプリートすると(いわゆるコンプガチャ形式)特殊な施設を造れるようになります。

また「ドラゴン」が地下をうろついていて、タップするとその場所の在庫が一気に補充されます
ドラゴンは一度使うと4時間~6時間の休憩が必要になりますが、「クリスタル」を集める事で2匹目、3匹目を誕生させる事もでき、増えるとかなりの収入源になってくれます。

クリスタル」は言わば課金コインであり、課金によってまとまった量を得られますが、普段のゲームプレイでも細々と獲得していくことが出来ます。
その獲得量は決して多くありませんが、まったく貯まらないと言う程でもないので、無課金でもゲームは十分に進行させていくことが出来ます
クリスタルはドラゴンの購入の他に、エレベーターの強化や生産時間の短縮などに使用します。

りとるキングダム(Lil' Kingdom)
※ドラゴンがボーッと火を吐くと、なぜかその店の商品在庫が MAX になる。
どんなお店でも一瞬で MAX なので、生産に時間のかかるお店で使った方がお得ですが、ドラゴンがどこに行くかはランダムです。
地下ダンジョンが舞台だからかヘンなお店も多く、「洗濯屋」とか「ピザ屋」などの一般的なものの他に、「破滅ドーム」とか「深宇宙への入り口」とか言うトンでもないものも存在します。


そしてこのゲームの最大の特徴は・・・ なんと言ってもそのグラフィックでしょう。
このゲームは部屋もキャラクターも 3D グラフィックで描かれていて、さらに画面をスクロールさせると奥行きがあるような立体的な動きを見せてくれます

ちょっと文章では説明し辛いのですが、部屋が画面の上の方にある時は天井が見えていて、中間に移動させると部屋の奥が見え、下の方に移動させると床の辺りに視点が変わると言うような感じで、遠近法のような表現が行われます。
最初に見た時は「おぉ、これはリアルだ!」と思うこと請け合いです。

さらに部屋の中の様子も、洗濯屋なら洗濯物がくるくる回っていて、弓屋なら的に矢が飛んでいて、劇場なら戦士がドラゴンを倒した後にお姫様にぶっ飛ばされる寸劇が上映されているなど、すごく作り込まれています
このグラフィックだと開発のしがいもありますね。

りとるキングダム(Lil' Kingdom)
※静止画ではまったく伝わらないのですが、とにかく立体感があり、奥行きが感じられます。
実際にプレイされている方は、階層が増えてきたら、ぜひ片目をつぶって画面を上下にスクロールさせてみて下さい。 より奥行きを感じる事が出来るはずです。
これは原理を説明していると難しくなりますが・・・ HoloToy などでも活用されている錯視の一種ですね。
実は iPhone で一番「疑似立体視」を体感できるゲームかも。
右は Game Center のフレンドと階層を比べられる画面。 ゲームキャストさんの地下帝国っぷりが凄いです。


本体無料で課金型の「フリーミアム」のアプリですが、それほど課金の必要性はありません。
やや難点なのは俗に言う「課金演出」が多く、「90%オフ!」とか言って全然値下げされているとは思えないような高額課金をアピールされたりすることでしょうか。
ただ無料のアプリですから、十分遊べた人は寄付のつもりで若干の課金をしても良いかなとは思います。

遊びやすい内容で、スマホらしいグラフィックも併せ持つ、特にライトユーザーにオススメのアプリです。
開発ゲームとしては非常にシンプルなので、本格的なゲームを求めている人には向きませんが、放置型のゲームは手軽さも必要ですから、このぐらいで良いのでしょう。
いずれにせよ、この奥行きを感じるグラフィックは一見の価値があります

りとるキングダム (iTunes が起動します)


最後になりましたが、以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。