今年5月に全世界で 10 億ダウンロードを突破したという、もはや数字が大きすぎて理解できないぐらいの定番作品となっている「Angry Birds」。
その Angry Birds シリーズを開発したフィンランドのメーカー Rovio が、新しいピタゴラスイッチ型のパズルゲームを公開しました。
Amazing Alex」です。

Angry Birds と同じ物理シミュレートのゲームですが、今回は壊すのではなく、作る方
しかもこの作品はパズルを解くことよりも、それぞれのプレイヤーが独自の解法を作り上げていく、そのこと自体が重視されている印象です。

ちょっと説明し辛いのですが、「知育ゲーム」と言った感じのアプリですね。

Amazing Alex

ステージ内に板やボールなどの様々なパーツを配置して、目的を達成するための「しかけ」を作ります。
目的はボールをカゴに入れたり、特定のものを落としたり、風船を割ったりなど、ステージによって異なります

例えば、ボールを板の上に落として転がし、ハサミにぶつけて紐を切り、繋がっていた風船を上空に飛ばす、というような連鎖するしかけを組み立てていきます。
要するにピタゴラスイッチの「ピタゴラ装置」を作るゲームですね。

使えるパーツはステージごとに決まっていますが、好きな場所に配置でき、回転や反転も自由に行えます。
ステージ内には3つの「★」が置かれていて、何かを当てることで回収でき、★を取った数がそのままクリア評価となります。 上位ステージをアンロックするには一定数の★を集めなければなりません。

こうしたピタゴラスイッチ系のゲームは古くからあり、iPhone でも ENIGMOCrazy Machines など多くのアプリが存在します。
さすが Angry Birds の開発元だけあって、物理シミュレートが自然で、使える道具の種類も多いのですが、ゲーム自体は新しいタイプという訳ではありません。

Amazing Alex
※このステージはブタのおもちゃを矢印の穴に落とせばクリア。 クリア条件は毎回異なりますが、何をどうすればよいのかは丸印や矢印などのマークで示してくれるので、迷うことはありません。
ステージ内の★はなんでも良いので当てれば回収できます。
ただクリアするだけなら簡単ですが、★を回収してからクリアするのは相応に頭を使います。


このアプリの特徴は、「プレイヤーが自分の装置を作る」という点を重視していること。

パズルとしてはそんなに難しい訳ではありません。
中盤からは相応に難しいステージも登場しますが、基本的にはパーツを置いてテストして、失敗したら微調整するという「トライ&エラー」を繰り返すゲームなので、何度も繰り返していれば少しずつ解法に向かっていけます。
リトライはボタン1つで行え、回数制限や時間制限のようなものはありません。

そしてどのステージも複数の解法が存在し、用意されているパーツは必ずしも全て使う必要はありません
Angry Birds のメーカーのゲームらしく、「予期しない物体の動き」によって偶然のクリアや★の回収を行える場合もあります。
(ただし Angry Birds と違って、同じ配置なら常に同じ結果になります)

そしてなんとこのゲームは、ゲーム中にオプションのアイコンをタップし、電球のアイコンを選ぶ事で、模範解答や他プレイヤー(Game Center のフレンド)の解答をいつでも確認する事が出来ます
つまりパズルが解らない場合は、いつでも「答え」を見て良いのです。 パズルゲームとしては前代未聞です
もちろん前述したように、解法は1つではありませんから、それを参考にしつつ独自の回答を編み出しても構いません。
そうして作った解法はクリア時に自動的に「シェア」(共有)され、フレンドが確認できるようになります。

つまりすでに述べたように、プレイヤーがやることは決められた正解を見つけることではなく、自分なりのクリア手順を作り上げていくことな訳ですね。

また、このゲームにはステージ作成モードMy Levels)も用意されています。
作ったステージはサーバーにアップロードすることができ、プレイヤー作成のステージはメニューの「Downloaded Levels」を選ぶ事で、自由にダウンロードすることが可能です。
ここからも「自分で作って共有する」というのが重視されている事が伺えます。

Amazing Alex
※クリア画面。 下の方にある Sloution Shared (装置を共有しました)の表示に注目。
右にある画像リストは正規の解答や他プレイヤーの解答の一覧。 Alex と書いてあるのが事前に用意されている正規の解答ですが、別にこれに従う必要はありません。


Amazing Alex
※序盤ステージのクリアの一例。 点線の部分に黄色の本や板を置くのが本来の解答なのですが、こんなひねくれた置き方でも★3クリアが可能です。
解法はプレイヤーの数だけありますね。


Amazing Alex
※これはステージ作成モード。 まず★を全部回収できる正解の装置を作り、そこから任意のパーツを「配置用パーツ」として取り上げて、完成となります。
完成したステージはメールで送ったり、サーバーにアップロードしたりして公開できます。


難点は、「自分なりの装置を作る」という能動的な楽しみ方が要求されるため、人を選ぶこと。
単なる「パズルゲーム」として見ると、良く出来ているピタゴラスイッチ系のゲームではありますが、やや地味な印象は拭えず、Angry Birds のような「派手な壊れっぷリ」みたいな楽しみは得られません。

また、いつでも「答え」を見られるというのは、パズルとしてゲームを楽しみたい場合、難しいステージで「答えを見られるけど見ない」というプレイヤーの忍耐が必要になるので、逆にストレスになります。
行き詰まることが無くなるのでその点は悪くないのですが、せめて「最初の何回かは答えが見れない」「最初に見れる回答は★1などの不完全なものだけ」と言った感じにしていた方が良かった気もします。

もちろん解らない時は無理せずに解答を見て、サクサクとクリアしていっても良いのですが、このゲームを本当に楽しむには「自力でクリアした後で模範解答や他プレイヤーの回答との違いを確認する」「答えを見た後、ワザとその答えと違う解法を探してみる」と言ったストイックな遊び方が必要になります。
でも、それが楽しいと思える人は少ない気もしますね。 特に日本人には

以下は Youtube で公開されている公式のトレーラーです。



価格は 85 円Angry Birds と同じく安価ですね。
今後のアップデートも期待できますし、相変わらずコストパフォーマンスは高いです。

Angry Birds を作った Rovio の新作と言うことで、各方面から期待が寄せられていたゲームです。
それは Rovio も感じていたでしょうから、どういったものを作るべきか、おそらく相当悩んだと思われます。
Angry Birds が破壊のゲームだったので、今度は創作するゲームにしたのだと思いますが、それだけでは「な~んだ」ということになってしまうので、プレイヤーの工夫が試される内容に仕立てた、という形でしょうか。

ゲームなんだけど、「コンピューターを使った遊び道具」といった感じもするアプリです。
これはこれで良いと思うのですが、Angry Birds のようなシンプルさはないので、広く受け入れられるかどうかは疑問かな・・・ 評価はされると思うけど・・・
でも、こういう「高尚なゲームデザイン」のアプリって、ゲームとして面白くなかったり、理解し辛かったりする場合が多いのですが、これはきちんと遊べるものに仕上がっているので、そこはやはり流石だと思います。

Amazing Alex (iTunes が起動します)
Amazing Alex HD (iPad 専用版。 こちらは 250 円です)